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アトランティスの亡霊

Ghost of Atlantis

【1-12-2】高速巡洋艦「衣笠」の冒険

高速巡洋艦「衣笠」の冒険

【1-12-2】

 

NATO カザフスタン派遣隊 ハヤブサ破壊チーム

 

レオンハルト
 「メディアではすでに、"バイコヌールを解放したNATO軍と米軍に対してロシアが核を使用し、軍隊だけでなく一般市民にも多くの犠牲者が出た" と、糾弾する報道が流れています。」

 

【アルビータ】(-_-;)
 「早いな、もうそんなニュースが流れているのか ?」

 

復旧した回線からネットを検索すると、バイコヌールが大きな核爆発に包まれて粉々に吹き飛び炎に包まれる映像が世界を駆け巡っていた。

 

【アルビータ】
 「これも事前に準備されていたのか・・・。」

 

【アルビータ】
 「なにもかも段取りが良すぎるな。」

 

【アルビータ】
 「ISをテロ組織として育成した時は、SNSが注目を集める重要ツールとして認識し、
ウクライナを偽情報で大統領を失脚させ、その後もテロ組織を育成してロシア人虐殺を繰り返した時は、識別が困難な偽映像や偽音声を作って一方的にしかも徹底的に流布すると言う新しい技術が躍進し情報戦を有利に戦った。」

 

【アルビータ】
 「手際の良さと映像の進化ぶりには感心するしかないな。」

 

ネットワークは再び断線した。

 

【アルビータ】
 「くそっ」

 

【アルビータ】
 「さっきの爆発で電離層が破壊されたか・・・。」
 「この通信障害はすぐには回復せんな・・・。」

 

エルメス
 「あの映像、やりすぎではないのか ?」
 「そもそも街なんて吹き飛んでいないし、いつかは嘘だとばれるだろ。」

 

【アルビータ】
 「そうでもないさ、ISやウクライナのテロ組織が流布した偽情報は、誰も覚えていないだろ ?」
 「EU諸国と米国ではその偽情報が正しい歴史としてすっかり定着している。」

 

【アルビータ】
 「稀に覚えていたとしても、陰謀にすっかり騙され信じきって疑わない者に限って、正確な情報で指摘されると今まで信じてきた事が偽情報だった事を認めたくないから "お前は陰謀論者だ" と言い放って議論から逃亡する。」
 「議論にならないから、いつまでたっても正確な情報に是正されることがないんだけどな。」

 

【アルビータ】(-_-;)
 「まぁ我々は、政府の犬だから事実を知っててもミッションを遂行するしかないので彼らよりもっとタチの悪い存在さ。」

 

【アルビータ】
 「さてと、ここで世界の歪んだ正義の事を語っていても仕方ない。」
 「今のEMPで故障した機材はあるか ?」

 

レオンハルト
 「シュヴァルベとファルコ、両鬼ともにEMPによるダメージはないものの
熱線と爆風による物理的な損傷がいくつか発生しており、全鬼がメカニカル的な制限が掛けられると診断されています。」

 

エルメス】┐(´д`)┌
 「さらに、全鬼ともマウントされていた携行装備品に、いくつか EMP による影響とおぼしき原因不明のエラーが発生して使い物にならなくなっており、我々としてはこれ以上のミッションの継続は実質的に不可能な状況ですね。」

 

【アルビータ】
 「まぁこの新型を失わずに済んだだけでも良しとするか・・・。」

 

【アルビータ】(-_-;)
 「さてと、その我々の置かれている状況だが・・・。」
 「カザフスタンNATO軍と米軍は全滅したと判断せざるを得ない。」
 「現大統領もおそらく逮捕拘束されるだろうな。」

 

【アルビータ】
 「つまりは我々はロシアのどまんなかに孤立してしまったと言う事だ。」
 「各地には警備のための残存兵力が点在しているはずだが、主力が全滅した以上は彼らも撤退を余儀なくされるだろう。」

 

【アルビータ】
 「味方の救援は期待できまい。」

 

【カンピオーニ】
 「ここからだと、一番近い味方は、アゼルバイジャンか・・・。」

 

【アグスティナ】
 「ここはNATO軍と米軍によるカザフスタン解放ルートだったから警戒が厳しいでしょうね。」

 

エミリア
 「とは言え、我々に残されたバッテリーで移動可能な味方となると、結局はアゼルバイジャン一択となる。」

 

【アルビータ】
 「少なくともこの場所は危険だ。」
 「まずは移動しながら通信の回復を待って、回復したら司令部の指示を仰ぐしかないな。」
 「道中でNATO軍と米軍の残存兵力と合流できればなにかしらの情報も得られるだろう。」
 「移動を始めるぞ。」

 

【全員】
 「了解。」

 

 


 

カザフスタンの街を守りきった幼女たちの戦いは続いていた。

 

【悪魔 A】
 曲射モードに移行。

【悪魔 A】
 EMPにより電波リンクがディスコネクトしたため光学リンクでコネクト。
 偏向ドローン(※1)とのリンケージ完了。

 

【悪魔 A】
 目標固定・・・。

 

【悪魔 A】
 掃討出力 0.05% 。

 

【悪魔 A】
 第二斉射開始!

 

【悪魔 A】
 目標の完全破壊を確認。
 敵勢力の戦闘力完全排除を完了。

 

【悪魔 C】
 EMPのせいでノイズが最悪ね。
 そっちは片付いた ?

 

【悪魔 A】
 うん。

 

【悪魔 C】
 こっちもクーデターを起こした一味は一通り掃討したわ。
 大統領の座に就いたヤツ・・・って、誰だっけ ?
 ま、名前はどうでもいいか
 コイツもCIAの工作員と一緒だったところをひっくるめて始末したわよ。

 

【悪魔 B】
 私も拘束されていた元大統領を無事に発見保護したわ。
 拷問とみられる傷が多数見受けられるけれど命に別条はないわ。
 これから支援グループに引き渡すので、終わったら私もすぐに合流するわ。

 

【悪魔 C】
 分かった、じゃ後で合流しましょ。

 

【悪魔 A】
 わかった。

 

 


 

米国某所 大統領専用機 エアフォースワンの駐機場

 

空港に到着して、専用機に乗り込もうとしていた大統領に一報が伝えられた。

 

【米国大統領】(,,゚Д゚)
 「なんだとっ!?」
 「それは確かな情報か ?」

 

大統領補佐官
 「はい、間違いありません。」
 「アラスカの秘密ミサイル基地がすべて破壊されてしまいました。」

 

大統領補佐官
 「それからノースダコタサウスダコタの地下サイロも同時に攻撃を受けて機能を停止したうえ、さらには水平線レーダーも破壊され、ロシアからの弾道弾の検出が困難な状態になっております。」

 

【米国大統領】
 「それはいつの事か ?」

 

大統領補佐官
 「5分ほど前です。」

 

【米国大統領】
 「ロシアからの攻撃か ?」

 

大統領補佐官
 「いえ、」
 「それは確認されておりません。」

 

大統領補佐官
 「NORAD によると、ロシアからの攻撃は探知できていないとの報告を受けております。」

 

大統領補佐官
 「さらに、同時刻に戦略宇宙軍が保有するいくつかのレーザー偏向衛星が何者かに乗っ取られた後に消滅したとの報告も受けており因果関係の調査を始めたところです。」

 

大統領補佐官
 「現在、日本の竹島に配備している対宇宙レーダーが唯一生き残ったものの、そのレーダーの記録でもロシア側からの攻撃は探知されておりません。」

 

大統領補佐官
 「ただ、本土の陸上配備型核ミサイル基地が全滅した事を受け、弾道ミサイル潜水艦を所定の位置で待機させ、グアムとテニアン戦略爆撃部隊にも日本海上空へ進出させるように指令が下っております。」

 

大統領補佐官
 「日本海上空では統一朝鮮軍と対峙する事になりますので、不測の事態に備え日本空軍にも直掩の要請を出しました。」
 「さらに舞鶴で整備中の空母トランプも数時間以内に緊急出航するよう下令が出ました。」

 

【米国大統領】
 「分かった。」

 

別のスタッフが大統領に取り継ごうとした。

 

【米国大統領】
 「今は、忙しいんだ!」
 「後にしてくれないか!!」

 

【次席補佐官】
 「は、では、取り急ぎの連絡として、5分ほど前からジョージア・ソレス閣下との連絡が途絶えているとの報告が入っております。」
 「では失礼。」

 

【米国大統領】
 「ちょっと君、待ちたまえ!!」
 「ソレス閣下と連絡が途絶えているとはどういう事だ!!」

 

【次席補佐官】
 「ですから、何者かの攻撃を受けたらしく邸宅の敷地を切り取るかのような形で焼き払われた瞬間が衛星で確認されました。」

 

【次席補佐官】
 「衛星から撮影されたと思われる動画がネットで拡散されており、アラスカ基地消滅のニュースとこれらの影響で、EU、ロンドンの市場が大暴落の状態で取引が開始され、
ニューヨークとトーキョーの時間外取引でも軒並み60%超の暴落と世界経済に影響が出ております。」

 

【米国大統領】
 「いつの話だ ?」

 

【次席補佐官】
 「およそ5分くらい前の話だそうです。」

 

【米国大統領】
 「今から5分前だと?」

 

【次席補佐官】
 「ええ、そうですが・・・。」

 

【米国大統領】_| ̄|○
 なんと言う事だ・・・。
 原因は、ひとつしかないではないかっ!!

 

【次席補佐官】
 「大統領、如何なされました ?」

 

【米国大統領】(-_-;)
 「い、いや、なんでもない・・・。」

 

【米国大統領】(,,゚Д゚)
 まずい。
 これはマズイ事になったぞ。

 

【米国大統領】
 アラスカとソレスとが同時に消滅とは、原因はカザフスタンしかないではないかっ
カザフスタンへの核攻撃直後の、それに関係する施設への直接攻撃・・・やったのは近衛艦隊しか考えられん・・・。
 おそらくアラスカはソレスを攻撃したのと同じレーザーの類の兵器を使用したのだろう・・・。
 しかも我々の攻撃衛星を乗っ取ったうえで恐ろしく正確に狙いうちにしている・・・。


【米国大統領】
 私もターゲットになるのか?
 いや、もしそうならとっくに生きてはいないな・・・。

 自分が攻撃のターゲットにならなかった事に安堵した大統領だったが別の不安がよぎる。

 

【米国大統領】
 NATO軍も含めて多くの戦闘部隊を一挙に失ったばかりと言うのに、さらに3大核戦力の一角が失われたとなれば、市民からの風当たりも強くなる。

 

【米国大統領】
 アラスカ消滅のニュースは瞬く間に世界中に拡散され、ロシアからの先制攻撃だとしてただちに反撃するよう議会が騒ぎ始めるぞ。

 

【米国大統領】
 今はアラスカに秘密のミサイル基地があるとは市民はしらないが、ノースダコタサウスダコタの施設も破壊されたと噂が広まれば一気に核戦争の危険が高まってしまうぞ・・・。

 

【米国大統領】
 カザフスタンへの核攻撃を隠蔽するメディア操作は万事うまくいっている。
 だが、予期していなった敵による仕返しが予想もしない大きな山火事になろうとしている。

 

【米国大統領】
 くそっ!!
 事態を収拾するには、近衛艦隊を抑え込むしかないか・・・。

 

【米国大統領】
 しかし、科学力はあちらが遥かに上。
 真正面の軍事衝突では我が方が圧倒的に不利。

 

【米国大統領】
 ヘタに歯向かうと、エルサレム消滅の二の舞となりかねん・・・それだけは絶対に避けねば・・・。
 せめて対等な立場であれば話し合いで解決できるチャンスがあるのだが・・・。

 

【米国大統領】
 「くそ、悪魔どもめっ!!」

 

しかし、地球上で唯一対等な立場で近衛艦隊と交流している国がある事を思い出した。

 

【米国大統領】
 「すぐに、日本の総理大臣を呼び出せっ!!」
 「今すぐにだっ!!」

 

大統領補佐官
 「はいっ!!」

 

 

 


 

帯締学園 生徒会会計 トレーディングルーム


【ナナ】
 「一体どれだけの予算を投入したらそうなったのよ ?」(-_-;)

 

【ノブちゃん】
 「約200億円くらいかな?」

 

【ナナ】
 「よく事前に察知できたわね。」

 

【ノブちゃん】
 「まぁね。」
 「そこは生徒会の情報収集能力の腕によるものだね。」
 「カラシニコフ姉妹が緊急で帰国したときから、段階的に売り注文を出していたのが正解だったのよ。」

 

【ナナ】
 「インサイダーにはならないの ?」

 

【ノブちゃん】
 「全然ならないよ。」
 「彼女らが帰国して、何をしでかすかは聞いてないからね。」

 

【ナナ】
 「その口ぶりだと、彼女が何をしに帰国したのか知ってる感じね。」

 

【ノブちゃん】
 「まぁね。」

 

【ナナ】
 「で、いくらの利益が出たの ?」

 

【ノブちゃん】
 「だいたい、5000億円弱かな。」

 

【ナナ】
 「それはすごいわね。」

 

【ノブちゃん】
 「まぁマゼラン取引所(※2)の資源相場と比べればほんの些細な額でしかないけれど、
それでもこの利益は地球上で自由に使えるところが非常に使い勝手がいいからね。」
 「アンドロメダとマゼラン間で使用される決済は額が大きいけれど資源の現物決済なので地球では使えませんからマゼランから資材や情報を得るための資金としか使えないのが残念なのよ。」

 

【ナナ】
 「じゃ、姉妹が戻ってきたら、なにかごちそうしてあげなきゃね♪」

 

【ノブちゃん】
 「も、もちろんそうするつもりだよっ!!」

 

【ノブちゃん】
 「それよりナナは休み取らなくてもいいの ?」

 

【ナナ】
 「私 ?」
 「私はだってクラス委員なのに運動オンチだし、メカにも弱い。」
 「だから自主練自主練!」

 

【ノブちゃん】
 「ナナはいつも頑張るなぁ。」
 「もう十分に実力はついてると思うよ。」

 

【ナナ】
 「そんなことないよ!!私なんかまだまだですよ!」
 「それより、貴女、部外者の私にこんな大事な取引を見せて大丈夫なの ?」

 

【ノブちゃん】
 「アナタ、東郷教官に直訴してアトラミス派遣隊に加わえてもらったそうね。」

 

【ナナ】
 「え、ええそうよ。」

 

【ノブちゃん】
 「じゃ、アナタは十分に実力があるという事だし、知る権利はあるわ。」

 

【ノブちゃん】
 「アナタ、戦闘鬼、1鬼おいくらかご存知 ?」
 「たとえば・・・そうねハヤブサはどうかしら ?」

 

【ナナ】
 「え!?  ・・・い、 1000万くらい ?」

 

【ノブちゃん】
 「ぶっぶーーーっ!!」

 

【ノブちゃん】
 「オプションなしの単体価格で、約1億円よ。」

 

【ナナ】
 「1億円!!」

 

【ノブちゃん】
 「そうよ。 これに数々の武装パーツ等のオプションが付与されるわ。」
 「なので実際は1鬼あたり本体の何倍も掛かってるわ。」
 「そして、その後継機として開発中の鬼体はさらに進化している分、量産価格はもっと高騰するわ。」

 

【ノブちゃん】
 「さて、宇宙艦1隻の価格はご存知かしら。」
 「たとえば、以前に私達が入手した島風はいくらくらいするかしら ?」

 

【ナナ】
 「うーーーーん・・・5000億円!!」

 

【ノブちゃん】
 「およそ3兆円よ。」

 

【ナナ】
 「3兆!!」
 「に、日本国家予算の・・・」

 

【ナナ】
 「・・・・・・」
 「い、いくらでしたっけ ?」

 

【ノブちゃん】
 「昨年度の日本の一般会計総額は90兆弱よ」
 「近年、労働者人口が改善されつつあるから今年はさらに増加する見込みらしいわ。」

 

【ナナ】
 「3兆!!」
 「国家予算の1/30かぁ・・・。」

 

【ノブちゃん】
 「そうよ、武装システム等のオプションやメンテナンスに必要な経費などは別よ。」
 「そのフネを1日動かすに必要な経費は数百億と言う単位でお金が飛んでいくの。」

 

【ノブちゃん】
 「アナタが参加するアトラミス派遣隊には帯締学園の訓練生も動員されるため、学園の装備も持ち出すことになるわ。」
 「でも、王宮から支給される我が校への予算にも限りがあるのは御存知の通り。」
 「しかし、作戦中に使える予算を気にしては戦えないでしょ ?」

 

【ノブちゃん】
 「他にもホラ、対抗戦を控えて みんなが訓練したり装備を整備するにもお金がかかるしね。」

 

【ナナ】
 「そうね。」

 

【ノブちゃん】
 「そこで、こうやって私達がせっせと裏で軍資金を稼いでいるってワケよっ♪」

 

【ナナ】
 「そうだったんだ。」
 「なんとなくは、そうなんだろうなぁ、て思ってたんだけれど。 あははは・・・。」

 

【ノブちゃん】
 「まぁ、アトラミスに関しては1週間ぐらいの救出作戦と言う事は聞いてるけれど、
生徒会としては、1ヶ月は余裕で戦える資金は供給するので安心して出かけてらっしゃい♪」
 「私はそれを伝えたかったの。」

 

【ナナ】
 「ありがとう、心強いわ。」
 「ま、とりあえずの目先は対抗戦よね。」
 「まとまった資金があるのなら心置きなく添下に挑めるわね!」

 

【ノブちゃん】
 「アチラも民間からの出資で潤沢な費用で装備を揃えてますからね。」
 「アナタの戦闘力、期待しているわよ」

 

【ナナ】
 「まずは、トレーニングしなきゃ!」
 「よし、今からひとっ走りしてこよっと!!」

 

 


 

月面アトランティス帝国自治区
 サンシャイン計画 人工宇宙線発生炉建設現場。

 

【グレート】(,,゚Д゚)
 「なっ!」
 「ジョージア・ソレスさまが亡くなられただと ?」
 「一体どういうことだ!!」

 

【ソレス代理人
 「我々としても、ソレスさまが亡くなられた以上は今後は貴女を援助するのは困難となると思ってください。」
 「とにかく投資を継続する判断が可能な何か目に見える大きな成果を出してください。」
 「それもできるだけ早急にです。」
 「では。」

 

【スコット】(・o・)
 「どうしたんだい ?」

 

【グレート】(-_-;)
 「計画を早める必要が出てきた。」
 「ついさきほど、ソレスさまが亡くなったと連絡を受けた。」
 「ここで実績を出さなければ私に対する支援も打ち切られる可能性がある。」

 

【スコット】
 「そういえば、朝からネットニュースはその話でもちきりだったな。」
 「君はソレスとどういった関係なんだい ?」

 

【グレート】
 「彼は、私の出資者だ。」
 「サンシャイン計画阻止のために活動資金の提供を受けている。」

 

【スコット】┐(´д`)┌
 「なるほどな。」
 「市場が大暴落しているから、ソレスの資産も大損害を受けているだろうから
成果の出ていない・・・要するに利益が得られない案件からは手を引くってワケか・・・。」

 

【スコット】
 「しかし、どうやってサンシャイン計画を阻止するんだい ?」
 「地球冷却化で使用される、サンシャイン炉は太平洋、大西洋、インド洋の各静止軌道上に1機ずつ、さらに、北極と南極を結ぶ極軌道に1機の計4機のマスター炉に、予備炉が1機が配置される予定で、すでに太平洋、大西洋、インド洋上空には、完成したサンシャイン炉が試験稼働している。」
 「今年中には最後の1機が極軌道に配備されて、サンシャイン計画が本格的に始動する。」

 

【スコット】
 「サンシャイン炉がアトランティス軍のドッグでが出てきたところを襲うのが一番確実で成功率が高いと思っていたが出資者が死んだことで計画が見直されると資金援助が得られなくなる可能性が出てきたため、計画を前倒しして、ドッグで建造中のサンシャイン炉を直接破壊して成果を出す必要が出てきたって事だな。」

 

【グレート】
 「そういうことよ。」

 

【グレート】
 「でも、問題はそれだけではないわ。」
 「宇宙艇なら私でも操縦できるから、ドッグが出てきたところを強襲するいくつものパターンを想定して計画を立てていたのだけれど・・・。」
 「調べている過程で、建造しているのはアトランティス軍のドッグではない事が分かったわ。」

 

【スコット】
 「ぇっ!?」
 「どういう事だ ?」

 

【グレート】
 「いくら調査してもアトランティス軍のドッグで建造している様子が伺えなかったのよ。」
 「なので、警備していた兵士と仲良くなって、聞き出すことに成功したのよ。」
 「そしたら、近衛艦隊の工廠で建造しているんだって。」

 

【スコット】
 「近衛艦隊といえば、王家直轄で警備がさらに厳重だぞ。」
 「どうするんだ ?」

 

【グレート】
 「そこへ作業工員として潜り込むには、求人募集を探して入るしかないのよ。」

 

【スコット】
 「なるほどな・・・そのためには厳しい身元調査をクリアする必要があるのか・・・。」

 

【グレート】
 「そうよ。」

 

【スコット】
 「仮に侵入に成功したとしてもサンシャイン炉は熱転換冷却型で他の用途でも使用されるので、どの炉がサンシャイン計画のものかはわかりづらいな。」
 「厳しい警備の中をサンシャイン炉を見つけ出して襲撃するのは至難の業だぞ。」

 

【グレート】
 「そんなものは、すべて破壊するだけよ。」
 「環境保護活動と言う "飯のタネ" を奪う障害は徹底的に排除してやるわ!!」

 

【スコット】
 「それは豪快だな。」
 「わかった、手を貸してやる。」

 

【グレート】
 「え、ほんと ?」

 

【スコット】
 「嗚呼、もちろんだ。」
 「その代わり・・・わかっているだろうな。」

 

【グレート】
 「ええ、もちろんよ。」
 「今夜は空いてるわ ?」

 

【スコット】
 「それなら夜8時ころに俺の部屋に来てくれ。」

 

【スコット】
 「そうだ、飯も用意しよう。」

 

【グレート】
 「わかったわ。」
 「楽しみにしてるわ。」

 


 

アメリネバダ州 某所

 

アメリカ空軍 サマーズ中佐】
 「君たちに紹介したいAMPがある。」

 

【アン】
 「これは!?」

 

アメリカ空軍 サマーズ中佐】
 「この鬼体は、我が国のゴーイング社とゼネラルショウナミクス社が共同開発した最新鋭のAMPでコードネームをX8と呼んでいる。」

 

【アン】
 「X8 ?」

 

アメリカ空軍 サマーズ中佐】
 「そうだ、まだ開発段階なので、Xナンバーが付与されているが、近いうちに正式に実戦配備が始まるだろう。」

 

アメリカ空軍 サマーズ中佐】
 「対AMP戦を最大限考慮し、大火力を集中して殲滅する圧倒的なガン・パワーとそれを支える駆動系。」
 「主武装は両肩に装備されているこの3銃身30mmガトリング銃で、劣化ウラン弾を毎秒300発の速度で発射可能だ!」

 

アメリカ空軍 サマーズ中佐】
 「手持ち火器としては20mmチェーンガンや12.7mm対人マシンガンなどあらゆる銃器オプションが使用可能だぞ。」
 「さらにはバックパックには対装甲用ロケットランチャーや対空ミサイルなども装備可能だ。」

 

アメリカ空軍 サマーズ中佐】
 「つまり紙切れのような装甲しか持たないハヤブサのような旧型機であれば瞬時に殲滅できる火力パフォーマンスが保証されているワケだ。」

 

【ジョージ】
 「格闘用の装備は ?」

 

アメリカ空軍 サマーズ中佐】
 「接近する前にこの圧倒的火力で薙ぎ払うのだからそんなものは必要ない。」

 

【ジョージ】┐(´д`)┌
 「えらい自信だね。」

 

【レイチェル】
 「これ、エルサレムが開発していた最新鋭のAMPとなんだか似てない ?」

 

【アン】
 「そうだね。」

 

アメリカ空軍 サマーズ中佐】
 「この機体はエルサレムとは一切関係はない。」

 

【レイチェル】
 「ふーーーん・・・。」

 

【ヘンリェッタ】
 「そういえば、8 と言う事は、それまでに7種類の AMP があるって事 ?」

 

アメリカ空軍 サマーズ中佐】
 「それは言えない。」

 

【ヘンリェッタ】(-_-;)
 「ちぇっつまんないな。」

 

アメリカ空軍 サマーズ中佐】
 「君たちの任務は、このAMPを学園で運用してもらい、経験値を蓄積する事だ。
我が国の諜報部によると、今、帯締学園の訓練生として在籍している留学生たちが
それぞれの母国で最新型の陸戦を受領しているとの情報を掴んでいる。」

 

アメリカ空軍 サマーズ中佐】
 「ちかく、日本で対抗戦というイベントが開催されるらしいな。」
 「そのタイミングで各国の最新AMPが集結するだろうと睨んでいる。」

 

アメリカ空軍 サマーズ中佐】
 「そこで経験値を得るのが目的だ。」
 「君たちアメリカ留学生のチームは、このX8で参加してもらう。」

 

【ジョン】
 「しっかし、胡散臭い鬼体だなぁ・・・。」
 「今まで、オレたちの国は、AMPの開発すらしていなかったのに、ここにきて、突然、実は開発していたんだって言われてもねぇ・・・。」

 

【トレイシー】
 「そうよそうよ、ジョンの言うとおりよ!」

 

【ヘンリェッタ】
 「しかも対オロチ戦ではなく、味方機との戦闘を想定したパフォーマンスというのは
おだやかではない仕様ですわね。」

 

【ヴィクトリア】
 「それにエルサレムが開発していたサンドゴーレムと非常に酷似している形状とスペックそして運用思想。」
 「どこからどう見ても、元エルサレムの企業が絡んでいるとしか思えないわ。」

 

【アーネスト】
 「ベースがサンドゴーレムなら、開発期間が短い上に配備も間近だ・・・と、自信もって言えるんでしょうな。」

 

アメリカ空軍 サマーズ中佐】
 「君たちには選択肢はない。」

 

【アン】
 「私は海軍だから貴官の命令に従う理由はないわ。」

 

アメリカ空軍 サマーズ中佐】
 「許可はもらっている。」
 「海軍もサンド・・・いや、X8を空母や揚陸艦に搭載するからな。」
 「君たちのは今頃は舞鶴には届いてる頃だ。」

 

【ジョン】
 「へいへい。」

 

アメリカ空軍 サマーズ中佐】
 くそ、生意気なガキどもだ。
 コイツラに我々の最新鋭機を託すなんて上層部も正気なのか ?
 しかも堂々と対抗戦に出場させるだと ?
 まぁいい、対抗戦の最中に素性がバレそうになればエルサレムを襲ったテロ組織の一味という事にしてAMPもろとも始末すれば良いだけの事だ。
 このカギどもがすべての責任を取ってくれる。


【アン】
 ねぇ、この鬼体の素性を探ってくれない ?
 こんな気色の悪いの着装したくないわ。

 

【オリビア
 ええ、分かったわ。

 

 


 

高居病院の屋上

 

【キヨちゃん】
 「本当に戻らなくていいの ?」

 

キム・ヨンギュン】(-_-;)
 「なんだ、君か・・・。」

 

【キヨちゃん】ヽ(`д´;)ノ 
 「なんだとは何よ。」
 「相変わらず失礼ね。」

 

【キヨちゃん】
 「妹さんのお見舞いに帰国しなくて大丈夫なの ?」

 

キム・ヨンギュン】
 「いいんだ。」
 「我々はそのうち本国から呼び戻されるだろう。」
 「その時に会いに行けるさ。」

 

【キヨちゃん】
 「そうなんだ。」

 

【キヨちゃん】
 「ぁ、主治医に、医療のために君の妹さんを日本に招聘できないか聞いてみたんだ。」

 

【キヨちゃん】
 「ダメだったわ。」

 

【キヨちゃん】
 「昔に健康保険制度を悪用した経緯から医療を目的とした敵対国からの来日は厳しく制限されているんだって。」

 

キム・ヨンギュン】
 「ああ、知ってた。」

 

【キヨちゃん】
 「だから先生をさらおうとしたのね。」

 

キム・ヨンギュン】
 「ああ、そうだ。」
 「だが、もういい。」

 

キム・ヨンギュン】
 「シナの医療技術もひと昔と違ってずいぶん発達したと聞いてる。」
 「シナなら同盟国だからもし対応が可能な医師が見つかれば診てもらえるかもしれない。」

 

【キヨちゃん】
 「そうなんだ。」

 

キム・ヨンギュン】
 「いろいろと迷惑をかけた。」

 

【キヨちゃん】
 「なによ、アンタらしくないよね。」

 

キム・ヨンギュン】
 「そうか ?」

 

【キヨちゃん】
 「そうよ。」

 

【キヨちゃん】
 「そういえば、呼び戻されるとさっき言ったわよね。」
 「それ、どういうことよ ?」

 

キム・ヨンギュン】
 「ああ、その話か ?」

 

キム・ヨンギュン】
 「要するに任務を全うできないと判断されているのさ。」

 

【キヨちゃん】
 「そうなんだ・・・。」

 

キム・ヨンギュン】
 「だが、次に代わりがやって来るとも聞いてる。」

 

【キヨちゃん】
 「この学園に ?」

 

キム・ヨンギュン】
 「いや、どうやら添下にらしいぜ。」

 

【キヨちゃん】
 「なんでまた ?」

 

キム・ヨンギュン】
 「あそこが開発している最新のAMPにたいそう興味があるようだ。」
 「現在重工が技術支援する名目で我々の代わりに留学生を派遣すると聞いてる。」

 

【キヨちゃん】
 「添下学園で新型を開発してたんだ・・・。」

 

キム・ヨンギュン】
 「なにも驚く話ではないだろ。」
 「君の学園だってハヤブサの後継モデルをいくつか試作しているではないか ?」

 

【キヨちゃん】
 「ま、まぁそうなんだけれど。」

 

キム・ヨンギュン】
 「現在重工は同社が製造しているAMPの試験を名目に添下に派遣する事を認められたらしい。」
 「現在重工も添下も、ハヤブサの能力を凌駕していると自信を持っており、帯締のハヤブサはもはや眼中にはないようだ。」

 

キム・ヨンギュン】
 「だから添下としても開発した新型機の性能を知るにはいい機会だから現在重工の提案を了承したのだろう。」

 

【キヨちゃん】
 「なるほどね。」
 「なぜその情報は私に ?」

 

キム・ヨンギュン】
 「たんなる餞別だ。」
 「その情報が君たちの役に立つかどうかは君たち次第だ。」

 

【キヨちゃん】
 「分かった。」
 「ありがとう。」

 

【キヨちゃん】(*´艸`*)
 「じゃ、私からもお礼として、
 「これから何か食べに行かない ?」

 

キム・ヨンギュン】(゚д゚)!
 「えっ!?」

 

【キヨちゃん】ヽ(`Д´#)ノ
 「勘違いしないでよっ!!」
 「二人きりではなくて、そちらのチーム全員招集してみんなでハンバーグ食べに行くのよっ!!」

 

キム・ヨンギュン】(,,゚Д゚)
 「分かった、今から招集掛けてみる。」
 「だが、全員集まる保証はしないからな。」

 

【キヨちゃん】( ̄ー ̄)b
 「了解!!」

 

 


 

添下学園、生徒会役員室

 

【大河内七美】
 「さて、対抗戦の準備も佳境に入ったね。」
 「そちらの進捗はどんな感じだい ?」

 

【本木 稔】
 「ほぼ完了しています。」
 「例年通り圧勝で間違いないでしょう。」

 

【本木 稔】
 「しかも、このタイミングで帯締の主要な留学生たちが母国に帰国しているようです。」
 「どうやら対抗戦前の一時的な休暇との情報もあります。」
 「そこで、グループ企業を通じで各国でイベントを用意するように指示を出しており
留学生はそちらの対応で足止めされて再来日が困難になる様に仕向けています。」

 

【嶋田繁太】
 「よろしい。」
 「おちこぼれの愚連隊とは言え数が多いと面倒だからな。」
 「数を減らせるならそれに越したことはない。」

 

【山下奉雪】
 「まぁそこまでやらなくても我々の勝利は確定だが、念には念をいれて周到に準備し、徹底的にリスクマネジメントを行うのが我が添下の伝統というものだ。」

 

【山下奉雪】
 「おちこぼれ公務員の集まりと、世界の一流企業の支援を受けた我が校とは根本的に違う事を思い知らせてやる。」
 「対抗戦は準備の段階からもう始まってるんだ。 」

 

【大河内七美】
 「それから、例の件ですが・・・。」

 

【山下奉雪】
 「ああ、我が校にやってくる統一朝鮮の留学生の事か ?」

 

【大河内七美】
 「はい」
 「現在重工側から、本校が開発した新型機との模擬戦を所望している件ですがスケジュールは如何いたしましょう ?」

 

【山下奉雪】
 「そうだな。」
 「我々としても交流戦で時代遅れのハヤブサと勝利したとしてもつまらんからな。」

 

【山下奉雪】
 「模擬戦ではなく交流戦への出場を認めてやるんだ。」

 

【嶋田繁太】
 「急なルール変更は帯締の方にも了承を取る必要が ?」

 

【山下奉雪】
 「構うもんか。」
 「この交流戦は我が校が優秀である事を知らしめる事を目的としている。」

 

【山下奉雪】
 「ルールは我々が決めるのであってアッチではない。」
 「世界の人々は、旧式のハヤブサではなく新型機同士の戦いを見たいはずだ。」

 

【山下奉雪】
 「現在重工が参加したいと言うのであれば我々としても願ってもない事だ。」
 「そして我が校がその新型機とやらを完膚なきまで叩きのめして完全勝利を収める!」

 

【山下奉雪】
 「新型機同士の戦いで勝利すれば、我々スポンサーの株価も大きく跳ね上がるだろうな。」

 

【大河内七美】
 「そうですねっ!!」

 

 


 

帯締学園 重工学部 部室

 

【ヒデコ】

 「何 勉強しているの ?」
 「ナノストレージがあるのだから勉強する必要なくね ?」

 

【まっちゃん】
 「いや、将来日本の大学へ進学するのに、論文を書く必要があるのでね。」
 「論文だけは記憶ではなくで自分の真の力が問われるんだ。」

 

【ヒデコ】
 「近衛艦隊には入らないの ?」

 

【まっちゃん】
 「いえ、もちろん入りますよ。」
 「入隊前に大学に進学して研究で成果を挙げる事ができれば近衛艦隊でも研究開発の部門に配属されやすくなるんです。」

 

【まっちゃん】
 「まぁ福田さんの場合は天才だし、すでに数々の実績があるので大学へ進学しなくても近衛艦隊の重要な研究開発の部門に配属されるでしょうけれど、私のような凡人が同じ場所に配属されるには相当努力しないとね。」

 

【ヒデコ】
 「へぇそうなんだ・・・。」
 「大学へ行くってことは、国家特待生狙いよね ?」

 

【まっちゃん】
 「もちろんです!」

 

【なるみ】
 「国家特待生って日本全国の大学における上位成績者は受講料無料っていうアレ ?」

 

【ヒデコ】
 「まぁね。」
 「全国ランキングに入れば、受講料だけでなく大学のあらゆる施設が無償で利用でき、大学に関するもので費用の発生する事についてはすべて無償になる制度で少子化における生徒確保の目玉としてどこの大学でも行われている。」

 

【ヒデコ】
 「これは優秀な生徒を育成する目的で大学へは国の助成金が投入されているからなんだ。」
 「毎年、各学年ごとに異なるテーマが国から出され、その課題の解決に優秀な成績を収めた上位100名に対して国から国家特待生として認定されるんだ。」

 

【ヒデコ】
 「そして国家特待生に対してその生徒が存分に学業に専念できるように多くの助成金が支給される。」
 「多くの国家特待生を輩出するほど大学も利益がでるので、近年は大学の教育レベルが右肩上がりに高度になっているんだ。」


そこへ東郷がやってきた。

 

【東郷】
 「お、珍しい組み合わせのメンツだな。」
 「邪魔だったかな ?」

 

【まっちゃん】
 「ぁ、教官。」
 「いえ、大丈夫です。」

 

【東郷】
 「フクちゃんが居なくてもやっていけてそうだね。」

 

【まっちゃん】
 「まぁまぁですね。」
 「すべてのモーターの換装とバッテリーの強化が終了します。」

 

【まっちゃん】
 「これにあわせて駆動アプリのアップデートも順次行っており先行して実装した鬼は衣笠に搭載して出発しましたが、それ以外の残った全鬼体の改修も一両日中に完了する予定です。」

 

【まっちゃん】
 「ぁ、ヒデコさんの鬼体は、福田先輩の指示どおりに調整してありますので後でチェックしてもらえませんか ?」

 

【ヒデコ】
 「あいよ」

 

【なるみ】
 「貴女もモテるわねえ。」
 「学園一の腕利きエンジニアによる特別製の鬼体でしょ ?」
 「私もいつかは専用鬼ほしいなぁ。」

 

【ヒデコ】
 「ばっバカ!!」
 「私とアイツはそんな関係じゃねーよっ!!」
 「アイツはいつも弱いくせに・・・。」

 

【なるみ】
 「はいはい。 でも素直にならないといつかは後悔することになるわよ。」

 

【ヒデコ】
 「だから、そんなんじゃねーと言ってんだよっ!!」

 

【なるみ】
 「痛い痛い、叩かないでよっ!!」

 

【ヒデコ】
 「何言ってるっ!! どうせその体識神だろっ!!」
 「本体はどこだっ!! 直接ぶっとばしてやるっ!!」

 

【まっちゃん】
 「・・・」

 

【なるみ】
 「しかし、これで、ようやく設計上のハヤブサ本来の性能が発揮できるようになるんですね。」

 

【ヒデコ】
 「でも、リミッターはまだ付けたままなんですよね ?」

 

【東郷】
 「ああそうだよ。」
 「少し動きが軽くなったと認識できる程度の負荷を掛けてくれればいいよ。」

 

【まっちゃん】
 「分かっています。 そのように調整しておきました。」

 

【東郷】
 「うん、ありがとう。」

 

【東郷】
 「留学組はおそらくこのタイミングで各国で開発してきた新型機を持ち込んでくるだろうからいくつか余剰となる鬼が出てくるだろうけれど、いつでも出せるようにしっかりとメンテしておいてくれ。」

 

【まっちゃん】
 「分かりました。」

 

【東郷】
 「それから、アトラミス派遣隊用に使用する分は検疫に出すから、梱包してフクちゃん宛てに発送しておいてくれないか ?」

 

【まっちゃん】
 「分かりました。」

 

【なるみ】
 「でも、発送してしまったら対抗戦で着装する鬼はどうします ?」

 

【東郷】
 「それは余剰になった鬼を充てるさ。」
 「パーソナルデータをインストールすれば、鬼体のハード的な癖は再現できなくとも再調教の時間は大幅に短縮できるだろ ?」

 

【まっちゃん】
 「そうですね。」
 「やっておきます。」

 

【まっちゃん】
 「あの・・・。」

 

【東郷】
 「なんだい ?」

 

【まっちゃん】
 「福田先輩、いつ戻ってこられますか ?」

 

【東郷】
 「うーーーん。」
 「今は出撃する艦艇のシステムチェックと、現地へ持ち込む鬼の調整でドタバタしているけれど、「まぁ彼一人でなんでもやっているワケではないので、あらかた片付いたら戻ってくると思うよ。」
 「対抗戦までには戻ってこないと困るしね。」

 

【ヒデコ】
 「検疫ってそんなに時間掛かるものなの ?」

 

【東郷】
 「いや、あんまり時間掛からないよ。」
 「持っていく装備は2日ほど掛けて完全滅菌するだけだから。」

 

【東郷】
 「時間が掛かるのは、現地環境の適応訓練ってやつなんだ。」
 「重力の大きさと大気の成分が地球とは全然異なるので、いきなり現地に放り出されても何もできないからね。」

 

【東郷】
 「なので、月に惑星環境をまるごと再現できる近衛艦隊所有の広大な施設があるので
そこで重力と大気を再現した上で何か月も訓練しているんだ。」

 

【東郷】
 「その機材の調整にフクちゃんが活躍しているよ。」

 

【まっちゃん】
 「月にそんな施設があるの ?」

【東郷】
 「元はダイダロス艦隊の惑星フォーミング技術の応用らしいけどね。」

 

【まっちゃん】
 「へぇーーー。」


【東郷】
 「ぁ、そうそう対抗戦とはあんまり関係のない話なのだけれど、その余剰になったハヤブサ、いくつかアトラミス派遣隊用とは別に月へ送ってくれない ?」

 

【まっちゃん】
 「ええ、これも福田さん宛てでよろしいのですか ?」

 

【東郷】
 「ああ、そうだね。」

 

【まっちゃん】
 「で、その鬼体は何に使用されるのですか ?」

 

【東郷】
 「対オロチ特別講習用さ。」

 

【ヒデコ】
 「ああ、もうそんな時期なんですね ?」

 

【まっちゃん】
 「なんですか ?」
 「その対オロチ特別講習ってのは ?」

 

【ヒデコ】
 「毎年、この時期になるとオロチを想定した模擬戦闘訓練を行うのさ。」

 

【ヒデコ】
 「それにはリミッターを解除したハヤブサが使用されるんだ。」
 「そうやって、限りなく実戦に近い戦闘訓練を中学年を相手に経験を積ませておくんだ。」

 

【まっちゃん】
 「先輩はやったのですか ?」

 

【ヒデコ】
 「私は去年やったさ。」

 

【まっちゃん】
 「どうでした ?」

 

【ヒデコ】
 「残念。 訓練の内容は誓約書を書かされて他言しないようになってるんだ。」

 

【まっちゃん】
 「なーーんだ。」

 

【ヒデコ】
 「そしてこの訓練は、いざ実戦となったときに実際にオロチを目の前にしてビビらない事と、リミッター解除状態のハヤブサに慣れると言う目的があるんだ。」
 「まぁ私も最初は超ビビって漏らしまくったけどな。」

 

【まっちゃん】
 「そ、そんな怖いんですか ?」

 

【ヒデコ】
 「そりゃまぁ誰だって初めてアレを見た時は相当ビビるぜっ!」
 「まぁ君は運よく今年参加する事になるだろうからしっかり頑張ってきな。」

 

【まっちゃん】
 「ああ、思い出した!」
 「スケジュールに特別講習って書いてあった!!」

 

【ヒデコ】
 「そうそれだよ。」

 

【東郷】
 「多くの生徒たちの実力が大きく底上げされるから、対抗戦では活躍を期待しているよ。」

 

【東郷】
 「その訓練は近衛隊の特殊な施設で行われるのだけれど、これは我が校が皇室直轄と言う理由だからだね。」

 

【東郷】
 「ちなみにアトランティス艦隊と関わりの深い企業等が資金を提供しているライバル校の添下にはこの訓練メニューはないよ。」
 「アトランティス艦隊は近衛隊がそんな特殊な訓練をやってるだなんてきっとしらないよ。」

 

【まっちゃん】
 「へぇそうなんだ・・・。」

 

【ヒデコ】
 「まぁ誓約書を書かされる理由は、実際に行けば分かるさ。」

 

 


 

重巡洋艦 衣笠

 

【衣笠 副長】
 「お疲れ。」
 「負傷者の様子はどうだった ?」

 

【セッちゃん】
 「はい、幸いにも軽症者ばかりでしたので、ナノマシンによる治癒力増強策で全員もれなく一両日中にも完治できる見通しです。」

 

【衣笠 副長】
 「わかったありがとう。」


その時、突然、艦内に警報が鳴り響いた。

 

【衣笠 副長】
 「どうした ?」

 

【第2分隊 A】
 「右前方に所属不明の艦隊。」
 「数は50。」

 

【衣笠 副長】
 「アトランティス艦隊か ?」

 

【第2分隊 A】
 「いえ、違うようです。」
 「重力波パターンから、アンドロメダ艦隊の艦船のようです。」

 

【衣笠 副長】
 「こちらに気づいた様子は ?」

 

【第2分隊 A】
 「いえ、ないようです。」
 「次第に遠ざかっており、こちらも重力ジャンプ前の慣性航行の最中で、亜光速ドライブも重力ドライブも稼働していませんので探知される可能性は低いかと。」

 

そこへ艦長がブリッジに入ってきた。

 

【衣笠 艦長】
 「敬礼はいい。」
 「なにがあった ?」

 

【衣笠 副長】
 「あ、艦長。」
 「QER(※1)センサーがアンドロメダと思われる複数の船跡を確認しました。」
 「こちらに気づいた様子はありません。」

 

【衣笠 艦長】
 「そうか。」
 「分かった。」

 

【衣笠 副長】
 「ダイダロス艦隊がこの星系を撤退中とは言え、アンドロメダの艦隊が太陽系を出てのすぐそばをウロウロしているのか・・・。」
 「編成規模からして おそらく偵察の艦隊なんでしょうね。」

 

【衣笠 副長】
 「噂ではアンドロメダ艦隊は太陽系への侵入に制限を設けているとお聞きしています。」

 

【衣笠 艦長】
 「ああそうらしいな。」
 「アトランティス帝国はもともとアンドロメダ陣営の中核を担っていた大帝国だったらしいが謀反の濡れ衣を着せられて粛清されたと聞く。」

 

【衣笠 艦長】
 「その生き残りが太陽系を拠点としているアトランティス残党軍と言われ、アトランティス帝国の生き残りが存在する事はアンドロメダ陣営の中では極秘扱いとなっているとも言われている。」

 

【衣笠 艦長】
 「太古の地球に幾度となく討伐艦隊が襲来してきたらしいが、何度も撃退しており、結局アンドロメダアトランティス残党軍の討伐を諦め、太陽系を制限宙域に設定し侵入を全面禁止にしたんだそうな。」

 

【衣笠 副長】
 「まぁダイダロス支配宙域で危険を冒してまでアトランティス残党軍を追い回すに見合うメリットが無いと判断されたんでしょうね。」

 

【衣笠 艦長】
 「そうだな。」
 「だが、ダイダロス艦隊が撤退している以上は、この宙域も安全ではなくなったって事だ。」


【衣笠 艦長】
 「ジャンプ予定地点までは ?」

 

【第2分隊 A】
 「現在、光速の115%の速度で慣性航行中ですが、このままの速度と進路を維持してあと、6時間ってところです。」

 

【第2分隊 A】
 「ちょっと待ってください!」
 「アンドロメダ艦隊に動きがみられます。」

 

【衣笠 副長】
 「どうした ?」

 

【第2分隊 A】
 「ジャンプサインを検知しました!」

 

【衣笠 副長】
 「ジャンプポイントは ?」

 

【第2分隊 A】
 「詳細分析すれば、およその位置は判明するかと思いますが、今は分かりません。」

 

【第2分隊 A】
 「続いて、ネガティブグラビティドライブの起動波形を検知しました。」
 「まもなく重力ジャンプに移行するかと思われます。」

 

数秒後にセンサーからアンドロメダ艦隊の反応が消失した。

 

【第2分隊 A】
 「全艦艇がジャンプした模様です。」
 「残艦なし。」

 

その報告に艦内の緊張が一気に解けた。

 

【第2分隊 A】
 「ふぅ・・・見つかったらと思うと冷汗が出るな。」

 

【第2分隊 D】
 「俺なんて足音立てないで歩いてしまったよ。」

 

【第3分隊 C】
 「ぁ、それ分かる!」

 

【衣笠 艦長】
 「よし、ご苦労。」
 「ひきつづき、この調子で警戒を頼むぞ。」

 

【衣笠 艦長】
 「ジャンプ開始の1時間前になったら艦長室に連絡してくれ。」
 「その時は総員起こしとなるから それまで各自、交代で休憩をとらせるんだ。」

 

【衣笠 副長】
 「了解しました。」

 

 

 


 

日本 総理官邸

 

大統領からの理不尽なな要求に何も言い返せずにため息をつきながら電話を置く総理。

 

官房長官
 「どういう要求だったのですか ?」

 

【総理】
 「大和盆地の治安維持権を米国に譲渡せよとの通告だ。」

 

官房長官
 「なにを言うっ!!」
 「あの地区はアトランティス帝国との協定で、大使館と重力エレベーターが置かれているんだぞ!!」
 「そのために大使館防衛の名目で近衛艦隊だって常駐しておるんだ。」
 「そうやすやすと治安維持権とかワケの分からない権利を米国に引き渡せるものか!」

 

【総理】
 「あちらの主張は、そもそもあの地域は日本の自治から外れているのだからアメリカが管理するのも何も違いはないと言うのだ。」
 「そして、米国の要求を受け入れないと我々の口座資金の流れをすべて暴露すると言ってるんだ。」

 

官房長官
 「それはハッタリでしょう。」

 

【総理】
 「いや、それがそうとも言い切れんのだよ。」
 「国内の銀行口座の資金の流れはすべてアメリカに筒抜けだからな。」

 

【総理】
 「まずい事になったな。」

 

【総理】
 「検討する時間はくれるそうだ。」
 「だが、早急に返答する事になっている。」
 「閣僚全員を緊急招集掛けてくれ。」

 

官房長官
 「分かりました。」

 

 


        ※1・・・偏向ドローン
            米国が地球の水平線より遠方の目標をレーザー兵器で曲射するために配備している人工衛星の事を指す。
             地球上のどの場所でも迅速に攻撃ができるよう、70機ほどが軌道上に展開しているが、そのうち数機が サタン・クラスの悪魔に乗っ取られ、アラスカ基地とジョージア・ソレス邸宅への攻撃に利用されてしまう。
            しかしジェノサイド・ブラスターの低出力に制限された砲撃を受け止めきれずに蒸発してしまう。

        ※2・・・マゼラン取引所
            銀河間で取引される希少資源を取引している市場を指す。
            銀河の成り立ちによっては各銀河で採掘可能な資源には差がある。
            どこの陣営にも属さないマゼランでは各銀河から集められる希少資源を取り扱う取引所があり
            それをマゼラン取引所と呼んでいる。
            とくに宇宙艦隊の建設や武装などに使用可能な資源は、各銀河の戦況によって価格変動が大きく、
            投機の対象となっている一面もあるが、この価格変動を分析する事で次の大規模戦闘の有無が
            ある程度は予測できたりする。
            決済はすべて資源で行われる。 これは銀河間においては通貨は価値を持たないからである。

 

 

 

 

 

 
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