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アトランティスの亡霊

Ghost of Atlantis

【1-12-1】高速巡洋艦「衣笠」の冒険

高速巡洋艦「衣笠」の冒険

原作イラスト提供 笹倉先生【きゅーぶ先生】
 

【1-12-1】

 

NATO カザフスタン派遣隊 ハヤブサ破壊チーム

 

レオンハルト
 「推定クラスは、"サタン"!!」

 

【アルビータ】(,,゚Д゚)
 「さ、サタンだとっ!?」

 

【アルビータ】
 「サタンが降臨してくるとは聞いていないぞっ!!」
 「最強の最上位悪魔ではないかっ!! しかも3匹同時に!!」
 「なにかの間違いではないのか ?」

 

レオンハルト】ヽ(`д´;)ノ 
 「そんな事言われても、知らないわよ!」
 「ドローンからのデータを何度分析やり直しても、シュヴァルベのAIはサタン・クラスだと評定するのよ。」

 

【アルビータ】
 「あの小娘たちがサタン・クラスだと言うのか ?」

 

レオンハルト
 「手持ちの機材だけでは詳細な分析は困難ですが、現在のこれらの状況からしてそうとしか・・・。」
 「もしサタンであれば、あれだけの距離をこちら側のナノリンクを、しかもNATO軍秘匿回線を容易に突破できるのも納得がいきます。」

 

【アルビータ】
 「サタンとはさすがに飛躍しすぎだな。」
 「ネットワークが断線している状況での分析だから、シュヴァルベのAIが誤判定するのも無理はない。」
 「調教もまだ完全には終わってはいないからな。」
 「とは言え、たしかに高度な能力を見せつけたあの実力は、我々より上位クラスである事は確かだ」

 

エルメス
 「もし最上位種だとしたらベリアルの私たちが束になっても到底太刀打ちできませんし、そもそも立場上アイツは我々の友軍であり上官でもあります!!」
 「どうします ?   撤退しますか ?」
 「ここで最新鋭のシュヴァルベを失うワケにもいきません!」

 

【アルビータ】
 「いや、撤退は司令部から許可が出ていない。」
 「このまま監視を続ける。」
 「その為に与えられた隠密鬼だ。」

 

【アルビータ】
 しかし、おかしい・・・一体全体どうなっているというのだ ?
 我々ベリアル級ですら、艦隊要員の僅か 1%しか占めていないと言う事になっている。
 ましてや上位種のサタン級だとすればアトランティス陣営全体でも、たった10匹くらいしかいないと噂されている。
 そのうちの3匹が同時に現れるなど・・・。

 

 


 

 

ウクライナナチス軍、NATO軍、カザフスタン侵攻作戦 治安維持部隊

 

突入部隊は激しい暴風に襲われ大混乱に陥っていた。

 

【治安維持部隊 中尉】
 「くそっ!!」
 「あの魔女めっ!!」

 

【治安維持部隊 少尉A】
 「悪魔ですっ!!」

 

【治安維持部隊 中尉】
 「どっちでもいい!」
 「ヤツにこの嵐を止めさせろ!」

 

【治安維持部隊 少尉A】
 「どうやってですか ?」

 

【治安維持部隊 中尉】
 「知るかっ!!」

 

【治安維持部隊 少尉A】
 「むちゃ言わんでください!」


そこへ立て続けにダーーーンと雷が落ち、混乱に拍車をかける。
落雷を砲撃による攻撃と勘違いした兵士たちが我先にと発砲する。

 

【治安維持部隊 中尉】
 「だれが発砲を許可したっ!!」
 「やめさせろっ!!」

 

【治安維持部隊 少尉A】
 「ダメですっ!!」
 「無線が使えません!!」


撃ち放った無数の砲弾や銃弾が、3人の幼女に降りかかるが結界に防御され、ことごとく弾き返されていった。
それは幼女たちには攻撃と断定され、ただちに幼女たちの反撃が開始された。

 

 


 

【悪魔 B】
 「ふーーーーん・・・よくわかりましたわ」
 「地球人が歯向かうというのならやむを得ないわね。」
 「私は左翼を殺るからあなたは右翼を担当ね。」

 

【悪魔 C】
 「わかったわ。」

 

【悪魔 C】
 「あなたは運動オンチと言う設定なのだから、ここから絶対に動いてはダメだからね!!」
 「その代わり、ここですべての敵勢力をマーキングして私たちにリンクしてちょうだい。 いいわね ?」

 

【悪魔 A】
 「うん、わかった。」

 

そして、2人の幼女たちは散会すると瞬く間に、突入部隊の戦車を破壊してまわり、
一方的な殺戮が終了すると吹き荒れていた暴風も収まり静まり返る。

 

 


 


NATO カザフスタン派遣隊 ハヤブサ破壊チーム

 

エミリア】(,,゚Д゚)
 「す、すごっ!!」

 

【アグスティナ】
 「あれが上位種・・・。」

 

【アルビータ】
 「あれだけの戦車部隊をたった30分で全滅させただと・・・。」

 

ヴィオレッタ】(^◇^)
 「ま、まぁ、私たちだって、この新型鬼であればあれだけの数なんて頑張ればなんとかなるわよ!」

 

【カメーリア】
 「しかしハヤブサが迎撃に出てくると思っていたのだが・・・。」

 

【カンピオーニ】
 「気配がありませんね。」

 

【アルビータ】(-_-;)
 「隠していても遅かれ早かれ発見されるのだから温存する意味などないのだが、この状況になっても出てこないところを見ると本当に無いのかもしれんな。」

 

エルメス
 「無い証拠が出せないなら、それはあるって事だっ・・・と言って戦争をふっかけるのはアメリカの常套手段ですからね。」

 

レオンハルト
 「目的は最初から戦闘だから、無かったとしても不思議ではないでしょ。」

 

エミリア
 「出てこないのなら我々の出番はありませんね。」

 

【アルビータ】
 「私としては、このシュヴァルベの能力がハヤブサ比でどれくらい優れているかを知るチャンスだったのにな。」

 

エミリア
 「学園のハヤブサは制約が掛かってるからね。」

 

【アルビータ】
 「そうだな。」
 「だから、ここではリミッターのない真のハヤブサと言うものと戦えると思って来てみたのだが・・・。」

 

【カンピオーニ】
 「それは剣術に特化した我々のファルコも同様ですよ。」
 「内心、すごく楽しみにしていたんですがね。」

 

レオンハルト
 「ま、成果が無くても給料がもらえるのが国家公務員のいいところですけどね。」

 

エルメス
 「まぁねぇ。」

 

【アルビータ】(-_-;)
 「やれやれ・・・ドイツ市民が聞いたら怒るぞ。」

 

【アルビータ】
 「と、ともかくだ、上位種が出てきたのであるのなら、もうハヤブサどころではない。」

 

レオンハルト
 「そうだね。」

 

 


 


ウクライナナチス軍、NATO軍、カザフスタン侵攻作戦合同作戦本部

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】

 「突入部隊が全滅しただと !?」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 少佐】
 「はい、報告によると、例の幼女たちの仕業のようです!」
 「分析結果によると、正規悪魔と呼ばれる生体兵器ではないか・・・との事ですっ!!」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「正規悪魔だ・・・と ?」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 レポートを読んだことがある。
 正規悪魔はナノマシンと言う高度なテクノロジーを使って我々の先進兵器よりも圧倒的に優位な戦いをすると。
 通常では考えられないその尋常ならざる戦闘力から「悪魔」と呼ばれる・・・と。

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 そして、その対する勢力は「神」と名乗り、それらも我々の想像をはるかに超えるテクノロジーを駆使してアンドロメダ銀河を統治している・・・とも言われている。
 アトランティス軍を含めた宇宙人の存在は原則非公開の扱いになっているのは、人類を圧倒する戦闘力の格差を隠蔽するためと説明を受けたことがある。

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「だが、悪魔とて生身である以上はこれだけの師団相手には到底勝目はないだろう。」
 「全師団を突入させろっ!!」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「殺せっ!!」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 少佐】
 「いや、しかし、」
 「正規悪魔はアトランティス艦隊の中でも優遇されている希少種ですよっ!!」
 「それでなくとも今我々はアトランティス王国の近衛艦隊と対峙していると言うのに
この上、この作戦で後ろ盾となっているアトランティス艦隊の機嫌を損ねるのは得策ではないと思われます!!」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「悪魔とは言え、所詮は幼女。」
 「それに考えても見ろ、あの悪魔は宇宙港の開放を要求している。」
 「つまりはアトランティス艦隊の意向に逆らっていると言うことになる。」
 「殺しても問題はなかろう。」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「むしろ悪魔を殺ったとなれば、わが軍の実力は高く評価されるだろう。」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 少佐】
 「し、しかし、これが近衛艦隊に知られれば、後々この問題が解決したとして、ゆくゆくは近衛艦隊と共に作戦を行う時が来た時に支障が出かねません!」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「アトランティス艦隊の目的は近衛艦隊の解体と資産の再分配にある。 それはじきに実現される。」
 「近衛艦隊と共に作戦を行うようなことなどやって来ることなどない。」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 少佐】
 「わ、分かりました。」
 「すべての師団を市街地へ向けて進軍させます。」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「よろしい。」

 

 


 


すべての通信インフラが途絶え、偵察衛星による監視もままならない状況の中、侵攻作戦を阻む悪魔をアラスカから飛びだったアメリカ空軍の高高度無人偵察機が補足に成功していた。
ただ、この偵察情報はペンタゴンにではなく、ジョージア・ソレスの秘密豪邸へ中継されていた。

 

【紛争投資家:ジョージア・ソレス】
 「やはり、通常の武器では太刀打ちできんか・・・。」

 

ジョージア・ソレス】
 「もういちど、大統領につないでくれるか ?」

 

【秘書】
 「おそらく今は移動中かと。」
 「回線セキュリティのレベルが低下してしまう恐れが・・・。」

 

ジョージア・ソレス】
 「かまわん。 急ぎだ。」
 「彼の携帯へ繋ぎたまえ。」

 

【秘書】
 「かしこまりました。」


ジョージア・ソレス】
 「苦戦しとるようじゃの。」
 「いますぐに弾道弾を撃ち込みなさい。」
 「ただし、港に傷をつけるでないぞ。」


一歩間違えればロシアとの全面核戦争になりかねない危ういミッションに大統領は言葉が詰まった。

 

ジョージア・ソレス】
 「念のために、予備を含めて市街地に2発撃ち込むんだ。」
 「悪魔とは言えさすがに戦術核には耐えられまい。」

 

ジョージア・ソレス】
 「あの悪魔のせいで、損害賠償(※1)として100兆ドルもの大金がロシアに流れ込んだ。」
 「その金は港に投資されているんだ。」
 「だからその港は私のものだ。」

 

ジョージア・ソレス】
 「街もろとも悪魔を滅ぼして、港が私の手に戻る。 そうすればすべてが解決する!」

 

【米国大統領】
 「しかし一般の市民たちが・・・。」

 

ジョージア・ソレス】

 「市民の犠牲者については我々の知るところではない。」

 

ジョージア・ソレス】
 「いいかね ?  メディアやSNSは我々の為に存在するんだ。」
 「いつものようにロシアのせいにすれば、いつものように彼らが責任を負わされる事になる。」
 「そしていつも通りアメリカの正義が賞賛される。 何も問題はない。」

 

【米国大統領】
 「ですが、せめて、我が軍だけでもあらゆる連絡手段を使って緊急退避の指示を・・・。」

 

ジョージア・ソレス】
 「なにを悠長な事を言っとる。」
 「攻撃を悟られてもいいのか ?」

 

ジョージア・ソレス】
 「言った筈だ。」
 「無かったことにすればいいと。」

 

ジョージア・ソレス】
 「今回のカザフスタン市街地に対するロシア側の自暴自棄な卑怯な攻撃により、貴国の貴重な軍隊と多くの一般市民が巻き添えとなってしまった事をとても残念に思う。」

 

【米国大統領】m(_ _)m
 「は、仰せのままに。」

 

しかし、この暗号化通信は傍受されていた。

 

 


 


重巡洋艦 衣笠

 

【第2分隊 A】
 「左舷後方、複数の感!!」
 「フィッシュですっ!!」

 

【衣笠 艦長】
 「来たかっ! 思っていたより艦隊の動きが早いな。」
 「数は ?」

 

【第2分隊 A】
 「3、いえ、4!!」
 「この付近を遊弋するのでしたら、第7艦隊第04戦隊の木星遊弋機動部隊の分隊ですかねぇ・・・。」

 

【衣笠 艦長】
 「本隊もどこかに潜んでいるかもしれない」
 「警戒を厳とせよ!」

 

【衣笠 艦長】
 警告なしでいきなり撃ってきたと言うことは、最初から我々の抹殺を狙ってと言うことか・・・。
 「往復の燃料残量に不安が残るが・・・背に腹は代えられぬか・・・。」

 

【衣笠 艦長】
 「亜高速ドライブの出力を10%増加!」
 「魚雷を振り切るぞ!!」

 

【衣笠 副長】
 「了解!!」

 

【衣笠 副長】
 「全搭乗員! これより予定外の追加加速を実施します。 注意してください!」

 

不意の加速で負傷者が出ないよう艦内放送で注意を促す。

 


【衣笠 副長】
 「フル エンジン コンバット アヘッフル アップ・テン・パー」

 

【第3分隊 C】
 「全エンジン 戦闘速 10パー加速!!」

 

【衣笠 副長】
 「ミジップ」

 

【第2分隊 D】
 「 舵中央」

 

復唱とともに艦がさらに加速を増し、隊員たちの体がシートにめり込む。


【衣笠 副長】
 「振り切れそうか ?」

 

【第2分隊 A】
 「加速してもきわどいですよ!」

 

【第1分隊 B】
 「ガーランドで迎撃しますか?」

 

【衣笠 副長】
 「いや、ダメだ!!」

 

【衣笠 副長】
 「発生デブリマッピング(※2)データを艦隊のDBに登録しなければならなくなる。」

 

【第1分隊 B】
 「ですが、このままだと・・・。」

 

【衣笠 艦長】
 「加速中のこの状態で識紙を放てるか ?」

 

【第1分隊 B】
 「可能ですが、かなりのナノマシンを消費します。」
 「この先の航海を考えると温存しておきたいのですが・・・。」

 

【衣笠 艦長】
 「やむを得ん。 今沈んでは元も子もないからな。」

 

【第1分隊 B】
 「分かりました。」
 「すぐに使用できるよう術式をステージングしておきます!」

 

【第1分隊 B】
 「と、言う事で、申し訳ないが、頼めますか ?」
 「我々がやるよりあなたの方が得意とお聞きしていますので」

 

【オカちゃん】
 「いいわよ!! 識紙は私の専門分野ですからね!」
 「まかされたわっ!!」

 

【衣笠 艦長】
 「頼む!」

 

【第1分隊 B】
 「了!!」

 

【衣笠 副長】
 「識紙用ー意!」

 

【第1分隊 B】
 「対艦隊戦攪乱ナノデコイ、用ー意!」
 「デプロイ開始!!」

 

【オカちゃん】
 「デプロイ完了まで20秒!」

 

【衣笠 副長】
 「被弾に備え総員対ショック態勢!!」
 「大型戦艦用のPHCICEを無理やり連結してクラスター化しているんだ、転覆したら木っ端みじんになるぞ!」

 

【衣笠 副長】
 「総舵手は被弾時のバランス維持に全力を尽くすんだ!」
 「貴様の操舵の腕ひとつに全クルーの命が掛かっているのを忘れるな!!」

 

【第2分隊 D】
 「了!!」
 「ステディー: そのまま」

 

【第2分隊 A】
 「初弾の到達まで、あと30秒!!」

 

【衣笠 副長】
 「左舷後部C甲板に人工電子結界、最大出力展開!!」


と同時に、魚雷がプログラムモードから、自立探査モードに切り替わり、カーンカーンと重力探査の探針衝撃波が艦体を叩く。

 

【第2分隊 A】
 「魚雷、追跡モードに切り替わりました!!」
 「完全に本艦を捉えましたっ!!」

 

隠れていた追跡艦も姿を現す。
亜光速ドライブが発する熱源パターンは微妙に個体差があり、
それをコンピュータがただちに解析を行って艦の種類、場合によっては艦名をも特定する。

 

【第2分隊 A】
 「後方に、戦艦ヒュンブルグ・タルガ級1隻を中心とした機動部隊です!!  駆逐艦10、巡洋艦5を確認!」
 「やはり第7艦隊所属の第04戦隊でした!」

 

【第2分隊 A】
 「ヤツらの通信波を解析!」
 「やはり、あいつら武器システムをOPENにしています!!」
 「いつでも撃てる態勢です!」

 

【第2分隊 D】
 「魚雷をぶっ放しておいて撃てる態勢もへたくれもないんだがなっ。」

 

【オカちゃん】
 「デプロイ完了!!」
 「ステージングに移行、いつでも放てますっ!!」

 

 


 


アトランティス艦隊 木星遊弋機動部隊 第7艦隊第04戦隊

 

【ヒュンブルグ・タルガ級 艦長】
 「足が速いな。」
 「アレが例の新造艦か ?」

 

【ヒュンブルグ・タルガ級 分析官 A】
 「は、間違いありません!」
 「衣笠級一番艦、衣笠ですっ!! 我が方より世代が新しいフネですね。」
 「艦影がデータベースの登録と異なっているようですが、亜高速ドライブの波動波形は衣笠のものです。」

 

【ヒュンブルグ・タルガ級 戦略士官】
 「日本艦隊のフネなのか ? なぜ、こんな宙域に ?」

 

【ヒュンブルグ・タルガ級 戦術員】
 「いえ、現在は近衛艦隊所属の特務艦扱いとなっており、アトラミス派遣隊には含まれていないようですね。」

 

【ヒュンブルグ・タルガ級 戦略士官】
 「やはり、近衛艦隊に対していきなりの雷撃はマズイのでは?」
 「一度停戦させて臨検したほうがよろしいのでは ?」

 

【ヒュンブルグ・タルガ級 艦長】
 「いや、艦隊司令部の命令は、この宙域を通過する敵味方信号の応答のない怪しい動きを示すフネはすべて沈めろとのことだ。」

 

【ヒュンブルグ・タルガ級 戦略士官】
 「はっ!!」

 

【ヒュンブルグ・タルガ級 艦長】
 しかし、この異常なまでの足の速さはなんなんだ ?
 後部に増設されたと見られる見慣れないブースターのようなものが速度をアシストしているのか ?

 

【ヒュンブルグ・タルガ級 分析官 A】
 「このままでは振り切られてしまいます!」

 

【ヒュンブルグ・タルガ級 戦略士官】
 「到達可能な魚雷は ?」

 

【ヒュンブルグ・タルガ級 戦術員】
 「接触可能なのは、1本か2本くらいかと・・・。」

 

【ヒュンブルグ・タルガ級 艦長】
 「仕方あるまい、砲撃戦の準備をしろ!!」

 

【ヒュンブルグ・タルガ級 戦略士官】
 「沈めるつもりで当てろ!」

 

 


 


重巡洋艦 衣笠

 

魚雷が間合いを詰めてくると艦体を叩く探針衝撃波の間隔も狭まってくる。

 

【第2分隊 A】
 「後方の艦が発砲!!」
 「レーザーです。」

 

【衣笠 副長】
 「損害は ?」

 

【第2分隊 A】
 「ありません!」
 「結界が有効に防いでいます!!」

 

【衣笠 艦長】
「魚雷を命中させるため、我が方の進路を維持させるための牽制射撃といったところか・・・。」

 

【第2分隊 A】
 「魚雷接触まで、あと15秒!!」

 

【衣笠 副長】
 「識紙 放てっ!!」

 

【オカちゃん】
 「了!」


プログラミングされたナノマシンが、衣笠を模した姿にに変化するとすぐに衣笠から離れて距離を取った。

 

【オカちゃん】
 「私が構築した術式はちょっとやそっとでは見破ることなどできないんだから!」

 

【セッちゃん】
 「さすがオカちゃん!! 諜報が専門なだけあって偽装が丁寧ね!!」

 

【オカちゃん】
 「まぁ精巧に模した分だけナノマシンを消費する欠点はあるけれど、ここは確実に逃げ切るに必要な投資と思えば安いものよ。」

 

オカちゃんによって模倣された識紙を探知した魚雷は、様々なセンサ情報から識紙をホンモノの衣笠と断定し追尾を始めると、それを察知した識紙は、自らの判断で衣笠から安全な距離を稼ぐために動いた。
それはあたかも魚雷から逃れる回避機動に見せかけたものでまんまと騙された魚雷は自信満々に識紙に突入すると爆散して姿を消した。


【衣笠 副長】
 「たしかにすごいな。 ここまで精巧に模倣した識紙は訓練でもなかなか見ないぞ!」

 

しかし250キロトン相当の戦術核の衝撃波は離れている衣笠にも容赦なく襲い掛かった。


衝撃波が衣笠に衝突し、「ドーーン」と大きく揺さぶられ、船体のフレームが激しく軋む音が響き渡る。
巡洋艦クラスであれば、魚雷の1発や2発の直撃くらいでは容易には沈まない設計とはなっているもののそれでも至近距離の爆発により加えられる外部圧力は加速中のフネにどのような影響を及ぼすか想像がつかない。

 

【第2分隊 D】
 「く、舵がもってかれる!」

 

【衣笠 副長】
 「スラスター サイド・プラス20 アップ・プラス15」

 

【第3分隊 C】
 「右舷側スラスター出力 20」
 「上方スラスター出力 15」

 

【第2分隊 D】
 「ふんばれっ!!」

 

スラスターを懸命に操作し、かろうじで転覆を回避した衣笠は、次第に速度を増して離脱を試みる。


【衣笠 艦長】
 「追手は ?」

 

【第2分隊 A】
 「依然として追撃してきますが、もう追い付けないでしょう。」
 「まずは一安心といったところでしょうか ?」

 

【衣笠 副長】
 「分かった。」
 「熱線冷却が終了するまで不用意に壁に触らないように注意喚起を厳にせよ!」

 

【衣笠 副長】
 「ミジップ」

 

【第2分隊 D】
 「舵中央」

 

【衣笠 艦長】
 「よし、船内の安全確認にうつれ!」
 「手の空いたものから休憩させてやるんだ。」

 

【衣笠 副長】
 「了」

 

【衣笠 副長】
 「君は負傷者の救護を応援してやってくれ!」
 「ナノ治療が施術できる者がいれば助かる。」

 

【セッちゃん】ヽ(=´▽`=)ノ
 「わかりました!」

 

【衣笠 副長】
 「ダメージコントロールで人が居る区画以外はすべて真空になってるから不用意にアチコチの部屋を開けるんじゃないぞ!」

 

【セッちゃん】
 「まずは医療室に行ってみるわ!」

 

【衣笠 副長】
 「ああ、たのむ!」

 

 


 


アトランティス艦隊 木星遊弋機動部隊 第7艦隊第04戦隊

 

【ヒュンブルグ・タルガ級 艦長】
 「くそ、振り切られたか・・・。」
 「まあいい。」
 「どこに向かうがしらないが、補給艦を伴わずに長距離航海はできまい。」
 「目的を終えて戻ってきたところを謀反の現行犯で沈めればいいだけの事だ。」

 

【ヒュンブルグ・タルガ級 艦長】
 「全艦、通常任務体制へ戻れ!」

 

 


 


ウクライナナチス軍、NATO軍、カザフスタン侵攻作戦合同作戦本部

 

最初の戦闘から約2時間が経過し、体制を立て直した米陸軍を主力としたNATO軍、そしてロシア人根絶を掲げ、遥々ポーランドから駆け付けたウクライナナチス隊など、カザフスタン侵攻作戦に参加している全師団の戦闘態勢が整った。

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】

 「1個師団ずつを両翼に展開させてヤツらの退路を断て!」
 「本隊は真正面から力で押し切るぞ!!」
 「無線が効かないから、照明弾を合図に一斉に突撃する!!」
 「これら師団の一斉攻撃からはいくら悪魔とて太刀打ちできまい。」

 

 


 


【悪魔 B】
 「早かったわね。」

 

【悪魔 C】
 「まぁ、雑魚ばかりだからね。」

 

【悪魔 C】
 「で、次の獲物は ?」

 

【悪魔 A】
 「んーーー・・・米軍とNATO軍で構成されるカザフスタン占領部隊の主力・・・と、推測される戦車師団規模が複数個を確認。」
 「一部にウクライナ・テロリスト部隊とISISとおぼしき参加も確認。」

 「後方支援等の部隊を含めた総合計、兵力約25万くらい。」

 

【悪魔 C】
 「25万って、日本軍の総兵力に匹敵する規模だよねぇ。」
 「よくもまぁ、これだけ集めたものね。」

 

【悪魔 B】
 「民主主義や資本主義というのは、その性格上、弱者からの資源の収奪があって初めて成り立つ利権の体制。」
 「それに抵抗した者はテロリストの濡れ衣を着せられ合法的に抹殺の対象とされる。」
 「このような大規模な戦闘部隊を集めたと言う事は、それだけ巨大な利益が得られると判断しての事だと思う。」

 

【悪魔 C】
 「だよね。」

 

【悪魔 B】
 「さーて、対電子戦結界の具合はどう ?」

 

【悪魔 A】
 「ECMは利いてると思うけれど、それでもコッチに向かってくる模様。」

 「こちらの場所は完全に特定されているので無誘導弾は防げない。」

 

【悪魔 C】
 「もうすぐ夜だってのに、アチラさんもやる気満々ね。」
 「どうする ?」

 

【悪魔 A】
 「次は私が殺る。」

 

【悪魔 A】
 「掃討するのに目標の数が多いから、確実性を高めるために詠唱を行う。」
 「二人はその間の防空任務をお願い。」

 

【悪魔 B】
 「いいわ。わかったわ。」

 

【悪魔 C】
 「存分に殺っちゃって!」

 

【悪魔 A】
 「ん?」

 

【悪魔 B】
 「どうしたの ?」

 

【悪魔 A】
 「何か飛んでくる。」

 

【悪魔 B】
 「落としちゃえば ?」

 

【悪魔 A】
 「そうする。」

 

【悪魔 A】
 「落とした。」

 

【悪魔 C】
 「1発だけなの ?」

 

【悪魔 A】
 「そうみたい。」

 

【悪魔 C】
 「なんだったんだろうね ?」

 

【悪魔 A】
 「しらない。」

 

 


 


ウクライナナチス軍、NATO軍、カザフスタン侵攻作戦合同作戦本部

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「どうした ?」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「照明弾が発光しないだと ?」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「ちゃんとやつらの頭の上に飛ばしたんだろうな!」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 少佐】
 「え、ええ、ですが・・・。」
 「どうやら、点火前に落とされたようです。」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「なんだと ?」

 「点火前の照明弾が撃ち落されただと ?」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「馬鹿な ?」
 「もう夜だというのに、そんな器用なマネができるワケないだろっ!!」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 どう言うことだ・・・。
 この照度でも肉眼で見えるというのか ?
 もしそれが、本当であれば、我々には不利になる・・・。

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 いや、アレコレ考えても、もう引き下がれない。
 「ええぃ、今度は、我々と、ヤツらの中間地点に照明弾を放て!!」
 「今度は、落とされないようにありったけをバラ撒くんだっ!!」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 少佐】
 「了解!!」

 

今度は照明弾の点火に成功し、戦場一体が昼間のように照らし出された。

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「攻撃開始っ!!」

 


 

手筈通り照明弾を合図に米軍とNATO軍による一斉攻撃が開始された。

 

【悪魔 B】
 「この攻撃、私たちだけがターゲットではないのね!」

 

【悪魔 C】
 「街ごと吹き飛ばす気のようね。」

 

【悪魔 A】
 「やっぱり私の事はいいから、住民の安全を最優先に!!」

 

【悪魔 C】
 「分かったわ!」

 

【悪魔 B】
 「いい ?  無理するんじゃないわよ!」

 

【悪魔 A】
 「うん。」

 

戦闘が再開され30分が経過

 

今まで控えていた悪魔が詠唱を開始する。
気圧に急激な減圧が発生すると、再び暴風が吹き荒れる。
しかも先ほどの規模とは遥かに桁違いの荒れ模様となった。
防空任務を任された2人の悪魔は飛来する砲弾やミサイルをことごとく阻止する。
そして急激な気圧の変化で発生した雷は莫大なエネルギーとして詠唱中の悪魔に吸収されてゆく。

 

 


 


NATO カザフスタン派遣隊 ハヤブサ破壊チーム

 

【カンピオーニ】
 「くっ、またこの嵐っ!!」

 

【カメーリア】
 「どういう原理なんだろうね」。

 

【アグスティナ】
 「天候を操るスキルなんて聞いたことないわよ!」

 

エルメス
 しかし、我がNATO軍も容赦ないわね・・・今回の作戦に投入していたすべての師団を総動員してくるとは。
 さすがにあの娘たちがサタン級だったとしても、この猛攻には耐えられないか・・・。

 

レオンハルト
 「勝負は決まったようなものね。」

 

ヴィオレッタ】
 「まぁ、今回はあの上位種がどれほどのものなのか、もっと間近くで見てみたかったけれど、」

 

エルメス
 「あれだけの猛攻を生身で受ければ残念ながら助からないわ。」

 

【アルビータ】
 「撤収の準備をするわよ!」
 「機材をまとめて頂戴。」

 

【アグスティナ】
 「例のハヤブサ破壊の件ですが・・・、アレどうします ?」

 

エミリア】(-_-;)
 「いや、もう無理っしょ。」

 

レオンハルト
 「もし実際に存在していたとしても、あの猛攻なら私たちが手を下さなくても原型留めないほど木っ端みじんになってるわ。」

 

【カメーリア】(;´Д`)
 「そ、そうですよねぇー。」

 

【アグスティナ】
 「分かりました!!」
 「撤収の準備に取り掛かります!!」

 

 


 


ケンジの自宅

 

【ケンジ】
 「おお、よく来たな、まずは上がってくれよ。」

 

【マナブ】
 「俺たちなんかを呼んでもらってなんか、すまんな。」

 

【コンブ】
 「そうだぜ、今日くらいは兄妹水入らずの方がよかったんじゃないのか ?」

 

【良子】
 「いいのよ。」
 「今日はみんなのお祝いだから。」

 

【マナブ】
 「ほら、」
 「これがロシア連邦航空庁が発行した正式なSU-80のライセンスだぜ。」

 

【良子】
 「今までの SU-50Jのライセンスとはまた違うね。」

 

【コンブ】
 「ぁ、コッチのことかい ?」
 「ちなみに、SU-50Jじゃなくて、SU-57な。」

 

【マナブ】
 「見た目は同じなんだけどね。」

 

【良子】
 「どうちがうの ?」

 

【マナブ】
 「SU-50J は日本がライセンス生産した機体を意味しているんだ。」
 「ただ、僕らは日本軍の軍人ではないから、日本国内でSU-50Jのライセンスは取れない。」
 「なので、ロシアへ行って、SU-57 のライセンスを取得しているんだ。」

 

【コンブ】
 「まぁ機種ごとに操縦方法が異なるから、原則として 1機種1ライセンスだけれど、
SU-50Jは 呼称が異なるだけで機種はSU-57と同じなので、ロシア連邦航空庁が発行したSU-57のライセンスであっても日本のSU-50Jが操縦できるってワケさ。」

 

【良子】
 「でも、以前に大九野島上空で国後から駆け付けた時のヒコーキって SU-50J だったのでは ?」
 「まだライセンスは・・・。」

 

【コンブ】
 「あ、ああ、それは気にしない気にしない。」
 「事情が事情なだけに、察した現地の教官が特別に許可してもらったんだ。」
 「まぁ仮免許みたいな感じだから、いっかぁ・・・って感じたったかな ?」

 

【良子】
 「仮免許で戦闘に参加してたの ?」

 

【マナブ】
 「ま、まぁそういう事になるか・・・。」
 「教官にはマジ感謝しているよ。」

 

【ケンジ】
 「最新のステルス対抗策を施した機体だからな、信号解析ソフトを更新しないと反射波からは俺たちの機体の情報は得られないからレーダーには何も映らない。」
 「ま、そういう自信があったんだろうし、非公式ながら初の実戦のデータも得られるって事で許可が出たんだろうと思うけどな。」

 

【コンブ】
 「まぁ当時の敵さんも、ビビったろうよ。」
 「本国でさえ実戦配備がまだ始まっっていない最新鋭機がまさか日本の空を飛んでるとは夢にも思わなかったろうな。」

 

【ケンジ】
 「一番ビビったのは東郷が燃料と武器の補充を幸洋船渠宇宙事業部へ届けたって事だな。」
 「敵の襲撃をどうやって知ったんだろうな ?」

 

【マナブ】
 「ぁ、それな! 俺だって驚いたよ。 マジどうやって知ったんだろう・・・。」

 

【全員】
 「・・・。」

 

【マナブ】
 「ま、いいや」
 「それよか、そして、こっちが、同時に取得した 最新鋭の SSF-20122 のライセンスだ。」
 「このライセンスで、同型の SSF-20122J も操縦できるぜ。」

 

【良子】
 「へぇ、すごい・・・。」

 

【マナブ】
 「SSFのシリーズは、宇宙でも飛べるので、このライセンスでソユーズの操縦もできるのが特徴なんだ。」

 

【良子】
 「え!?」
 「ソユーズって宇宙船ではなかったの ?」

 

【コンブ】
 「ま、宇宙船とは言ってるけど、カテゴリーとして近いのは飛行機だね。」
 「宇宙艦隊の軍艦の方が宇宙船舶と言うカテゴリーで区分されてて洋上船舶に近いかな。 あっちはマジでフネだね。」

 

【良子】
 「へぇそうなんだ。」
 「なんか不思議ね。」

 

【ケンジ】
 「何がだ ?」

 

【良子】
 「ロシアでライセンスが取得できる日が来るとは思わなかったよ・・・。」

 

【マナブ】
 「どうしてだい ?」

 

【良子】
 「だって、昔おじいちゃんやおばあちゃんたちがウクライナに騙されてテロ支援を行って、そのせいで多くのロシア人が死んじゃったったんだよ。」

 

【ケンジ】
 「そうだな・・・。」
 「これも何かの縁かもな。」


ちょうどタイミングよくTVに映し出されるNETニュースの配信記事に目が留まった。

それには以下の内容が流れていた・・・。

 

ロシアによる対テロ特殊軍事作戦が終了後、ロシアとの国交回復を目指し、その代表的な事業として多くの国民や国会議員が反対する中、テロ組織へ支援を行った者に対して国民浄化と言う名目の処刑制度が閣議決定され、テロ資金を提供した者、動画サイトやSNSなどに偽情報を投稿した者、またはメディアに出演してウクライナ支援を呼びかけたりした著名人など、ウクライナを直接間接問わずに支援あるいは擁護した者たちなどが犯罪者として処刑が開始され、昨日時点で累計1100万人の処刑を完了した・・・。
そして、この処刑制度による国民浄化の結果、来年度の国家予算を占める年金へ支出する予定だった予算額が本年度実績よりさらに10%の削減が見込めるうえ相対的に労働者人口とのバランスが改善したことによる税収の回復により・・・。


【ケンジ】
 「もともと当時の日本にはテロ組織への支援を禁止する法律があったにも関わらず、機能していなかったんだ。」
 「なので政治家や官僚の奴らもさかのぼって国家反逆罪が適用されて次々と処刑され影響は日本中の隅々にまで広がったんだ。」

 

【ケンジ】
 「とくに、当時の国際刑事裁判所の裁判長をやっていたのが日本人で、米国の圧力で逮捕状をだしてしまった結果、ロシア大統領が外遊中に逮捕される事件が発生したんだ。」

 

【ケンジ】
 「国家元首の逮捕は戦争を意味するので、自動的に弾道弾が発射されて、逮捕した国の首都は壊滅して多くの市民が犠牲になった。」
 「自分の国が攻撃されたワケではないので、米国とNATO軍の直接核報復は見送られたものの、米国をビビらせるには十分すぎる一発でそれがきっかけでロシアとテロ組織との停戦協定が結ばれ、はれてウクライナは解放。 テロリストから市民の手に政治が戻ったんだ。」

 

【マナブ】
 「しかしテロリスト残党はポーランドが占拠しているウクライナ西部地域へと逃れ、そこを拠点にいまでも破壊活動を続けているってワケさ。」

 

【マナブ】
 「で、核事件の原因を引き起こした日本人裁判長は、その後日本国内で逮捕されてそのままロシアへ移送、裁判の結果、死刑となったそうだ。」
 「そうやって日本なりの誠意ある責任の取り方をしたおかげで今のロシアとの関係が成り立っているんだ。」

 

【良子】
 「私たちが小さいころ、お母さんが幼いころにおじいちゃんたちが作った子供名義の貯金口座からテロ資金を提供した事を知った公安が家にやってきて、お母さんはその場で射殺され、庇おうとしたお父さんも撃たれて何か月か入院したけれど回復しないまま死んじゃった・・・。」
 「とても怖かったわ。」

 

【ケンジ】
 「ああ、それは仕方がないさ。」
 「家族とはいえ犯罪を犯した以上は罪は償わなければならない。」

 

【ケンジ】
 「罪を償ったからと言って、虐殺された多くのロシア人の命が戻ってくるわけではないが しかし、だからと言ってその罪を免れて生きのびている輩は絶対に許しちゃいけない。 同じ死をもって償うべきなんだ。」

 

【マナブ】
 「そういえば、カラシニコフの姉妹のやつ、帰国したんだってな ?」

 

【良子】
 「そうなの ?」

 

【ケンジ】
 「ああ、そのウクライナのテロ組織の残党が現れたとかなんとかって、職員室で東郷らが話しているのを聞いたぜ。」

 

【良子】
 「まだ生き残っていたんだ。」

 

【ケンジ】
 「その昔、ポーランドが占領して併合した旧ウクライナ西部地区がナチスウクライナの特別自治領となって以降、残党たちはそこを拠点にロシアへのテロ活動を繰り返しているのだが、どうも最近活動範囲をアジア中部にまで広げているようで、米軍やNATOもそれに絡んでいるってさっきニュースで流れていたけれど、それらと関係があるのだろうな・・・。」

 

【ケンジ】
 「対テロ特殊軍事作戦中の当時は、海外メディアが制作したロシア敗走や蛮行の偽ニュースばかりで、かたやウクライナのテロ組織の活躍しかニュースに流れてなかったらしいぜ。」
 「まぁ結局はプロパガンダと判明し責任を追及されてしまうんだがな。」

 

【マナブ】
 「日本も太平洋戦争、米国大統領選挙不正当選、ロシアの対テロ特殊軍事作戦、そして統一朝鮮による日本侵攻と琉球独立・・・。」
 「メディア主導で何度も世論を誤った方向へ導いたにも関わらず反省しなかったために放送メディアは解体され今に至る・・・か。」

 

【マナブ】
 「今はネットで世界中のニュースを見るのが普通だけれど、最近までは電波で映像を飛ばしていたんだからなぁ。」
 「時代が変わったよな。」

 

【良子】
 「なんか年寄りみたいwww」

 

【マナブ】
 「えっ!? そうか ?」

 

【良子】
 「そうだよ。」

 

【良子】
 「さ、お祝いのちらし寿司を取り分けるわよ。」
 「早く座って。」

 

【ケンジ】
 「おおぅ!!」
 「良子ちゃんの手料理は美味いからなぁ。」
 「早く食おうぜ!!」

 

 


 


NATO カザフスタン派遣隊 ハヤブサ破壊チーム

 

【アルビータ】
 「あれだけの猛攻だ、さすがに倒されてるだろ・・・」

 

レオンハルト
 「ちょ、あれを見て・・・。」

 

【アルビータ】
 「なんだ ?」

 

エルメス
 「嵐が強くなってます・・・。」

 

【アルビータ】
 「どういうことだ ?」

 

 


 


【悪魔 A】

 「ジェノサイド・ブラスター ビルドアップ!!」
 「致命的エラーなし」
 「軽微なワーニングが2件」
 「実行に支障なし」

 

 


 

ナノマシンの活動が落ち着き、吹き荒れていた暴風も止んだ。

 

エルメス
 「あ、あれを」


幼女たちの背後から高さにして数百メートルはあろうかと思われる巨大なマシンが次第に姿を鮮明にする。

 

 


 


ウクライナナチス軍、NATO軍、カザフスタン侵攻作戦合同作戦本部

 

【侵攻作戦合同作戦本部 少佐】
 「なんだ、あの装置は、さっきまではなかったぞ!!」

 

【侵攻作戦合同作戦本部 大佐】
 「いいから破壊しろ!!」


突然現れた巨大装置に米軍たちの攻撃が集中したが、びくともしない。

 

 


 


NATO カザフスタン派遣隊 ハヤブサ破壊チーム

 

【アルビータ】
 「い、いかん、退避だっ!!」
 「退避しろ!!」

 

直感的に危険を察知し警告を発したが、妨害電波が影響してか、米軍とNATO軍には届かない。


【アルビータ】
 仮に無線が届いたとしても、あの規模では退避は無理か・・・。


【アルビータ】
 「くそ、全員、戦闘配置!!」
 「あいつを止めるぞ!!」
 「でないと、米軍とNATO軍は全滅するぞ!」

 

エルメス
 「ええ、あれだけの軍隊が・・・ですか ?」

 

【アルビータ】ヽ(`д´;)ノ 
 「ああ、これは相当にヤバイ予感がするぞ。」
 「自称サタンの攻撃を全力で阻止する!!」

 

レオンハルト
 「自称って・・・勝手にサタンと呼んでるのは私たちなんですけど~」

 

【カメーリア】
 「そもそもアレに勝てるんですか ?」

 

ヴィオレッタ】(,,゚Д゚)
 「勝てる気しないんですが!!」

 

【アルビータ】ヽ(`Д´#)ノ 
 「泣き言を言うなっ!!」
 「そのために与えられた新型鬼だろっ!!」

 

【アルビータ】
 「NATO軍は我々の軍で、どこの馬の骨ともわからない上位種よりももっと重要だ!」

 

【全員】
 「了解!!」


シュヴァルベ は 撤収準備に掛かっていた装備を放り出し、最大威力の武装を取り出すと戦闘地域に向かって音を立てることなく最大戦速で走り出した。

ドイツ陸軍が開発した 最新鋭戦闘鬼Type-262 シュヴァルベ は、隠密行動 に最適化されており本来はマイクホーン社が開発した専用の格闘戦ナイフと対戦車ライフルで武装するが、今回はハヤブサ破壊の指令がでていた事から、予備の武装としてシュヴァルベの前身モデルである ホルニッセ の専用武装である 60mm大口径レールガン を持ち込んでいた。

 


【アルビータ】(-_-;)
 飛行パックが間に合ってればこの距離を一気に縮められるというのに・・・くそっ。

 

 

しかし到着は間に合わず、上位種悪魔の攻撃が開始された。

 


 

【悪魔 A】
 「ジェノサイド・ブラスター、照準ロック開始。」
 「大気内水蒸気と砂塵による減衰と環境磁場による誤差を修正。」
 「攻撃目標、613544 個を確定。」
 「掃討出力 0.05% に調整。」

 

【悪魔 A】
 「第一射開始!」

 

その一撃はすざまじく、歩兵、戦車、航空機、施設など大小問わず攻撃目標としてロックされた 613544 の目標は瞬時にビームによって破壊された。
障害物に遮られ射線上にない目標はその障害物もろとも破壊された。
しかしそれは静かにあっけなく終わった。

 

【悪魔 A】
 「掃討完了。」
 「613544個、全目標を破壊。」
 「戦闘要員、支援要員全ての抹殺完了 総勢256323名。 生存者なし。」
 「民間人への被害、死者0名、負傷者762名。」
 「第二射を準備しつつ警戒体制へと移行」

 

 


 


NATO カザフスタン派遣隊 ハヤブサ破壊チーム

 

【アルビータ】(,,゚Д゚)
 「な・・・」

 

あまりの惨状に言葉が出なかった。


【アルビータ】
 わずか数秒の斉射で、全軍全滅だ・・・と ?

 

【アルビータ】
 ヤツは・・・サタンなのか?

 

ヴィオレッタ】
 か・・・勝てない・・・。
 いくら我々が最新鋭鬼を着装していようと、サタン相手では・・・。

 

【カンピオーニ】
 「ECMは解除されたようです。」
 「全チャンネルが回復しています。」

 

【アグスティナ】
 「せ、生存者は ?」

 

【カンピオーニ】
 「いない模様です・・・。」
 「サタンが守っているあの街の市民以外のものはすべてが攻撃目標になったようです・・・。」

 

レオンハルト
 「サタンが街を守ったと言うのか ?」

 

エルメス
 「この状況はどう見ても私たちが悪者ですね・・・。」

 

【アルビータ】
 「ともかく残っているドローンをすべて展開させて生存者がいないか捜索するんだ!」

 


突然サタンが空に向かってシールドを展開した。

 

【アルビータ】
 「今度はなんだっ!」
 「もう戦いは終わってると言うのに、なにを始める!」
 「しかもなんて出力のシールドなんだ!」
 「やつはまだ戦っている・・・というのか ?」

 

【アルビータ】
 「おい、急いで、あのサタンの視線の先をスキャンできるかっ!?」

 

【カンピオーニ】
 「ぇっ!? 突然なんだよっ!! 意味わからないよっ!!」

 

【アルビータ】
 「いいから早くしろっ!」


サタンが向ける視線の先に合わせて、ファルコのセンサーを対空捜索モードへ切り替えたとたんに大気圏に突入してきた2個の物体を探知した。

 

【カンピオーニ】
 「確かに、センサーには何か高速で飛来する物体が・・・。」
 「ん!? 弾道弾・・・だと ?」

 

【アルビータ】
 ヤツは遥か先から、これを察知していたのか !?

 

【アルビータ】
 「おそらく核だ」

 

エルメス
 「えええーーーーっ!!」

 

【アルビータ】
 「いかん、全員緊急離脱!!」
 「全力でこの場から離れろ!!」

 

【アグスティナ】
 「向こうに置いてきた装備は ?」

 

【アルビータ】
 「もう間に合わん、放棄しろ。」
 「この辺一帯が吹き飛ぶぞ!!」

 

エミリア
 「ええ!!」

 

【アルビータ】
 ち、このタイミングで放ってきたと言うことは、米軍は事前にこうなる事を予期していたというのか ?
 しかし、街をまとめて跡形もなく屠るとはえげつない作戦だな。

 

【カンピオーニ】
 「失敗した時に備えての証拠隠滅なのでしょう。」

 

エルメス
 「射点は分かるか ?」

 

【カンピオーニ】
 「ネットワークが回復しているので、情報を集めていますが、どうやらアラスカの方角ですね。」

 

【アルビータ】
 「やはり米軍か・・・。」

 

【カンピオーニ】
 「1発のみの発射のようですが・・・。」

 

レオンハルト
 「ソイツは1発につき8個の弾頭を搭載できる筈で、2個だけか突入してきたとなると、残りはダミーだから軽さで大気圏突入時に吹き飛んだ事になるな。」
 「その2個が残った時点でもう着弾地点は確定しているが、日本のレールガンを持ってこない限りどんな優秀な対空火力をもってしても迎撃は無理だ。」

 

エルメス
 「我々が持参したホルニッセのレールガンをもってしても火器管制が最適化されていないので当てるのは困難だな。」

 

【アルビータ】
 「とにかく、できるだけ遠くまで離れるんだ!!」
 「そのファルコご自慢の物理シールドでも核の爆風には耐えられんぞ!」

 

ヴィオレッタ】

 「あのサタンは ?」

 

【アルビータ】
 「サタンクラスの悪魔とて、さすがに人類最凶の大量殺りく兵器である核は食い止められん。」
 「化け物のようなシールドを展開したところで、街ごと吹き飛ばされて それで終わりだ。」

 

ヴィオレッタ】
 「そ、そうですね。」


シュヴァルベとファルコは、その軽快な機動力を生かして、できるだけ遠くへ離脱を開始した。


そして、周囲がまばゆい閃光に照らされ装甲の表面温度を瞬時に上昇させる。
続けて音速を超える爆風が音もなく襲いかかると、その数秒後に追いついた大音響が響き渡った。

とっさに、ファルコの物理シールドの上からさらにナノシールドを展開し爆風をやりすごしたが、機体の各所から損傷とエラーを報告する診断結果が伝えられた。
ドイツのシュヴァルベは隠密行動優先のために防御力を犠牲にした設計になっていた分、損傷が深刻だった。

 

【アグスティナ】
 「支給されていたナノマシンは今のシールドで枯渇しましたので、次は耐えられません!」

 

【アルビータ】
 「安心しろ、次はもうない。」
 「こちらも相当なダメージを負った・・・ミッションの継続は不可能になったな。」
 「皆、まだ動けるな? 撤退するぞ。」

 



 

        ※1・・・損害賠償
            モスクワ賠償条約に基づきロシアへ経済制裁を加えていた欧米各国が地球軍の宇宙艦隊拠点であるカザフスタン宇宙港を使用する権利を得るために支払った経済賠償の事を指す。

 

 

        ※2・・・デブリマッピング
            実体弾を使用した地球製武装デブリとなるため発射地点、発射方向、速度等を天体予報システムへ登録する。
            また破壊された艦船や航空機などの破壊オブジェクトなども高速で移動しているため監視対象となっている。
            これらの情報は天体予報士によりリアルタイムにてチェックされており、友軍に対してアラートを発出して事故防止に繋げている。
            デブリの本体を警報のレベルでランク付けするが、たいていの場合そのデブリ本体の周辺にはセンサーでさえ探知できないような小さなチリ程度の微細なデブリ高速で移動しており、そのセンサーで察知できないデブリが存在する可能性のある宙域を注意報とランク付けされている。
            一度察知された注意報対象のデブリは警報クラスへと格上げされる。
            よく似たシステムはアンドロメダ艦隊も運用しているが、世代的に先行している分 精度ははるかに優れている。

 

 
 

 

 

 
 

 

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