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アトランティスの亡霊

Ghost of Atlantis

【1-4-1】思っていたのとちょと違う感じ

思っていたのとちょと違う感じ

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原作イラスト提供 きゅーぶ先生

 

 

【1-4-1】



    味方艦が沈む警報アラームが鳴り響いていた。
    【サダッチ】
        「ケンジともっちゃんが沈んだわっ!!」

    【セッちゃん】
        「背後の防御が手薄になったわよ。」

    【サッチ】
        「・・・もはやこれまでなのか ?」

    場外のスタンドも落胆した重い空気につつまれていた。


    フクちゃんが解読した添下学園の通信波からは彼らの勝利を確信する交信が流れていた。
    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「敵のフネはあと7隻だ。」
        「第1艦隊はこのまま敵の残存艦隊を引きつけておいてくれ。」
        「後方からの一斉射で叩くっ!!」

    どうやら、サッチが追いかけている艦隊はあちらでは第1艦隊と呼ばれているらしい。

    【添下学園ボギーフリート2:生徒H】
        「了解した。」

    【添下学園ボギーフリート2:生徒I】
        「これで今回も我々の勝利ですね。」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒B】
        「そうだな。」
        「今回は思わぬ抵抗に遭いましたね。」

    【添下学園ボギーフリート2:生徒H】
        「しかし、まぐれはそう長くは続かないさ。」
        「全滅した第3艦隊は気の毒だったが油断した方が悪い。」
        「まぁ1個艦隊失った程度では我々の勝利は動かん。」


    特設シミュレーター会場では
    【アンナ】
        「まぁ、なんて余裕なのかしら」

    【レイチェル】
        「ちょっとムカつきますねぇ」
    スクリーンに向けて中指をつきだした。

    【アンナ】
        「福田くん、あちらの通信に繋げないのかしら ?」
        「文句のひとつくらい言ってやりたいわ。」

    【フクちゃん】
        「無理ですよっ!」
        「外野は通信は聞けてもこちらからは一切通じませんから。」
        「それにルールではログアウト者を含む観戦者はシミュレーションに介入する事は一切禁止されています。」

    【アンナ】
        「わっ、わかってるわよ。」
    頬をふくらませてスネた。

    ため息混じりに、
    【なるみ】
        「まぁ、確かに気持ちは分からなくもないですけどね・・・。」

    【レイチェル】
        「しかし、敵の動きが見えるのに、味方に何も言えないのはこれほどじれったいとは思わなかったわ・・・。」



    依然としてモニター・スピーカーから悲痛な交信が流れてくる。
    【オカちゃん】
        「火器管制のビーム振り切れませんっ!」
        「右舷後部スラスターのダメージが大きく戦術機動が安定しません。」
        「次被弾すればアウト・・・的な感じです。」

    モニターには、ダメージが拡大している事を示す状況報告のメッセージが逐次リアルタイムで流れて来る。
    もっともシミュレーションなので、そうなっていると想定してダメージポイントが蓄積されていく。
    実際はダメージコントロール(※1)が出動して損害箇所を応急修理したり、ナノリペア機能の修復機能が作動するのだが、それをやっていたら制限時間内に勝負がつかなくなるので、船体の修復はシミュレーションされず、ダメージは逐次蓄積されていく。


    【サッチ】
        「どこの艦に撃たれてるの?」

    【オカちゃん】
        「ボギー3のほとんど・・・」
        「数が多すぎて後ろ向きに仕返しなんて無理だよっ!」


    シミュレーターは一人で操艦、防御、攻撃をこなすので、基本的なイメージとして戦闘機を操縦している感じだが、最後尾に近い位置にいるとほとんど狙い撃ちの状態だ。
    シールドを展開しても、巡洋艦を含む主力艦隊の砲撃はシールドを貫通し、さらに物理的な熱エネルギー転換装甲にもダメージが蓄積されていく。



    【サッチ】
        「火器のダメージは?」

    【オカちゃん】
        「そっちはまだイケる。」

    【サッチ】
        「サダッチっ!!」
        「オカちゃんを援護して前の追撃を優先してっ!」
    サダッチに援護要請を出す。

    火力が生きているオカちゃんを前方に出してボギーフリート2を追撃させた方が
    オカちゃんに対するダメージが和らぐと判断した。

    【サダッチ】
        「あんたはどうすんのよっ!?」

    【サッチ】
        「後方のウザイ連中を食い止めてみるっ!!」

    そう言いつつ、艦の速力を低下させて艦隊の最後尾につけようとする。

    しかし添下艦隊は容赦しない。
    【添下学園ボギーフリート3:生徒B】
        「最後尾の艦、前に出すつもりだぞ。」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「艦体制御にダメージを負っても火力は維持しているぞ。」
        「おそらくあの後退しつつある艦と位置を入れ替えるつもりだ。」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒C】
        「まだ悪あがきする気かっ!」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「手負いの艦に再度火力を集中、前に出させるなっ!!」

    容赦の無い集中砲火がオカちゃんに降り注ぐ。

    【オカちゃん】
        「ゴメン、だめだった。」
        「推進力を失ったわ・・・。」
    機関停止の警告がモニターに出される。
    しかし活動を停止したオカちゃんの艦にはまだ砲撃が加えられてゆく。


    【ケンジ】
        「あいつら、また動かなくなった艦をまだ攻撃しているぞっ!!」

    よほど悔しいのかケンジは拳を握りしめた。

    【ヒジキ】
        「毎回毎回、容赦しねぇ連中ですね。」


    特設シミュレーター会場の巨大スクリーンに、岡本艦撃沈を示すステータスに変化し、会場にため息が漏れた。

    【ヘンリェッタ】
        「戦闘力のないフネを沈めにかかるなんて最低な人だちねっ!」

    【アルフォンス】
        「あいつら毎回毎回、こんな感じよっ!」

    実戦ではともかくとして、模擬戦やシミュレーター訓練では戦闘力の失ったフネを沈めてまでポイントを奪う行為はスペースマンシップとして行わない・・・と言うのが暗黙のルールなのだが、正式なルールでも無いため、添下学園は毎回、トドメを刺しに来るのだ。


    突然、サッチの怒鳴り声が特設シミュレーター会場のスピーカーから鳴り響く。
    【サッチ】
        「こらぁっ!!」
        「あんたたち何やってるのよっ!!」
        「動かなくなったフネにトドメを刺しに来るなんてサイテーねっ!!」


    【添下学園ボギーフリート3:生徒B】
        「げっ!」
        「あの女だっ!」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒C】
        「また、あいつかっ!!」
        「国際周波数使ってケンカ売ってくる下品な女はアイツしかいねぇぞ。」


    【ナナ】
        「またサッチ、頭に血が登ってるのね。」
        「女子なら少しはお淑やかにしないと・・・。」

    【マナブ】
        「委員長と違って生徒会長は血の気が多いですからね。」

    【ケンジ】
        「あとで殺されるぞ」

    【マナブ】
        「嗚呼・・・。」
    ウカツな事を口走り頭を抱えてしまった。




    サッチが怒鳴りこんでくるのはどうやらいつものことらしい・・・。
    【添下学園ボギーフリート3:生徒B】
        「こりゃまた、いつもの面倒なヤツが生き残ってたゼ・・・。」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「仕方ない、攻撃目標を変更っ」
        「あの、あばずれから叩きのめしてやるっ!」

    【サッチ】
        「レディをあばずれ呼ばわりするなんてっ!!」
        「今度町で会ったら半殺しにしてやるんだからっ!!」
        「覚悟しておきなさいっ!!」
    "街"ではなく、"町"というところが、田舎者どうしのケンカである事が伺える。

    【添下学園ボギーフリート3:生徒B】
        「我々は、今から君たちを皆殺しにしてやるっ!!」


    ただちにサッチの艦に攻撃が集中され、次第にダメージが蓄積されていく。
    【サッチ】
        「くっ・・・」
        「シールド全開にしたら攻撃にまでパワーを回せないっ!」


    しかし、突然、添下学園の攻撃に乱れが生じた。

    【サッチ】
        「ぇっ!?」
        「どうしたの?」



    【添下学園ボギーフリート3:生徒H】
        「未確認の艦が急速接近っ!!」
        「数、1っ!!」
        「質量、戦艦クラスっ!!」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「何っ!?」
        「戦艦だとっ!?」
        「どこの所属だっ!?」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒H】
        「シミュレーターの中には我々と帯締の連中以外は居ません。」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「バカなっ!」
        「(帯締の)エントリーリストには戦艦なんて存在しなかったぞ。」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「・・・にしても、何故、こんな近距離まで接近されるまで気が付かなかった?」
        「ジャンプサインは?」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒H】
        「検知していません。」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒B】
        「木星からジャンプもしないでこの宙域に移動してきたって事?」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「ありえんっ!」


    しかし、シミュレーター会場のスクリーンには、双方の艦隊データが表示されているので場外で見物している者には、正体がすぐに判った。

    【アンナ】
        「旗艦がやってきたのね。」

    【レイチェル】
        「ようやくお出ましですか。」

    【ケンジ】
        「でもよぉ」
        「俺たちは戦艦なんて持ってないぞ。」

    【ナナ】
        「モニターをよく見て。」
        「駆逐艦よ。」

    【ケンジ】
        「何っ!?」

    【ナナ】
        「駆逐艦を密集隊形で編隊を組んでいるのよ。」

    【ケンジ】
        「おぃおぃ、マジかよっ」
        「それで敵のセンサーを誤魔化しているのか ?」

    【ナナ】
        「ですが・・・だとしても、駆逐艦2隻が接近したところで戦艦クラスの質量は偽装できないわ。」
        「一隊どうやって。」

    【ミーシャ】
        「3隻いるよ」

    【ナナ】
        「ぇっ!?」

    【アンナ】
        「あら、ほんとね。」
        「1隻多いわね・・・。」

    ようやく、エントリーより1隻多いことに気がついた。

    【レイチェル】
        「だっ・・・だれなのよっ!」

    【ナナ】
        「まさか・・・」

    【ターニャ】
        「ぁ、パパだっ♪」

    【ナナ】
        「嗚呼、やっぱり・・・。」

    【アンナ】
        「パパって ?」

    【ナナ】
        「うちの、専任講師の東郷よ・・・」
        「何故だが、この娘はパパと呼んでるのよ。」

    【ケンジ】
        「あのクソ親父のやつ入院中ではなかったのか ?」

    【ナナ】
        「あのバカっ!」
        「病院を抜けだしてこんなところに・・・。」
        「後で倒れても知らないんだから。」


    【レイチェル】
        「でも、駆逐艦が2隻から3隻になったところで、質量は戦艦にはならないんじゃ ?」

    【ナナ】
        「そうなのよ・・・。」
        「どうやってるのか不思議だわ・・・。」

    ちょっと見て下さい。
    コンソールを叩いて、巨大モニターを切り替える。
    【フクちゃん】
        「ジャンプサインは出ていますね。」
        「しかし、ジャンプした先は、太陽ではなくその向こうに位置している金星です。」
        「金星の手前でジャンプアウトして、スイングバイと太陽引力による加速で水星まで一気に詰めてきたんですよ。」

    【アンナ】
        「添下のセンサーに掛からない訳だ」

    【マナブ】
        「だけど、それでは質量が戦艦並みと言う説明にはならないでしょ。」

    【フクちゃん】
        「自分の慣性重力を大きくしたからですよ。」
        「通常、重力波探査により、材質や大きさよってその質量が算出されます。」
        「それは重力波探査のビーコンが引っ張る力に対して、相手がどの程度反応するかで判るのですが、」
        「もし対象が通常より大きめの慣性重力を発生させていた場合は、センサーには大きい物体と認識されます。」

    【ケンジ】
        「それって、どこかで聞いたなぁ。」

    【フクちゃん】
        「そう、数十年前、日本艦隊が初の訓練航海で敵の攻撃を受けた時に用いた戦法です。」
        「艦隊は全滅したそうですが、その時は自分の艦のサイズより数万倍もの質量に偽装し、要塞と勘違いした敵がひるんだとの記録が残っています。」


    【添下学園ボギーフリート3:生徒B】
        「敵戦艦っ尚接近っ!!」
        「我が艦隊にそのまま突っ込んできます。」
        「衝突コースですっ!!」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「進路を維持しろっ!!」
        「急激に変えると衝突するぞっ!」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「攻撃目標を未確認の敵戦艦に変更っ!!」
        「火力を集中させないと容易に墜とせないぞっ!」

    添下学園艦隊に火器管制システムのビーム照射を受けている警告が鳴り響き騒然となった。
    【添下学園ボギーフリート3:生徒H】
        「戦艦から射撃管制のビームが届きました。」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「人工電子結界最大出力展開っ!!」

    しかし、巡洋艦に着弾し一撃で沈んでいく。

    【添下学園ボギーフリート3:生徒C】
        「い、一撃だぁ!?」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「バカな?」
        「巡洋艦とはいえ、戦艦のビームなら1発くらいは耐える筈だぞっ!!」

    続いて、第2射が駆逐艦に当たりセンサーから消える。

    ようやく、添下艦のセンサーが戦艦の正体を突き止めた。

    【添下学園ボギーフリート3:生徒H】
        「くっ駆逐艦 !?」
        「駆逐艦3隻が密集隊形を組んでいますっ!!」
        「しかも、各艦・・・ ???」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「どうした ?」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒H】
        「ぃえ、何か巨大な岩石なようなものを牽引しています・・・。」
        「何でしょうねぇ・・・。」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「ふざけている場合かっ!!」
        「しっかりセンサーを見極めろっ!!」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「こいつ、旗艦かっ!」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒B】
        「敵駆逐艦、我が艦隊へ正面から突っ込んできますっ!!」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「ビーム火力を集中」
        「雷撃戦用意っ!!」
        「密集隊形なら核攻撃で一度に屠ってやる」




    【アンナ】
        「ねぇ?」
        「まっすぐ突っ込んで勝算はあるのかしら。」
        「もう駆逐艦ってバレてんだし。」

    【マナブ】
        「そうだよ。」
        「エスコート艦2隻の旗艦だけでどう考えても戦力比で添下の連中にかないっこないぜ。」



    【東郷】
        「ボギーフリート3の陣形を最終確認っ!!」

    【さえ】
        「ボギー3は、4面縦列陣形(※2)を維持しており各列は、200mの密集隊形を保っています。」
        「あちらの重力探査のビームが届いてますので攻撃体制をとるようですわ。」

    【みさ】
        「添下の子たちは、こちらが駆逐艦・・・しかも旗艦だと判った頃ね。」
        「攻めてくるわよ。」

    【東郷】
        「ふん、ガキどもが。」
        「そんな密集隊形でガードを固めているつもりか!?」
        「密集隊形は被害が甚大になるって授業で習わなかったのか?」

    【東郷】
        「なら、密集隊形の本当の使い方を教えてやる。」
        「さえ、みさ、準備はいいなっ!」

    【東郷】
        「艦のコントロールをすべてこちらにまわせっ!」
        「さえ、手はず通り艦の防御をすべて任せる」
        「排熱処理の最適化をうまくやれよっ」
        「みさ、すべての火力を預ける。」
        「攻撃目標の選定と攻撃のタイミングは任せる。」

    【さえ】【みさ】
        「イエス、サー」

    【東郷】
        「スラスターセンター」(スラスターを中央に)
        「全艦、フルアヘッフル」(全舷全速前進)



    【ケンジ】
        「ぉいぉい、ウソだろ。」
        「一人で3隻の舵をコントロールする気かよ。」

    【マナブ】
        「マジっすか!?」

    【ヒジキ】
        「じゃほかの先公二人は?」

    【レイチェル】
        「攻撃と防御を分担する訳ね」

    【アンナ】
        「そういえば攻撃担当のみさ姉様は、砲術の名手だと聞いたことがあるわ。」

    【アルフォンス】
        「私もさえ先生の防御陣は鉄壁でそう簡単には突破出来ないとの噂よ。」
        「同じシールドを使用しても、周波数の変動パターンと熱変換効率において右に出るものがいないとか。」


    ここから、帯締、添下両訓練生たちは信じられない光景を目にすることとなる。


    東郷が操作する3隻の駆逐艦が同時に加速を開始する。
    そして艦を回転させていく。
    【東郷】
        「フルアップスラスタースターボード」(右舷スラスター上方最大出力)
        「スローダウンスラスターポート」(左舷スラスター下方 "微" 出力)

    自艦の中心線で回転させるのではなく、3隻が並走する中心線を軸に回転させる高等テクニックを披露した。



    【添下学園ボギーフリート3:生徒B】
        「敵駆逐艦っ錐揉みになってるぞっ!」
        「(艦の)コントロールが出来ないのか ?」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「違うっ!」
        「これは何かの戦術だっ」
        「うろたえるなっ!」


    【東郷】
        「グラビティ・アンカー、ドロップっ!!」(重力錨下し)

    艦を回転させながら錨を伸ばし走錨状態となっていく。
    錨で牽引されている小惑星が遠心力により外側に大きく膨らんでゆく。


    【アンナ】
        「なっ何をする気かしら ?」

    【レイチェル】
        「まっまさか・・・。」
        「引っ張ってきたあの小惑星を振り回す気なの ?」

    【ナナ】
        ・・・バッカっじゃないの!?」
        「そんな戦法が通用するわけがないっ!」
        「開始早々、メインベルトに飛んでったので何をする気なのかしらと思っていたら、アレを拾いに行ってたのね。」
        「呆れたわ・・・。」


    添下艦隊は我が身に起こりつつある事態に気がついた。

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「全艦、緊急散開、回避っ!!」
        「あの岩石に当たるとダメージが大きいぞっ!!」

    しかし、各艦が回避行動に動き出す前に、添下艦隊の4面縦列陣形の中央部を突破してきた。
    大質量の小惑星に衝突し、3隻がセンサーから消え、さらに逃げようとしてパニックとなった僚艦同士が密集隊形の中で追突して、2隻が行動不能に。

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「くっそっ武器を使わずに瞬時に5隻を・・・」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「全艦反転っ!」
        「全速航行中ならそう簡単にはUターンできまい。」
        「やつを全力で叩くっ!!」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「相手は旗艦、沈めさえすればそれでゲームセットだっ!」


    【東郷】
        「グラビティ・アンカー、リリース!!」(重力錨下し)

    小惑星が錨ごと緊急投棄され、慣性を失わずに仮想空間の宇宙の彼方に飛ばされていく。


    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「敵の背後を取ればこちらの勝ちだ。」

    通常、戦闘艦は全周囲への攻撃が可能だが、シミュレーターでは、各自が操艦と攻撃と防御をこなさなければならないため、基本、進行方向へは攻撃しやすく、後ろ向きに攻撃するのはやりにくい。
    なので、相手のバックを取ることは非常に重要となってくる。
    しかし・・・。


    【添下学園ボギーフリート3:生徒B】
        「てっ敵駆逐艦、反転しますっ!!」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「なんだとっ!?」
        「全速運転中のフネが反転するのか ?」



    【レイチェル】
        「そっか!!」
        「忘れていたわ。」
        「宇宙だったんだ・・・。」

    【アルフォンス】
        「どういう事?」

    【レイチェル】
        「宇宙ではいつまでも慣性に従って進行方向に進もうとするけれど、向きは自由に変えられるのよ」
        「だから、直進しながらでも艦の方向を変えられるの。」
        「空気抵抗がないから出来る挙動よ。」

    【アルフォンス】
        「では、どうして、艦隊行動では、進行方向へ舵を切ったり機動するのに艦を回転させたりするワケ ?」

    もっともな意見だ。

    【アンナ】
        「それはね、」
        「宇宙艦は基本的に上下左右の攻撃や防御が均一になるようになってて隙をつくらないようにしているけれど、」
        「フネの中はそうではなく、上下左右の概念が残っているのよ。」
        「一応、バランスは艦の中心軸に来るように設計されているけれど、ジェネレーターとか、整備庫とか、方向が定まっていないと都合の悪い区画もあるのよ。」
        「なので機動時にはそれらに影響が出ないよう極力配慮するんだよ」

    【レイチェル】
        「そう、でも東郷たちは、乱暴にもそのセオリーをまったく無視して操艦しているのね」


    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        しかし、反転したところで、その速度では亜光速ドライブを全力点火したところで減速は間に合うまい。
        びびらせやがって・・・。

    【添下学園ボギーフリート3:生徒B】
        「敵駆逐艦、減速っ!」
        「こちらに向かって加速してきますっ!!」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「なんだとっ!」
        「そんな馬鹿な事があるかっ!!」
        「慣性を無視するなど出来るはずがないっ!!」


    【フクちゃん】
        「グラビティ・アンカーを使ったんですよ。」

    【ヒジキ】
        「さっき緊急投棄したのではなかったのか?」

    【フクちゃん】
        「グラビティ・アンカーは、上下左右の前後と、駆逐艦クラスなら最低でも8個あるんですよ。」
        「残ったアンカーを水星と金星に打ち込んで、急停止させたんですよ。」

    【ケンジ】
        「あの親父・・・正気ではないな・・・」

    【アンナ】
        「そうね、いくら慣性装置が効いてるとはいえ、ホンモノのフネでやったらそれなりのダメージが蓄積するわ。」



    【添下学園ボギーフリート3:生徒B】
        「敵駆逐艦から射撃管制のビームのPingが届きました。」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「何をしている迎撃だっ!!」
        「迎え撃てっ!」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒B】
        「だめですっ」
        「駆逐艦がお互いに接近しすぎており、シールドが重なって強化されているようです。」
        「こちらの巡洋艦のビームが届きませんっ!!」


    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「全艦、火力を集中しろっ!!」
        「こっちは巡洋艦がまだ大量に残っている」
        「火力で圧倒すればシールドは突破できる!」


    しかし、東郷は艦を再びローリングさせて来た。

    【添下学園ボギーフリート3:生徒B】
        「巡洋艦のビームがシールドを突破しても艦の装甲に弾かれてしまいますっ!」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「そんな馬鹿なことがあるか。」
        「駆逐艦の装甲が巡洋艦の火力に耐えられるわけがないっ!」


    【アルフォンス】
        「どういうことなの?」

    【フクちゃん】
        「おそらく、熱転換装甲の放熱限界の特性を利用して巡洋艦のビームを無力化しているのだと思います。」

    【ケンジ】
        「ああ? どういうことだ!? メガネっ!」
    かなり不機嫌そうに聞いた。

    焦りながら
    【フクちゃん】
        「巡洋艦のビーム照射を受けた熱転換装甲が放熱限界を超える前に、艦をローリングさせて位置を交代させる事で損傷を回避しているんですよ。」

        「ローリングして同じ位置に戻ってくるまでには照射を受けた装甲の冷却は完了しており、装甲はもとの性能を再び発揮できるようになるんですよ。」

    手にしていたPDA端末を操作して船体の冷却シミュレーションの計算結果を弾いて、モニターに出力した。


    【ヒジキ】
        「あの先公の野郎はそんな芸当ができるのか ?」

    【ケンジ】
        「ああ・・・まったく正気でないな・・・。」


    【ナナ】
        「しかも、あのバカ、それだけじゃないわ。」

    【フクちゃん】
        「さすが委員長、気づかれましたか ?」

    【ケンジ】
        「まだ何かあるのかよ ?」


    【ナナ】
        「艦をローリングさせながらも、砲撃はキッチリと当てているのよ・・・。」

    【ヒジキ】
        「ぉいぉい、マジかよっ!?」

    【ナナ】
        「しかも駆逐艦3隻の砲撃はすべての連続して添下学園の艦の同じ場所に当てているから、たとえ駆逐艦の火力であっても排熱がオーバーフローして巡洋艦とはいえ深刻なダメージを受けてしまうわ。」

    【フクちゃん】
        「まぁ射撃に関しては火力を担当している南雲先生の腕前がいいからなんですけどね。」

    【ナナ】
        「だとしても、連携が相当困難な筈よ。」
        「あのバカと南雲教官とはどんな関係だったのかしら。」

    【アンナ】
        「あら?」
        「東郷と南雲先生とがいいコンビネーションだから妬いてるの ?」

    【ナナ】
        「そ、そ、そんなんじゃないわよっ!! #」


    しかし、そんな中、突然、東郷のの操艦が止まった・・・。

    【さえ】
        「どうしたの ?」

    【みさ】
        「どこかに被弾してトラブルでも起こした ?」

    【さえ】
        「なんでよ ? ダメージは受けていないわ!」

    【東郷】
        「ぁ、スマン、ちょっとトイレ・・・」

    【さえ】【みさ】
        「ダメですっ!!」

    【さえ】
        「アンタ 何考えてるの!」

    【みさ】
        「そうよ、子どもたちじゃあるまいし、我慢できないの ?」

    【東郷】
        「そんな事言ったって、病院出る前に点滴死ぬほど投入されて水分タプタプだよー。」
        「点滴したらトイレめっちゃ近くなるし・・・。」

    【みさ】
        「知りませんっ!」
        「我慢なさいっ!!」

    【さえ】
        「ぢゃ、漏らしちゃえば ?」

    【東郷】
        「そんな事できっかっ!! #」

    【さえ】
        「あら、そうなの ?」
        「クラス委員長の若林さんは、今から3年くらい前、初めてシミュレーター訓練した時なんて」

    【ナナ】
        「!?」
        まっ・・・まさかっ!!
    なんか忘れていた悪い予感が脳裏をよぎった。

    【さえ】
        「あのカラシニコフ姉妹のように途中でトイレが近くなったのよ」

    思わず叫んでしまった。
    【ナナ】
        「だっ駄目ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

    当然ナナの叫びが届くわけもなく、
    【さえ】
        「でもトイレ離脱しないで頑張ったわ。」
        「そのかわりにシートはオシッコでビショビショにしちゃったのよ。」

    【さえ】
        「その子は今ではクラスをまとめる委員長ですからねぇ。」
        「あの頃を思えば、たくましく成長したわ。」

    【ナナ】
        「ぅぅ私の黒歴史が・・・。」

    【東郷】
        「クンクン」
        匂いを嗅いでみた・・・。

    【みさ】
        「何? 嗅いでるの ?」

    【東郷】
        「ぃや、まだどっかに匂いが・・・」

    【みさ】
        「変態かっ!!」

    【さえ】
        「残っている訳ないでしょっ!!」
        「しかも、そのシートじゃないし・・・。」
        「本当に "バカ" なんだから。」


    湯気が出そうなくらいに赤面しながら
    【ナナ】
        「帰ったら、あのバカ絶対に殺すっ!!」

    【レイチェル】
        「まったくあの教官たち、私達にまる聞こえだよ。」

    【アンナ】
        「ナナったら、あんなオトコが好みなの ?」

    【ナナ】
        「違うって言ってるでしょっ!!」
        「ぶつわよっ!」
    怒ってはみたものの赤面した状態では威嚇にもならなかった・・・。



    【添下学園ボギーフリート3:生徒B】
        「なんか、突然動きが止まりましたね・・・。」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「油断するな。 また何か仕掛けてくるぞ。」



    【東郷】
        「みさっ!」
        「雷撃戦用意っ!!」
        「データを送信するから、航走モードをプログラムしてくれ。」

    【みさ】
        「ぇっ!?」
        「わっ判ったわ。」

    【さえ】
        「そろそろ敵の砲撃が来るわよっ!」

    【東郷】
        「ああ」
        わかってる。
    スティックを目一杯横倒しにして艦をロールさせる。

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「全艦一斉射開始っ!!」
        「沈めろっ!」

    間一髪、ロールした船体のすぐ脇をビームが抜けていく。
    【東郷】
        「怖ぇぇぇぇぇーーー」
        「どっか当たってんぢゃねーだろうな ?」

    【さえ】
        「あんな集中砲火をまともに受けたらシールドが持たないわよ。」
        「被弾はゼロ。」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「こっ・・・この距離で全弾を回避しただと ?」
        「センサーだけを頼りに、すべてのこちらの動きが見えるのか ?」

    【みさ】
        「プログラムをデプロイ完了!! 魚雷にアップロードしてインセットっ!、」
        「いつでも発射おーらいっ!」
    VLSに装填されている魚雷に行動パターンを覚えこませて次の指示をまつ。

    【東郷】
        「オーケー、オーケー」
        「でも、ちょっと待ってくれよ。」
        「あの後ろの引き離すから。」
    そう言って進路を水星に向けて加速させ離脱モードに入る。


    【添下学園ボギーフリート3:生徒B】
        「ぁ、逃げるっ!」
        「チクショーっ!!」
        「当たりさえすれば、沈むのに、チョコマカとっ!」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「さっき装填した魚雷はまだ待機状態だな ?」
        「各艦の雷装のステータスをチェックしてくれ。」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒B】
        「まだ全艦、発射体制のままホールドされています。」




    水星と帯締艦隊の旗艦と添下学園ボギーフリート3とがほぼ直線になった時、

    【東郷】
        「全艦、魚雷発射っ!!」

    【みさ】
        「各艦、1番から48番、全弾発射っ!」

    3隻の駆逐艦から4基のVLSから一斉に魚雷が放たれた。
    若干の時間差をおきながら、1基あたり12発が同時に発射され、1隻あたり48発、3隻で152発もの大量の魚雷が駆逐艦の前方、すなわち、水星に向かって放たれたのだ。

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「全艦、魚雷発射っ!!」


    【アンナ】
        「あらあら、同時発射ですね。」

    【レイチェル】
        「でも、あんなたくさんの魚雷、水星に向かって撃ってどうするのかしら ?」

    【ナナ】
        「プログラムモードね。」
        「水星の影でターンしてくるわよ。」

    【ヒジキ】
        「でも、発射の瞬間は添下艦隊にも察知されるぞ。」

    【フクちゃん】
        「それが、そうでもないんですよ。」

    【ケンジ】
        「どういうことだ?」

    【ナナ】
        「大気のない宇宙では、電離層での電波の反射は期待できません。」
        「なので、レーダー波は直進しかできず、近くに反射物があると、そのエコーは返ってきますが、その向こう側の物体へは影となりレーダー波が届かないので、探知できないのよ。」

    【フクちゃん】
        「仮に、添下の艦隊が横に広がって、斜め方向から電波を浴びせようにも、すでに旗艦は加速して引き離していますので、斜めからの照射は困難。」
        「さらに、魚雷は他のドローンと違って、電波を反射しにくい上、赤外線放射も低いので距離が離れるほど探知が困難となります。」

    【レイチェル】
        「しかし、だからと言って、あんなたくさんバラ撒いてどうする気よ ?」

    【ナナ】
        「あんなバカのすることなんて私にもわからないわよっ!」
        しかしだからと言って、むやみな事はしないはず。
        きっと何か考えがあるはずだわ。
    思考をめぐらし、ふと、会場のモニターに表示されている残戦力表に目が止まった。

    【ナナ】
        エントリーしたフネの数と、現在センサーで感知されているフネの数が合わない ???
        どう言うこと ?
        「まさか ?」

    【アンナ】
        「どうしたの ?」

    【ナナ】
        「どこかに、隠れている艦隊がまだいる筈よっ!!」
        「数が合わないの。」

    【アンナ】
        「あら、ホント」
        「じゃ、あの魚雷は、その艦隊に向けて ?」

    【ナナ】
        「ぃや、わからないわ、少なくても水星宙域周辺には、隠れている艦隊は居ないはずよ。」

    【レイチェル】
        「隠れているとすれば、太陽 ?」

    【ナナ】
        「おそらく。」

    【ナナ】
        「きっと、今相手にしている巡洋艦を中心とした艦隊は、囮。」
        「旗艦は、きっと安全な太陽の影よ。」


    【添下学園ボギーフリート3:生徒B】
        「敵旗艦、水星の重力影響圏に入りますっ!!」
        「スイングバイする気なのか ?」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「まずいっ!! 気づかれたかっ!」
        「敵の狙いは、我々の旗艦だっ!」
        「スイングバイを利用して、一気に太陽の裏へ回りこむつもりだぞっ!!」
        「絶対に阻止しろっ!」


    【東郷】
        「全艦、後部魚雷全弾用意っ!」

    【みさ】
        「誘導は ?」

    【東郷】
        「パッシブ」

    【みさ】
        「了解っ!」

    【東郷】
        「さえっ!!」
        「シールドを後方から前方へシフトっ!」

    【さえ】
        「了解っ!」
        「人工電子結界、再展開、出力最大っ!!」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「二手に判れて挟み撃ちにする。」
        「お前は半分を指揮して、先回りしろっ!!」
        「俺が後方から追い立ててやるっ!」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒B】
        「了解っ!」

    【みさ】
        「水星の惑星面境界軌道に乗りましたっ!!」(※3)
        「魚雷は ?」

    【東郷】
        「まだだっ!」
        「識神はあといくつ出せる ?」

    【みさ】
        「んーーーー。」
        「ナノマシンの残量からして、1隻当たり、あと3・・・ぃや2体ですっ!」

    【東郷】
        「識神 展開っ 数3!」



    【ケンジ】
        「先公のやつ、また識神を出してきた。」
        「シミュレーターで そうぽんぽんと出せるものなのか ?」

    【フクちゃん】
        「ふつうなら無理ですよ。」

    【フクちゃん】
        「いくら識神機能がシミュレーターでサポートされてて巫女の支援を必要としないと言っても基本的な挙動はやはりプログラミングが必要ですよ。」
        「操艦しながら何度も識神を繰り出せるものではありません。」


    【東郷】
        「有賀の艦隊はどうなってる?」

    【さえ】
        「サッチはまだ粘っているわ。」
        「ボギーフリート2と依然交戦中。」

    【東郷】
        「そいつを強襲する。」

    【さえ】
        「敵旗艦はどうする ?」

    【東郷】
        「ボギーフリート2をすべてやっつけて、今後ろにつけているボギーフリート3と再び交戦状態となったくらいにノコノコ出て来ると思うぜ。」

    【東郷】
        「高度をギリギリまで下げる。」

    【みさ】
        「水星の大気圏に突入!!」


    【レイチェル】
        「全速で大気に突っ込んだけれど燃えないの ?」

    【ナナ】
        「ほとんど無視できるくらいの薄さよ。」
        「それに前方にシールドをシフトさせたから摩擦熱には耐えるわ」

    【レイチェル】
        「ふーん・・・。」

    【ナナ】
        「重力が小さいから、スイングバイするにはかなり接近する必要があるの。」
        しかし、大気圏に入るほどまでに接近する必要はあるのかしら ?


    二手にわかれた添下学園の半分は水星の反対側で東郷たちが飛び出してくるのを待ち構えていた。
    【添下学園ボギーフリート3:生徒B】
        「遅いですね・・・。」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒G】
        「センサーに感っ!!」
        「水星の大気圏内、高度50mを移動中!」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒B】
        「こっ高度 50mだって ?」
        「金属微粒子でセンサーが機能していないのでは ?」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒D】
        「間違いありませんっ!」


    【添下学園ボギーフリート3:生徒C】
        「あの密集隊形でのこの機動って少し異常とは思いませんか?」
        「旗艦ということは、おそらく教官が操艦しているものと思われますが、」
        「帯締にそんな腕の立つような教官がいたとは聞いてません。」

    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
        「いや、数カ月前に職員会議で帯締に民間登用の新しい教官が配属されたらしいとの噂はあったんだ。」
        「かなり問題の多い教官らしいが腕は良いらしくて、帯締職員の間では "悪魔" と呼ばれているとか・・・。」
        「ソイツの可能性はある・・・だが」
        「少なくとも、今、我々が相手にしている敵のパイロットは、プロだっ。」
        これはマズイぞ・・・。 添下の不敗神話が絶えるかもしれん。

        (※1)ダメージコントロール・・・フネの損傷を修繕するに必要な処置。
                            実際のフネには、ダメージコントロール班が待機しており、
                            ナノマシンで修復不可能な損害箇所の修繕を行う。
                            戦闘中は、同時多発的に発生する修繕する箇所の優先順位を決定し、
                            ナノマシンや人的資源を割り振り、それらの一括した運用を
                            ダメージコントロールと呼び、略してダメコンと呼ばれることもある。
        (※2)4面縦列陣形・・・4個の縦列陣形を作り、正面から見て正方形となる艦隊配置。
                            水上艦だと、水面上にしか縦列陣形を展開出来ないが、宇宙空間では
                            上下左右に列を並べる事が出来る。
        (※3)惑星面境界軌道・・・地球で定義されている衛星軌道と呼ばれる高度を指す。
     

 

 

 

 

 

 

 

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