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アトランティスの亡霊

Ghost of Atlantis

【1-4-3】思っていたのとちょと違う感じ

【04】思っていたのとちょと違う感じ

思っていたのとちょと違う感じ

【1-4-3】

 

    放課後の校舎の裏

    シャルロットとフランシーヌが良子を呼び出していた。
    【シャルロット】
        「アンタ、いったいどういうつもりなのよっ!!」
        「足をひっぱらないでって言ったでしょ!」

    【フランシーヌ】
        「ほんとに聞きわけないわねぇ。」
        「シャルロットの援護できないなんてノロマのうえに馬鹿なの ?」

    【良子】
        「わ、わたしだって頑張ったもん・・・。」

    【フランシーヌ】
        「シャルロットが沈められたのがどこが頑張ったのよっ!!」
        「アンタ、自分が戦果を挙げた事を自分の実力と思って ?」

    【良子】
        「そ・・・そんな。」

    【シャルロット】
        「アンタはね、私達の言うことだけ聞いておけばいいのよ」
        「勝手なマネすんじゃないのよっ!」

    シャルロットが良子の左肩をドンと押し、良子はよろけて尻もちをついた。
    フランシーヌが脇腹めがけて蹴ってきたが、とっさに良子は身をすくめ防御した。
    お腹を守ろう両腕を組んだところにフランシーヌの蹴りが二の腕に入り激痛に顔をしかめる。

    【フランシーヌ】
        「なにやってるの!」
        「抵抗する気なの ?」

    【シャルロット】
        「生意気なやつ」


    その光景を眺めていたヤツがいた。

    【マナブ】
        「おぃ何やってんだ ?」

    【シャルロット】
        「あら、誰かと思えば」
        「見ての通り教育的指導よ」

    【ヒジキ】
        「相変わらず陰険だな。」

    【フランシーヌ】
        「なに言ってんのよ。」
        「アンタたちこそ、どうしたの ?」
        「東郷がやって来てから、すっかりおとなしくなっちゃって。」
        「あんなヤツが怖いの ?」

    【ヒジキ】
        「なんだとっ!」

    フランシーヌにつかみかかろうとしたヒジキをマナブが静止した。

    【マナブ】
        「よせっ」

    【ヒジキ】
        「なんでだよっ!」

    マナブが、うつむいて怯えている良子に目をやり、何かを促すと、ヒジキもそれに気づき力を抜いた。

    【シャルロット】
        「ああーつまんなぃ。」
        「アンタたちにもガッカリしたわ。」

    【シャルロット】
        「行くわよっ!」
    地面に座り込んだままの良子の頭にツバを吐きかけ、その場を後にする。

    【フランシーヌ】
        「ふんっ」

    フランシーヌもシャルロットの後を追った。



    【マナブ】
        「大丈夫か ?」
    ポケットからハンカチを取り出した。
    頭についたシャルロットの吐を拭きとってあげた。

    【良子】
        「マナブさん、ありがとう。」
        「私は大丈夫よ。」
    ようやく、顔を上げて笑みを返した。
    が、それが逆に痛々しく見える。

    【ヒジキ】
        「何言ってるんだよ。」
        「いつも、アイツらに好きなようにされてばかりじゃねーか。」

    【良子】
        「ごめんね、コンブさん。」
        「恥ずかしいところ見せちゃって。」

    【ヒジキ】
        「アイツらは確か、今謹慎期間中だったよな・・・。」
        「懲りない連中だ。」

    【マナブ】
        「ケンジが知ったら、黙ってはおかないぞ。」

    あわてて良子が止めた。

    【良子】
        「だめっ!」
        「お兄さまだけには言わないでっ!」

    【ヒジキ】
        「どうしてだよっ!?」

    【良子】
        「だって・・・。」
        「お兄さまは、いつもこの学園の治安を守るために体を張ってますのよ。」
        「お兄さまに余計な心配を掛けたくないの。」
        「わかるでしょ ?」

    良子の目にはどうやら、ケンジやその仲間達を正義の味方に映っているようだった。
    【マナブ】
        「ぁ、いゃ、その治安を守ってるととかそんなんではないのだが・・・。」

    【マナブ】
        「ふぅ・・・」
        「わかった、ケンジには内緒にしておこう。」
    ヒジキと目を合わせ、ため息をついた。

    【マナブ】
        「立てるか ?」
    マナブが差し出した手を頼りに、ようやく腰を上げた。

    【良子】
        「絶対に内緒ですからねっ!」

    【マナブ】
        「わかってるよ。」

    【良子】
        「コンブさんもですっ!」
        「あなたが一番口を滑らしそうなんですからっ!」

    【ヒジキ】
        「わかったよっ!」

    【マナブ】
        「送ってやるよ。」

    【良子】
        「絶対に絶対なんだから!」

    【マナブ】【ヒジキ】
        「はいはい・・・。」

    【良子】
        「ハイは一回なのですっ!」

    【マナブ】【ヒジキ】
        「はい・・・。」
        ヤレヤレ・・・。

    【良子】
        「よくできました♪」

    【良子】
        「来るんでしょ ?」
        「今夜はカレーにするから、食べてってね。」

    【ヒジキ】
        「ぉっ!?」
        「いいねぇー。」

    【マナブ】
        「良子ちゃんのカレーは旨いからね」

    【良子】
        「じゃ、材料買うから、荷物持ってね。」

    【マナブ】【ヒジキ】
        「はいはい・・・。」

    【良子】
        「ハイは一回なのですっ!」

    【マナブ】【ヒジキ】
        「はいっ!」

    【ヒジキ】
        「ってか、なんでオレは "コンブ" と呼ぶわけ ?」

    【良子】
        「海草だから。」

    【マナブ】
        「アダ名のつもりだったのか・・・。」

    【ヒジキ】
        「もうちょっと格好がいい呼び方はなかったのでしょーか ?」

    【良子】
        「なにか 不満でも ?」

    【ヒジキ】
        「ぁ、ぃえ、御座いません。」
        トホホ。    この子の機嫌を損ねると兄貴が怖ぇーからなぁ・・・。


寮の東郷の部屋

    【東郷】
        「うぅぅぅ」
    脂汗流して痛みに耐えていた。

    【ナターシャ
        「い、痛そうにしてるわね・・・。」

    【ミーシャ】
        「普段の素行の悪さが原因よっ!」

    【ターニャ】
        「パパ可哀想・・・。」

    【ナナ】
        「どさくさに紛れてなにやってるのかしら ?」
    東郷の布団に潜り込もうとするターニャの首根っこをつまんで引きずりだした。

    【サッチ】
        「病院のお薬効いてないのかしら ?」

    【ナナ】
        「おとなしくしていれば良かったものを・・・。」

    【サダッチ】
        「まぁまぁ」
        「東郷教官が来てくれたから、初めて添下学園に勝てたんですよ。」
        「あんな終わり方しちゃいましたが・・・。」

    【サッチ】
        「確かに。」
        「形はどうであれ、今回の一勝は貴重だわ。」
        「戦い方を教えてくれた事には感謝しなきゃ。」

        「ね ?」
    ナナに目で動意を求めた。

    【ナナ】
        「そ・・・そうね。」
    悪態をつきそこなった。

    【ナナ】
        「今回の一戦で、私達が学ぶことは多かったわ。」
        「今まで、こうでなければならないって思い込みがあったと思うの。」
        「それを見事に打ち砕いてくれたわ。」

    【セッちゃん】
        「皆さーん」
        「夕食の用意が出来たわよーーー。」
    遠くから呼ぶ声が聞こえた。


    【ミーシャ】
        「今夜は何 ?」

    【サダッチ】
        「んーーー?」
        「カレーとか言ってた気が ?」

    【ターニャ】
        「!!!!!」
    後ずさりした。

    【サダッチ】
        「あはは。」
        「大丈夫よ、ちゃんと甘口もあるはずですよ。」

    【ターニャ】
        「♪」

    【サッチ】
        「さ、食べに行きましょ。」

    【ナターシャ
        「アイツは食べられないのかしら ?」

    【サダッチ】
        「今日は無理じゃない ?」
        「元気になれば食欲でるかもしれないけどね。」

    【ナナ】
        「放っておけばいいのよ。」
        「一度や二度、食事抜いたくらいでは人は死なないわ。」





    ケンジの家

    【ケンジ】
        「ただいまぁ-。」
        「ぉ、いい匂いだ。」
        「今日はカレーだな。」

    【良子】
        「ぁ、お兄さま♪」
        「お食事の用意ができてますよ。」

    【マナブ】【ヒジキ】
        「おつかれっす。」

    【ケンジ】
        「ぉ、来てたのか ?」

    【マナブ】【ヒジキ】
        「ぇ、ええ・・・。」

    ちょっと気まずそうだったが良子がフォローした。

    【良子】
        「たまたま下校が一緒だったのですよ。」
        「食事の材料も持って頂いたので、お食事をお誘いしました。」

    【ケンジ】
        「そっか。」
        「ゆっくりしてってくれや。」

    【ケンジ】
        「今日のシミュレーター、頑張ったな。」
    カバンを部屋の隅へ放り投げながら良子の頭をなでてやった。

    【良子】
        「はいっ」

    【ケンジ】
        「今日の俺なんか散々な目にあったぜ。」

    【良子】
        「お兄さまも格好よかったですよ♪」

    【良子】
        「ときに、お兄さま。」
        「そのシャツの下に隠しているものは何でしょう ?」
        「だして貰えませんか ?」

    【ケンジ】
        「ぇ!?」
        「ななんでしょう ???」
    動揺するケンジ

    【ケンジ】
        「な、なにもないよ。」
        「気のせいだよ。」

    なにやら、シャツのしたでモゾモゾと動くものが。

    【良子】
        「出しなさい。」

    【マナブ】【ヒジキ】
        いまの良子ちゃんは、さっきのシャルロット達よりおっかねーぞ・・・。

    【ケンジ】
        「ぃ、いや、なんでもないんだってっ!」

    【良子】
        「夕食、抜くわよっ!」

    【マナブ】【ヒジキ】
        こ・・・怖ぇぇぇぇぇ。

    しかし、ケンジの抵抗むなしく、シャツのクビもとから、"みゃん♪" と、その正体を現した。

    【良子】
        「きゃーーー可愛いぃぃぃ♪」
        「ニャンコだぁ♪」

    【マナブ】【ヒジキ】
        ふぅ、よかったぁ。 噴火するかと思った・・・。

    【ケンジ】
        「ぁ、ぃ、いや、その、迷子になっていたんだ」
        「親がいないか付近を探してみたけれど、みつからなくて」

    【マナブ】
        「それで今日は遅かったのですか。」

    【良子】
        「もぅ、お兄さまったら。」
        「ココはペット禁止って知ってるでしょー。」
        「どうして、こう次から次へとニャンコだのワンコだの拾ってくるのよ。」

    【ケンジ】
        「す、すまん。 良子には悪いと思っている・・・。」

    【良子】
        「まぁ、そこがお兄さまのいいところなんでしょうけれど・・・。」

    ケンジから子猫をとりあげ、子猫の鼻に自分の鼻をくっつけて猫流の挨拶をした。
    【良子】
        「仕方ないわ。」
        「心優しいお兄様に免じて、しばらくお前を置いてあげる。」
        「ただし、行き先が見つかるまでよ。」
        「ここはペット禁止なんだから。」

    【マナブ】【ヒジキ】
        ケンジがヒーローに見えるのはこのせいか・・・。

    【良子】
        「さて、お兄様に良子特製のカレーをいれてあげるね。」

    【ケンジ】
        「ぁ、ありがと・・・。」
    やれやれといった感じだ。

    【良子】
        「きゃぁぁぁぁーーー」
        「お兄さまを差し置いて、なに勝手に食べてるのよっ!!」

    【マナブ】【ヒジキ】
        「ぇえーーーっ!!!」
        「さっき、お兄様が帰ってくるの待ってると冷めちゃうから先に食べててって・・・。」
        オンナって訳わかんねー。


    東郷の寮

    【ナナ】
        「ごちそうさまでした。」

    【セッちゃん】
        「はい、おそまつさまでした。」

    【セッちゃん】
        「教官を見てきてくれる ?」
        「食べられそうなら、温めておくから。」

    【ナナ】
        「うん。」

    様子を見に行くと、東郷の部屋の前にはラップされたカレーが置かれていた。
    きったない字で、

    "ぱぱぬかねーをたべたやつはころす"

    【ナナ】
        ターニャね・・・。

    ノックしてみた。

    【東郷】
        「開いてるよ。」


    【ナナ】
        「失礼します・・・。」
    普段は、かってに、ドアを開けて入っていくのだが今日に限ってはどういう訳か、挨拶をしてしまった。

    中に入ると、起きてデスクに向かって端末を操作していた。
    画面にはおそらく伊勢と日向とおぼしき戦艦と島風と思われる随伴する駆逐艦が激しい攻撃を受け黒煙を噴きつつ応戦する映像が映し出されていた。
    船体を覆い尽くす黒煙とダメージにより艦のシルエットが識別できない状態に少なからずのショックを覚えた。
    【ナナ】
        「ぁ、具合は・・・どうかしら ?」

    【東郷】
        「ようやく痛みは引いたよ。」

    【ナナ】
        「寝てなくて大丈夫なのですか ?」

    【東郷】
        「ん? ああ、今は大丈夫。」

    【ナナ】
        「何を ?」

    返事がない。
    【東郷】
        「・・・。」
    考え中で話は半分しか聞いていなかった。

    【ナナ】
        「食事を持ってきましょうか ?」

    【東郷】
        「ん? ああ、すまない。」

    【ナナ】
        「少し待っててくださいね。」


    ターニャが置いていったカレーを手に、キッチンに戻ってきた。

    【セッちゃん】
        「どうだった ?」

    【ナナ】
        「起きてたけれど、仕事していたわ。」

    【セッちゃん】
        「大丈夫なのかしら ?」

    【ナナ】
        「本人は大丈夫・・・とは言ってたけれど。」

    【ナナ】
        「どうやら、伊勢と日向についての情報を集めているようだったわ。」

    【セッちゃん】
        「普段はボロカスいうのに、今日はおとなしいのね。」
        「心配なの ?」

    【ナナ】
        「そ、そんなんじゃないわよ。」
        「彼の仕事を邪魔できないでしょ。」
        「私だって訓練生と言う立場をわきまえてるわよ。」
    伊勢と日向の画像については話さないことにした。


    ナナが手にしている皿に気がついた。
    【セッちゃん】
        「あら、それは ?」

    【ナナ】
        「ターニャが扉の前に置いていったようなのよ。」

    【セッちゃん】
        「貸して、チンしてあげるわ。」
        「温め直すんでしょ。」

    【ナナ】
        「ありがとう。」

    40秒後、チーンと出来上がりのサインがなった。

    【セッちゃん】
        「はいっ、出来たわよ。」

    【ナナ】
        「ありがとう。」

    【セッちゃん】
        「ターニャーっのパパって東郷教官なのかしら ?」

    温め直したカレーを手渡しながらつぶやいた。

    【ナナ】
        「ま、まさかぁ!」
        「アイツは独身よ。」

    【セッちゃん】
        「でも、とてもなついているじゃない。」

    【ナナ】
        「でも・・・ホラ、名前も全然違うし。」

    【セッちゃん】
        「どうしてあなたが動揺している訳 ?」

    【ナナ】
        「ば、馬鹿いわないでよ。」
        「ど、動揺だなんて、私がそんな自分を見失うようなことなんてしないわよ。」

    【セッちゃん】
        「ふーん・・・。」
        「アナタが食べているそのカレー、教官のぢゃなかったっけ。」

    【ナナ】
        「ぁ」

    【セッちゃん】
        「やはり新しいの入れなおす ?」

    【ナナ】
        「いいのっ!」
    スプーンで自分が食べてしまったところを地ならした。

    【セッちゃん】
        「あなた、思いのほか、ガサツなところあるのね・・・。」
        「クラスの男性諸君が見たらガッカリするわよ。」


    東郷の部屋

    ドアを開けて、部屋に入って目にした光景は、パンツ一枚になった東郷と、上気した裸体にバスタオルを巻いただけのサッチがベッドに腰掛けていた。

    【ナナ】
        「ななななな・・・。」
    赤面して動揺するナナ。

    【ナナ】
        「なにやってるんですかっ!!」
        「この"弩"変態っ!!」

    思わず、手にしていたカレーを東郷の顔面めがけて投げつけてしまう。

    【東郷】
        「あち、あち、あちちちっ!!」



    突然の騒動に、寮の全員が東郷の部屋に集合する。

    【ミーシャ】
        「このハレンチな図式はどういうこと ?」

    【ターニャ】
        「ぅぅぅぅ」

    【サッチ】
        「あのね、お風呂あがりのついでに、教官の汗を拭く用にぬれタオルを持ってきたの。」
        「そしたらナナが突然入ってきて、カレーを・・・。」

    【ナナ】
        「す、すいません。」
        「私の勘違いでした・・・。」

    【サダッチ】
        「まぁ、何を勘違いしたかは、聞かないことにするわ。」

    【ターニャ】
        「ぅぅぅぅパパのカレー」

    涙目のターニャに
    【セッちゃん】
        「ぇっ!?」

    【ナナ】
        「ターニャちゃん、ゴメンっ!!」
        「本当にごめんなさいっ!」

    【セッちゃん】
        「ぁーーー、アレを投げちゃったのね。」
    やはり新しく入れる羽目になったわね。

    【セッちゃん】
        「ターニャちゃん、キッチンに行こっ。」
        「入れなおしてあげるから。」

    【ターニャ】
        「ぅん。」

    ターニャの手をひいて、セッちゃんが新しいカレーを取りに行った。

    【ナターシャ
        「ふんっ!! バカバカしい」



    翌日になった。

    東郷のクラス

    【みさ】
        「東郷先生は自宅療養中なので、本日は私が担当します。」

    【みさ】
        「昨日のシミュレーター訓練はよくやったわ。」
        「おかけで、添下に一勝ですわ。」

    【おみくじ】
        「ありゃ、みさ先生たちが、3人でやっつけたようなものじゃない。」

    【みさ】
        「でも、勝ち方はわかったでしょ ?」
        「今までは、自分たちがフネの動かし方はこうあるべきと、どこかに勝手に思い込んでいたりしていませんでしたか ?」


    【みさ】
        「辻さんは、今回の戦いはどんな感想だったかな ?」

    【ノブちゃん】
        「うーーーん・・・。」
        「なんか今までと、思っていたのとちょと違う感じ」

    【みさ】
        「岡本さんは、どうだったかな ?」

    【オカちゃん】
        「正直、ビックリしました。」
        「フネがあんな風に動かせるとは思ってもいませんでした。」

    【みさ】
        「そうね。」
        「宇宙だから出来る戦術ですが、まちがっても大気内でやっちゃダメですよ。」
        「フネがバラバラになってしまいますからね♪」
        「昨日の戦闘データはザーハーにアップされていますから、お昼の休憩時間や放課後を利用して研究してもいいわよ。」

    【みさ】
        「さて、本日の授業ですが、宇宙艦の武装について学びましょう。」


    【みさ】
        「武器には大きい分類として2種類のカテゴリーに分けられます。」
        「ブリジットさん、判りますか ?」

    【ブリジット】
        「熱光学系と実体系ですか ?」

    【みさ】
        「そうですね。」
        「この辺の最低限の知識は、はみなさんの脳内ストレージに入ってるとは思いますが、使用 Tips については共有データベースで得られても、やってみないとイマイチ、ピンとこないとは思います。」

    【バネット】
        「しかし、シミュレーターを使用すれば、ある程度の運用経験は得られると思いますが ?」

    【みさ】
        「ええ、そうね。」

    【みさ】
        「では、昨日のシミュレーター訓練で使用した武器はなにかしら ?」

    脳内ストレージに記録されている動画を瞬時に検索してみた。
    【バネット】
        「ぁっ!?」

    【みさ】
        「何か気づいたの ?」

    【バネット】
        「実体系の武器が無かった。」

    【みさ】
        「そうね。」

    【みさ】
        「まぁ、魚雷やドローンは使用しましたが、実体系の投射火器は登場しませんでした。」

    生徒たちは、脳内ストレージ記録されているシミュレーターで使用可能な武器リストを検索し直してみた。

    【ブリジット】
        「本当ですね。」
        「無い・・・ですね。」

    【レオンハルト
        「何か意味があるのでしょうか ?」
        「シミュレーターで使用する駆逐艦が第三世代型とはいえ、実艦ではすでに改修されて実戦配備されているのですよね ?」(※1)

    【みさ】
        「ぇえ・・・。」

    【みさ】
        「シミュレーターの武器リストに掲載されていない理由は、すごく単純な理由によるものよ。」
        「アトランティス艦隊は、まだ実体系兵器による実戦経験がないのよ。」
        「戦闘データのないものは、シミューレーターのデータにも反映できない・・・と言う話よ。」

    【みさ】
        「ただ、だからと言って、手をこまねいている訳にもいききませんから、我が学園が専用のデータを開発しました。」
        「アトランティス艦隊に納入している企業の協力を得て、射場でのデータを入手し、それをシミュレーターに組み込めるように手配しているところよ」
        「実戦データではないけれど、試射のデータは各メーカーが持っているはずなので、お願いしたら、あっさりとくれたわ。」

    【フクちゃん】
        「アトランティス軍からすれば時代遅れの兵器とは言え、地球軍にとっては最先端の武器ですよ。」
        「よく、あっさり OK が出ましたね。」

    【みさ】
        「まぁ、お願いするとき、ちょっと、こう胸元をチラっとすれば、一発よ♪」
        「オトコって馬鹿だから、おほほほ・・・。」
    と言いながら、胸元の大きく開いたブラウスをチラチラしてみせた。

    【全員】
        嗚呼、お父さんが心配するのは当然か・・・。

    【みさ】
        「さて、シミュレーターのデータベースを更新したとしても、ウチのサーバーだけにオーバーライド(※2)されるものだから、他校との訓練では使用しないでね。 対戦側のサーバーにデータがないのでエクセプション(※3)吐いて落ちるから。」

    【まっちゃん】
        「どんな装備がアップされる予定なのですか ?」

    【みさ】
        「あら、兵器オタクの伊集院さん、気になるの ?」

    【まっちゃん】
        「ぇっ!?  ぇぇ、福田くんよりは・・・その・・・。」
    彼よりはマシだと思うわ・・・と言いかけて止めた。

    【みさ】
        「そうねぇ」
        「知っての通り、実体系でも、さらに種類が存在するのは判りますよね ?」

    【まっちゃん】
        「火薬系と、電磁系」

    【みさ】
        「そうよ」
        「たとえば、ヤマト・インダストリーズ社が製造している35cm連装電磁砲とかは、電磁力による加速器を使用して弾頭を撃ち出しますが、現用水上艦艇でも主力で採用されているアットー・メララ社の250mm単装近接速射砲は従来方式の火薬を使用しています。」

    【みさ】
        「これらの種類の異る火器を同時に配備する理由はご存知 ?」

    【まっちゃん】
        「例えば、電磁系は熱光学系よりマシとはいえ、かなりの電力を必要としますが、火薬系は砲塔と関連するシステムさえ最低限の電力があれば稼働はできる。 ようするに、リスク軽減ではないでしょうか ?」

    【みさ】
        「そうね。」
        「他にも明確な違いがあります。」
        「脳内ストレージに動画を資料動画をダウンロードしてみてください。」

    ナノリンクにより、みさから動画のアップロード先のアドレスが転送されてきた。

    生徒たちはそのリンクをたどってサーバー上の動画をダウンロートする。
    ただちに自動的に脳内アプリのワクチンが動画をチェックし、ウィルスの混入が認められないと通知してくると、生徒たちは脳内でそれらの動画を再生してみる。

    正確には再生というよりは、記憶として焼かれる。
    なので数秒の動画であっても、数時間の動画であっても、脳内に展開された時点で、再生されたイメージはすでに観た映像として記憶される。

    【みさ】
        「発射速度が違うでしょ ?」
        「火薬系の爆発力を利用した弾頭はその速度に限界があります。」
        「その一方で電磁系は遥かに高い速度で弾頭を打ち出すことが可能です。」
        「しかし、その速度に適した弾頭というものがあり、使用目的が異なったりします。」

    【バネット】
        「ぁ、」
    バネットが弾頭の違いに気がついた。

    【みさ】
        「何か ?」

    【バネット】
        「電磁系は、初速が高速なので、Heat系の弾頭は使えません。」
        「なので、原則として徹甲弾が主な弾頭となり、その高速性を活かした運動エネルギーで目標を破壊します。」

    【みさ】
        「そうね、対して火薬系は?」

    【レオンハルト
        「火薬系は、初速は遅くてもHeat弾を使用すればモンロー/ノイマン効果のメタルジェットによる穿孔力で目標を破壊します。」

    【みさ】
        「大雑把にはそのとおりね。」
        「あとはメンテ性とコストの問題ね。」
        「なにしろ地球軍現用装備品である火薬系武装のコストはかなり安いですから。」

    【フクちゃん】
        「そのうち減速弾頭が実用化すれば、電磁系でもHeat弾は撃てるようになりますよ。」

    【みさ】
        「あら、その情報はどこから ?」
        「まだテスト段階の兵器よ。」
        「またどっかのサーバーにダイブしたのね。」

    【フクちゃん】
        「ぁ、いや、ちょっと・・・、別に覗こうと思って覗き見した訳でなくて・・・。」

    【みさ】
        「まぁ、いいわ」
        「あなたは、いろいろと開発に協力してもらっていますから、多少のことは多めに見ますが、守秘義務だけは忘れないでね」

    【フクちゃん】
        「はぃ、判っています。」


    【みさ】
        「余談はさておき、実際の戦闘では目的に合わせた陣形と火力を使用します。」

    【みさ】
        「まず今回は短距離での艦隊戦を実施しましたが、現在の銀河間の艦隊戦では、熱光学兵器を使用しても、着弾に必要な時間は数分から数十分と言うレンジで戦います」
        「場合によっては牽制のために光速で数時間の長距離からの砲撃も実施します。」

        「しかし、距離が詰まってくると今回のように通常の電磁系や光学系のセンサーで目標を捉えられる距離で戦うようになってきます。」
        「こうなってくると、熱光学兵器はまずは的を外す事はありません。 撃てばかならず命中します。」
        「この場合の対処としては、基本的に シールド・・・要するに人工電子結界で熱光学兵器から防御する事です。」
        「人工電子結界は、ナノマシンにより構成されます。」
        「まぁ正確には、ナノマシンによって生成される防護壁によってエネルギーが拡散される・・・と表現した方が良いのかしら。」
        「相手の熱光学兵器もこのナノマシンが生成するシールドを突破する為に、絶えずエネルギーの波長や密度を断続的に変化させてきます。」
        「このエネルギーを中和してエネルギーを無力化するには膨大な演算能力を必要としますが、ある種の法則とかリズムみたいなのが判ると演算に使うパワーが少なくてすみます。」
        「このノウハウは、各艦によって秘伝とされており、高度な機密扱いになっているわ。」
        「そのためシールド担当する者は他の艦に負けないように猛烈にしのぎを削るそうよ。」

    【バネット】
        「もし、シールドが故障したり、被弾して破壊された場合は対処はあるのですか ?」

    【みさ】
        「各艦にはナノマシンを使用する人工電子結界の他にも、物理的なダメージから守る装甲が施されています。」
        「最終的には堅牢な物理防御で守りを固める訳ですが、それでもエネルギー系に対しては、弱い部分があります。」
        「そこで熱エネルギー転換装甲というものが考えだされました。」


    各自の脳内ストレージに、熱エネルギー転換装甲の図解と、実際の実装例がダウンロードされ、瞬時に知識として記憶されていく。

    【なるみ】
        「ぁ、動画に記録されている艦は、瑞鳳級の空母シャングリ・ラですね、その向こうは姉妹艦のボーグ ?」
        「もうアメリカ艦隊に実戦配備されていると噂を聞いたわ。」

    【みさ】
        「これは約2年前の艤装工事の模様よ」

    動画の再生モードをクラスの全生徒に同期させ、みさが再生してゆく。


    【みさ】
        「これは装甲を艤装する模様を現場責任者が記録用として脳内ストレージに保存したものです。」
        「まず、外側に位置するのが熱エネルギー転換装甲で、その内側がモジュールです。」
        「見ての通り、外側の装甲と内側のモジュールとの間には、約2mの空間が開けられています。」
        「アルビータさん、理由は判りますか ?」

    【アルビータ】
        「魚雷の貫通を阻止して核爆発を拡散させ、内部モジュールへのダメージを軽減する為です。」

    【みさ】
        「そうですね。」
        「この空間は大変重要で、外部装甲にはこの空間に通じるダクトが設けられています。」
        「核爆発の威力はこのダクトから宇宙空間に放出することで減免します。」
        「ダクトは普段は薄い軽合金によりフタをされており、内側からの爆風により外れるようになっています。」
        「しかし、外部からの攻撃にも弱い部分でもあり、艦隊戦では、このダクトからオロチ人の侵入を許し内部に侵入して破壊活動を許すリスクもあります。」
        「このため宇宙用陸戦は、オロチ人から艦を守るのが任務のひとつとなります。」

    【みさ】
        「そして、」
        「この熱エネルギー転換装甲の断面を見て下さい。」

    動画のチャプターが飛ばされ、熱エネルギー転換装甲の製造画面に進んだ。


    【みさ】
        「熱エネルギー転換装甲は、ご存知の通り、エネルギー弾の直撃を受けるとその熱を熱交換器で放熱し冷却する事で破壊から守ります。」
        「放熱する際、物質中に熱が伝わる際に発生するゼーベック効果で得られる電力は回生システムにまわされ、装甲の冷却に使用します。」
        「ただこの装甲システムは万能ではなく、放熱が間に合わなくなると、物理的に損壊してダメージを受けてしまいます。」
        「シミュレターで東郷教官が艦を回転させていたのは、一点に火力が集中して、装甲が破壊してしまうのを防止する為に、被弾箇所を分散させていたのよ。」
        「そうする事で被弾箇所が冷却されて防弾機能を回復することが出来るって訳よ。」

    【みさ】
        「そしてこの装甲の厚さは4m。」
        「物理的な攻撃にも耐えるようにも設計されているわ。」
        「そして、装甲内部には50cmの水密区画か設置されています。」
        「本来の水上艦艇の水密区画と言うのは、水が侵入できない密閉空間を意味しますが、宇宙艦では水を密閉しています。」

    【アルビータ】
        「宇宙放射線対策ですか ?」

    【みさ】
        「そのとおりよ。」
        「さまざまな種類の宇宙放射線から防御する為に、各重要モジュールにはコーティングが施されていますが」
        「一番原始的で安上がりな方法として水で放射線を防御しています。」
        「と言っても実際は水ではなく氷りついてますけれど・・・。」


    さらに装甲の外側から細部を拡大する映像に切り替わった。

    【みさ】
        「この水密区画も、外部に抜けるダクトが設けられており、軽合金のフタで閉じられています。」
        「対魚雷用の爆発減免空間と同様の機能が与えられています。」
        「エネルギー弾が装甲を貫通した場合、猛烈な熱により氷が沸騰して急激に体積が膨張します。」
        「なので、このダクトから水蒸気となった水を逃し、ダメージが装甲全体に及ぶのを防止しているわ。」
        「さらに水蒸気は周囲に拡散することでビーム着弾の衝撃を拡散する役目もはたします。」



    【みさ】
        「これらの防御の特性を考慮した上で、皆さんは、特に将来、艦隊運用を担う方は注意してフネを動かして下さい。」
        「シミューレーターで教官が見せた機動には意味がありますので、よく復習しておくように。」
        「いいわね ?」

    【バネット】
        「敵もこの様な防御形態をとっているのですか ?」

    【みさ】
        「ぅーーん。」
        「回収された敵艦の残骸からは、私たちのような防御構造を持った艦の存在は報告されていないわ。」
        「ダイダロス艦にも同様で、どうやら私達の艦だけの特徴のようです。」

    【みさ】
        「我がアトランティスは、武器システムのテクノロジーは残念ながらアンドロメダ陣営に遥かに劣っています。」
        「地球製投射兵器は有効な攻撃アイテムですが、この欠点は弾着までかなり時間を有すると言う致命的な欠点を持ちます。」
        「この欠点を補うには交戦レンジを詰め、宇宙艦同士の近接格闘戦に持ち込む必要があり、必然的に防御が強化された・・・って感じですね。」


    【フクちゃん】
        「ですが、伊勢と日向は戦艦であり、装甲は動画のものよりかなり強化されている筈ですが。」

    【みさ】
        「そうね。」
        「まだ安否は不明ですが、通信が切れる直前までに受けた魚雷は、伊勢と日向にそれぞれ11本と13本の直撃を受けていたそうですが、それでも耐えていたそうよ。」
        「直掩の島風は日向に向かった5本の魚雷を身代わりに受けて沈んだらしいわ。」

    【サッチ】
        「乗員たちは無事かしら。」

    【みさ】
        「みんなで無事である事を祈りましょう。」

    【みさ】
        「実体系の武装データとパッチプログラムは次回の授業までにはサーバーへオーバーライドされてる筈ですから、実際にシミュレーターで射撃してみます。」
        「両者の特性の違いを感覚で覚えるのよ。」
        「いい ?」

    【みさ】
        「では、本科目はこれで終了します。」





    【サッチ】
        「ナナっ!」

    教室を出ようとしたナナに声を掛けた。

    【ナナ】
        「なに ?」

    【サッチ】
        「お昼休みに陸戦の新型機を見に行かない ?」

    【ナナ】
        「なにそれ ?」

    【サッチ】
        「今朝、フランスの新型を積んだトラックが裏門から入ってきたらしいの。」

    【ナナ】
        「興味ないわ。」

    【サダッチ】
        「フランスってことは、エアースペシャル社かしら ?」
        「なんだか大使館の公用車やフランス軍特殊部隊の警護までついていたそうよ。」

    【サッチ】
        「そうそう、エアースペシャル社といえば、お父様がCEOをされているので、フランシーヌの機体かしら ?」
        「どんな機体なのかしらねぇ。」
        「対戦してみたいなぁ。」

    【ナナ】
        「そうかもしれないわね。」
        「ぁ、ごめんね、今日、給食当番になっているから、今からお昼を取りに行くの。」
        「それからね。」

    この学園は資金が潤沢にあるわけでもなく、食堂整備にまで設備投資が出来なかった。
    訓練生とはいえ、軍には属しているので、学生身分でありながら給料は支給されている。
    この辺は日本軍の術科学校や防衛大学と同じだ。
    ただやはりまだまだ子供である学生に好きに食堂のメニューや外食を選択させるには栄養面で偏りが心配されるとかで、そのへんを考慮して日本を参考に、学校給食のシステムが導入された。

    【ヒデコ】
        「ぉぃ、メガネブタっ」

    【フクちゃん】
        「なに? ヒデちゃん。」

    フクちゃんの返事にイラっとしたヒデコがフクちゃんの足を思い切り踏んだ。
    【ヒデコ】
        「いつまでも、昔の呼び方すんじゃないよっ! 」
        「そのプリン、よこしな」

    学校給食では、必ずデザートが付いて来るもので、生徒たちは給食の中でも特にこのデザートを楽しみにしている。
    いつも言いなりのフクちゃんは黙ってヒデコにプリンを差し出した。

    まぁこの程度は問題はどこの学校でもよくある話だ。

    見かねたナナが
    【ナナ】
        「私のプリンでよければ・・・。」

    【フクちゃん】
        「大丈夫、ボクはヒデちゃんが望むことをしてあげただけ。」

    【ヒデコ】
        「ナナったら、こんなヘナチョコを相手にしちゃダメだよ。」

    【ナナ】
        「ヒデったら、あんまりフクちゃんいじめちゃ可哀想よ。」

    【ヒデコ】
        「いいのよ。」

    【サッチ】
        「ねぇねぇ、それより、フランスの新型について何かしらない ?」

    【フクちゃん】
        「なんでボクに聞くのですか ?」

    【サッチ】
        「そりゃ、だってメカ関係は一番情報早そうだし。」

    【フクちゃん】
        「仮に知っていたとしても、あの機体についてはお教え出来ません。」

    【サダッチ】
        「どうして ?」
        「ケチだねぇ。」

    【ナナ】
        「こらっ」
        「食事中騒がないのっ!」

    【サダッチ】
        「なんでよぉー。」
        「みんな興味あるよねぇー?」

    そこへフランシーヌがスックと机の上に立ち上がった。

    【フランシーヌ】
        「あら、みなさん、私の愛機の噂をされているのかしら ?」

    【サダッチ】
        「やっぱり、あなたの機体なのね。」

    【サダッチ】
        「ねーねー、どんなの ? お昼休み見に行っていい ?」


    【ナナ】
        「危ないから机から降りなさい。」

    勢いで登ったのはいいが、さすがに降りる時は足をガクガクさせながらだった・・・。
    【フランシーヌ】
        「うん、いいわよ。」
        「わたしのパパが作った最新鋭の機体を見せてあげるわっ!」

        「でも、コッソリ日本に持ち込んだ機体だから他には内緒よ♪」


    【サッチ】
        「それって密輸じゃないの ?」

    【フランシーヌ】
        「大丈夫、黙っていれば誰にもわからないわ。」

    【クラス全員】
        いや、もう皆知ってるし・・・。



    昼休み、地下格納庫に向かうと、武装したフランス軍特殊部隊が警護しているコンテナがあった。

    【フランス軍特殊部隊:A】
        「ここから先は、関係者以外は立入禁止です。」
    とフランス語で警告を発したが、通じるわけがなかった・・・。


    すでに給食を終えていた駆けつけていたフランシーヌが声を掛けてくれた。

    【フランシーヌ】
        「彼女たちは大丈夫よ、通してあげていいわ。」
    フランス軍特殊部隊の隊員は、敬礼して無言で後に引いた。



    【サダッチ】
        「機体は ?」

    【シャルロット】
        「まだコンテナの中よ。」
        「コンテナを開梱するには、フランシーヌのIDパスが必要なのよ」

    【フランシーヌ】
        「今、エアースペシャルのサーバーにアクセスするわ。」
        「ちょっとまって。」
    ナノ・リンクを経由して、エアースペシャル社の軍用サーバーにダイブする。
    自分専用のパスとコードを脳内で入力して父から教わっていたフォルダにアクセスする。

    【フランシーヌ】
        「コンテナの鍵を見つけた♪」
        「ダウンロードするわ」

    ダウンロードした鍵は圧縮された上に暗号化されているので、それを解凍する必要があった。
    フランシーヌは脳内ストレージで解凍作業を行い鍵を入手すると、コンテナに手をかざした。
    するとナノマシンで構成された赤く輝くサークルが展開され、コンテナに干渉を始める。
    ナノマシンがコンテナをロックしている機構に干渉し始めるとコンテナ自身も赤く輝きだした。
    それはさながら、魔術を使って箱の封印を解くように見える。
    コンテナをロックしている機構からパスコードの入力を求められ、すばやく脳内で処理していく。
    やがて、コンテナは輝きを失い元の状態に戻った。

    【フランシーヌ】
        「開くわ。」

    みんな、脳内ストレージに動画を保存しようとする。

    【シャルロット】
        「保存しちゃ、ダメよっ!!」
        「秘密なんだから」

    【サダッチ】
        「どうしてよー。」
        「ケチっ」
        「減るもんじゃないのに」


    【フランシーヌ】
        「・・・まっ、いいわ許可しましょう。」
        「あなた達を信用します。」
        「私も謹慎期間中で偉そうな態度とれないし・・・。」

    気密されていたのか、プシューと空気が入る音がした。
    コンテナが花開くようにゆっくりと開放されてゆく。

    拘束フレームに一列に並んで固定された4体と、そして真ん中には特別に小柄な1体の陸戦がフランスらしい流麗なフォルムを現した。

    【フランシーヌ】
        「お父様の会社、エアースペシャルがフランスの総力を結集して開発した最新鋭AMP(先進型機動甲冑:陸戦)」
        「Type-715 ユーロファイアー よ。」
        「そして真ん中は、私の機体 Type-714 ユーロドローン」

    【サッチ】
        「美しいデザインね。」

    【アルフォンス】
        「デザインだけでなく、ハヤブサ比で、出力は30%増しになっているんたぜ。」

    【マリ】
        「そして、設計段階から宇宙戦闘を前提としており、開発中のマニューバー・パックの装着も考慮されているわ。」

    【サダッチ】
        「真ん中のだけ小さいね。」

    【フクちゃん】
        「ドローンって名前からして、無人機 ?」

    【フランシーヌ】
        「元、無人機よ。」
        「ゼロと同じね」

    【フランシーヌ】
        「でも、機体を制御するパイロットAIがまだイケてないから、その学習の為に、一時的に有人機にでっちあげたのよ。」
        「で、私がそのAIの教育係になったってワケよ。」

    【シャルロット】
        「機体サイズがちょうどフランシーヌにピッタシだっしね。」

    【フランシーヌ】
        「なによっ! それって私が小さいって事を言いたい訳っ!!」

    【シャルロット】
        「えっ!?」

    すっとぼけた。
    が・・・シャルロットの話は本当だった。

    【トミちゃん】
        「いつ、コイツと模擬戦できるの ?」

    【フランシーヌ】
        「それは、無理よ。」
        「会社から許可は下りていないわ。」

    【トミちゃん】
        「ケチくさいなー。」
        「せっかく楽しみにココ(格納庫)まで降りてきたのに。」

    【ジャンヌ】
        「仕方ありません。」
        「諸外国は、プロトタイプがロールアウトしている事はまだ知らないのよ。」
        「なので模擬戦だなんてとんでもないっす。」

    【フランシーヌ】
        「まぁ私としても戦闘データの蓄積は必要なので、お父様には早く模擬戦の許可を貰えるように頼んでみるわ。」
        「それまでは私達も模擬戦の実習はいつもとおりハヤブサを使うことになるわ。」
        「・・・といいますか、私は謹慎中で陸戦搭乗免許が停止中なので、解除されてからになりますけどね。」


    【レオンハルト
        「あらそれは残念ね。」
        「しかし、謹慎が解ける頃には、私達にも本国から新型が届くと聞いてるわ。」
        「その時はお手合わせ願いたいわね。」

    【フランシーヌ】
        「いいわ。」
        「私の華麗なテクニックをお見せしますわよ。」

    昼休み終わりのチャイムがなり、生徒たちは教室に戻っていった。


        (※1)第三世代型・・・
                アトランティス艦隊がアンドロメダ陣営に属していた時代、ダイダロス星系(天の川銀河)
                に派遣された当時の艦艇世代をさす。
                現在はかなり老朽化しており、一部の装備をリサイクルする事で戦力を維持していたが
                損耗する装備が増大した事で、地球製の投射型兵器を搭載するようになっていった。

        (※2)オーバーライド・・・ソフトウェアのもともとある機能を別の機能に上書きする事をさす。
                使い方は従来通りだが、本来の機能より強化されたり新しい機能が追加されていたりする。

        (※2)エクセプション・・・例外エラーを指す。
                通常、システムをプログラミングする際は、エラーが発生することを考慮した設計をし、
                エラーが発生しても、何らかの対応を組み込むが、費用対効果の関係上、必ずしも
                その対応がされているとは限らず、稀に、予想だにしないところでエラーを起こして
                プログラムが停止してしまう事がある。
                これをエクセプション・エラーと呼んでいる。

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