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アトランティスの亡霊

Ghost of Atlantis

【1-11-5】マゼラン派遣隊

マゼラン派遣隊

【1-11-5】

 

EU某所 秘密豪邸。

 

【紛争投資家:ジョージア・ソレス】 (ノ`Д´)ノ彡

 「今後の宇宙産業を独占するのに必要な足がかりとなる重要拠点だぞ!!」
 「あそこを奪う為に、我々がいったいどれだけ投資したのか知っているのか ?」
 「民間人の安否など知ったことではない!!」
 「君たちは私が投資した分をキッチリと働いてもらわなければ困るんだよ。」

 


通信画像に映る老人から罵声が浴びせられ
その迫力に冷や汗を拭きながら米国大統領が応対するが、あまりの大声に通信アプリが自動的にボリュームを下げた。

 

【米国大統領】ヽ(;´Д`)ノ
 「しかしソレス様、我軍、そしてNATO軍含めて、総数25万の軍団の安否と状況を確認しないことには次に打てる手すら検討できません。」

 

【米国大統領】
 「その為にペンタゴンが総力を挙げて原因を調査している状況でして・・・。」

 

ジョージア・ソレス】ヽ(#`Д´#)ノ
 「我々の投資額に比べれば、たった25万の安否などどうでもよいわ!」
 「以前にも、先々代がロシアのウクライナ侵攻をお膳立てしてやったのに、ポロ負けしよったのではないのか ?」

 

【米国大統領】(ノ´□`)
 「ですが、あの紛争はメディア戦略による情報戦では圧倒的勝利を収めており、わが陣営には人的被害は出ていません。」

 

ジョージア・ソレス】ヽ(#`Д´#)ノ
 「一国の大統領ともあろう者が朝鮮人の精神的勝利のようなたわごとを抜かすな!」
 「オレンジ革命は結局はお前たちのヘマのせいで我々が本来手にするはずだった資源が1グラムも手に入らなかったではないか。」
 「あれが我が一族にどれだけの損害を与えたのか忘れたわけではなかろうな ?」

 

ジョージア・ソレス】
 「いいか、よく聞け。」
 「同じミスは二度とするな。」
 「もしあの拠点が手に入らないのであれば、その25万は最初から無かったものとして処分しろ。」
 「メディアさえ味方につければ、25万が消えたことくらいは誰も気に留めることはない。」


【米国大統領】m(_ _)m
 「はっ!! 仰せのままに。」

 

通信が切れると老人が深くため息をついた。

 

ジョージア・ソレス】
 「そろそろ、ヤツには退場してもらう時期かもしれんな。」
 「手筈を整えてくれ。」

 

【秘書】
 「はっ!!」

 


 

 

ロシア カザフスタン国境付近

ドイツとイタリア、そしてスペインから参加していた訓練生たちは
ウクライナナチス軍とNATO軍からなる連合部隊の後方支援と言う形でカザフスタンに滞在していた。


エミリア】┐(´д`)┌
 「しっかしなんで、せっかくの休暇をこんな何もないへんぴな場所で過ごさなければならないのよ。」

 

【アルビータ】
 「私達の任務は、カザフスタンの抵抗組織が入手したとされるハヤブサを見つけた場合、それらがテロ活動に使用される前に破壊する事よ。」

 

【カンピオーニ】
 「なにも俺たちでなくても良かったのによ。」

 

ヴィオレッタ】
 「ハヤブサとの模擬戦経験があるのは NATO 軍の中でも私たちだけですからね。」

 

【アグスティナ】
 「でも、ハヤブサって日本以外で運用している国って、ロシアだけなんでしょ ?」

 

【アルビータ】
 「ええ、そうよ。」
 「あとはアトランティス近衛隊ぐらいなものかしら。」

 

エルメス
 「国防部の話では、そのロシアがカザフスタンから撤退する際に、カザフスタンのテロ組織にハヤブサを無償で提供して撤退していったと言う説明だったわ。」
 「それが今、猛威を奮ってカザフスタン市民に危害を加えているって話よ。」

 

レオンハルト
 「学園と同型鬼とはいえ敵の手にわたっている以上は倒すべき敵。」
 「この新鋭機をもって全鬼を撃破するまでさ。」
 「来るならさっさと来なっ!!」

 

エルメス
 「誰が一番多くハヤブサを刈るか勝負よ! レオンハルト!!」

 

レオンハルト
 「望むところさっ!!」

 

【アルビータ】(-_-;)
 「二人とも落ち着きなさいっ!」
 「私たちの任務は先制攻撃ではないのよ。」

 

エルメス】o(^o^)o    
 「わかってるわよ!」

 

レオンハルト
 「あくまで、テロリストどもにハヤブサが渡っている事が確認できれば排除するって話だろ ?」

 

【アルビータ】(-_-;)
 「わかっているならよろしい。」

 

【アグスティナ】
 「その為の対抗手段として最新鋭機 Type-2000 ファルコ の貸与ってワケね。」

 

【アルビータ】
 「学園でハヤブサを使用している私達なら相手の性能も熟知しているし、新型機の経験値を上げるにはもっとこいと判断したのでしょうね。」

 

【アルビータ】
 「ただ、気に食わないのは、ウクライナナチス軍とNATO軍による現地の連合部隊の作戦には一切関わるな、見たことを口外するな、ただハヤブサを狩ることのみに専念しろ・・・と言う命令よ。」

 

【カンピオーニ】
 「まったくだ。」
 「ヨーロッパから遠路はるばるわざわざあんな大軍団を派遣して・・・。」
 「絶対に何かを隠してやがるぜ。」


【アルビータ】
 「さぁ、私達も シュヴァルベ(Type-262) のチェックを済ませておくわよ。」
 「機材を万全にしていつでも出れる状態にしておくのよ。」

 

エルメス】【レオンハルト
 「了解!」

 

【カメーリア】
 「じゃ、私達もチェックしておきますか。」

 

 


 

NATO フランス代表チーム


密輸組織と交戦中に正規悪魔に覚醒したアルフォンスがその力を発揮しようとしていた。

 

【アルフォンス】
 「このボクが正規悪魔の力をきちんと制御できるか、お前たち(密輸組織)で試させてもらうぞっ!」


ナノマシンの起動詠唱によりナノマシン残量すべてを使ってコンスタンス・ルージュ・ヴィを発動させるアルフォンス。


【シャルロット】
 「だ、大丈夫かしら・・・。」

 

【フランシーヌ】
 「残量がない上にスキルの初回起動ですからね。」
 「少し時間掛かるのはムリもないか・・・。」
 「でも、これを乗り切ったら彼はホンモノよ。」

 

【シャルロット】
 「ええ、そうですわね。」

 

【AI】
 「コンスタンス・ルージュ・ヴィ、生成プロシージャ、ビルド完了!」
 「ナノマシン残量とバッテリー不足によるワーニングが2件のみでエラーはなし。」
 「つづいて、デプロイ開始」
 「コンスタンス・ルージュ・ヴィ、顕現プロトコルを開始します、構えてください。」


【アルフォンス】
 「了解っ!」

 

【マリ】(゚д゚)!
 「構えに入った。」

 

【マリ】(-_-;)
 これがニッポンで言うところのチュウニビョウってヤツね・・・。
 たしかに恥ずかしいポーズだわ。

 

アルフォンスのオーバーリアクションにマリが固まる。

 

【ジャンヌ】ヽ(=´▽`=)ノ
 「ぉぉっなかなかかっこいいではないか!」

 

【マリ】(,,゚Д゚)
 ええっ!? マジかよ。

 

【ジャンヌ】
 「貴方の新技を見せてもらうわ。」

 


 

【密輸組織 B】
 「増援が到着しますっ!」

 

【密輸組織 A】
 「よしっ相手の動きが止まっているうちに体制を立て直して攻撃を再開しろっ!」

 

【密輸組織 B】
 「了解しましたっ!」

 


 

アルフォンス機の周囲にナノマシン特有の黒い靄が発生すると、それは構えた腕に集まりだし次第に剣の形に姿を変えていった。

 

【AI】
 「コンスタンス・ルージュ・ヴィ、顕現完了!」
 「戦闘可能状態へと移行します。」

 


 

【密輸組織 A】
 「く、空中から剣が現れただと ?」
 「そんな馬鹿な!」

 

【密輸組織 A】
 「総攻撃を開始しろっ!!」
 「まずはあの空中から剣を出したアイツから殺れっ!」
 「あの力はなんとしても奪いとれっ!!」

 

【密輸組織 B】
 「了解っ!」

 


 

再び銃撃に晒されるアルフォンスたち。
しかしコンスタンス・ルージュ・ヴィを具現化した事で、その剣を振るうのに最適なパラメータへとリセットされており運動性能が格段に向上した。
ただ、その分バッテリーの消費率が上昇してしまう欠点も存在していた。

 

【ジャンヌ】
 「おーーー動きが良くなってるじゃんっ!」

 

【マリ】
 「いい動きするじゃないの!」
 「あの妙なポーズは伊達ではないわね。」

 

【アルフォンス】
 「なにか言った ?」

 

【マリ】(・o・)
 「ぁっ、いいえ、なんでもないわ!」

 

【アルフォンス】
 「今まで足を引っ張ってゴメン。」
 「これからは大丈夫っ!」

 

【アルフォンス】
 「けれど、バッテリーの残量はヤバイから、一気にカタつけるよ」

 

【マリ】【ジャンヌ】
 「了っ!」

 

悪魔の格付けが3人とも揃った事で、連携密度が一気に上昇し、バッテリーの残量不足を補って余りある戦闘力を発揮するアルフォンスたち。
ブーメランを瞬く間に撃破していく。

 


 

【密輸組織 A】
 「せ、戦闘力が上がっただと ?」
 「何が起こっているのだ!?」

 


 

【フランシーヌ】
 「悪魔はね、チーム全員の格付けが揃うと各自のそれぞれの戦闘力が底上げされるのよ。」

 

【シャルロット】
 「格付けブーストってヤツね。」(※1)


【ジャンヌ】
 「私は左翼の敵を受け持つから、マリは右翼をお願いね」

 

【マリ】( ̄ー ̄)b
 「わかったわ!」

 

【アルフォンス】
 「じゃ、ボクは真ん中の主力をっ!!」

 

ユーロファイアーは防御陣形を解いて散開すると、掃討戦へと移行した。

 


 

【密輸組織 A】
 「この期に及んでなんて底力だ。」
 「まだ余力を残してやがったのか!」
 「押されるなっ!!」


しかし、コンスタンス・ルージュ・ヴィの切れ味は鋭く瞬く間に残骸の山を築く。

 


 

【マリ】(,,゚Д゚)
 「電力の残存率が1%を切りましたっ!!」

 


 

【密輸組織 A】
 「圧倒的な戦闘力の差をひっくり返すだと !?」
 「あり得んっ!!」
 「こんなことは認められないっ!」

 

【密輸組織 B】
 「退避してくださいっ!」
 「今逃げればまだ組織の再興はできますっ!」

 

【密輸組織 A】
 「ぐぐっ・・・!!」

 

部下に促され、脱出を図る密輸組織だったが、偽装していたアジトから急遽増援を繰り出した時の位置特定の隠蔽が不十分だったためエアースペシャル社の早期警戒機に信号が逆探知されていた。

 

密輸組織は徹底的なミサイル攻撃を受けて壊滅し、残存していたブーメランはコントロールを失い活動を停止した。

 


 

【マリ】
 「動きが止まったわ」

 

【ジャンヌ】
 「降伏したのかしら ?」

 

と、同時にコンスタンス・ルージュ・ヴィも形状崩壊を起こして消滅した。

 

【アルフォンス】
 「電池残量ゼロ。 ここまでか・・・。」
 「ですが、油断は禁物です。 引き続き警戒体制を維持してください。」
 「帰還用の緊急バッテリーは残っているな?  帰るぞ!」

 

【マリ】【ジャンヌ】ヽ(=´▽`=)ノ
 「了!」

 

【シャルロット】
 「あのコンスタンス・ルージュ・ヴィの活躍、もう少し見ていたかったわね。」

 

【フランシーヌ】
 「稼働に必要な電池の残量が足りなかったわね。」
 「でも力を手に入れたのは大きな成果よ。」

 

【フランシーヌ】
 「にしても、ナノマシンが枯渇状態でもあの威力。」
 「とても楽しみですわね。」
 「使いこなせるように明日から特訓しなきゃね。」

 

【シャルロット】(,,゚Д゚)
 「私も付き合うの ?」

 

【フランシーヌ】(-_-;)
 「当たり前よ!」

 

【シャルロット】┐(´д`)┌
 「やれやれ・・・」
 「まぁ、いいわ。」


そこへ、極秘の緊急速報が舞い込んできた。

 

【フランシーヌ】
 「そんな大慌てで、何があったの ?」

 

【エアースペシャル社エンジニアA】
 「NATO軍のカザフスタン侵攻部隊との連絡が途絶えているそうです。」

 

【シャルロット】
 「侵攻部隊って自称、カザフスタン解放連合チームって言ってたアレ ?」

 

【エアースペシャル社エンジニアA】
 「ええ、我々は侵攻部隊と呼んでおります。」


【フランシーヌ】
    シャルロットさんのお父さまが以前にお話しされていた懸念が現実にならなければいいのだけれど・・・。

 

【エアースペシャル社エンジニアA】
 「我が社の偵察衛星もつい15分前に市上空を通過した際に衛星からの通信が途絶え、通過後に再び通信が復旧したのですが、その間の記録がまったく残っておりませんでした。」
 「現地で何が起こっているのかまったく状況がわからない状態です。」

 

【エアースペシャル社エンジニアA】
 「とりあえず、彼ら共々ユーロファイアーを回収に向かわせますので、全員が集合したところで改めてその時点で判明している事象について連絡いたします。」

 

【フランシーヌ】
 「ええ、そうして頂戴。」

 

 


 


アトランティス艦隊、近衛隊専用港


【おみくじ】
 「そろそろ出発ですね。」

 

【オカちゃん】
 「わざわざ見送りに来てもらってすいません。」

 

【おみくじ】
 「教官が見送りに来られない事をとても残念がってましたよ。」

 

【セッちゃん】
 「仕方ありませんわ。」
 「このドッグは近衛艦隊専用なので月面との往来が厳しく制限されていますからね。」

 

【おみくじ】
 「ボクたちは任務のためにこのドッグを出入りしていたから、たまたま見送りにこれたってワケさ。」


【トミちゃん】
 「そういえば、ナナとは話はできたの ?」

 

【セッちゃん】
 「今朝、ナノリンクで通話できたから大丈夫よ。」

 

【トミちゃん】
 「彼女に料理のイロハを徹底的に仕込んだらしいわね。」

 

【セッちゃん】
 「男の心を掴むのは胃袋から、って言うじゃない♪」

 

【トミちゃん】
 「そうよね。」

 

【セッちゃん】
 「あっと言う間に上達したわ。」
 「恋のチカラってすごいわ。」

 

【おみくじ】
 「ところで、スゴイ巡洋艦ですね。」
 「今回の任務のために特別に改装されたんだって ?」

 

【オカちゃん】
 「ええ、マゼランへ行くにはアンドロメダ艦隊が進出してきている宙域を通過する必要があるし、それ以前に本来は味方であるはずのアトランティス艦隊にも秘匿しなければならない任務なので味方の艦隊にも知られるワケにはいかないのよ。」

 

【オカちゃん】
 「重力ジャンプを行うと重力変動波を感知されて追撃を受ける危険が大きいので亜光速ドライブだけで光速以上の速度にまで加速させる必要があるわ。」
 「で、その任務に最適なフネとして、この衣笠が選ばれたって事なのよ。」

 

【おみくじ】
 「へぇ。」
 「たしか昔、太平洋戦争を戦った旧日本海軍巡洋艦にも衣笠ってフネがあったらしいね。」
 「非公式記録で60ノットと言う快速を記録した伝説が残っているね。」

 

【オカちゃん】
 「あら、よく知ってるわね。」
 「その通りよ。」
 「このフネは特別に大型戦艦用に開発されたPHCICE型(※2)の亜光速ドライブを8基も搭載してあって、その伝説に見劣りしないくらいの快速を記録することが期待されているわ。」

 

【トミちゃん】
 「狂気ね。」
 「戦艦用動力をブースター代わりに使って加速するのでしょ ?」

 

【オカちゃん】
 「まぁ簡単に言えばその通りね。」
 「味方のアトランティス艦隊の追撃をも振り切れるように加速開始からおよそ8時間で光速に達するように設計されているわ。」
 「艦隊がコッチの亜光速ドライブの熱源を探知して追跡を開始する頃には光速に達するわ。」

 

【オカちゃん】
 「そして、光速巡航ののち、安全地帯に達すれば重力ジャンプを行う計画よ。」
 「マゼラン宙域に入れば私達のフネを発見したとしても、マゼランとアンドロメダ双方の不可侵条約により守られるからアンドロメダはこのフネには手出しができなくなるのよ。」

 

【トミちゃん】
 「8時間も加速に耐えなければないないのね・・・。」
 「筋肉痛に悩まされそうだわ。」

 

【オカちゃん】
 「それより、あちらは、あなた達が任務で使用するフネでしょ ?」
 「ずいぶんと大きいわね。」

 

【トミちゃん】
 「ええ、手前から順に大和級 2番艦の武蔵、3番艦の信濃、4番艦の紀伊に、それから一番奥は5番艦の尾張ね。」

 

【セッちゃん】
 「5隻も存在するの ?」
 「・・・ズゴイわね・・・。」

 

【セッちゃん】
 「しかし、あまりに大きすぎて、全体が見えないわね。」

 

【おみくじ】
 「これらのフネは、フクちゃんも設計に参画したらしいんだぜ。」
 「アンドロメダ陣営の基幹クラスに対して近接格闘戦が可能な戦艦らしいぜ。」

 

【セッちゃん】
 「き、近接格闘戦ですって !?」
 「それはスゴイわね。」

 

【オカちゃん】
 「フクちゃん、見た目は地味な割には腕は一流らしいわね。」
 「諜報業界の間でも有名人よ。」

 

【セッちゃん】
 「ね、それより、あのフネ。」
 「近衛隊の騎旗だけでなく、学園旗まで掲げられているのは何故 ?」

 

【トミちゃん】
 「それは、このフネは学園の費用で建造されたからよ。」
 「だから衣笠と同じドッグに係留されているってワケ。」

 

【セッちゃん】
 「ビンボーしている学園にそんな巨費あったのかしら ?」

 

【トミちゃん】
 「生徒会会計を担当しているノブちゃんがトレードの運用で捻出した資金を使って建造したのよ。」
 「あの戦艦1隻で、日本の国家予算1年分に相当するらしいわよ。」

 

【セッちゃん】
 「ノブちゃん・・・地味にすごいわね。」
 「サッチに夜這いをかけるただの変態だと思っていたわ。」

 

【おみくじ】
 「とは言え、人件費を抑えるため見た目の巨体の割には省力化がすすんで数十人で動かせるらしいぜ。」
 「なんだかんだ言っても人件費というラニングコストは地味に馬鹿にならん。」
 「それに、大勢のクルーを乗せて格闘戦なんかできないのもあるんだろうし。」

 

【トミちゃん】
 「さて、そろそろ出発の時間ね。」
 「任務頑張ってね!」

 

【トミちゃん】
 「無事に帰ってくるのよ!」
 「絶対に!」

 

【セッちゃん】
 「二人も元気でね。」

 

【オカちゃん】【セッちゃん】
 「ええ。」

 

【オカちゃん】
 「でわ、行って参ります!」

 

【おみくじ】【トミちゃん】(^_^)/~~~
 「いってらっしゃい。」


「衣笠」とネームの入った乗艦タラップに歩みを進めるオカちゃんとセッちゃんにおみくじたちは敬礼で見送った。
タラップが艦内に収納されると、送迎エリアは閉鎖され「衣笠」は発進シーケンスに入った。


【おみくじ】
 「さて、我々もさっさと戻るとするか。」
 「セパハサーラール のオヤジが寂しがるからな。」

 

【トミちゃん】
 「そうね。」

 

衣笠は盛大な見送りを受けることなく、ひっそりと極秘任務の旅へと出発した。

 

 


 

ウクライナナチス軍、NATO軍、カザフスタン侵攻作戦合同作戦本部

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「市内中心部に進駐している部隊からの連絡はまだか ?」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 少佐】
 「依然として通信が途絶えたままです!」
 「偵察ドローンを飛ばしてもすぐに行方不明となり情報を得る手がかりがありません。」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「偵察衛星はどうした ?」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 少佐】
 「上空を通過する衛星は民間用を除いてすべて破壊されている模様です。」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
    くそ、一体どうなってやがる・・・。
 「引き続き、現地部隊との連絡を試みつづけろ!」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 通信オペレーター】
 「さらに報告です。」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「今度はなんだ! ?」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 通信オペレーター】
 「ペンタゴンからの連絡が途絶えました。」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「な・・・んだと ?」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 通信オペレーター】
 「わが軍は完全に孤立しています。」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
    なんてことだ。
    ロシア軍は撤退したのではないのか?
    どこかに潜伏して反撃の隙を伺っていたのか ?
    いや、我々は街中くまなく残党がいないかをチェックはした。
    ・・・と言うことは国境の外からの大規模攻撃かっ!?

 

【侵攻作戦合同作戦本部 通信オペレーター】
 「連絡が途絶えている市内に進駐している部隊を除いては、幸いなことに全軍との通信が生きています。」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 少佐】
 「報告のあった3名の幼女からの要求はどうされますか ?」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「こっちは忙しいんだ!!」
 「ガキの遊びに付き合っている暇など無い!」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「郊外で待機している戦車1個大隊を大至急市内へ入れろ!」
 「状況を確認してすぐに連絡をよこすんだ。」


【侵攻作戦合同作戦本部 少佐】
 「しかし、その戦車部隊の進路上にその幼女たちが立ちはだかっており、要求を飲まないと破壊すると言って進路を譲る気配がありません。」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「まったくこの忙しい時に・・・。」
 「その嬢ちゃんたちはなんと言ってるんだ ?」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 少佐】
 「我が部隊によるカザフスタンにおけるロシア系住民の民族浄化作戦の速やかな中止と、バイコヌール港の無条件返還・・・だそうです。」
 「戦闘行為とみなした場合は決して容赦はしない・・・とのことです。」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「本当にそう言ってるのか ?」
 「およそガキとは思えんセリフだな。」
 「誰かに言わされているとかはないのか ?」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 少佐】
 「そう報告を受けているだけなので詳細まではわかりません。」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「わかった。」
 「構わん。」
 「戦車部隊を向かわせろ。」
 「そのガキども威嚇しても逃げないようなら撃っても構わん。」
 「友軍の安否確認を優先させろ!」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 少佐】
 「し、しかし、相手は子供ですよ!」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「いいか、子供に爆弾くくりつけて戦車に接近させるのは、貧乏戦闘組織の常套手段だ。」
 「相手が子供であろうと殺らなければ、我々が殺られるんだぞ!!」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 少佐】
 「いや、メディアが見てます。」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「メディアは我々の味方だ。」
 「画像なんていくらでも加工できる。」
 「2023年のウクライナは、我々NATO軍は戦闘では負けはしたがメディア戦略では圧倒的に勝利した。」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「近代戦で我が国民が求めるのは "事実" などではない。」
 「 "彼らの望む結果" を提供できる者が勝者となるんだ。」
 「真実か否かは重要ではない。」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「わかったなら、直ちに戦車を差し向けろ!」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 少佐】
 「了解!!」

 


 


NATO カザフスタン派遣隊 ハヤブサ破壊チーム

 

レオンハルト】(・_・)
 「ん ?」

 

【アルビータ】
 「どうした ?」

 

レオンハルト
 「いや、偵察ドローンが妙なものを捉えた。」

 

【アルビータ】
 「妙なもの ?」

 

レオンハルト
 「ああ。」
 「NATOの戦車部隊が、街に入ろうとしているのだが、3人の幼女が進路上にいて、戦車の行く手を遮っているのだ。」

 

【アルビータ】(-_-;)
 「ああ、アメリカがテロリスト育成でよく使う子供爆弾ってやつか。」

 

【アグスティナ】(ノ´□`)ノ
 「ちょっ、それはヤバくね ?」

 

レオンハルト
 「まぁ、たしかにヤリ口は似てはいるが、ただ、ちょっと様子が変だ。」

 

【アルビータ】
 「私も確認したい。」
 「ナノリンクで送信画像を共有させてくれ。」

 

レオンハルト
 「わかった。」
 「ただ AP が無い上、支給されているナノサブスタンスに限りがあるため、その影響で片方向のみの送信になるが、そこは我慢してくれ。」

 

 


 

ウクライナナチス軍、NATO軍、カザフスタン侵攻作戦 治安維持部隊

 

【治安維持部隊 中尉】
 「ちっ」

 

【治安維持部隊 少尉A】
 「どうでした ?」

 

【治安維持部隊 中尉】
 「撃てだとよ。」


【治安維持部隊 少尉A】
 「正気ですか ?」
 「相手は子供ですよ!」

 

【治安維持部隊 中尉】
 「ああ、それでも撃てだとさ。」

 

【治安維持部隊 中尉】
 「最初は威嚇し、それでも逃げないようなら当ててもいいとさ。」

 

【治安維持部隊 少尉A】
 「随伴のメディアが居るんですよ。」

 

【治安維持部隊 中尉】
 「そのメディアがなんとかしてくれるってさ。」

 

【治安維持部隊 少尉A】
 「まったくどうかしてますね。」

 

【治安維持部隊 中尉】
 「そうだな。」

 

【治安維持部隊 中尉】
 「とりあえず、25mmを 10mくらい左に撃って威嚇してやれ。」

 

【治安維持部隊 少尉A】
 「了解。」


戦闘装甲車の25mm機関砲を狙いを外して短時間だけ威嚇射撃するように指示をだすと
3人の幼女たちの左側15mの離れた場所で土煙が上がった。
当たらなかったことに射撃手は内心安堵した。

 


 

【悪魔 A】
    25mm発砲を確認。
    敵対行動と断定。

 

【悪魔 B】
    交渉は決裂ね。

 

【悪魔 C】
    敵勢力の強制排除を開始します。

 

【悪魔 A】
    ナノシールド展開。

 

【悪魔 B】
    私は半径100km の敵対勢力を探査するわ。
    データリンクしていいわよ。

 

【悪魔 A】
    了解。
    脅威度算定開始。
    掃討戦を準備します。

 

【悪魔 B】
    了解!
    攻撃の準備が整うまで、私達が守るわよ。

 

【悪魔 C】
    敵の攻撃をすべて防ぎ切るわよ。
    いいわね。

 

【悪魔 B】
    さあ、くるならいつでも来いですわ。

 

 


 

ウクライナナチス軍、NATO軍、カザフスタン侵攻作戦 治安維持部隊

 

【治安維持部隊 少尉A】
 「くそ、逃げないか。」
 「洗脳されているなら無理はないか・・・。」

 

【治安維持部隊 中尉】
 「仕方あるまい。」

 

【治安維持部隊 中尉】
 「真ん中の子だけを狙うんだ。」
 「1発で仕留めるんだ。」
 「それで他の娘が驚いて逃げてくれれば犠牲は1名で済む。」

 

【治安維持部隊 少尉A】
 「り、了解。」

【治安維持部隊 少尉A】
 「撃てっ!!」


しかし、1発だけ放った25mm弾はシールドに弾かれてしまった。


【治安維持部隊 中尉】
 ふ、防がれただと ?

 

【治安維持部隊 中尉】
 「シールド・・・なのか ?」
 「あれが噂に聞く悪魔・・・というヤツか。」

 

【治安維持部隊 中尉】
 「なるほど・・・ただのガキではないと言うことか・・・。」

 

【治安維持部隊 中尉】
 「悪魔が相手であれば話は別だ。」
 「今度は連射だ。」

 

【治安維持部隊 少尉A】
 「もうどうなってもしりませんよ!!」

 

子供に機関砲が着弾する光景を見たくない射撃手は目をつぶってトリガーのボタンを押した。
大型機関砲弾の着弾の爆風により砂塵が舞い上がる。

 

 


 

NATO カザフスタン派遣隊 ハヤブサ破壊チーム

 

エミリア】ヽ(#゚Д゚)ノ    
 「子供に発砲した!!」

 

【アグスティナ】ヽ(#゚Д゚)ノ    
 「止めないとっ!!」

 

【アルビータ】(-_-;)
 「いや待てっ!!」
 「様子が変だ。」


【アルビータ】
 「気圧が急激低下している・・・。」

 

【アルビータ】
 「低気圧が通過しているのか ?」

 

【カメーリア】
 「いえ、NATO軍の気象システムではそんなデータ流れていません!」

 

【アルビータ】
 「では、いま低気圧が発生したのか ?」

 

【カメーリア】
 「データではそのようになっていますが、気象観測データではそのような兆候は観測されていません。」

 

そこへ、何者かがナノリンクネットワークへ侵入してきた。

 

【悪魔 A】
    立ち去れ。

 

【アグスティナ】(゚д゚)!
    だっ誰だっ!!

 

エルメス
 「何者かが我々の通信に侵入していますっ!!」

 

レオンハルト】(,,゚Д゚)
 「これはアトランティス艦隊のナノリンクだぞっ!!」
 「どうやって回線へ侵入した!?」

 

【アルビータ】
    偵察ドローンの通信システムが乗っ取られた ?
    いや、それだと通信相手がドローンとなるが、
    ドローンからは観測データしか流れてこない・・・。


【悪魔 A】
    お前たちには関係のないこと。
    今すぐにこの場から立ち去れ。

 

ヴィオレッタ】
    答えろっ!!
    貴様は何者だっ!!
    どこから侵入した ?

 

レオンハルト
 「ナノリンクの有効通信範囲は狭い上に、NATO軍専用の暗号パケットだぞっ!!」
 「すぐ近くにいる筈だっ!!」
 「探せっ!!」

 

エミリア
 「いえ、半径30km圏内は私達のみですっ!!」

 

エルメス
 「では・・・どこから ?」

 

ヴィオレッタ】(,,゚Д゚)
 「あっ、あれを」


指差す方向を視線を向けると、戦車部隊に立ちはだかる幼女たちの上空に巨大な積乱雲が発生していた。

 

【アルビータ】
 「あの雲・・・異常だな。」


【カンピオーニ】
 「観測ドローンからデータが入ってる。」
 「解析してみるから待ってろ!」

 

【カンピオーニ】
 「観測地点までだいぶ距離が離れているが・・・、推定気圧が 760hPa(ヘクトパスカル)」
 「最大瞬間風速 に、210km ・・・だと ?」
 「マジ・・・かよ。」

 

【カンピオーニ】
 「さらにドローンから新しい情報をよこしてきたぞっ!」

 

【カンピオーニ】
 「ナノマシン反応だとっ!?」

 

【カンピオーニ】
 「どうやら、あの積乱雲は、ナノマシンの雲のようだな。」

 

【アルビータ】
 「なんだとっ!!」

 

エルメス】(,,゚Д゚)
 「あれが全部ナノマシンと言うのか ?」

 

【カンピオーニ】
 「ああ、莫大なエネルギーが塊となっているようだ。」

 

ドローンたちから送られてくる画像を拡大してみるがノイズが多くてよくわからない。

 

ヴィオレッタ】
 「あの娘たち、カラシニコフさんたちに似てない ?」
 「たしかロシアに家があるって言ってなかったっけ ?」

 

【カメーリア】
 「うん、たしかによく似ているわね。」

 

【アグスティナ】
 「でも、髪の色が違うわ。」
 「別人よ。」

 

エミリア
 「では、あの娘たちは何者なの ?」

 

【カメーリア】
 「そんなことしるかよっ!!!」

 

レオンハルト
 「ドッペルゲンガーか・・・気色悪いな・・・。」

 

レオンハルト】(´ε` )
 「同じ顔がこの世に6人もいるのか・・・。」

 

エルメス】┐(´~`;)┌
 「姉妹はドッペルゲンガーに含めるのか ?」

 

【アルビータ】ヽ(#`Д´#)ノ
 「そんなどうでもいい話はあとにして!!」

 

【カメーリア】(-_-;)
 「戦場に来てまでふざけてるんだな。 あの二人は。」
 「アンタも苦労するね。」

 

【アルビータ】(-o-;)
 「ええまぁね。」


レオンハルト
    くそっ!!
    ノイズが多くて画像が荒いなっ!!
    直接対戦車ライフルのスコープで見てみるか。
    これならドローンの画像より鮮明に見えるかも。

 

しかし暑さによる大気のゆらぎと、発生した強大な低気圧による空気の乱れにより
ドローンの画像よりは多少鮮明になっただけだった。

 

レオンハルト
    やっぱこれだけの距離では見えづらいな。
    AIで補正掛けてみるか。

 

脳内アプリによる画像処理を通して、ようやく鮮明に見えたが、余計にカラシニコフ姉妹に似ているように思えた。

 

そして、そのうちのターニャ似の娘と視線が合った。

 

レオンハルト】(゚д゚)!
 「ひっ!!」

 

エルメス】(# ゚Д゚)
 「どうした!?」

 

レオンハルト】(゚д゚)!
 「視線が合った・・・。」

 

エルメス】┐(´~`;)┌
 「いやいや、冗談はよせ。」
 「ココまでどれだけ離れていると思っているんだ ?」

 




            ※1 格付けブースト・・・悪魔は格付けが統一されると
                使用するナノマシンの融通やマネジメントを初め、
                火器管制や鬼体制御等の演算処理が単鬼ではなく
                複数で並列処理が可能となり、その結果、
                戦闘能力が飛躍的に上昇する現象の事を指し、
                場合によっては1ランク上の格付けに匹敵する戦闘力に迫るケースがある事が報告されている。
                マスター演算を誰が担当するかによって最適化される能力や上昇率が異なってくる。

 

            ※2 PHCICE型・・・プラズマ多重ヘリカル式コンティニュー・インターミタント・コンバインド・エミッション方式
                核融合で発生する膨大なエネルギーを間欠的に連続放出する事で推進力を生み出す、
                大型艦艇用の大出力亜光速ドライブの一つ。
                高出力が得られるがサイズも大きく、しかもクラスター制御も複雑になるため、大型艦でしか採用されていない。

 

 

 

 

 

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