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アトランティスの亡霊

Ghost of Atlantis

【1-4-4】思っていたのとちょと違う感じ

思っていたのとちょと違う感じ

【1-4-4】


    午後の授業は工作室で、火器の製作実習だった。


    【みさ】
        「なにしているの ?」
        「お昼休みは終わっているのよ。」

    【みさ】
        「クラス委員長も生徒会長まで一緒になって、しっかりしてください。」

    【ナナ】【サッチ】
        「すいませんでした。」

    【みさ】
        「今日の工作はリヴォルヴァーの製作です。」

    【レオンハルト
        「教官っ!!」

    【みさ】
        「何かしら ?」

    【レオンハルト
        「何故、命中精度の高いオートではなくて、リヴォルヴァーなのでしょうか ?」

    【みさ】
        「誰か、レオンハルトさんに答えられる上級生はいませんか ?」

    【ケンジ】
        「そりゃあ、故障する心配がないからに決まっとるやないけ。」

    【レオンハルト
        「しかし、工作精度が高いこの世の中にあって、故障する心配は不要とは思うのですが。」
        「しかも、装弾数に関しても、ダブルカラムマガジンを使用すれば、リヴォルヴァーの3倍ちかくの装弾数をセットできます。」

    【みさ】
        「そうね、ナノマシンで構成された火器は通常より耐久力があるので、そう簡単には壊れないわ。」
        「ただ、リヴォルヴァーは構造が簡単と言う他にも、別の目的もあるのよ」
        「ナノマシンは本来、各自の身体能力を補うほか、プライベートシールドを展開する目的で使用されます。」
        「プライベートシールドの一つである呪符型シールドの特性については、みなさんもご存知ね ?」
        「そしてこの呪符型シールドを発展させたものに識神というものがあり、火器の生成はこの識神展開術の一つの形式となります。」
        「なので、呪符型シールドの特性をもつ人が識神を展開しやすいとも言えます。」

    【みさ】
        「ですが、サークル型シールドの特性をもつ人でも訓練を受ければ呪符型シールドを展開できるようになるのと同じく、識神も扱えるようになります。」
        「ただ、もともとの素質が違うのでサークル型シールドの特性を持つ人が識神を展開するに必要とする演算能力は一般的には呪符型シールドの三倍は必要とされ、かなりの負担を強いられます。」
        「なので、最初の練習では、できるだけ構造が簡単なものを具現化したほうがいいのよ。」

    【まっちゃん】
        「武装アプリを使用すれば、ある程度、識神展開術で受ける身体的負担は減らせるとは思うのですが・・・。」

    【みさ】
        「そのとおりよ。」
        「ただ、脳内にダウンロードする必要のあるアプリは、拒否反応というものが考慮されているので、汎用的に作られていたりするのよ。」
        「つまり、そこそこ使えるけれど、限界まで使いこなすほどの精度はないと言うことよ。」
        「なので、自身で武器システムを試行錯誤して、うまくいったものをマイアプリとして登録しておけばいいのよ。」
        「そのために、まずは基礎として構造の簡単なリヴォルヴァーを課題としたのよ。」

    【まっちゃん】
        「わかりました。」

    【みさ】
        「よろしい。」

    【みさ】
        「でわ、みなさん」
        「サーバーの火器ライブラリに図面がアップされていますので、好きなのをダウンロードしてください。」
        「低学部の子たちはまだプライベートシールドについてはお勉強中ですが、識神生成アプリ(※1)を使用すれば
            保有しているナノマシン保有量の範疇で具現化できますよ。」

    【レオンハルト
        「弾丸のデータがありません。」

    【みさ】
        「生成に失敗したら大変なので、こちらの方で実物の弾丸を準備しておきました。」


    サーバーには、世界中の銃器メーカーから取り寄せた図面がアップロードされていた。
    とはいっても、ほとんどが無許可で作成した図面ではあるが、大量生産して販売するつもりは無いので、あくまで教育目的と言うこじつけで勝手にアップされていた。

    ミクロン単位の詳細な図面を基に識神の展開演算数式を構築していく。
    三次元CADの図面を基に3Dプリンタで生成するのとかなり似ている。

    図面からナノマシンを立体的に構成するアプリを利用すれば、具現化は比較的容易だ。
    ただ、生成したパーツを組み付けるまではやってはくれないから、その最終的な組み立ては自分でやらなければならない。
    なので、上級者となってくると、識神生成アプリを使用せず、自分でいちから構築する事で生成と組み立てを同時進行でやる者が出て来る。 そうすることで、識神の展開開始から具現化までの時間を大幅に短縮する事が可能となる。


    【キヨちゃん】
        「センセー」

    【みさ】
        「長谷川さん、どうしたの ?」

    【キヨちゃん】
        「おみくじのヤツ、勝手になんか違うもの作ってますっ!!」

    【みさ】
        「なにかしら?」
        「池田くん、勝手な事しちゃだめよ。」
        「見せてみなさい。」

    しぶしぶ、見せたのは・・・。


    【まっちゃん】
        「三八」

    【おみくじ】
        「ぉ!?」
        「伊集院、お前、判るのか?」
        「さすがだなぁ。」

    【キヨちゃん】
        「なにそれ ?」
        「そんなの陸軍に配備されていたのかしら ?」

    【まっちゃん】
        「今のではなくて昔の陸軍が開発した世界に誇る名銃よ。」
        「正式にはサンハチ式歩兵銃と呼ばれていたわ」
        「旧日本帝国陸軍は近代型の小銃として三十年式歩兵銃を開発したの。」
        「当時の世界水準でも最新鋭のものだったらしいけれど、実戦において不具合が多発して後継モデルとして三八式の開発を余儀なくされたの」
        「三十年式歩兵銃自体はいいものだったらしいけれど、機関部が複雑でメンテ性に難点があり、砂やホコリが紛れ込むと壊れたのよ。」

    【まっちゃん】
        「そこで抜本的な見直しをはかり三八は機関部を簡素化して強度を確保し、三十で得られた教訓の数々をフィードバックさせる事に成功したのよ。」
        「たった5個の部品から構成された機関部は当時としては画期的なものだったそうよ。」
        「バレルは当時では珍しいタングステン合金が使用され、オーストリアのボーレレ社から製法ライセンスを購入し」
        「耐久性が高められたメトフォード型4条ライフリングが彫られ、その砲身寿命は8000発以上と聞くわ。」


    【キヨちゃん】
        「くわしいのね。」

    【まっちゃん】
        「ぃえ、たまたま知っていただけよ。」

    【まっちゃん】
        「で、その三八の生産ラインから特に精度の高いものを選び出して九七式狙撃眼鏡を付加されたものが、九七式と刻印され、九七式狙撃銃となったの」

    【キヨちゃん】
        「その銃は三八式と刻印されてるからフツーの量産型ってわけね。」

    【まっちゃん】
        「一度は三八式として完成したものの、比較的精度が高いものを選りすぐって九七式と同等の装備に改造されたモデルが存在するの」
        「池田さんが持つのは、その三八式改狙撃銃と言うモデルよ。」
        「刻印は三八式のままなの」
        「マニアックね・・・。」

    【クラス全員】
        そりゃぁアンタもだ・・・。



    【みさ】
        「それ、どうするのよ、三八年式6.65mm弾頭なんて用意してないわよ」
        「試射できないわね。」

    【おみくじ】
        「大丈夫、それもコピーしておいた。」

    【キヨちゃん】
        「なにやってんのよ。」
        「弾頭の生成は危険だってセンセーが言ってたじゃない。」

    【トミちゃん】
        「ちょっと、ダーリンにケチつける気なの ?」

    【キヨちゃん】
        「ルールは守りなさいって言うことよっ!!」

    【トミちゃん】
        「それなら、エルメスも、ワレサーP38を作っちゃってるぢゃん」
        「あれはいいと言うの ?」

    【エルメス
        「ブッブーーー、残念っ!!」
        「ワレサーP38では、あっりませーーん♪」
        「内装ハンマー式試作小銃のワレサーAPなんです。」
        「まぁP38のプロトタイプってところね。」

    【キヨちゃん】
        「うんちくはもうウンザリよっ!!」
        「どうして、みんなこう自由なのよっ!!」

    【エルメス
        「いいぢゃない、堅いこと言わないでよ。」
        「フクちゃんなんて、ロケットランチャー作ってるよ。」

    【フクちゃん】
        「ロケットじゃないよ。」
    ムスっとした。

    【フクちゃん】
        「これは、9K34、ストレラ3と言うロシアが開発した第一世代型のMANPADS(※2)だよ。」

    【みさ】
        「誰も、ミサイルを作っていいと言ってないわよっ!!」

    【フクちゃん】
        「ターニャちゃんなんか、もはや火器でなくなってるし。」

    【みさ】
        「ぇっ!?」

    フクちゃんに指さされ、ターニャーの方へ振り返った・・・。

    【みさ】
        「あの・・・ターニャちゃん・・・?」
        「なに作ってるのかな ?」
        「先生にわかりやすく説明してくれるかしら ?」

    【ターニャ】
        「MNCM」

    【みさ】
        「なにそれ ?」

    【ミーシャ】
        「マルチバンド・ナノ・カンター・モジュールの略よ。」

    ターニャの代わりに答えた。

    【みさ】
        「だから、なんなのよぉぉぉ ???」

    【ナターシャ】
        「知らないの ?」
        「古いわねぇ」

    【みさ】
        「いぇ、そう言う問題ではなく・・・。」

    【ナターシャ】
        「MNCMは、周囲に存在するナノマシンの活動を妨害したり、コントロール下に置くシステムよ。」

    【ミーシャ】
        「つまり強力なジャミングを発生させて、識神の展開演算数式にエラーを誘発させることで識神の形状を維持できなくする装置よ。」

    【フクちゃん】
        「ターニャちゃんすごいなぁ」
        「このシステムって、艦隊ですらまだ持っていないよ。」
        「あとで、設計図見せてもらってもいい ?」

    【ターニャ】
        「うん」
    小さく頷いた。

    【まっちゃん】
        「ターニャちゃんって小さいのにスゴイ先進的な技術を持っているんですね。」

    【ターニャ】
        「うん」
    小さく頷いた。

    【ナターシャ】
        「この子はアンテナ系幼女だから受信とか妨害とかは得意中の得意なのよ。」
        「ハッキングとかクラッキングの腕は、福田さんや伊集院さんと同じくらいあるわよ。」

    【まっちゃん】
        「ま、まさかぁ・・・あははは。」

    【ミーシャ】
        「ウソじゃないよ。」
        「2年前に、軍が開発中だった、グラヴィティー・カウンター・モジュールの図面をハックして、それを面白半分で作って、
        カメーニャ宇宙基地に着水する寸前だった定期連絡用のアメリ駆逐艦を海に沈める騒動を起こしたんだよ。」

    【トミちゃん】
        「ぇえーーーそれ知ってるよっ!」
        「ネットニュースで見てたもの。」
        「あと少しで着水というところを突然バランス崩して落ちちゃったのでびっくりした事を覚えているわ。」
        「たしか、遠浅の海だったから、完全沈没は免れたのよねぇ・・・。」

    【ナターシャ】
        「あれ、私のせいになって、涼花とヨシフ爺に、めちゃくちゃ叱られたんだからっ!」
        「ターニャのような大人しい子がこんな大それた事をする訳が無いってっ!!」

    【みさ】
        「ぇ!? 叱られた・・・で済んだの ?」

    【ミーシャ】
        「済まないよっ!!」
        「外交問題になるところだっ!! って言われて、その日の晩御飯、私も一緒に抜きになったもんっ!」
        「ターニャはしっかり食べちゃったけれど。」

    【みさ】
        「・・・!!」


    【サッチ】
        「ねぇ、涼花とヨシフ爺って誰 ?」
        「家族の人なの ?」

    【ナターシャ】【ミーシャ】
        「ぁ」
    ちょっとウッカリ喋ってしまった感がアリアリだった・・・。

    【ミーシャ】
        「ま、まぁ私達の世話係みたいなものかしら・・・。」
        「ねっ♪」

    【ナターシャ】
        「ぇ、ええ、そのとおりよ。」
        「アレしちゃダメだとか、コレしちゃダメだとか。」
        「なんでもかんでも、だめだめだめってウルサイったらありゃしなかったわ。」

    【フランシーヌ】
        「ふんっ」
        「私のリヴォルバーを見なさいよ。」
        「マニューレン社製38口径、MR73の8インチ治安介入部隊専用モデルよ」
        「拳銃でありながらバイポッドとスコープが搭載されてて、ほら美しいでしょ」

    【フランシーヌ】
        「その点、アンタのそんなガラクタなんか、一体なんの役にたつと言うのかしら。」

    【ターニャ】
        「#」
    ムっとした

    【ナターシャ】【ミーシャ】
        しーらないっと・・・。

    ターニャはおもむろに、パワースイッチをOnにした。

    【フランシーヌ】
        「ほうら、なにも起きないじゃない、」

    【ターニャ】
        「出力最大」
    アナログ式のスライド・レバーを目一杯に押し上げた。

    突然、フランシーヌが手にしていたMR73・・・の複製が砂のようにバサァ-と崩れてしまった。
    フランシーヌだけではなかった、クラスメイトが工作室内でナノマシンの力で具現化したモノはすべて形を失い、砂のように崩れ去ってしまった。

    【全員】
        「ぇえーーーーっ!!」
        「せっかく作ったのにぃ。」
        「そんな殺生なぁ・・・。」
    悲鳴が飛び交う。

    しかし、事態はそれだけでは収まらなかった。

    クラス全員・・・というより学校中のナノ・リンクシステムがダウンして、個人同士の意思疎通機能がマヒしたのだ。

    誰かがリンクの不調に気がついた
    【女生徒の誰か】
        「先生ぇーー」
        「ナノリンクの調子がなんだか変です。」
        「サーバーにダイブ出来ません。」

    全校レベルで、ナノマシンを利用するすべてのデバイスが機能不全に陥っていた。


    【フランシーヌ】
        「ターニャ、なんて事すんのよっ!」
        「そのガラクタ、さっさと止めなさいよ。」

    【ターニャ】
        「#」
        「ヤだっ」

    【ミーシャ】
        「フランシーヌが怒らせたんだよ。」

    【フランシーヌ】
        「なんで私のせい ?」

    教官が仲裁にはいる。
    【みさ】
        「ほらほら、ターニャちゃん、分かったから、そのスゴイ装置止めてくれる ?」
        「みんな授業できなくなって困っちゃうから。」

    【みさ】
        「ほら、フランシーヌもターニャちゃんに "ごめんなさい" は ?」

    【フランシーヌ】
        「ちょっとなんで、ターニャだけ "ちゃん" がついて、私にはつけないの ?」
        「同じ歳なのに。」

    【ミーシャ】
        「アンタが余計な事をいうからよ。」
        「この謹慎娘がっ!!」

    【フランシーヌ】
        「ぅっ・・・」

    謹慎の話を持ちだされると、後ろめたさからさすがにこれ以上の抵抗は無理と思った。

    【フランシーヌ】
        「ご・・・ごめんなさい・・・。」
    プライドのせいか大勢に聞かれないくらいに小声で謝った・・・。

    【ターニャ】
        「ぇっ!?」

    わざと、聞き取れないフリをした。

    【フランシーヌ】
        「ちっ!」

    【ターニャ】
        「舌打ちしたように見えたけれど、気のせいかな ?」
        「反省する気はないのね ?」
        「まぁ私は別にいいけど。」

    【フランシーヌ】
        「ぅぅぅぅ・・・・。」

    怒りでフルフルと震える・・・というより、もう一度皆の前で謝罪の言葉を口にしなければならないと言うのが屈辱だった。

    【フランシーヌ】
        「も・・・申し訳ありませんでした。」

    【みさ】
        「ほら、もう許してあげて。」
        「ね ?」

    教官に促され、ようやく MNCM が止められた。

    なんだかんだと騒動はあったものの、授業は再開された。
    崩壊してしまったナノマシンを再構築し、再び各々の作品が机の上に並べられた。

    しかし、突然、学校中・・・ぃや、帯締校区・・・ぃや、大和盆地全域にサイレンがけたたましく鳴り響いた。

    【フランシーヌ】
        「なに ? 何 ? 何ごとなの ???」

    【みさ】
        「皆さん、落ち着いて、机の下に潜ってっ!!」
    地震の時と同じ手順だ。


    【ナナ】
        「大丈夫よ。」
    ビビるフランシーヌにナナが声を掛けた。

    【サッチ】
        「フランシーヌたちは今年の編入生だから初めてかしら。」
        「おそらく、シナ軍の無人強行偵察機が来たのよ。」

    【もっちゃん】
        「前回は、確か3月の卒業式の日にやってきましたね。」
        「空軍は何やってるのかしら。」

    【サダッチ】
        「AS16はなんで警報だしてくれないのよ。」

    【フクちゃん】
        「たぶん、紀伊半島沖まで接近した原潜から水中発進したのだと思う。」
        「それに今は戦時下ではないからAS16は、性能秘匿の為、もし発見出来たとしても警報は出せないと思うし・・・。」

    【フクちゃん】
        「しかし、こちらにはミサイルがあるっ!!」
        「撃ち落としてやる。」
    自分で生成した9K34のスリングを肩からかけると、廊下に飛び出していった。

    【みさ】
        「こらぁっ!! 勝手に外に出ちゃだめぇーーーっ!!」
    制止虚しく、瞬く間に誰も居なくなった。

    みんなは校舎の屋上にいた。
    立地が小高くなっており、屋上からは大和盆地が一望でき、みんなは、そのサイレンを鳴らす原因となった目標を探した。

    ターニャがナノマシンを使用して、周囲を全天スキャンにかける。
    【ターニャ】
        「方位246、距離6000のグリッドD5、高度1200」

    【トミちゃん】
        「さすが、アンテナ系!」
        「空間スキャン早っ!」

    【フクちゃん】
        「見つけたっ!!」
        「オリジナルの射程は5.5Kmだが、こちらはモーターをチューンしてあるから7Kmまでは伸びる。」
        「しかも、第一世代は初歩的な熱尾誘導式(※3)だったのが、このミサイルはナノリンクを使用して精密誘導ができるすぐれものだっ!!」


    【まっちゃん】
        ぇっ!? ナノリンク ?

    【まっちゃん】
        「あっ、ダメだわっ!!」

    何かに気がついたまっちゃんがフクちゃんを止めた・・・が間に合わなかった・・・。

    【フクちゃん】
        「発射っ!!」

    ロケットモーターが点火され、目標に向かって勢い良くミサイルは飛び出した。
    そして、100mほど飛んで失速、校門前にある駐在所の駐車場に駐めてあったミニパトの上に落ちていく・・・。

    【フクちゃん】
        「ぁ・・・あれ ???」

    【まっちゃん】
        「ナノリンクはナノリンクAPを介さない状態だと、自身から半径100mしか制御できないわよ。」

    【フクちゃん】
        「しまった・・・やっちまったよ・・・。」
        「ボクとしたことが、こんな初歩的なところで失敗するとは・・・。」

    【フランシーヌ】
        「でも、どうして、ターニャは、6キロ先の目標を認識できたのよ。」

    【ミーシャ】
        「そんなの簡単よ。」
        「ナノマシンでレーダーを構築したのよ。」
        「私やナターシャにだって出来るわ」

    【フランシーヌ】
        「レーダーなんてどこにも見えなかったわよ。」

    【ナターシャ】
        「強力な電波を放射して、反射波をキャッチするくらいのものなら、別にわざわざ目に見える密度で構築する必要はないのよ。」

    【まっちゃん】
        「あなたたち姉妹はどこでナノマシンの使い方を覚えたの ?」

    【ミーシャ】
        「うまれつきよ」

    【ナナ】
        「しんじられない・・・そんなことってあるの ?」

    【ミーシャ】
        「まぁエリートって事かしら。」

    【フランシーヌ】
        「ぅぅ、なによっ!」
        「ナノマシンぐらい、私だってすぐに覚えて、追い越してやるんだからっ!」

    【サダッチ】
        「それより、アレどうすんのよ。」
        「こっち来るわよ。」

    気が付くと無人偵察機はすぐそこにまで迫っていた。

    【おみくじ】
        「オレの出番だな。」

    【トミちゃん】
        「キャーー」
        「ダーリン頑張ってぇー♪」

    【おみくじ】
        「おぅ、任せときなっ!」

    【キヨちゃん】
        「そんな旧式のボルトアクションであの無人機落とせるのかしら ?」

    【トミちゃん】
        「ちょっと、なに難癖つけるのよ。」

    【キヨちゃん】
        「だいたい、この距離からあの小さいターゲットなんて当たるわけないじゃないのよ。」
        「最新のスナイパー銃でも無理だわ。」

    【おみくじ】
        「まぁ、見ときなって」

    【おみくじ】
        「三八式はも最大射程が約3500mで、そのうち安定した有効射程が1000mもあるんだ。」
        「だが、この銃はそれより精度の高い狙撃仕様だから、有効射程はざっと1500mといったところだな。」

    【キヨちゃん】
        「まさか!? マンガのゴラゴ31のM16を持ってしても、そんなに届かないわよ。」

    【おみくじ】
        「フィクションと一緒にすなっ!!」
        「たかだか有効射程400mちょっとの量産型M16が、気合いれたとしてもそんなに飛ぶわけねーだろっ!!」

    おもむろに、ストックを肩に乗せた。
    ストックは脇に抱える形で銃をホールドするスタイルが一般的だが、炸薬量が少なく発射時のリコイルが少ない三八式は肩に乗せて視線をできるだけ一直線にするスタイルをとる人がいる。
    トリガーを引く腕が上がり一見不安定なその体勢では撃ちにくいと言われるが、そのデメリットを差し引いても、命中精度は向上する。
    一発必中が要求される場面であれば、次弾を想定せず一発だけ撃てればそれでいいのだ。
    一撃必中のためだけに要求される射撃姿勢なのだ。

    【トミちゃん】
        「距離は、約1600メートルってところね。」
        「あともう少しね。」
    双眼鏡を生成して、距離を計測した。

    九七式狙撃眼鏡を覗きながら、トミちゃんが知らせる距離に注意を傾ける。

    【トミちゃん】
        「1500!」
        「いまよっ!」

    バンっ!
    軽い射撃音。

    しばらく飛行を続けていたが、そのうちバランスを崩して工業団地内に落下する無人機。

    【サダッチ】
        「ぁ、あたったわね・・・。」

    【キヨちゃん】
        「ぇ、うそ・・・!?」

    【全員】
        意外にあっけなかったな・・・。



    【ナナ】
        「サッチ」

    【サッチ】
        「なに ?」

    【ナナ】
        「落としたやつ、ちゃんと回収しておくのよ」
        「それから団地に落ちてるから企業の人にちゃんと謝っておくのよ。」

    【サッチ】
        「ぇ!?」
        「私が ?」

    【ナナ】
        「あなた生徒会でしょ。」
        「渉外交渉役はサッチ担当よ。」
        「私はクラス委員長だから、権限外。」

    【サッチ】
        「ちょ、ちょっとなんか冷たくない ?」
        「一緒に行こうよ。」

    【ナナ】
        「私はしらない。」

    【サッチ】
        「えーーー・・・。」

    【サダッチ】
        「私もついて行ってあげるよ。」

    【ナナ】
        「そうしてあげて」

    【サッチ】
        「とほほほ。」


    授業終了を知らせるチャイムがなった。

    【生徒たち】
        「さっ、教室にもどろっと」


    【トミちゃん】
        「一発で仕留めるとはさすがね。」
        「カッコ良かったよダーリン♪」

    【おみくじ】
        「おぅ!」

    【サッチ】
        「#」
    一瞬、ラブラブなカップルにムカついた。

    【サダッチ】
        「おみくじっ!」
        「アンタも来るのよっ!」

    【おみくじ】
        「なんでだよっ!」

    【サダッチ】
        「アンタが墜したからに決まってるからでしょ。」
        「つべこべ言わないのっ!」

    やはり気が乗らないらしい・・・。
    【サッチ】
        「とほほほ。」

    【トミちゃん】
        「私も一緒に謝ってあげるよ。ダーリン♪」
    ガッカリするおみくじを後ろから抱きしめて慰めた。


    教室に戻ると さえ教官 が待っていた。
    【さえ】
        「無人機落としたのは誰 ?」

    一斉におみくじを指差す。
    【全員】
        「アイツでーす。」

    【さえ】
        「撃墜したのは池田くんなのね。」
        「その池田くんが撃った無人機が、池田村に落ちたと学校に連絡が来たわ。」

    名前が一致したヘンテコな偶然に
    【全員】
        「おーーーー。」

    【さえ】
        「ぃや、おーーじゃなくて・・・。」
        「でも、けが人は出なかったらしいわよ。」
        「良かったわね。」


    【サッチ】
        「教官。」
        「放課後、おみくじ連れて謝りに行ってきます。」

    【さえ】
        「いいわ。」
        「今、地図を送ったわ。」

    ナノリンクを通じて、脳内ストレージに墜落現場の地図が送られてきた。
    墜落地点には辻木運輸と記載されている。

    【さえ】
        「辻木運輸 ?」

    【ナナ】
        「ぁ」

    【さえ】
        「何 ? その "ぁ" は ?」
        「どう言う意味なの ?」

    【ナナ】
        「ぇ?」
        「ぁ、いえ、なんでもないわ。」



    放課後

    大きな池の堤防の上を歩いて、池田村に向かった。
    広大な面積を誇るこの池は、その昔、弘法大師と言うエライ僧侶が一晩で作ったと言う伝説があるが、作ったのは地球人に帰化したアトランティス人で、現在この池の下はアトランティス帯締分屯地の地下基地となっている。
    水面は対爆シールドとなっており、宇宙空間からのエネルギー砲の艦砲射撃に耐えるようになっている。
    また、ここには地球で唯一の重力エレベーターが設置されており、月が見える日はエレベーターが運行され所要時間5分で月に到着する。


    【サダッチ】
        「今日はエレベーターのプラットホームは水面から出てないわね。」

    【ナナ】
        「そりゃそうよ。」
        「月が出てなければエレベーター必要ないもの。」

    【トミちゃん】
        「ねぇ、まだ着かないの ?」
        「疲れたよぉー。」

    【サダッチ】
        「アンタが勝手について来たんでしょ。」
        「今から帰っていいのよ。」

    【トミちゃん】
        「なによっ!」
        「ふんっ!」
    ふてくされながらおみくじの腕に自分にしがみついた。

    【おみくじ】
        「大丈夫か ?」
        「無理に来なくてよかったのに。」

    【トミちゃん】
        「うんん・・・全然だいじょうぶよ。 平気♪」

    【トミちゃん】
        「べぇーーーっ!!!」
    サダッチのうしろ姿にアカンベーをした。

    サダッチは後方モニターでその様子を捉えていたが、ツッコミいれると余計に疲れそうだったので諦めた。

    【サッチ】
        「ほら、村が見えたわよ。」
        「あの中を通った反対側の向こうが、無人機が堕ちた現場よ。」


    堤防の上から村を見下ろした。

    【サダッチ】
        「土地が低いのね。」
        「池の水面の方が民家の屋根より高い・・・。」

    【サッチ】
        「人造の池ですからね。」
        「掘るより、堤防作ったほうがてっとり早かったのよ。」

    村の中を通り過ぎ、反対側の工業団地に到着した。
    学生にとっては、大人しかいない企業を訪問する事はめったになく次第にドキドキしてきた。

    【サッチ】
        「着いたわ。」
        「ここね。」

    おみくじの腕にしっかりとしがみつくトミちゃん。

    【おみくじ】
        「大丈夫か ?」

    【トミちゃん】
        「少し怖い・・・。」

    【サッチ】
        「大丈夫よ。」
        「相手はヤクザぢゃないんだから怖がる必要なんてないわ。」

    1階の事務所と思われる入り口から恐る恐るドアを開けながら挨拶をしてみた。


    【サッチ】
        「あの・・・」
        「すいません・・・。」

    すると、なんだかおっかなさそうな人がギロリと睨みつけてきた。


    【辻木運輸:社員A】
        「なんじゃ?」

    【辻木運輸:社員B】
        「なんか用か ?」

    【トミちゃん】
        「ひ、ひょぇぇぇーーー、やっぱり怖い人達だよぉ・・・。」

    生徒会会長とはいえ、サッチもまだまだ子供だ。
    少々ビビリながらも
    【サッチ】
        「あっ、いえ」
        「わが校の生徒が撃ち落とした無人偵察機がそちらに落下したとの連絡を受け、回収に参りました。」

    【辻木運輸:社員C】
        「あれのことか ?」

    指さした方を見ると、
    日の丸を背にした大きな黒いデスクの上に、翼の砕けたロービジー迷彩の無人機が置かれていた。
    そしてゆったりとしたシートにはその席のヌシと思われる紫のスーツを着て紫のハットを被った大柄な人物が深々と腰かけ、こちらを睨んでいた。
    両隣には木刀をもったちょっと危険そうな人物が・・・。

    【サッチ】
        「あっ、そうです、あの機体です。」

    【辻木運輸:社員A】
        「お前らが落としたんか ?」

    【サッチ】
        「はい。」
        「この度はご迷惑をお掛けいたしました。」

    【サッチ】
        「ほら、アンタも謝りなさいよ。 アンタがやったんでしょ。」

    【おみくじ】
        「すいません、おれ・・・ぃや、ボクが撃墜しました・・・。」


    【辻木運輸:社員B】
        「お前らが落としたラジコン機なぁ、所長の車に落ちてフロントガラスが砕けとんねん。」
        「どないしてくれんのぢゃ ?」

    社員Bが、入り口の外を指さすと、入るときには気が付かなかったが、フロントが無残に割れた高級車が停まっていた。

    【辻木運輸:社員A】
        「弁償してくれんだろうなぁ ?」

    社員が4人を取り囲んだ。

    【トミちゃん】
        「ひょぇぇぇーーー」

    【トミちゃん】
        こわいよぉーー・・・逃げてもいい ?
    ナノリンクの通話でおみくじに助けを求めた。

    【おみくじ】
        だめだ。 ここまで来たら逃げられないだろ。

    【サダッチ】
        この人達、やっつけてもいい ?

    【サッチ】
        ダメです。 民間人に危害を加えてはなりません。

    【トミちゃん】
        どう見ても民間人じゃないよぉぉぉ。

    相手が子供だからとホイホイ許してくれそうな雰囲気でもなく、
    どうにも、雲行きが怪しくなってきた。


    突然、背後の入り口から声がした。
    【ナナ】
        「あなたたち、何をやっているの」

    【トミちゃん】【おみくじ】【サダッチ】【サッチ】
        ぁ、ナナだ。

    【ナナ】
        「そのお車、私が弁償いたしましょうか ?」

    【辻木運輸:社員A】
        「誰だ ?」

    社員が一斉に入り口へ振り向き、そして凍りついた。

    【ナナ】
        「私があそこのそのお車を弁償しましょうと言っているのですが。」

    【辻木運輸:社員A】
        「ぉ・・・お嬢っ!」

    社員は一斉に整列して、深々とお辞儀で迎えた。

    【辻木運輸:社員一同】
        「お疲れ様っすっ! お嬢さまっ!」

    【トミちゃん】【おみくじ】【サダッチ】【サッチ】
        ぇ、えええーーー !? お嬢 ???

    さっきまでの恐怖がぶっとび、驚きの方が上回った。

    すると、奥のシートに腰掛けていた紫スーツの人が、おもむろに立ち上がった。

    【辻木運輸:辻木所長】
        「お嬢様、お戻りになるなら、ご連絡をいただければ・・・。」

    【ナナ】
        「おじ様、この者たちは、私のクラスメイトなので、ちょっと心配になって寄ってみただけよ。」

    【辻木運輸:辻木所長】
        「そうなんですか・・・。」
        「それは悪かった。」
        「すっかりビビらせてしまった。」


    【ナナ】
        「父の若林グループが経営している会社の一つよ。」
        「母方の性が辻木なの。」
        「この人は、母の弟で、ココの所長をされているのよ。」

    【サッチ】
        「は、はぁ・・・」
        「それなら、どうしてもっと早く、それを教えてくれなかったのよ。」

    【ナナ】
        「教えない方がなんだか面白そうかと思って。」

    【サッチ】
        「で、コッソリ後をつけて来たのね。」
        「あなた、おとなしそうなイメージして、性格はすっかり悪魔ね。」

    【ナナ】
        「そりゃそうよ。」
        「私の母が悪魔(アトランティス)のハーフで、私はさらにその血の半分を受け継いでるのよ。」

    【トミちゃん】
        「と、言うことは、弟の所長さんもアトランティスとの混血なのですか ?」

    【ナナ】
        「そうよ。」
        「アトランティスでは珍しいオスの悪魔ね。」

    被っていたハットをとり
    【辻木運輸:辻木所長】
        「悪魔と言っても、死なないと言う意味で悪魔と言う表現が使われているが、いたって普通の市民さ。」
        「ほら、ボクにもネコ耳があるよ♪」

    【トミちゃん】【おみくじ】【サダッチ】【サッチ】
        ぃや、どっからどう見ても、任侠一家だ・・・。


    【サッチ】
        「クォーターになるとさすがにネコ耳は付かないのね。」

    ナナの髪をかき分けて耳を探してみたが見つけられなかった。
    【ナナ】
        「やめなさいっ」

    【ナナ】
        「基本的に遺伝子は上位互換で引き継がれるので、一世代目の混血であれば身体的能力や特徴は悪魔の力が維持されるわ。」
        「しかし、さらに血の濃さが半分になった場合は人類の遺伝子が優勢となり、悪魔としての特徴が薄くなってしまうの。」
        「なので、分類上は人間と言うことになっているわ。」


    【サッチ】
        「アトランティスの血が4分の1になってもナノマシンは受け継がれるの ?」

    【ナナ】
        「ナノマシンは受け継がれるわよ。」
        「だって普通の人間だって適正をクリアすればナノ・インプラント手術を受ける事が可能なんですから。」

    【サダッチ】
        「ぁ、そうか」

    【ナナ】
        「ナノマシン適性と、アトランティスの遺伝子との因果関係はほとんど無関係よ。」
        「ただ、相性が良いのは確かだけれど。」


    【辻木運輸:辻木所長】
        「それはそうと、姉さんがお嬢を心配されてましたよ。」
        「たまには実家に戻ってはどうです ?」

    【ナナ】
        「私は一人暮らしがいいの。」
        「いろいろ世話を焼かれるのは大嫌いなのよ。」
        「知ってるでしょ ?」

    【辻木運輸:辻木所長】
        「それはそうですが、世話好きの姉さんからにしてみれば、お嬢がいないとかなり落ち込む日々が多くて・・・。」
        「それが、ときどき我々に八つ当たりして結構面倒くさいんですよ。」
        「たまに・・・で、いいので時々実家に戻ってあげてくれると我々も助かるわけでして・・・。」

    しばらく考えこんで
    【ナナ】
        「・・・ふぅ、判ったわ。」
        「時々顔を出してみるわ。」

    【辻木運輸:辻木所長】
        「有難うございます。」

    【ナナ】
        「その機体を回収したいのですが、よろしいかしら ?」

    【辻木運輸:辻木所長】
        「ぁ、どうぞどうぞ。」

    【辻木運輸:社員B】
        「しかし、この機体はステルス仕様なんだろ ?」
        「よく撃ち落せたなぁ。」

    【サダッチ】
        「クラスの別の子で、強力なセンサーを構築する子がいてステルスをものともせずキャッチできたのよ。」

    【辻木運輸:社員B】
        「にしても、あの帯学だろ ?」
        「ここまでは相当な距離があるぜ。」
        「しかも、このサイズだ。」

    【辻木運輸:社員C】
        「いい腕しているよな。」
        「卒業したらウチへ来いよ。」

    【ナナ】
        「勝手にヒットマンでスカウトしないのっ!」
        「こう見えても、私達は一応アトランティス艦隊所属の兵士なのですから。」

    【辻木運輸:社員B】
        「わかってるよ。」
        「お嬢ってほんと冗談が通じねぇや。」

    【ナナ】
        「あの壊れた車・・・」

    【辻木運輸:辻木所長】
        「ぁあ、あれね」
        「保険で修理するよ。」
        「保険のオプションで飛来落下物ってのに入ってるから」

    【ナナ】
        「わかったわ。」
        「ありがとう。」

    5人は、整列した社員のお辞儀に見送られながら会社を後にした。

    【サッチ】
        「しかし、あなたが任侠組のお嬢様だったなんて思いもしなかったわ。」
        「なんか、思っていたのとちょと違う感じ」

    【ナナ】
        「どういう意味よ。」

    【サダッチ】
        「ぅん、イメージ的に、どっかの社長令嬢的なのかなぁーって思っていたから。」

    【ナナ】
        「間違っていないでしょ。」

    【トミちゃん】【おみくじ】【サダッチ】【サッチ】
        ぃや、なんか、どっか違う。

    【おみくじ】
        「では、俺達はここら辺で。」

    【サダッチ】
        「トミちゃんとラブラブして帰るの ?」

    【トミちゃん】【おみくじ】
        赤面して頷く。

    【ナナ】
        「いいなぁー。」
        「私もラブラブしたいなぁ。」

    【サッチ】
        「早く寮に戻りましょ。」
        「東郷が待ってるわよ♪」

    【ナナ】
        「な・・・なんで、あいつなんかっ!」
        「アイツなんかとラブラブする訳無いじゃないっ!!」

    【サッチ】
        「私は東郷が一人寂しいかもしれないから、早く戻りましょう・・・のつもりで言ったんだけれど。」

    【ナナ】
        「ぅ・・・。」

    【サダッチ】
        「早く帰りましょう。」
        「もう、おなかペコペコ。」



    そのころ、駐在所のミニパトをミサイルで吹き飛ばしたフクちゃんは、おまわりさんにものすごく怒られていた。


       (※1)識神生成アプリ・・・ナノマシンを利用して自動的に識神を

                生成してくれるアプリ。    プライベートシールドは、各自の特性
                に合わせ発生させる必要があるが、識神はプログラミングコードにより
                具現化されるので、プライベートシールドが展開できない初級者でも
                識神を扱うことが可能である。ただし、やはり汎用的なものでしか生成
                出来ないため、いづれは個人的に最適な識神展開術を身につける必要はある。

                低学年の生徒たちは、ナノシールドが展開できなくともナノマシン保有しているため、
                アプリの力を借りれば識神を展開する事が可能であるが、
                ナノマシン保有量がまだ少ないため具現化できる難易度に限界がある。


        (※2)MANPADS・・・携帯式防空ミサイルシステム
                一般的には熱尾誘導式により目標まで誘導されるが、日本空軍が保有するMANPADSは
                より高度な技術が必要とされるTV誘導方式と言われ、目標をミサイル自身のカメラで認識することで誘導している。
                ただし荒天時や雲に弱い欠点も持つ。

        (※3)熱尾誘導式・・・物体が発生する熱源を感知して追跡する誘導方式。
                主にジェットエンジンの排気を感知して追尾を行う。初期の頃は航空機の
                背後から発射しなければならなかったが、センサーの精度が向上し、物体
                が高速移動で生じる空気との摩擦熱を感知できるようになり、正面から
                接近してくるものに対しても有効となった。
 

 

 

 

 

 

 

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