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アトランティスの亡霊

Ghost of Atlantis

【1-11-3】マゼラン派遣隊

マゼラン派遣隊

【1-11-3】

 

相変わらず薄暗いペンタゴンの会議室で最新のカザフスタンの状況が報告されていた。


アメリカ空軍宇宙艦隊 司令官】
    「ようやくカザフスタンが堕ちたか。」
    「接収したバイコヌールの被害状況はどうなっておる ?」

 

NATOアメリカ派遣部隊司令
    「ロシアは後で奪還を狙ってか破壊せずに撤退したようで損害は軽微だ。」
    「ただ施設を無傷で手に入れるために使用したサリンの洗浄にしばらく時間が掛かるとの報告をうけている。」
    「しかし一方で、味方の民兵や市民にも深刻な中毒被害が出ているようだ。」

 

【CIA極東支部長】
    「民兵や市民への被害については、ロシア側の化学兵器の攻撃によるものとメディアやSNS等の情報ネットワークに拡散しており、現在のところ情報のコントロールには成功しております。」

    「よって我が国が非難されることはありません。」

 

アメリカ空軍宇宙艦隊 司令官】
    「わかった。バイコヌールの復旧を急ぐように指示してくれ。」
    「ウクライナで建造した我々の戦艦パーツも既に揃っているからバイコヌールへの搬入と組み立てを急ぐように指令を出しておく。」

 

アメリカ空軍宇宙艦隊 司令官】
    「次はいよいよ日本の重力エレベーターだな。」
    「あのエレベーターはジャップではなくディープステートの管理下にある事が望ましいのだ。」


アメリカ太平洋艦隊 第七艦隊司令官】
    「しかし先程、駐日大使から報告にあった東郷の件だが・・・。」
    「ヤツは邪魔だな」

 

NATOアメリカ派遣部隊司令
    「行方不明になったナイトストーカーズの件も東郷が絡んでいそうだと別の報告書でも上がっていたな。」

 

【CIA極東支部長】
    「東郷については、こちらで処分致します。」

 

アメリカ空軍宇宙艦隊 司令官】
    「一歩間違えれば、アトランティス艦隊と戦争になるぞ。」
    「大丈夫なんだろうな ?」

 

【CIA極東支部長】
    「日本と言う土地柄いつも通りメディアやSNS等の情報ネットワークを駆使すればどうともなります。」
    「それにアトランティス艦隊の中では黒歴史のような人物ですから消えて好都合と思う艦隊幹部の者が多いと聞きます。」

 

アメリカ空軍宇宙艦隊 司令官】
    「それなら良い。」

 


 

学園


キム・ヨンギュン】
    「東郷さん・・・」

 

【東郷】
    「ぁ、戻ったか。」

 

キム・ヨンギュン】
    「ヘウンの容態は ?」

 

【東郷】( ̄ー ̄)b
    「ああ、第2阪奈を全開でぶっとばしてやったからな。」

 

【おみくじ】(-_-;)
    「あの道路は覆面が2重でパトロールしているって噂ご存じないのですか?」
    「俺たちバイク仲間でもあそこだけは慎重に走るぜ。」

 

【トミちゃん】
    「よく見つかりませんでしたね・・・。」

 

【東郷】( ̄ー ̄)b
    「ああ、見つかったよ。」

 

【おみくじ】(,,゚Д゚)
    「ぇっ!?」
    「見つかったって・・・。」
    「で、どうしたんだ ?」

 

【東郷】(・o・)
    「ぶっちぎってきた。」

 

【トミちゃん】
    「ああ、そう・・・。」

 

【東郷】
    「あとで、お手紙が送られてくるだろうな・・・。」

 

【おみくじ】(-_-;)
    「そらそうでしょうね・・・。」

 

キム・ヨンギュン】
    「ところで、ヘウンの事なのですが・・・。」

 

【東郷】
    「ああ、そうだった。」
    「もうちょっと遅れたら手遅れになっていた可能性があったそうだ。」

 

【東郷】
    「今は治療を終えて容態は安定したそうだ。」
    「さきほど意識を回復したそうだから処置室には入れる。」
    「会ってみるか ?」

 

キム・ヨンギュン】
    「はい。」

 

【東郷】
    「学園では緊急治療は可能だが、入院設備はないからな。」
    「このあと民間病院へ移動する予定だ。」

 

【東郷】
    「君が付き添ってやればいい。」

 

キム・ヨンギュン】
    「そうします。」

 

【トミちゃん】
    「私達はどうする ?」

 

【東郷】
    「お前らは関係ないだろ。 なぜついていく ?」

 

【トミちゃん】
    「いや・・・だって私達のせいで巻き込まれたのよ。」

 

【東郷】
    「わかった好きにすればいい。」

 

【トミちゃん】
    「ありがとうございます。」

 

【おみくじ】
    「教官はどちらへ」

 

【東郷】
    「セパハサーラール 大佐を見送りに重力エレベーターのホームへ行ってくる。」

 

【おみくじ】
    「もう月へ戻られるのですか ?」

 

【東郷】
    「まぁね。」

 

【東郷】
    「しばらく観光を楽しむように勧めはしたのだが、 "我々が居ると迷惑をかけてしまう" から月へ戻って本格的な慣熟訓練に入るって。」

 

【おみくじ】
    「真面目な人ですね。」

 

【トミちゃん】
    「じゃ、私達はヨンギュンたちについていくね。」


【東郷】
    「気をつけて行くんだぞ。」

 

【トミちゃん】【おみくじ】
    「はいっ!」

 

 


 

セパハサーラール 大佐の見送りから戻り、大坂で起こった事案を報告すべく学園長室へ向かっていると、ナナが追いかけてきた。


【ナナ】
    「教官!」

 

【東郷】
    「なんだ ?」

 

【ナナ】
    「キム・ヘウンの搬送が終わったそうです。」

 

【東郷】
    「わかった。」

 

【ナナ】
    「よろしいのですか ?」

 

【東郷】
    「何が ?」

 

【ナナ】
    「このヒトたち、あからさまな反日行為で授業態度も良くないじゃないですか。」

 

【ナナ】
    「風紀員のレポートでは視映像に記録されているだけでも」
    「学園内での窃盗が12件」
    「ネットワークへの不法侵入が153件」
    「ウチの生徒を買収しようとした事例も7件」

 

【東郷】
    「しかし、盗られたモノも、大したものはなかったじゃない。」

 

【ナナ】
    「でも、うち3件が学園生徒に支給されている端末です。」

 

【東郷】
    「それは、バイオセキュリティが掛かってるから盗ってもどうにもできないでしよう。」
    「ネットワークの侵入も成功したのは、ダミーのみで実害ゼロ。」
    「買収だって風紀院への通報ですべて不発。」
    「何も問題はないじゃない。」

 

【ナナ】
    「ですが、学外では・・・」
    「窃盗が6件」
    「市民への暴行が6件で・・・これは見過ごす事はできません。」

 

【東郷】
    「でも、証拠はないんでしょ ?」

 

【ナナ】
    「はい。」
    「学園が配置した監視カメラには捉えられておりません。」

 

【ナナ】
    「でも、アイツらが来てから犯罪件数が急増しており
        状況証拠から犯人である事は間違いありませんっ!!」

 

【東郷】
    「でも学園の外では日本の法律が優先される。」
    「証拠がなければ推定無罪。」
    「この学園が手出しできる権限はないよ。」

 

【ナナ】
    「それはそうですが・・・。」

 

【ナナ】
    「これだけの騒ぎも起こしたのですから」
    「この際、この学園から追放もできたのでは ?」
    「このまま放置すればまた関係各所に多大なご迷惑をお掛けすることになります。」

 

【東郷】
    「彼らは、もうなにもしないさ。」
    「少なくとも朝鮮人グループは。」
    「しばらくは学園に置いといてやれ。」

 

【ナナ】
    「サッチたちの意見はなんて ?」

 

【東郷】
    「渉外を担当する生徒会としてもこの件については当面は触れないようにするそうだ。」
    「その代わり、風紀員にはシナ留学生の監視を強化するように指示を出している。」
    「シナ留学生に気になる動きがあるらしい。」

 

【ナナ】
    「分かりました。」

 

 

 


 

そして一週間が経過し、あの件以降、学園の刺々しい雰囲気がいくぶん和らいだ感じだ。
訓練生たちは、今日も早朝から自主トレに励んでいた。

統一朝鮮軍の留学生たちは、帯締の訓練生がまるでルームランナーのような機材の上で
全力疾走する練習を何時間も続けているのを目撃した。
あまりにベルトコンベアーが高速で回転するため、体が後方へ持っていかれないよう
上半身は床にしっかりと固定されたフレームと連結され、強制的に全力疾走をさせられるようになっていた。

 

【フランシーヌ】
    「ヘウンの様態はどんな感じ ?」

 

キム・ヨンギュン】
    「順調に回復に向かってるそうだ。」

 

【フランシーヌ】
    「そう。 それは良かった。」

 

キム・ヨンギュン】
    「しかし・・・なんだ、この奇妙なトレーニングは ?」

 

【ヘンリェッタ】
    「ああ、これ?」
    「戦闘鬼を着装したまま長時間全力疾走できるようにする訓練よ」
    「マシンは疲れることはないけれど、着装する身の人間はそうはいかないので体に慣れさせているのよ。」

 

キム・ヨンギュン】
    「無駄な訓練だな。」
    「あんな時代遅れの旧式機であれば、全力疾走したところで知れているだろ。」

 

【マリアン】
    「あら、そうでもないわよ。」

 

キム・ヨンギュン】┐(´д`)┌
    「まぁいい。 我々の最新鋭機ではそのような訓練は不要だがな。」

 

そう言いながらヨンギュンは軽く手を挙げながらその場を立ち去った。

 

【ヘンリェッタ】
    「何よ。 感じ悪いわね。」

 

【フランシーヌ】
    「そう? 変わったんじゃないかしら」

 

【ヘンリェッタ】
    「変わった ? どこが ?」

 

【マリアン】
    「うーーーん・・・わかんない。」

 

【マリアン】
    「でも、今まで去り際に手を振るってことあったかしら ?」

 

【ヘンリェッタ】
    「そう言われるとそうよね。」

 

【マリアン】
    「まぁいいか・・・。」

 

【フランシーヌ】
    「アチラはアチラ、私達は私達よ。」
    「さあ、もう一走りするわよ。」

 

【マリアン】【ヘンリェッタ】ヽ(`д´;)ノ 
    「ええーーーっ!! 休憩させてよっ!!」

 

 

 


 


キム・ヨンギュン】
    「君たちも奇妙な訓練しているんだね。」
    「格闘術の練習だと ?」

 

【オリビア
    「そうよ。 それがどうかしたのかしら ?」

 

キム・ヨンギュン】
    「いや、さっきの連中もそうだが無駄なトレーニングを行うのか理解ができん。」

 

キム・ヨンギュン】
    「そもそもハヤブサがそのような身のこなしができるワケがないのに練習する意味などないだろうに。」
    「最新鋭の我々の機体でさえ近接格闘戦は剣術のみに限定して訓練を行うのに留めている。」
    「そもそもの話としてメカに人間と同様の動きをさせるのは不可能だからな。」

 

【オリビア
    「ハヤブサはあなたたちが思っている以上に柔軟な動きをするわよ。」

 

キム・ヨンギュン】
    「とてもそうは思えないな。」

キム・ヨンギュン】

   ヒロシマで戦った時はハヤブサはたしかに素早い動きをしていたが、
    それはパイロットが機体に慣れていたから。
    特に生物のような有機的な動きをしていたようには見えなかったな。


【バネット】
    「最近、熱心に我々の訓練を見学して回ってるわね。」

 

【ジョージ】
    「スパイ活動にしては堂々としてるわね。」
    「もう隠れる必要もなくなったワケかしら ?」

 

【バネット】【ジョージ】ヽ(=´▽`=)ノ
    「あははは。」

 

【オリビア
    「こらっ! 聞こえてるわよっ!!」


普通なら、即座に突っかかってゆくヨンギュンたちだったが
聞こえぬフリをしてその場を立ち去った。


【キム・エギョン】
    「話に聞けば、アナタ、以前に広島でハヤブサと剣術で交戦したとお聞きしたのですが ?」

 

キム・ヨンギュン】
    「まぁな。」

 

【キム・チョンア】
    「そうよ私もその話は聞いたわ。」
    「その時のハヤブサはかなり強敵だったそうじゃないですか。」

 

キム・ヨンギュン】
    「ああ、やつはエースだった。」
    「だから旧式のハヤブサでこの俺をあそこまで追い詰めた。」
    「それに、あの時は不意を食らった上に、我々に支給された刀が欠陥品で、日本刀相手にまったく役には立たなかった」

 

【キム・エギョン】
    「なるほど、そうだったのですか・・・。」

 

キム・ヨンギュン】┐(´д`)┌
    「しかし・・・旧式機のハヤブサであれほどの強さを発揮していたその秘密を知ろうと思ったが、無駄骨のようだ。」

 

 


 

それから数日経過した。


【東郷】
    「いよいよ来月から対抗戦の前哨戦が始まる。」

 

【東郷】
    「ここしばらく厳しい訓練を重ねてきたと思うが訓練で疲れたまま出場しても勝てる試合も勝てなくなる。」

 

【東郷】
    「よって学園長からの支持で、急遽来週1週間をオフとする。」

 

【キヨちゃん】
    「オフ ? ・・・ですか ?」

 

【東郷】
    「そうだ。」

 

【なるみ】
    「オフって何をするのですか ?」

 

【東郷】
    「何をしても構わん。」
    「温泉に行って疲れを癒やすのもいいし、里帰りして英気を養うのもいいだろう。」

 

【なるみ】
    「えっ!!」
    「本当ですかっ!?」
    「やったぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

【東郷】
    「静かにっ!」

 

【東郷】
    「ただし、1日に一回は必ず定時連絡をする事。」
    「それが条件だ。」

 

【東郷】
    「学園から離れても、君たちはアトランティス艦隊の一員である事を忘れるな!」

 

【クラス全員】
    「はいっ!!」

 

【ナナ】
    「しかし、このタイミングで突然の休暇って変ですね。」

 

【東郷】
    「どうしてそう思う ?」

 

【ナナ】
    「それは、各国から派遣されている訓練生に対して本国から緊急の通信が増えている事となにか関係があるのですか ?」

 

【東郷】
    「ふぅ・・・。」

 

【東郷】
    「まぁ隠しておいても仕方ないか・・・。」

 

【東郷】
    「勘のいいヤツは嫌いじゃないぞ。」

 

【東郷】
    「ニュースなどで知っての通り、アトランティス艦隊基地のあるバイコヌールの権益を巡って NATOと米軍がカザフスタンの政権を転覆させ、ここ数ヶ月に渡りロシア軍と交戦状態となっていたのだが、数日前にバイコヌールは完全にNATOと米軍の手に落ちた。」

 

【東郷】
    「これにより我が艦隊の地球での拠点の一つを失う事態となった。」

 

【東郷】
    「EUアメリカは、"カザフスタンの独立は地球人の主権の一つであり、アトランティスと敵対する意思は無い" としているが、バイコヌール港はアトランティス近衛隊も使用している事から近衛隊からの抗議を無視する形で占領した事を近衛隊側が問題視している。」

 

【東郷】
    「これらの件に関係するかは分からないが、同校に派遣している欧米からの訓練生に帰国命令が出るとの噂も上がっておりその真相を確かめるために、1週間ほど様子を見てみようと言うのが学園長の考えだ。」

 

【サッチ】
    「つまりは情報収集をしてこいって事ね。」

 

【サダッチ】
    「なるほど。」

 

【東郷】
    「ま、まぁそんな危険な事はしなくてもいいが、何か、我々の様子を探るような不審な動きを察知したら学園に報告を入れてほしい・・・と言うことだ。」

    「何度も言うが危険なマネは絶対にしないようにな」

 

【クラス全員】
    「はいっ!!」

 


【東郷】
    「さて、ヨンギュン」
    「君たちはどうする ?」

 

キム・ヨンギュン】
    「我々ですか ?」

 

【東郷】
    「そうだ。」
    「授業はないぞ。」


仲間の顔を見て口を開くヨンギュン
キム・ヨンギュン】
    「ヘウンを見舞ってあげます。」
    「仲間が近くにいるほうがいいと思うし。」

 

【東郷】
    「そっか。」
    「それならついててやれ。」
    「敵地で入院ほど心細いものはないからな。」
    「きっと本人も喜ぶだろう」

 

キム・ヨンギュン】
    「ありがとうございます。」

 

こうして、短い休暇をとる事なった訓練生たちは あるものは実家に帰り、あるものは気の利いた仲間とともに祖国に帰ったりして思い思いの休息をとる事となった。

 

 

 

 

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