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アトランティスの亡霊

Ghost of Atlantis

【1-1-1】女生徒との夢の共同生活?

 女生徒との夢の共同生活?

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 原作イラスト提供 きゅーぶ先生

 

 

    大阪阿倍野にある超高層ビル"ハルカカナタ"の一室

    【東郷】
        私は東郷、東郷ゆうき。
        自分はIT企業のさえないサラリーマンとして日々を過ごしている。
        会社では毎日先輩たちのいわゆるパワハラと言うものを受けている。
        今日も暴言や無理難題の作業を押し付けられなんだか憂鬱な気分だ。

        この地球は太古から別の古代文明と交流をもっており、それが今も続いている。
        この会社はある巨大IT企業の子会社・・・と言う事になっているが、
        ・・・にしても会社としてはその有名企業の関連とは思えない程度の低さだ。

        で、親会社はその古代から続く文明と関係する組織とやらが計画中のプロジェクトを巡っての受注競争を目下展開中で、
        この会社はその親会社が丸投げしてきた競争試作の制作を行っている。
        私もこの会社でそのプロジェクトの一員に加わっているのだが、
        このリーダーがヘボイせいで設計変更につぐ変更でもうグダグダ。
        その責任が自分に降りかかってくるのだ。

    窓から見える雨の降る大阪湾の景色は気分のせいかどんよりと灰色に見えた。
    【東郷】
        また連絡なしの設計変更か。
        いい加減にしてほしいぜ。
        これで何度目だろうな。
        数えるのはとうの前に諦めた。
        いつものタバコ会議で決定するパターンだ。
        親会社では喫煙行為は健康増進のため喫煙者は解雇の対象となるが、この会社には浸透していないようだ。
        やれやれ。
        タバコ会議で決定した事項をこちらに連絡をよこさなかった者の責任は問われず、仕様を反映しなかった私に
        責任が降りかかってくる。 これもいつものパターンだ。

    【東郷】
        「スイマセン。」
    頭を下げてボソっと謝る。
    使えないやつと罵倒される。
    唇を噛みしめた。
    お昼休憩返上で対応をおこなう。

    そんな春のある日のいつもの残業の中、突然会社の社長が物々しい軍関係者とおぼしきお客さんをつれて開発室に入ってきた。
    どうやら、親会社の役員と、発注元である噂の古代文明の組織の者であろう。
    私は多忙なので気に留めずに作業するが、他のメンバーはご機嫌を取りにさっそく接客へ向かった。

    しかし、どうやら彼らの目的は "私" のようだった。
    社長が室内を見回し部屋の隅に追いやられたようなスペースにいる私を見つけて近寄って来た。
    私に話しかけた。

    【松本社長】
        「どうですか?」
        「お仕事のほうは順調ですか?」

    私は返事をしなかった。
    【東郷】
        ・・・。

    代わりにメンバーが向こうの方から応える。

    【会社先輩A】
        「ソイツダメダメですよ。」
        「いつもヘマばかりで使えやしない。」

    他のメンバーも賛同する。

    【会社先輩B】
        「いつも足を引っ張るんですよ。」
        「そんなヤツ迷惑だから早くクビにしてしまってください。」



    そんな周囲のヤツらを無視するというか、存在しないかのように気を留めることもなく
    親会社の役員が私に話しかけてきた。
    【桂昌院翼】
        「"会長"、技術力の査定のためとは言え、なにもこんな現場の隅のほうで自ら作業する必要はないのでは?」

    【会社先輩A,B】
        えっ?会長?何のこと?
    とキョトンとする社員一同。

    すると社長は
    【松本社長】
        「会長がこちらの開発ルームに籍を作ってほしいというものですから、場所を用意して差し上げたのですが如何でしたか?」
        「なにか思っていたよりも隅っこで狭そうですが・・・。」
        「ウチの社員はうまくやってるでしょうか?」

    ようやく私は口をひらいた。
    【東郷】
        「会いに来た目的は、私の "無能な" 仕事ぶりを冷やかしに来たのではなく、何か緊急な要件でも?」

    【松本社長】
        「ぁ、失礼いたしました。」
        「そうなんです。」
        「実は本社や王室の方から早急に連絡を取りたいとの話がありまして。」
        「電話もつながらないし、端末にメールしてもリジェクトされて届いていないようで、
            大変お困りのようでしたので直接私がご案内さしあげたのです。」

    するとその王室と思われる人は
    握手をもとめてきた。
    【ヨシフ】
        「東郷さま、お久しぶりです。」

    見覚えのある顔だった。
    【東郷】
        「ぉおー!」
        「お元気そうで。」
        「わざわざ何しに来たんだ ???」
    握手を返す。

    【ヨシフ】
        「閣下には御社CEOと言う重要な役職を担われている事はご存じなのですが、緊急事態につき、原隊復帰をお願いしたく。」
        「階級は除隊時の中佐から昇進し大佐となります。」

    ここまでの会話で社員一同は青ざめる事となった。
    "会長" って、親会社のCEOであり、かつて対馬戦争で凄腕ハッカーとしてたった一人で敵対国のサーバーに侵入して敵を大混乱に陥れたあの人 ?
    ようやくパワハラしていた相手の正体に気がついたようだった。

    まぁ私としては、そんな馬鹿な社員どもなどどうでもよいのだが、そんなことより
    【東郷】
        「断れないのか?」

    ちょっと苦笑いしつつ
    【ヨシフ】
        「はい、申し訳ございません。」
        「あの人のご指示ですから。」

    【東郷】
        「あの人かぁ・・・ふぅ・・・。」
        ほとんど命令みたいなものだな。
    ため息をついた。

    やれやれ・・・といった雰囲気だったが、
    はたと気が付き、
    【東郷】
        「そらそうと、わざわざこんなゴミだめにまで会いにくるような緊急事態とはなに?」

    黒服のスーツをエレガントに着こなした女性が無表情で答える。
    黒縁のメガネで一見、超真面目そうで私の苦手なタイプだ。
    【桂昌院翼】
        「天の川銀河外延のダイダロス守備隊が敗走したそうです。」
        「アンドロメダが攻勢を強め、天の川銀河外延部の基幹艦隊が各個撃破されています。」
        「すでに6個基幹艦隊を失いセクターを維持できない状況に陥っています。」
        「現在パージル星系方面での最終守備隊が敵艦隊の猛攻を受けているとの報告があり、救援を差し向けましたが
            おそらくダメでしょう・・・。」
        「ダイダロスは艦隊を再編する為に戦線を後退させる方針を決定し、
            この太陽系を含んだセクターも一時放棄されることとなり退避勧告が出されました。」

    ヨシフは再会ムードから一転して険しい表情になった。
    左目を戦闘で失い、いかにも歴戦の勇者って感じで表情から事態の深刻さが伝わってくる。
    【ヨシフ】
        「ダイダロス評議会からは安全が保証できないので速やかに太陽系から撤退するようにとの連絡を受けています。」
        「ただしこの勧告には地球市民は含まれていません。」
        「ですが、
            わが帝国残党軍としては地球市民を残したまま撤退する事は人道的見地から到底受け入れられない事を申し上げ、
            太陽系に残ることとなりました。」
        「これによりダイダロスによるわが帝国残党への軍事支援は困難な状況となり、アンドロメダに対しては、わが帝国残党のみで
            対処する必要に迫られました。」

    【ヨシフ】
        「わが帝国残党は、すべての部隊を戦時体制に移行し、警戒強化に乗り出しましたが、兵力が圧倒的に不足しており深刻な状態です。」
        「そこで、迅速な将校の育成と補充をお願いしたく閣下にお願いにあがった次第です。」
        「ご協力いただけますか?」

    【東郷】
        「しかし・・・会社はどうする。」

    すると会社役員は
    メガネに片方の手を添えながら、
    手もとの資料をささっと確認し、
    【桂昌院翼】
        「会長、会社のほうは大丈夫です。」
        「わたくしにおまかせくださいませ。」
        「会長が依頼した開発の5割までがすでに完了しており、残りも納期には間に合うでしょう。」
        「ただ、懸念事項として "ここの会社" に依頼したプロジェクトに関しては遅延しており再編が必要だと思われます。」

    【東郷】
        「う~ん・・・判った。」
        「会社は翼君に任せるよ。」
        「松本さん、君の会社の私が所属していたチームは解散だ。」
        「お聞きの通り、わが社が依頼したプロジェクトが遅延している原因は、私ではなくチーム全員のスキル不足だ。」
        「深刻なほど実力が低すぎる。」

        「メンバー全員解雇でよろしい。」

    【松本社長】
        「解雇 ? ですか?」

    【桂昌院翼】
        「親会社からの命令と受けとってください。」

    【東郷】
        「早急にメンバーを手当てして再編してください。」
        「必要とあれば、本社から応援を寄こしてもかまいません。」
        「いいですね。」

    【松本社長】
        「判りました。そのように手配いたします。」

    こうして、私はさっくりとITの仕事を放り投げて、畿央の大和盆地にある田舎の王立学校に転勤してきた。
    放り投げると言うのは言いすぎたな。

    まぁ "あの部署" は最初からなにかと不具合を多く出していた。
    原因をその会社に報告させたが、新人や外注のスキルが低いとか報告するものだから、その都度
    社員なら配置を変えさせ、外注なら契約を打ち切って、対策をとらせみたのだが、開発したシステムの
    品質が一向に改善しないので、私が直接現場に乗り込んで確かめてみたってわけ。

    そしたら、社内の先輩エンジニアがダメダメで、その責任を無関係な人に押し付けていたってわけだ。
    そら、いくら配置転換させたり契約を打ち切ったところで、諸悪の根源がまるまる残っていたんでは
    改善できるわけがない。 ・・・と言う事が判った・・・。

    だいたいの状況が把握できたとたんに軍からの復帰命令だ。

    さて、とういうことで私は軍に復帰することとなった。
    もちろん、CEOである事は内緒だ。
    【東郷】
        あれは、しばらく休業だ。
        そもそも会社ってCEOいなくても社長がいるから動くし、翼嬢は優秀だからなんとかきりもりしてくれるだろう。


    大阪都のマンションから、王宮が管理する畿央のアパートに引っ越してきたのはいいのだが、
    【東郷】
        王立の学校なのに、いまどき、文化アパートとはねぇ・・・。

    そもそも その "日本国" でさえほとんど見かけなくなって、アニメの主人公たちが住む程度しかしらない。
    その典型的なアパートが今初めて目の前に佇む。

    呼び鈴を探してみたが・・・見つけられなかった。
    しかたなく、引き戸をあけてみる。
    【東郷】
        開いた?
        鍵かけていないのか?
   
    近所に迷惑にならないように、少し小声で
    【東郷】
        「ごめんください・・・。」
        だれもいないのか?
        まぁここではお約束の美少女が裸当然で出来たりするものだが、まぁ世の中そんなに甘くはないわな。

    まぁアパートの名前はあってるので、間違いはないようだ。
    鍵がかかっていないのは、きっといろいろと出入りが多いからだ。
    まっ、とりあえず、玄関から廊下に上がって、自分の部屋を探すことにした。
    【東郷】
        さて、私の部屋は、101・・・。
        ここか。 鍵、鍵と・・・。
        あれ、あいてる ???
        まぁいいか・・・。

    あいてる理由を気にすればよかったのだが・・・たいていの場合は気にならないものである。

    ドアを開けると着替え中の美少女が。

    【東郷】
        「ぁ、」

    人の気配を感じで振り向いた女の子は
    【ナナ】
        「キャ~!!!    ちかん、変態ぃぃ!!」

    顔面に回し蹴りがヒットして廊下に叩き出される。

    【東郷】
        「すっすいません・・・部屋間違えま・・・ん!?」
        101ぢゃないのか?
        よく見たら104ぢゃないか、文字が欠けてるのかっ!!
        ちっ、引っ越し早々からツイない。
        ぃや、ちょっといいものが見れたのでついてたかも・・・。
        ぃやダメダメこれぢゃただの変態教師となってしまう。


    ほかの住人が走ってきた。

    【サッチ】
        「今の悲鳴どうしたの ?」

    【ナナ】
        「そこのチカンが私の着替えを覗いていたのよっ!!」

    【東郷】
        「い、いや・・・ちょっと待ってくれっ!!」
        「私は今日からこの寮で暮らすことになった・・・。」

    【サッチ】
        「あら、明日から帯締学園に赴任される教官というのは、あなたかしら。」

    【東郷】
        「え、ぇぇまぁ。」

    【ナナ】
        「チカンではないの?」

    【サッチ】
        「聞いてなかったかしら?」
        「明日から新しい教官がお見えになるって話を。」

    【ナナ】
        「そんな話聞いてないわよ。」
        「どうして、この寮に?」

    【サッチ】
        「大阪からココに引っ越ししてこられたのよ。」

    【ナナ】
        「この寮は女子寮の筈よ。」

    【サッチ】
        「ええ、そうね。」
        「ですが、女性に限定されるのは訓練生だけよ。」

    【ナナ】
        「ええっ!!」
        「そうなの?」
        「聞いてないよ!」

    【サッチ】
        「教官、お待ちしておりました。」
        「部屋はこちらになります。」
        「今日は、もう遅いので、挨拶はまた明日でよろしいですね?」

    【東郷】
        どうやら私の部屋は廊下の一番奥のようだ。
        荷物は手荷物だけ。
        引き払ったマンションから追って荷物が届くと思う。
        今日はタオルでもくるんで床で寝るとするか。



    翌朝になった。

    携帯端末のめざましの設定を変更するの忘れた。
    鳴らなかった・・・。


    【東郷】
        時間がないな。
        早く出勤しなければ。
        寮の他の同居人への挨拶は帰ってからにしよう。
    と、学校に向かった。


    さて、この学校は小学校、中学校、高校、生徒が一緒になって勉強している一風変わった教育機関だ。
    まぁこれはナノ技術と言う特殊能力のおかげというわけだ。
    【東郷】
        さて、最初の挨拶が肝心だ。
        生徒にナメられたらそれですべてが決まってしまう。

    チャイムがなって、教室に入る。
    生徒がばらばらにたむろしていて、席について先生の入室を待っている風景には見えない。

    【ナナ】
        「あっ!!」

    という声に目を向けると、

    【ナナ】
        「私の裸を覗いた変態さんだっ!!」

    【東郷】
        !!?
        「君は、あの時の子?」

    【女生徒たち】
        「ぇえ~この人が朝話していた変態野郎?」

    どうやら、私が想像していたよりも高速で噂が伝播していたようだ。
    【東郷】
        「ぁ、あれは別に悪気があって覗いたわけではなく・・・。」
    冷たい視線が突き刺ささり、言葉が続かなくなった。


    ガラの悪い、いわゆる不良系の男子生徒3人が教室を出て行こうとする。
    【ケンジ】
        「ふん、どんなヤツが来るのかと思えばただのオッサンぢゃね~か。」
        「かわいいねえちゃんならたっぷり可愛がってやろうと思ってたのに、おっさんなら授業受ける気しねぇ~や。」

    しかし、それを許すと次からコイツにナメられたままとなとって
    授業に出てもらえなくなってしまう。
    【東郷】
        ぃや、それは困る。
        ぁ別にコイツがどうなろうと私の知ったことではないが、私に任務を与えたあの人の事を考えるとそれは困る・・・。

    仕方なく、行く手を遮り、席に戻れと言ってみた。

    【東郷】
        どけ、となぐられた。
        当然痛かった。

    ほら、いきなり初日から初対面にパンチを放って来るなんて、フツー思う?
    ガッツリいただいちゃいました。

    しかしだ・・・ここでキレたら大人げない。
    【東郷】
        とりあえず笑顔笑顔♪
        初日が肝心だ。

    【ケンジ】
        「おぃおっさん、反撃しねーのか?」
        「体罰禁止だから出来ねーのか? 先公も大変だなぁ。」
        「前の先公なんか、気がおかしくなって、最初の1カ月で病院行きさ。
            このクラスの生徒たちを気味わるがって残り11カ月は担任決まらなかったらしい。」

    【ケンジ】
        「おっさんもすぐ辞めてしまいそーだな。」
        「さっ、どけよ、また殴るぞ。」
    【東郷】
        "も" ?
        ほかにいたんだ・・・辞めた人が・・・。

    【東郷】
        しかし・・・。
        ふん、ガキどもが、私が子会社の馬鹿社員から受けたパワハラの精神的苦痛を考えたらこの程度の反抗なんて可愛いものだ。

    とりあえず、あくまで笑顔で
    【東郷】
        「ああ、殴りたいのなら、好きなだけ殴らせてやるぞ、次の科目はちょうど体育だ。」
        「存分にやれるぞ。」
        「納得したなら席につけ、点呼するぞ。」

    ちっと舌打ちして、
    【ケンジ】
        「まあいい、後でボコボコにしてやる、今言ったセリフあとで後悔させてやるからな。」
    と席に戻っていく。
    【東郷】
        とりあえず、退室は全力で阻止したぞ。
        もしかしたら、われながらいい先生になれるかも。
    と思ってみた。

    クラス中からクスクスと笑いが漏れる。
    【東郷】
        点呼はしたものの応えた者は数名だ・・・。
        ほとんど全員が敵だな。
        生徒を敵と思う私もどうかしてるが・・・。

    【東郷】
        やっぱ先生に向いてないかも。
    と訂正してみた。


    さて、その体育の時間がやってきた。
    体育館は別名屋内バトルフィールドとも呼ばれ、内部は強力な電子結界が張り巡らされる。
    これにより、体育館の中では、実体弾やエネルギー系火器の使用が可能となる。
    【ケンジ】
        「さあ、先公よ、いまからフルボッコにしてやる。 覚悟出来てるんだろうな。」
        「どうした、ビビってんのか?」

    なんだか無駄にやる気満々な様子です。

    【ケンジ】
        「先公のナノマシンの性能を見せてみろや。」

    ケンジがナノマシンを展開してみせた。

    ただちに館内センサーがナノマシンの展開を検知し、
    電子結界を展開させ屋外に被害が出ないよう防災メカニズムを起動させた。
    事故防止のため鋼鉄製の扉はコンピュータによりロックされると、
    入り口には "使用中" の文字が赤く点灯し黄色の回転灯で注意を促す。
    【東郷】
        「ふーん・・・。」
        打撃型の実体系ナノマシンか。

    拳と筋肉にナノマシンを集中させて打撃力を大幅に強化する事で火薬兵器並みの破壊力を生み出す。
    ナノマシン構築の振動により体育館の床の埃が舞い上がる。

    【ケンジ】
        「おぃどうした "せんせ" 、ビビツてナノマシン展開できねーんじゃねーのか? ぇっ?」
        「ナノインジケータのレベルがゼロのままピクリとも動かねーじゃねーか。」
    ナノマシンの出力をさぐると、その情報は直接脳にアップロードされる。
    SFヒーローロボットや、アンドロイドのように視覚情報の上にアイコンやダイアログの画面を表示させるような時代遅れのものではない。
    直接脳に "記憶" として書き込まれるのだ。
    "目で見て" 情報を読み取るという行為から解放される画期的な技術である。


    クラス委員が口をはさむ。

    【ナナ】
        「今すぐに止めなさい。」
        「ナノスキルのキャリアが一般人に対してナノマシンで攻撃を行うことは重罪です。」
        「未成年者とはいえ死刑もあり得ます。」

    【ケンジ】
        「なんだよ、委員。」
        「水をさすなよ。」
        「一般人の先公どもなんてみな気味悪がって近寄りもしなかったぜ。」
        「ヤツが、わざわざ体育でオレと張り合おうっんだからヤツもキャリアなんだろ。」

    【ナナ】
        「で、ですが・・・、実際に、ナノインジケータのレベルがゼロである以上は一般人と同様です。」

    【マナブ】
        「だが、もう手遅れだな。」
        「ここまでナノマシンを圧縮すれば、もう解放するしかねぇぜ。」
    【コンブ】
        「先公が生きていられる事を祈るんだな。」

    【ナナ】
        「先生、逃げてください。」
        「生身では受ければ命は助かりません。」

    【東郷】
        しかし逃げたら仮に命が助かったとしても、この生徒たちは授業に出てくれるのか?
        いやいや、そんな世の中甘くはない。
        きっと出てこないだろうな。
        仕方ない、踏みとどまるとするか。

    【ケンジ】
        「ほぉ、逃げないとはいい度胸しているな。」
        「ならお望み通り倒してやる。」
        「死なないことでも祈ってるんんだな。」

    腰を低く体制をとって、肘を引いて拳を繰り出す構えに入った。
    ナノマシンが濃縮され密度が臨海に対し、体の周囲の空間が赤く輝きだす。


    その時、幼女が先生の前に立ちはだかった。


    【ターニャ】
        「パパを傷つけさせはしない。」

    【コンブ】
        「おぃおぃ、普段無口な3姉妹の末っ子のほうじゃないか。」
    【マナブ】
        「どけろよ。」
        「お前も吹き飛ぶぞ。」

    【ターニャ】
        「いやだ。」

    【コンブ】
        「どうなってもしらんぞ。」
    【ケンジ】
        「まぁキャリアのお前が先頭なら、先公が死んでもお前に向けて力を使ったと言えば俺は無実でちょうどいい。」

    【ナターシャ
        「どうするねえちゃん。」
        「"ぱぱ" って言ったよ。」
        「助けに行く?」
    【ミーシャ】
        「いゃこのまま様子をみる。」
    隅のほうで見守っている姉たちは動かない。

    【マナブ】
        「なんだ上のお姉ちゃんたちは薄情だねぇ。」
        「妹を見捨てるのか?」

    すると肩からかけていたポシェットからおもむろに1片の紙きれを取り出し九字を切った。
    【ターニャ】
        「臨・兵・闘・者・皆・陣・裂・在・前」

    9文字の起動コードが入力されるや
    瞬く間に、その紙きれから膨大なエネルギーが放射されシールドを形成してゆく。

    【ナナ】
        ぇっ!?
        私と同じ呪符型シールド?
        九字を切るのに、たった2.4秒ですって?
        しかも何この強さは。
        低学年のナノキャリアの能力とは思えない。


    【ケンジ】
        「ちっ、ふざけたマネを、上等だ。」
        「先公と一緒に吹き飛ばしてやる。」

    一気に放出されたナノマシンの塊は実体弾となって直進し、呪符型シールドに衝突した。

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