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アトランティスの亡霊

Ghost of Atlantis

【1-11-4】マゼラン派遣隊

マゼラン派遣隊

【1-11-4】


カザフスタン バイコヌール港

 

ロシア軍を撤退に追い込んだサリンの除染作業が進んでいた。

この模様は英国の公共放送やアメリカの民間放送局が中継していたがいつものようにサリンはロシアが散布したことにされていた。


三者で構成される現地調査チームの報告もサリンの鑑定結果がアメリカ軍の成分と一致した事を公表したものの、それらの報告はSNSや動画サイトから瞬く間に削除されて闇に葬られ、疑問を持つ有識者たちはたちまち陰謀論者として糾弾された。

 

そしてその洗浄作業と並行し、接収したバイコヌール港に続々とウクライナで建造された戦艦のパーツが運び込まれていた。


フネのベースモデルは日本が開発した先行試作型戦艦だが、精度は度外視して短期間での大量建造優先で製造されていた。

 

アトランティス艦隊は、地球歴で言う紀元前約15000年前に当時の主力であった第3世代型の艦艇を未だ多数保有しているが、部品供給の途絶えた艦隊は老朽化したり損傷を受けるなどして戦線を離れた艦艇を解体再構築して戦力の更新を図ってきたが、第3世代型の技術を流用している以上は大幅な能力向上は望めず、アンドロメダ艦隊とは個艦の能力格差が拡大する一方だった。


そしてさらに損耗する装備については補給がままならなかったが、ここ数百年の地球人の科学の発展でようやく地球製武器がアトランティス艦に採用できるまでになると、第4世代、第5世代と段階的に世代を重ねるにつれ地球製装備の比率が急速に引き上げられ
現在では第6世代型艦艇の建造が進められていた。

 

一方で、地球艦隊は近年になってようやくアトランティス艦隊によって独自の艦隊保有が承認され、その試作艦の建造を日本が一手に引き受けていた。

これは日本が緻密な造船技術を保有しているためであった。


日本が開発したすべての艦艇はごく一部を除いて地球艦隊に加盟する各国に情報共有され自由に建造する事が認められていた。

この日本が開発した艦艇を第7世代型と呼ばれ、着工から完工には2ヶ月を有した。

 

しかしバイコヌールの施設がフル稼働すれば工期が大幅に短縮されたパーツによって2週間あれば戦艦1隻は組み立てられるようになり、ここの施設を含めてアメリカ軍とNATO軍は、世界各地で月に50隻のペースで宇宙艦を建造する計画を実行していた。

 

 


 


ブリジットやバネットたちのイギリス代表チームは、シャルロット・ド・ゴール空港に降り立った。
ここから高速鉄道に乗り換えて、英国へ渡る計画だ。


【マリアン】
 「さて、ここから我が母国まで鉄道の旅を満喫しようではないかっ!!」

 

【ジュリア】ヽ(`д´;)ノ 
 「なんでロンドンまで飛行機で行かないのよっ!」

 

【マリアン】ヽ(=´▽`=)ノ
 「何言ってるのよっ!」
 「せっかくフランスを経由するのだから高速鉄道を乗らないワケには行かないじゃないのっ!」

 

【ジュリア】(-_-;)
 「あんた、ニッポンへ行くまでは鉄道は、古い、遅い、ダサイって嫌っていたじゃない。」

 

【ルーシー】
 「シンカンセン乗ってカルチャーショック受けたのよ。」

 

【バネット】
 「たしか、HS5は、シンカンセンを製造する目立と言うメーカーが作ったんだっけ ?」

 

【マリアン】
 「そうよ。」
 「最高速度389Kmは営業速度としてはリニアに抜かれるまでは世界最速だったのよ♪」

 

【ブリジット】
 しかし・・・この空港・・・シャルロット・ド・ゴールってどこかで聞き覚えが・・・。

 

【シャルロット】
 「おーーーほっほっほ」
 「どなたか私の名前を呼んだかしら ?」

 

【ブリジット】(-_-;)
 「なんで貴様がここへ。」

 

【バネット】
 「ぁ、フランスチームご一行だぜ。」

 


【シャルロット】
 「あら、ここは私の母国よ。」
 「そして、この空港は我がシャルロット家の名を冠した世界に誇る国際空港なの。」

 

【ジュリア】
 「どうりで聞いた名だと思ったよ。」

 

【フランシーヌ】
 「ところで貴女たちは、空港で降りてどちらへ ?」
 「我が国の素晴らしさを堪能するため観光でもなさるのかしら ?」

 

【ブリジット】
 「わたしたちはここから高速鉄道を乗り継いで英国へ渡る計画なんだ。」

 

【シャルロット】
 「あら庶民的な旅行を楽しまれているのね。」

 

【ジュリア】
 「なんだとっ!!」

 

【ブリジット】
 「まぁ、よせ。 喧嘩してもしようがないだろ。」

 

【ブリジット】
 「貴女たちはまっすぐ自宅に戻るのかい ?」

 

【シャルロット】
 「わたしたちは、これから帰国を祝う晩餐会へ出席なの。」
 「ほら、迎えが来たわ。」

 

パトカーに警護されたいかにも高級そうなパールホワイトのリムジンが2台やってきた。

 

【マリアン】
 「まるで大統領のようですねぇ。」
 「さて、私達も駅へ向かいましょうか。」

 

【ブリジット】
 「そうだな。」
 「では、みなさんごきげんよう。」

 

【フランシーヌ】
 「対抗戦で私達の足をひっぱらないようにくれぐれも訓練を怠らないでくださいね。」

 

【ジュリア】ヽ(`д´;)ノ 
 「ぐぬぬぬ・・・。」

 

【シャルロット】
 「では、私達も先を急ぎますので、失礼しますわ。」

 

【ブリジット】
 「ああ。」
 「じゃ、私達も行くとするか。」


こうやって空港でイギリス代表チームとフランス代表チームは軽く挨拶を交わして目的地へと向かった。

 

 


 

フランス代表チーム 帰国晩餐会会場

 

【シャルロットさん父】
 「やぁ、シャルロット」
 「元気にしていたかい。」

 

【シャルロット】
 「あら、お父様。」

 

【シャルロットさん母】
 「元気そうですわね。」

 

【シャルロット】
 「お母様もいらしていたのね。」

 

【シャルロットさん母】
 「それは愛しい我が娘が帰国するというのですから当然ですわ。」


【フランシーヌさん父】
 「活躍しているそうじゃない。」

 

【フランシーヌ】
 「パパっ!!」
 「来ていたの !?」

 

【フランシーヌさん父】
 「もちろんさ。」
 「そちらのみなさんも元気そうだね。」

 

【シャルロットさん父】
 「この5名が我がフランスを代表するエースと言うわけか。」
 「頼もしいな。」

 

【フランシーヌさん父】
 「甲冑の調子はどうだい ?」

 

【フランシーヌ】
 「最近、着れてないわ。」

 

【フランシーヌさん父】
 「どうしてだい ?」

 

【フランシーヌ】
 「シナと朝鮮からやって来た留学生のせいよ。」
 「彼らの目のつかないように動かすのホント苦労してんだから。」

 

【シャルロットさん父】
 「彼らの事は娘の報告で聞いているよ。」

 

【フランシーヌさん父】
 「しかし、ユーロドローンの初陣でブーメラン撃破はよくやったぞ。」

 

【フランシーヌ】
 「ま、まぁこれくらいは当然ですわ。」

 

【フランシーヌさん父】
 「それに、シャルロット嬢が駆るユーロファイアーの戦いぶりも見事でしたよ。」

 

【シャルロット】
 「あら、それはおじ様が制作した甲冑が優秀だからですわ。」

 

【フランシーヌさん父】
 「送ってもらったテレメータのデータをもとに効率的な駆動アルゴリズムの再構築を行っているところだ。」

 

【フランシーヌさん父】
 「アルフォンス君、マリさん、ジャンヌさんにも新しい甲冑が用意できたよ。」
 「フランシーヌやシャルロットさんが育てた戦闘経験値がフィードバックされているので君たちも短期間で着こなせると思いますよ。」

 

【アルフォンス】
 「それはすばらしい。」
 「いよいよボクたちもアレを着装できるのですね ?」

 

【フランシーヌさん父】
 「日本へ戻るときは一緒に持っていきなさい。」

 

【アルフォンス】【マリ】【ジャンヌ】
 「ありがとうございますっ!!」


【シャルロットさん父】
 「さて、せっかくなのだが、君たちに伝えておかなければならない話があってな。」

 

【シャルロット】
 「何かしら ?」

 

【シャルロットさん父】
 「ここではアレだから、別室を用意してある。」
 「そこで説明しよう。」


豪華な晩餐会会場の隣に用意されていた小部屋は照明が落とされ真っ暗だったが
すぐに正面モニターになにやら情報が映し出された。
それは米軍を主軸とするNATO軍がバイコヌール港に展開する様子だった。

 

すぐに彼女たちは直感した。

 

【シャルロット】
 「東郷教官が言ってたやつね。」

 

【フランシーヌ】
 「そうねイキナリ来たわね。」

 


【シャルロットさん父】
 「さて、君たちに伝えておかなければならない事と言うのは、すでにご存知とは思うが先日、我が祖国はNATO軍とともにカザフスタンのバイコヌール港を接収した。」

 「だが、ここはアトランティス王家の近衛艦隊も管轄する港であり、わが祖国としてはカザフスタンのロシアからの開放が目的であり、近衛艦隊とは敵対する意思は無いと言うことだ。」

 

【シャルロットさん父】
 「我々NATO軍はアトランティス艦隊を経由して近衛艦隊に対し、平和的な共同運用を提案しているのだが近衛艦隊からはカザフスタンの前政権の回復とバイコヌール港の返還を要求してきており、それどころか奪還もチラつかせてきており話がまったく噛み合わないんだ。」
 「このままだと近衛艦隊との衝突もありえる。」

 

【シャルロットさん父】

 「そこでだ。」
 「我がフランスは近衛艦隊とは外交チャンネルがないので君たちには学園に戻った際には近衛艦隊の動向を探ってほしいんだ。」
 「学園ネットワークを駆使すれば近衛艦隊の動向くらいはなにかしらキャッチできるのではないかと思ってな。」

 

【シャルロット】
 「もし私がイヤだと言ったら ?」

 

【シャルロットさん父】
 「君たちが話し合いで決めて、それでイヤだと言うなら、無理に協力はしてもらわなくても構わないさ。」

 

【フランシーヌさん父】
 「我がフランスの未来を君たちが決めるのは荷が重いだろう。」
 「君たちは君たちの信じる道を進みなさい。」
 「そのためのType-714、Type-715 と言うわけだ。」

 

【シャルロットさん父】
 「心配するな、君たちの行動の責任は私達大人が取ればいい。」
 「いいね ?」

 

【シャルロット】【フランシーヌ】【アルフォンス】【マリ】【ジャンヌ】
 「はいっ!!」

 

【フランシーヌさん父】
 「さあ、遅くなったので宴の席にもどりなさい。」

 

【シャルロットさん母】
 「話は終わったの?」

 

【シャルロット】
 「ええ、今さっきね。」

 

【シャルロットさん母】
 「そう。」

 

【シャルロットさん母】
 「東郷教官の事なのだけれど・・・。」

 

【シャルロット】
 ?
 「アイツがどうかしたの ?」

 

【シャルロットさん母】
 「父さんから聞いたわ。」
 「ずいぶんご迷惑を掛けたそうで・・・。」

【シャルロット】
 「あ、あの話ね ?」
 「あはははは・・・。」

 

【シャルロット】
 「大丈夫よ、お母さま。」

 

【シャルロットさん母】
 「それならいいわ。」
 「何があってもアノ人の言う事だけは絶対に信じるのよ。」
 「いいわね ?」

 

【シャルロット】
 「はい、お母さま。」
 「でも、どうして ?」

 

【シャルロットさん母】
 「今、わからなくていいわ。」
 「いつか理由を知るときがくるわよ。」

 

【シャルロット】
 「ふーーーん・・・。」

 

【シャルロットさん母】
 「さ、はやく食事してきなさい。」
 「すぐに別室に呼ばれたから、ほとんど食べていないでしょ ?」

 

【シャルロット】
 「うん。」

 

【シャルロットさん母】
 「じゃ、母さんは先に戻るから、ゆっくりしていってちょうだい。」

 

【シャルロット】
 「うん。 ありがとう。」

 


 

翌日、ロンドンに到着したイギリス代表チームは、陸軍情報部の職員が運転する黒塗りのレンジローバーの警護を受けながら郊外のアパートへと移動していた。

 

【マリアン】
 「我が国の高速鉄道も満更ではなかったわね。」
 「さすが目立製ですわ。」

 

【ジュリア】
 「そうね。ご機嫌なのは貴女だけよ。」

 

【ルーシー】
 「ところで私たちはどこへ向かってるのかしら ?」

 

【バネット】
 「6課(SIS:Secret Intelligence Service)の拠点の一つよ。」

 

【ルーシー】
 「なんの用かしら ?」

 

【バネット】
 「私も、サーカス(陸軍情報部本部)からは着いてから説明をする・・・としか聞いてないわ。」
 「まったく到着早々人使いが荒いんだから・・・。」

 

【マリアン】
 「6課って殺しのライセンスを持っているって本当なの ?」

【バネット】
 「都市伝説よ。」
 「基本的には彼らは外交を通じて人脈を開拓し、そこから得られた知見を駆使して
我が国の国家運営に役立つ資料を作成するのが仕事だわ。」

 

【ブリジット】
 「なんだか地味な仕事ね。」

 

【バネット】
 「その代わり、どんな人物に出会っても即座に対応できるように、貴族のような立ち振舞やさまざまな教養を身につけなければならないから、ある意味スパイ活動よりも大変らしいわよ。」

 

【マリアン】
 「あっ、着いたのかな ?」

 

【バネット】
 「そのようね。」
 「みんな、置き忘れがないよう自分の荷物はチェックしておくのよ。」

 

【ブリジット】【ルーシー】【ジュリア】【マリアン】
 「はぁ~い。」


イギリス代表チームは一見どこにでもある普通のアパートのような佇まいの建屋に案内された。

 

【マリアン】
 「・・・とは言っても、佇まいはあたかもスパイ映画のようね。」

 

【バネット】
 「た、たまたまよ。」
 「我が国も少ない予算でやりくりしてるから。」
 「日本のように無駄なコンクリ物件を大量に建設して借金を子の世代に払わせるようなマネは我が国の陛下がお許しにならないわ。」


【6課:ロバートソン】
 「みなさん、おそろいのようで。」
 「帰国早々申し訳ないですが、君たちに緊急ミッションの依頼があります。」

 

【ブリジット】
 「なんだろ ?」

 

【バネット】
 「緊急クエストかぁ・・・。」
 「で、内容は ?」

 

【6課:ロバートソン】
 「先日、我が国が建造中の最新鋭AMP ハリケーン無人テスト中にクラッキングされて乗っ取られる事案が発生しました。」

 

【バネット】
 「ハリケーン ?」

 

【6課:ロバートソン】
 「そうです。 Bas.164 ハリケーン
 「我が国が日本からの技術提供を受けて開発中の最新鋭の AMP です。」

 

【マリアン】
 「乗っ取られたって穏やかじゃない話ね。」
 「どこかのスパイなの ?」

 

【6課:ロバートソン】
 「我が連合王国から独立したスコットランド出身の主任エンジニアとその部下が行方不明になっており、目下SISが彼を追跡しているところです。」

 

【バネット】
 「私達の役目は?」

 

【6課:ロバートソン】
 「ハリケーンは、2週間分のバッテリーと武器を搭載したまま、スコットランドへ向けて移動中で、空軍と陸軍が破壊を試みましたがすべて失敗におわりました。」

 

【ジュリア】
 「2週間分の電池って、我が国にそんな技術あったっけ ?」

 

【6課:ロバートソン】
 「もちろん日本からの技術供与です。」

 

【ジュリア】
 「電池切れを待とうにも、それまでにはスコットランドへ逃げられちゃうわね。」

 

【6課:ロバートソン】
 「そうなんです。」
 「だから貴女たちの任務は、このハリケーンを国境を越えるまでに取り押さえてもらいたい。」

 「確保が困難であれば破壊しても構いません。」
 「上長の許可は頂いております。」

 

【バネット】
 「でも、私達が普段学園で使用しているハヤブサは、アツチに置いてきたわよ。」
 「まさか丸腰で挑めって言うのではないでしょうね ?」

 

【6課:ロバートソン】
 「その点はご心配には及びません。」
 「貴女達には、ミーティアが支給されます。」

 

【バネット】
 「ミーティア ?」

 

【6課:ロバートソン】
 「さよう。」
 「Bas.163ミーティア です。」

 

【バネット】
 「聞いたこと無い形式ね。」

 

【6課:ロバートソン】
 「それはそうです。」
 「ミーティアとハリケーンは、日本から提供されたハヤブサの技術をベースにして
同時に2つの極秘プロジェクトチームが生み出した AMP なのです。」

 

【6課:ロバートソン】
 「性能的には同一世代機となります。」
 「しかもハヤブサベースなので、特別な訓練なしで着装できると考え、貴女達にこのミッションを依頼した訳です。」

 

【バネット】
 「なるほど・・・理解したわ。」
 「みなさんはどうする ?」

 

【ジュリア】
 「私は賛成よ。」
 「貴女達もよね ?」

 

【ブリジット】【ルーシー】【マリアン】
 「もちろんじゃない!」

 

【6課:ロバートソン】
 「感謝します。」
 「それでは、時間がありませんので、さっそく準備に取り掛かります。」
 「付いて来て下さい。」

 


 


NATO フランス代表チーム

 

【アルフォンス】
 「これがボクたちの新しい甲冑・・・。」


【エアースペシャル社エンジニアA】
 「そうです。」
 「すばらしいでしよう。」
 「我がフランスが持てるすべての技術を投入して建造した最新鋭 AMP Type-715 ユーロファイアー。」

 

【ジャンヌ】
 「すばらしいわ。」

 

【エアースペシャル社エンジニアA】
 「そうでしょう。」
 「ただ、量産型はリミッターが掛けられていて最大性能を出せないようにする予定なんだ。」

 

【アルフォンス】
 「それはどうしてですか ?」

 

【エアースペシャル社エンジニアA】
 「あ、君たちの機体はまだ試作機だからリミッターは掛けていないよ。」
 「君たちは普段からハヤブサで訓練を受けているから、ユーロファイアーを十分に扱い切れるだろうと思ってリミッターは搭載していないんだ。」
 「だが、一般兵の場合はそうはいかないから、身体にかかる負荷を考慮して性能に制限を掛けているのさ。」

 

【マリ】
 「これはもう動かせるのかしら ?」

 

【エアースペシャル社エンジニアA】
 「ええ、もちろんですとも。」
 「そのためにお呼びしたわけです。」

 

【エアースペシャル社エンジニアA】
 「着装しますでしょ ?」

 

【マリ】
 「もちろん。」

 

【エアースペシャル社エンジニアA】
 「分かりました。」
 「慣らし運転としてちょうどいいのがあります。」

 

【エアースペシャル社エンジニアA】
 「説明してあげてください。」

 

【エアースペシャル社エンジニアB】
 「分かりました。」

 

【エアースペシャル社エンジニアB】
 「現在、私達がいるペルシュ開発研究センターがコチラになります。」
 「ここから西北西60キロの場所にあるノルマンディにある密輸組織の施設を破壊してもらいます。」

 

【アルフォンス】
 「密輸組織 ?  こんな場所に・・・かい ?」

 

【エアースペシャル社エンジニアB】
 「ええ、最近我が国に未登録の AMP が持ち込まれたとの情報があり、その機体がどうやらブーメランのようでして・・・。」


【マリ】
 「フランシーヌやシャルロットが戦ったマシンね。」

 

【エアースペシャル社エンジニアB】
 「ええ、どうやらこのノルマンディに運び込まれたようです。」

 

【ジャンヌ】
 「密輸組織の目的はなんなのかしらね。」

 

【エアースペシャル社エンジニアB】
 「情報によると、わが社の AMP 強奪が目的の可能性がありまして・・・。」

 

【アルフォンス】
 「なるほどね。」
 「ターゲットは、このユーロファイアーと言うことか・・・。」
 「で、奪われる前に敵の本拠地を叩くのと同時に、
 ユーロファイアーの戦闘データも蓄積させたいと言うことですね。」

 

【エアースペシャル社エンジニアB】
 「ええ、そのとおりです。」

 

【マリ】
 「でも、ブーメランって曲がりなりにも軍用鬼じゃないですか。」
 「軍が出動して対処したほうがいいんじゃないのかしら ?」

 

【エアースペシャル社エンジニアB】
 「そこはいろいろと大人の事情というものがありまして、本件については、わが社が極秘裏に事態解決に乗り出すことになった次第です。」

 

【ジャンヌ】
 「なるほどね・・・。」

 

【ジャンヌ】
 「ところで、シャルロットたちは出ないのね。」

 

【エアースペシャル社エンジニアB】
 「ええ、これはあなたたちが着装する 鬼 のシェイクダウンですから。」
 「彼女らは出ません。」

 

【アルフォンス】
 「いいでしょう。」
 「面白くなってきたね。」

 

【マリ】
 「そうね。」
 「ひと暴れといきますか。」

 

 


 

イギリス代表チーム


【ブリジット】
 「これが私達の機体・・・。」

 

【バネット】
 「へぇ・・・なかなかいいじゃない。」

 

【6課:ロバートソン】
 「初期設定は毎月の報告で送ってもらっているハヤブサのデータを元に済ませてあります。」
 「あとは、各自がアクティベートするだけで全力運転が可能です。」


【6課:職員】
 「ハリケーンが移動を開始しましたっ!!」

 

【6課:ロバートソン】
 「わかった!」
 「こちらもすぐに出すっ!」

 

【マリアン】
 「さあいくわよっ!」

 

【ジュリア】
 「ええ。」

 

【ルーシー】
 「腕がなるねぇ。」

 

【6課:ロバートソン】
 「基本操作はハヤブサを踏襲したつもりだ。」
 「アクティベートの手順はわかるね ?」

 

【バネット】
 「ええ、問題ないわ。」

 

【ブリジット】
 「私もよ。」

 

【バネット】
 「みんなはどう ?」

 

【マリアン】
 「こっちはもう済んだわ。」

 

【6課:ロバートソン】
 「さすがですね。」
 「では、現時刻を持って女王陛下の正式指令としてミッションを発動致します。」
 「ハリケーンの位置を転送しますので、すぐに追ってください!」

 

【ブリジット】【バネット】【ルーシー】【ジュリア】【マリアン】
 「了解っ!!」

 

 


 


NATO フランス代表チーム

 

大型輸送ヘリ、ハイパーピューマは3体のユーロファイアーを搭載してペルシュを飛びだった。

 

【シャルロット】
 「本当に私たちは行かなくて良かったのかしら ?」

 

【フランシーヌ】
 「いいのよ。」
 「せっかくの新造鬼でワクワクしているのでしょうから水を刺すのは悪いわ。」

 

【シャルロット】
 「そうね。」
 「じゃ私たちはお茶しながら応援するとしましょうか。」

 

【フランシーヌ】
 「それはいい案ですわ。」

 

【ハイパーピューマ機長】
 「もうすぐ降下ポイントに入ります。」
 「対空迎撃の可能性があるため、短時間しかホバリングできません!」

 

【アルフォンス】
 「いえ、この高度を保ったままで構いません!」

 

【ハイパーピューマ機長】
 「なんだって !?」

 

【アルフォンス】
 「ボクたちは日本でオスプレイ2からの降下訓練を何度もやってますので
ホバリングなしでも目標地点へ強襲は可能です。」

 

【ハイパーピューマ機長】
 「いや、しかし・・・。」

 

【ジャンヌ】
 「機長さん、私達を信じて。」

 

【ハイパーピューマ機長】
 「わかりましたよ。」

 

【アルフォンス】
 「では、みんな、降下の準備はいいね。」
 「無線のチェックはどう ?」
 「ここはナノリンク使えないから注意してね。」


【マリ】【ジャンヌ】
 「無線は問題なしっ!!」
 「私たちはいつでもいいわよ。」


【アルフォンス】
 「では、降下開始っ!!」


アルフォンスたちは、カウントダウンもなしで、いきなり機外へ飛び出していった。

 

【ハイパーピューマ機長】(-_-;)
 「ま、マジか・・・本当に飛び出していきやがった・・・。」

 

【マリ】
 「高度1000mで制動噴射を実施するわよ。」

 

【アルフォンス】
 「了解。」

 

【ジャンヌ】
 「正面12時下方に熱源反応!」

 

【アルフォンス】
 「確認しました。」
 「熱源は電源ユニット。」
 「右10mに対空レーダーの稼働を確認。」
 「さらに右50mに対空ミサイル6発コンテナ 2基。」

 

【マリ】
 「こちらも確認した。」
 「距離2000mで射撃開始しますので任せて!」

 

【アルフォンス】【ジャンヌ】
 「了解っ!!」

 

 

 

【密輸組織 A】
 「敵か ?」

 

【密輸組織 A】
 「フランス軍か ?」

 

【密輸組織 B】
 「いえ、機体番号からして民間所有の軍用機のようですね。」

 

【密輸組織 A】
 「民間所有の軍用機だと ?」

 

【密輸組織 B】
 「間違いありません。」

 

【密輸組織 A】
 「軍用機を所有できる民間組織は、エアースペシャルしかないっ!!」
 「こっちの計画が漏れたのか ?」
 「いや、いまはどうでもいい。」

 

【密輸組織 B】
 「後部ハッチから何かが放出されました!!」
 「AMPですっ!!」

 

【密輸組織 A】
 「なんだと ?」

 

【密輸組織 B】
 「ユーロファイアー3体ですっ!!」

 

【密輸組織 A】
 「ちっ、こっちがユーロファイアーを狙っているのを知っててあえてユーロファイアーをぶつけてきやがったのか?」

 

【密輸組織 A】
 「いいだろ。」
 「全力で迎え撃てっ!!」
 「クライアントは残骸であっても高値で買い取ってくれる。」

 「まずは迎撃ミサイルで牽制して、ブーメランのスクランブルを援護しろっ!!」
 「今出せるブーメランをすべて出せっ!!」

 

 

 


 

イギリス代表チーム

 

【バネット】┐(´д`)┌ヤレヤレ
 「まさか、帯締学園と同じオスプレイ2を待ってくるとは・・・。」

 

【6課:ロバートソン】
 「その方が、あなた方も訓練で慣れているだろうと思いましてご用意致しました。」
 「日本軍からの情報提供で、ほぼ完全コピーしている筈なので空挺降下にはなんら問題はないかと。」

 

【バネット】
 「いいだろう。」
 「そこまでお膳立てしてもらえれば、ヘタなマネできないよね。」
 「あとは私達にまかせな!」


【ブリジット】
 「みんな、ナノマシンは使えないから装備の確認は入念にね。」

 

【全員】
 「了解っ!!」

 

【ルーシー】(゚д゚)!
 「センサーに感っ!! ハリケーンです。」
 「既に戦闘態勢に入っている模様!」
 「先方からのレーダー照射を受けていますっ!!」

 

【ブリジット】ヽ(`д´;)ノ 
 「カーゴランプ、オープン!」
 「降下手順のすべてを省略し、コフィンセルを緊急開放っ!!」
 「いそいでっ!!」

 

【6課:職員】(,,゚Д゚)
 「わ、わかりましたっ!!」

 

オスプレイ2後部のカーゴランプが展開されると、コフィンセルが機体後方へ伸ばされる。
その間にも、迎撃体制に入っていたハリケーンから対空ミサイルが放たれ、オスプレイ2は回避すべくフレアを放出しながら急旋回をとった。

 

【バネット】
 「ミーティア各機へ」
 「AL-TRON起動!」
 「メインパワー、オスプレイからスタンドアロンへスイッチ。」
 「以前、東郷教官がやってみせた手順で飛び出すわよっ!」

 

【全員】
 「了!!」

 

【ブリジット】
 「降下っ!! 降下っ!! 降下っ!!」

 

ブリジットの一瞬の判断で全鬼がコフィンセルから開放されるのと同時に軽くなった事を察したパイロットが緊急離脱を開始する。
そしてそのオスプレイ2の脇をミサイルがかすめて近接信管で爆発する。

 

【マリアン】(,,゚Д゚)
 「オスプレイは !?」

 

【ジュリア】
 「大丈夫よ! かわしたわ!」
 「まだ飛んでるっ!」
 「逃げ切れるわ!」


【バネット】
 「降下しつつ敵を牽制する!」


【ルーシー】
 「ハリケーンはこちらに照準を向けていますっ!!」

 

【ブリジット】
 「大丈夫っ!!」
 「ただの牽制よ!」
 「ミサイル搭載数は、4発。」
 「さっきの2発の他にも、わたしたちよりも前にすでに2発を消費しているわ。」

 

【バネット】
 「対戦車ライフルで狙ってみる。」

 

【ブリジット】
 「任せたわっ!」

 

【バネット】
 「くらえっ!」

 

射撃の反動で機体が一瞬弾かれたが再び降下機動に戻った。

 

【マリアン】
 「当たったの ?」

 

【バネット】ヽ(`д´;)ノ 
 「弾きやがった!!」

 

【ルーシー】
 「なんて装甲なの。」
 「本当にコッチと同じフレームを採用しているのかしら ?」
 「ぁ、敵がライフルを構えましたっ!」
 「注意!!」

 

【全員】
 「了!!」

 

着地したミーティアはパラシュートを切り離すと同時に散開し岩陰に隠れた。
ハリケーンが放つ銃弾が岩を砕く。

 

【バネット】(,,゚Д゚)
 「ひぇーー!」
 「当たったらコッチの装甲だとひとたまりもねぇな。」

 

【ブリジット】
 「共通フレームであれだけの装甲をもっていれば、機動力では私達に分があるわっ!!」
 「近接格闘戦に持ち込むわよっ!」

 

【バネット】
 「それしかねぇか。」

 

【マリアン】
 「だね。」

 

【ブリジット】
 「全員っ抜刀っ!!」


【フィンレー博士】
 「SISめ、ミーティアを出してきたか。」
 「しかも試作機全鬼を出してくるとは。」
 「それなら、歓迎してやらねばな。」

 

【フィンレー部下A】
 「博士、相手の装甲はこちらより薄いです。」
 「AIが間合いを取って各個撃破を提案し、対戦車ミサイルのキャニスターを要求しています。」

 

【フィンレー博士】
 「いいだろう。」
 「やらせろ。」

 

【フィンレー部下A】
 「判りましたっ!」


【ブリジット】
 「両翼に展開しハリケーンを挟撃する。」
 「バネット、右翼を任せたわっ!」
 「ルーシー、マリアンは、バネットの高機動戦術を援護!」
 「ジュリアは私に付いてきてっ!!」

 

【全員】
 「了!!」

 

【ブリジット】(-_-;)
 ちっ逃げるのが速いっ!
 コレが無人機のメリットというヤツか・・・。


【ジュリア】
 「センサーに新たな信号を感っ!」
 「音速で接近する熱源です!!」

 

【ブリジット】
 援護のミサイルだと ?
 「ルーシー! 識別できるか ?」

 

【ルーシー】(・o・)
 「捉えていますが、目標は我々ではないかも・・・です。」


飛来した飛行物体はそのまま直進してハリケーンの上空で分解した。

 

【マリアン】
 「我々への援護・・・ですか ?」

 

【バネット】
 「いや、違う!」
 「全員緊急回避!」
 「ミサイルが来るぞっ!」

 

【ルーシー】(,,゚Д゚)
 「ええーーー!」

 

【ブリジット】
 戦闘中にミサイルのコンテナに換装しただと!?
 「AEDRS(※1)かっ!!   くそっハヤブサのシステムを完全コピーしているのかっ!」

 

武器システムの換装を終えたハリケーンが攻勢に出てくる。
索敵レーダーによる照射を受けミーティアが警告を発する。

 

【ジュリア】
 レーダーに追われてるっ!!

 

ハリケーンのレーダーがジュリア鬼を追尾し警告の間隔が狭まり、ロックオンが間近に迫っていることを示唆していた。
どうにも逃げ切れないジュリア鬼を執拗に追い回す。
そしてハリケーンはジュリア鬼のロックオンに成功すると同時に間髪入れずにミサイルを打ち込んできた。

 

【ジュリア】(゚д゚)!
 緊急回避が間に合わない!

 

ブリジット鬼がジュリアの前に飛び出す。


【ブリジット】
 「人口電子結界展開っ!!」

 

ジュリアはブリジットのシールドにより間一髪で被弾を免れた。

 

【ジュリア】
 「あ、ありがとう・・・。」
 「でも、現在のミーティアのサブスタンス・タンクに収納できるナノマシンの残量では そんなに数多くの結界は展開できませんよ。」

 

【ブリジット】
 「分かってるわよ。」
 「でもここでつかわなきゃ、貴女やられていたわよ。」

 

【ジュリア】
 「うん。ごめん。」

 

【ブリジット】
 「いいのよ。」

 

【ブリジット】
 「バネットっ!」
 「そっちはどよ ?」

 

【バネット】
 「コイツ・・・強い!」
 「ジュリアを追いかけつつ、私に正確な牽制射撃を放ってきやがる。」
 「間合いを詰められない!」

 


【フィンレー博士】
 「ふん、所詮、有人鬼の鬼体は行動に制約が出るもの。」
 「同系統であれば私のハリケーンにかなう訳がない。」

 

【フィンレー博士】
 「さあ、私のハリケーンよ。」
 「クライアントに君の戦闘力を見せつけてやるんだっ!」

 

【バネット】
 「ルーシーっ!」
 「私が突っ込むっ!」
 「援護してっ!」

 

【ルーシー】
 「了っ!」

 

【バネット】
 「日本刀を手にしてハリケーンに突入するバネット鬼を ルーシーが正確に援護して、ライフルを打ち込んでゆく。」

 

しかし、ハリケーンもシールドを展開して着弾を回避する。

 

【ルーシー】(,,゚Д゚)
 「シールドだとっ!?」

 

【バネット】
 「ちっ!」

 

【フィンレー博士】
 「人口電子結界はなにも君たちだけのものではないんだよ。」
 「君たちの機体が使用できると言うことは、私のハリケーンだって使用できるんだよ!」
 「しかも無人鬼はサブスタンス・タンクの容量は君たちより遥かに大きい。」

 

【ブリジット】
 「サークル型は物理攻撃を防ぐには適していない。」
 「ミサイルの爆風は防げてもライフルのように一点集中の負荷が掛かる物理攻撃に対しては 防ぎきれず、この場合はナナのような呪符型結界が有効なのだが、だがヤツはサークル型でライフルを防ぎやがった・・・。」

 

【ブリジット】
 「全鬼!」
 「再度散開し、バネットの再突入を援護する!」


しかし、ハリケーンはバネットよりもブリジットを驚異と判定し、ブリジットを追い始めた。

 

【ルーシー】(-_-;)
 「こいつ、リーダー鬼を的確に判断しているぞ。」

 

【バネット】
 「それならそれで都合がいい!」

 

ブリジット鬼に気を取られた瞬間をバネットは見逃さずにハリケーンの間合いに入った。

 

【バネット】
 「くらえっ!」

 

しかし、ハリケーンも持っていたサーベルでバネットの日本刀を受け止めるといったん後ろへジャンプして再び間合いを確保しつつライフルをバネットへ向けてきた。

 

驚異判定がバネットへと繰り上がる。

 

【フィンレー博士】
 「そんなペラペラの軽合金の装甲とチープなサムライブレードで どうやってハリケーンと戦うというんだい?」

 

ブリジットが刀を収めてライフルに持ち替える。

 

【ブリジット】
 「私が援護する。」
 「もういちどいける ?」

 

【バネット】
 「任せなっ!」

 

ブリジットの援護射撃がハリケーンの展開するシールドにヒットし火花が飛ぶ。
その間に、バネットがハリケーンの背後に滑り込み再び間合い入る。

 

しかしハリケーンの反撃がブリジット鬼に着弾し装甲が砕ける音が森に響きわたる。

 

【ブリジット】(,,゚Д゚)
 「ひぃーーー!」

 

【ジュリア】
 「ブリジットっ!!」

 

【バネット】ヽ(`д´;)ノ 
 「鍛造で鍛えた日本刀をナメるなっ!!」

 

振り下ろしたバネットの刀をシールドで防ごうとしたハリケーンだが、あっさりと両断され、かろうじてサーベルで耐えた。
しかし、そのサーベルに徐々に日本刀が食い込んでゆく。
危機を悟ったハリケーンが、ライフルを無理やりバネット鬼に向けてゼロ距離射撃を試みる。


【バネット】ヽ(`д´;)ノ 
 「まだだっ!」

 

一気に腕部モーターにパワーを掛けサーベルを真っ二つにすると、その勢いを保持したまま鬼体を一回転させて今度は胴体をぶった切る。

 

【フィンレー博士】
 「そ、そんな馬鹿なっ!!」
 「我がハリケーンが負けるはずなど・・・。」
 無人機なんだぞっ!!」

 

【フィンレー部下A】
 「博士、ミーティアが向かってきますっ!」

 

【フィンレー博士】(,,゚Д゚)
 「な、なんだと!?」

 

 

【マリアン】
 「エンジニアを発見し始末に成功した。」

 

【バネット】
 「よくやった。」

 

【マリアン】(-_-;)
 「いやぁ、地味な仕事だったわ。」

 

【バネット】
 「ぼやくなっ。」
 「ハリケーンの破壊に成功しても、肝心の頭脳が逃げられたら時間をかければいずれ再建は可能だからな。」
 「よくやってくれた。」

 

【マリアン】
 「それよりブリジットは!?」

 

【ブリジット】
 「私なら生きてるわよ。」

 


1週間後

【バネット】
 「ねぇ、また私達を呼び出して今度はなんの用なの ?」

 

【6課:ロバートソン】
 「いやぁ、あの件は、ほんとうによくやってくれました。」

 

【6課:ロバートソン】
 「お呼びだてしたのは他でもなく・・・まぁ実際に見ていただいたほうが速いでしょう。」

 

【バネット】
 「こ、これは・・・。」

 

【6課:ロバートソン】
 「はい、ミーティアです。」
 「ここに整備してあるのは貴女たちの鬼体です。」
 「アノとき、貴女方が着装した鬼体となります。」
 「これを帯締学園へ向けて搬出する手続きを行っております。」

 

【マリアン】
 「マジっ!?」

 

【ルーシー】
 「すごいっ!!」

 

【マリアン】
 「でも、ブリジットの鬼体は、あのとき大破した・・・。」

 

【6課:ロバートソン】
 「ええ、そうですね。」
 「でも大丈夫です。」
 「こちらを御覧ください。」

 

【バネット】【ルーシー】【ジュリア】【マリアン】
 「マジか・・・。」

 

【バネット】
 「おい、正気なのか ?」
 「よく再建したなオイっ!」

 

【ブリジット】
 「まぁ基本フレームは一緒だからね。」
 「大破したミーティアの方は、かろうじでフレームは無事だったので この子のパーツを修理してミーティアのフレームに合体させたわけなの♪」

 

【バネット】
 「いや、そういう話ではなくて、AIも移植してあるんだろ ?」


【ブリジット】
 「大丈夫よ。」
 「この子は私が責任を持ってちゃんと調教してみせるわ。」

 

【ブリジット】
 「ねぇ、大丈夫よね ?」
 「今度私を殺そうとしたら私がアナタを滅するわよ。」
 「解って ?」

 

【ハリケーンAI】
 「はい、マスター、仰せのままに。」

 

【バネット】
 「・・・ま、まぁアンタがそう言うならいいんだけど・・・。」

 

 


 

 


NATO フランス代表チーム


予定通り距離2000mに接近したところでマリが射撃を開始する。
的確に電源車のみを狙いうちにし、防空システムを沈黙させてゆく。

 

【マリ】
 「防空システムの電源を排除し無力化に成功。」


【アルフォンス】
 「了解っ!」

 

【ジャンヌ】(-_-;)
 「でも、別のお出迎えが出てきたわよ。」
 「画像識別では・・・やはり来たわね。」
 「ブーメランよ。」
 「数にして、10・・・ぃや12鬼!」

 

【マリ】(,,゚Д゚)
 「12鬼もいるの ?」
 「他にはもういないでしょうね ?」

 

【アルフォンス】
 「狙えますか ?」

 

【マリ】
 「距離にしてまだ1500。」
 「ちょっと無理。」
 「どうやら、向こうのブーメランも対空装備はなさそうね。」

 

【アルフォンス】
 「予定通り1000mでパラシュートを分離し、制動噴射しつつ攻撃を開始します。」
 「バレージ開始!」

 

【マリ】【ジャンヌ】
 「リョーカイ!」

 

【密輸組織 A】
 「くそっ!」
 「あっという間に防空システムをやりやがった。」
 「動けない固定目標を狙ったのか・・・。」

 

【密輸組織 A】
 「こっちのAMPは地上戦闘用しか用意してないから降りてから勝負を仕掛ける。」

 

【密輸組織 B】
 「広域電子妨害ですっ!!」
 「全通信システムが機能していませんっ!!」

 

【密輸組織 A】
 「ちっ!」
 戦闘データの採取は許さないってワケか。
 まぁいい。
 要は戦闘に勝てばいいのさ。
 後でブーメランのデータを回収すればいいだけの事。

 

【密輸組織 A】
 「どうせ、動く目標は地上に降りられなければ攻撃できない。」
 「降下中を狙い撃ちにしろっ!!」

 

【密輸組織 B】
 「了解っ!!」
 「すぐに指示しますっ!」

 


【マリ】
 「1000!!」
 「攻撃開始っ!」

 

3体のユーロファイアーがパラシュートを切り離すと、減速用の制動噴射を行いつつ
ライフルを打ち上げてくるブーメラン目掛けて射撃を開始した。

 

【密輸組織 B】
 「3体信号断絶!」
 「やられた模様ですっ!」

 

【密輸組織 A】
 「なんだとっ!」
 「空挺降下中に動く地上目標を攻撃できるのか ?」

 

【密輸組織 B】
 「また1体、信号が途絶えましたっ!」

 


【ジャンヌ】
 「右翼に3体が潜んでいる。」
 「注意しろ。」

 

【アルフォンス】
 「ボクに任せて。」

 

アルフォンス鬼が制動噴射を器用に操り姿勢を変え、ライフルを森の木陰に潜むブーメランに狙いを定めた。

 

狙われたブーメランはとっさにアルフォンス鬼に射撃で応戦するが空中目標を迎撃するシステムを持たないブーメランの射撃はことごとくアルフォンス鬼からそれた。

 

【アルフォンス】
 「あたらなければどうと言うことはないっ!」

 

冷静に対処するアルフォンスが瞬く間にブーメランを撃破する。

 

【シャルロット】(・o・)    
 「あら。」

 

【フランシーヌ】(*´艸`*)
 「意外とやるわね。」

 

管制室でドローンから転送される画像を軽い気分で見物していた二人だったがアルフォンスの思わぬ高性能ぶりに二人はいつの間にか身を乗り出していた。

 


【エアースペシャル社エンジニアA】
 「ぉ、お嬢様方、あまり身を乗り出されると係の者がモニターできないのですが・・・。」

 

【シャルロット】【フランシーヌ】(*´艸`*)
 「ぁ、ごめんごめんっ!!」

 


【密輸組織 A】
 くそっあっと言う間に6体か・・・。
 「なんてヤツらだ。」
 「しかし、見たところ、アレには近接格闘用の武装はもっていないようだ。」
 「接近戦に持ち込むんだっ!」

 

【密輸組織 B】
 「なるほどっ!!」
 「了解っ!」
 「すぐにパイロットに命じますっ!」

 

ユーロファイアーは制動噴射をうまく制御して着地を成功させるとただちに全周警戒体勢をとって周囲の探索を開始する。


【密輸組織 A】
 パラシュートを使用したとは言え、途中からはパラシュートなしで空中機動を行っていた。
 もしや、あの技術は空中飛行も可能とするのか・・・。
 アノ技術はほしいぞ。 絶対に高く売れる!

 

【密輸組織 A】
 「敵は一箇所に集まった。」
 「全周から包囲して集中砲火を浴びせろっ!!」

 

【密輸組織 B】
 「いや、しかし、それでは味方機も損害を受ける可能性が・・・。」

 

【密輸組織 A】
 「構わんっ!」
 「アレは味方機をすべて失ったとしても余りある価値のあるものだ。」
 「絶対に手に入れろっ!!」

 

【密輸組織 B】
 「りょ、了解っ!!」

 


【フランシーヌ】(・o・)
 「あらら・・・。」

 

【シャルロット】(・o・)
 「囲まれちゃってなくない ?」

 

【フランシーヌ】
 「そのようですね・・・。」
 「さて、どうするかな ?」

 

【マリ】(-_-;)
 「囲まれて・・・ますね。」

 

【アルフォンス】(-_-;)
 「ああ、そのようですね。」

 

【ジャンヌ】(-_-;)
 「どうします ?」


【アルフォンス】
 「敵の配置は把握してるね ?」

 

【マリ】【ジャンヌ】
 「もちろんよ。」

 

【アルフォンス】
 「いいかい? ボクたちのチームは、ここに固まっている。」
 「って事は、その周囲はすべて敵だと言う事。」

 

【マリ】(゚д゚)!
 「なるほど。」

 

【ジャンヌ】ヽ(=´▽`=)ノ
 「何も考えずに眼の前の敵をすべてやっつければいいのね。」

 

【アルフォンス】
 「そういう事。」
 「単純だろ ?」

 

【マリ】
 「いいわね。」
 「やってやろうじゃないの。」


【フランシーヌ】【シャルロット】(-_-;)
 「ぁ~あ・・・。」

 

【フランシーヌ】
 「なんだかオシャレじゃないわ。」
 「もっとスマートな方法あるでしょう。」

 

【シャルロット】
 「まっいいんじゃない。」
 「ユーロファイアーならなんとかなるっしょ。」

 

【フランシーヌ】(-_-;)
 「確かにその通りだけど・・・。」


【ジャンヌ】
 「アルフォンスは私たちのシールドから出たらダメよっ!!」
 「アンタはまだ覚醒していないのだからねっ!」
 「私とマリとでアルフォンスをカバーしてあげる。」

 

【アルフォンス】
 「うん、ありがとう。」

 


【密輸組織 A】
 「くそ、弾がなぜ当たらない。」

 

【密輸組織 B】
 「どうやら、敵はシールドのようなものを持っているようです。」

 

【密輸組織 A】
 噂のナノマシンってヤツだな。
 まぁ倒せばどのみちそれも手に入る。

 

【密輸組織 A】
 「焦るなっ!」
 「どうせシールドの持続時間には限りがある。」
 「数で押し続ければいづれ我々の勝ちだ。」
 「撃って撃って撃ちまくって敵を消耗させるんだっ!!」

 

【密輸組織 B】
 「りょ、了解っ!」

 


そのアルフォンスたちも予想に反して思わぬ苦戦を強いられていた。

 

【アルフォンス】
 「実体防護盾か・・・。」

 

【マリ】
 「厄介なもの装備していますね・・・。」
 「あんなのデータにはなかったわよ。」

 

【ジャンヌ】
 「あれは対戦車ライフルぐらいでないと貫通は無理かも・・・。」


【アルフォンス】
 「この鬼体はボクたちに与えられている武装からして、おそらくフランシーヌと同様に中長距離戦を得意とするのだろう。」
 「落ち着いて狙って各個撃破する事に集中するんだ。」
 「絶対に近づけさせるなっ!」

 

【マリ】【ジャンヌ】
 「了解っ!」

 

【アルフォンス】
 「ボクは戦闘ライブラリを探してみる ?」
 「この鬼体の武装がライフルだけだとは思えないんだ。」
 「きっとなにかあるはず!」

 


【密輸組織 A】
 「ひっひっひっ!」
 「どんどん弾を消費するがいい。」
 「数の上では我々が絶対優位なのだ。」

 


【アルフォンス】
 現在のこの鬼体のサブスタンス・タンクの残量はたった1%・・・。
 これは悪用を防ぐために日本からの供給量が制限されているからですね。
 でも、この1%でも、今はあるだけでも有り難いっ!

 

【アルフォンス】
 そもそもこの鬼体サブスタンス・タンクが用意されているということは・・・。
 たしか、フランシーヌやシャルロットたちは、聖剣生成用術式コードを入力していたな。

 ・・・もしかしてかもだけど・・・。
 あ、あったっ!!

 

OS内を広域検索掛けていたところ、アルフォンスの予想通りナノマシン武装ライブラリを発見した。
この中から現在の状況を打開できるアプリを探した。

 

【シャルロット】
 「この子・・・思いの外、器用ね・・・。」

 

【フランシーヌ】
 「貴女もそう思った ?」
 「戦闘しながらOSのフォルダーの中身を片っ端からこじ開けるだなんて・・・。」

 

【アルフォンス】
 よし、このアプリを脳内ストレージにインストールして・・・と。


しかし、警告とともにインストールが拒絶されてしまった。

 

【アルフォンス】
 なっ!?
 パーミッションエラーだと ?

 

【ジャンヌ】
 「アルっどうしたの ?」

 

【アルフォンス】
 「武装用アプリを見つけたんだが脳内ストレージにインストールできないんだ。」
 「パーミッションエラーって出るんだ。」

 

【マリ】
 「インストール権限が無いのかしら ?」

 

【アルフォンス】
 「どうやら、そのようだ・・・。」

 

【アルフォンス】
 「でも何か打つ手はあるはず。」
 「みんなは、もうちょっと頑張ってくれ!」

 

【マリ】【ジャンヌ】
 「了解っ!」


【マリ】
 「でも、無茶しちゃダメよ。」
 「変なアプリをインストールでもして、それが相性が合わなければ命を落とすことだってあるんだから!」

 

【アルフォンス】
 「解ってる。」

 

【アルフォンス】
 さて、どうしたものか・・・。
 インストールできる権限とはなんだ ?

 

インストールマニュアルが付属している事に気づいたアルフォンス

 

【アルフォンス】
 マニュアルだ!
 ボクはいつもプラモデルは先に完成させてから後で説明書を読むタイプだからなぁ・・・。

 まぁ今回は先に読むとするか・・・。
 なにかヒントがあるといいのだが・・・。

 

そう思いながら
マニュアルに記載されているインストール要件の項を検索すると、すぐに条件が判明した。

 

 

ナノマシンの術式演算能力がアスタロス級である事が唯一の条件。

アスタロス級とは、悪魔の格付けの事で、アスタロス級はCランクの初級悪魔と定義されている。
アルフォンスの格付けはモレク級でDランクの悪魔見習いとして位置づけられている。

Dランクのモレク級は、ナノマシンの固有スキルが覚醒していない事を意味しており、艦隊や王宮が許可した武装アプリしか使用する権限を持たないがアスタロス級、要するにCランク以上となると、固有スキルとして自身のスキルに見合った武装アプリを自由にインストールして使えるようになる。

 


【アルフォンス】
 くそっ・・・アスタロスか・・・。

 

格付けのランクアップの方法にはいくつか存在するが、大抵はナノマシンのスタートランクは適正で決定する。
平凡な才能しか持たないアルフォンスは、Dランクスタートだった。

ただ、経験値によってランクアップする方法もあり、スタートランクが決定してもその後の鍛錬や活躍によって格付けが変動するシステムになっている。

 


【アルフォンス】
 しかし、
 このまま諦める訳にはいかない・・・。
 ボクだけがDランクのままだとみんなの足手まといになってしまう。

 

そう思いながら、再度のインストールを試みる。

しかし、何度やってもパーミッションエラーに弾かれてしまう。

そして、無理にアプリをインストールしようとする弊害により激しい頭痛にも見舞われるようになった。

 


【エアースペシャル社エンジニアA】
 「危険ですね。」
 「今すぐにやめさせないと。」

 

無線で指示を出そうとしたエンジニアAにフランシーヌが止めた。

 

【フランシーヌ】
 「まって。」

 

【エアースペシャル社エンジニアA】
 「どうして止めるのですか ?」
 「このまま無理してインストールをしようとすれば命に関わります。」

 

【フランシーヌ】
 「ちょっと私に考えがあるの。」
 「任せてくれる ?」

 

【エアースペシャル社エンジニアA】
 「お嬢様がそうおっしゃるのでしたら構いませんが・・・知りませんよ。」

 

【フランシーヌ】
 「ええ構いませんわ。」
 「私が責任を取りますわ。」


【フランシーヌ】
 「アルフォンス、聞こえて ?」

 

【アルフォンス】
 「フランシーヌ ?」

 

【フランシーヌ】
 「ええそうよ。」
 「そちらの状況はこちらでモニターしているので把握しているわ。」

 

【フランシーヌ】
 「貴方、武装アプリを入れたいんでしょ ?」

 

【アルフォンス】
 「はいっ!」

 

【フランシーヌ】
 「いいわ。」
 「方法を教えるわ。」

 

【アルフォンス】
 「できるの ?」

 

【フランシーヌ】
 「これは裏技よ。」

 

【フランシーヌ】
 「本来は権限認証のフェーズでアプリを不正にインストールできないように制限が
掛けられているのだけれど、これを開発者モードだとスルーする事が可能なの。」
「この権限認証のフェーズさえ突破できればアプリのインストールは可能よ。」

 

【アルフォンス】
 「どうしてそれを知ってるの ?」

 

【フランシーヌ】

 「この私を誰だと思って ?」
 「わが社も戦闘鬼を開発しているのだから当然よ。」

 

【フランシーヌ】
 「戦闘鬼のナノマシン制御については着装者の能力に依存するのだけれどなかなかCランクの悪魔で、さらにエンジニアってのが確保が難しいのよ。」
「なので開発者モードってのが用意されているのよ。」


【アルフォンス】
 「その開発者モードであればボクでもアプリはインスールできると ?」


【フランシーヌ】
 「ええ。」
 「でも、これはあくまで権限認証を強行突破しただけで、実際にインストールできたとしても、そもそも要求されているスキルがCランクだから何が起こるか予想がつかないわ。」
 「場合によっては暴走して命を落とす危険だってあるわ。」

 

【フランシーヌ】
 「なので、方法は教えるけれど、あとは貴方の自己責任って事だから。」
 「いいわね ?」

 

【アルフォンス】
 「うん。」
 「わかった。」

 

【シャルロット】
 「ちょ、ちょっといいの ?」

 

【フランシーヌ】
 「いいのよ。」
 「この子ならきっとやってくれるわ。」


アルフォンスはフランシーヌから送信されてきた開発者モードへと移行する手順書に目を通した。

 

【マリ】
 「大丈夫 ?」
 「なんとかなりそう ?」


【アルフォンス】
 「問題ない。」

 

【ジャンヌ】
 「戦闘しながら説明書読んだら間違えるわよ!」
 「アナタの分もこっちで引き受けましょうか ?」

 

【アルフォンス】
 「問題ない。」
 「そんな難しい事は書かれてなかった。」

 

【マリ】
 「そうなの ?」

 

【アルフォンス】
 「よし、開発者モードへ移行する!」
 「OSをリブートするから、15秒だけ援護頼む!」

 

【マリ】【ジャンヌ】
 「了解っ!」

 

戦闘行動を一時的に中止したアルフォンスは眼球追尾コンソールで必要なパスコードを入力を行った。

すると、ただちに OS が再起動し、システムはアルフォンスの血液からDNA構造を解析できる状態となった。
意外にあっさりと開発者モードへ移行した。


ハヤブサ直系の鬼体はテレメートリーで監視する為に極微量の血液を採取するシステムが取り入れられている。
これはDNAが異なれば鬼体が持つ本来の性能でフル稼働させられない駆動キーにもなるが、ナノアプリで個人の固有武装を具現化するための鍵ともなる。
正規悪魔でないとハヤブサ直系の鬼体は本来のスペックを発揮できないように制限を掛けられているわけだ。
このシステムは当然フランスやイギリスも取り入れている。

 


【アルフォンス】
 準備が整った!
 ここからが本番だっ!

 

【アルフォンス】
 「悪魔契約を開始する!」


必要な音声認証の入力を開始した。

 

【アルフォンス】
 「この世のことわり背く人ならざる大いなる力を開放すべく、我が生命(いのち)と引き換えに悪魔の力を顕現せよ!」

 

【AI】
 「貴殿は正常な手段ではない悪魔契約を執り行おうとしおります。」
 「正常でない手続きで悪魔契約を行った場合は生命に危険が及ぶ場合があります。」
 「それでも続行いたしますか ?」

 

【アルフォンス】
 「もちろんだ!」
 「覚悟はできている。」

 

【AI】
 「よろしい。」
 「承認します。」

 

AIの音声案内が消えると、アルフォンスの体内にプローブが差し込まれ、ナノマシンが注入されてゆく。

 

全身に激痛が走るる

 

【アルフォンス】(,,゚Д゚)
 「ぐはっ!!」

 

【マリ】【ジャンヌ】(゚д゚)!
 「アル!!」

 

【アルフォンス】
 「だっ大丈夫だっ!!」

 

【マリ】【ジャンヌ】
 「し、しかし・・・。」


【フランシーヌ】(・o・)
 「あれ・・・相当に痛いらしいよ。」

 

【シャルロット】
 「そうなの ?」

 

【フランシーヌ】
 「私たちは通常覚醒だから痛みは感じないけれど、アルフォンスのような悪魔の能力を強制的に覚醒させる行為は全身に激痛が走るそうよ。」
 「開発メンバーはこの痛みに耐えられず亡くなるか、無事に乗り切った何名かは失神したそうよ。」

 

【シャルロット】
 「アルフォンスはどうなるの ?」

 

【フランシーヌ】(・o・)
 「頑張ってるわね。」
 「私、そっちの方に驚いたわ。」

 

【シャルロット】
 「アルフォンスに注入されたナノマシンの正体はなによ ?」

 

【フランシーヌ】
 「まぁ早い話が人体改造用のドーピングマシンってところかな ?」
 「私達とおなじ体質に変貌させるのに、身体能力を大幅に強化するように改造を行うの。」
 「まず最初は拒否反応を封じるために白血球をすべて抜き取り人間が持つ本来の免疫機能を停止させる。」
 「そのかわりにナノマシンが免疫機能を代行することになるわ。」
 「これは血液が体内を一巡すれば完了するわ。」
 「並行して脳内へインプラントを形成し、脳の未使用領域をいくつかの固有スキル専用の並列演算ユニットとして再構築するの。」
 「この過程は完了するのに数日掛かるけれど、悪魔契約は成立しているので
固有武装はもう具現化可能なはずよ。」

 

【シャルロット】
 「でも固有スキル用の演算ユニットがまだ未完成の状態じゃ、固有武装を具現化できても能力を発揮できないんじゃ ?」

 

【フランシーヌ】
 「まぁ見てみましょうよ。」
 「激痛を意識を保ったまま乗り切ったのだから何かやってくれるわよ。」
 「きっと♪」


【AI】
 「よく乗り越えましたね。」
 「おめでとうございます。」
 「貴殿は正式に悪魔として覚醒致しました。」
 「力を100%行使するにはまだ時間が必要ですが、今なら25%の能力で戦闘行動が可能です。」

 

【AI】
 「戦闘行動を開始しますか ?」

 

【アルフォンス】
 「勿論です。」

 

【AI】
 「了解しました。」
 「貴殿には悪魔契約の初回特典として固有武装 コンスタンス・ルージュ・ヴィ(真っ赤なコンスタンス) を進呈します。」


【フランシーヌ】
 さあ、貴方の力を見せてちょうだい。

 

【密輸組織 A】
 「よし、2機の動きが止まった。」
 「残る1機はトラブルか ?」
 「まぁいい! ヤツらをこのまま囲い込めっ!!」

 

【密輸組織 A】
 「たたみ掛けるぞっ! 残り全機も出せっ!!」

 

【密輸組織 B】
 「しかし、あれらの機体は納品用で傷をつけるワケには・・・。」

 

【密輸組織 A】
 「だまれっ!」
 「あと一歩でアレが手に入るのだっ!!」
 「アレさえ手に入れば、ブーメランの利益どころではない莫大な利益が手に入るんだぞ!」

 

【密輸組織 B】
 「りょ、了解ですっ!!」

 


【マリ】(,,゚Д゚)
 「くそ、ナノマシンが枯渇したっ!!」

 

【ジャンヌ】(-_-;)
 「ここまでか・・・。」

 

【アルフォンス】
 「待たせて申し訳ない。」
 「よく持ちこたえてくれました。」
 「あとはボクに任せて下さい。」

 

【マリ】【ジャンヌ】(*゚∀゚)

 「なんとかなりそうなの ?」

 

【アルフォンス】
 「ああ、悪魔契約は完了しました。」

 

【アルフォンス】
 「でわ、いくぞっ!」

 

【アルフォンス】
 「コンスタンス・ルージュ・ヴィ、出せるなっ!」

 

【AI】
 「勿論ですが、現在のナノマシン残量は最低ラインギリギリです。」
 「通常の5%の性能しか発揮できませんが宜しいですか ?」

 

【アルフォンス】
 「構うかっ!」

 

【AI】
 「了解しました。」

 

【アルフォンス】
 「顕現せよ! コンスタンス・ルージュ・ヴィ!!」

 




            ※1 AEDRS・・・武装緊急展開換装システム

 

 

 

 

 

 

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