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アトランティスの亡霊

Ghost of Atlantis

【1-7-4】残党軍出撃!

残党軍出撃!

【1-7-4】


    ナナの悪い予感から一週間後・・・。


    ナナたちが登校してくると、クラスメイトたちが大慌てで教室を飛び出して来たので問いただす。

    【ナナ】(# ゚Д゚)
        「一体どうしたのよ?」

    【キヨちゃん】ヽ(#゚Д゚)ノ
        「ペルシャのアラクエルサレム共和国による空襲を受けているそうよ。」
        「原発も破壊されたらしい。」

    【ナナ】(・o・)
        たしか、今日はアラク宇宙基地とカメーニャ基地からアトランティス艦隊が出港する日だったのでは ?
        電源が落とされて離陸が出来ないんじゃ。
        「あそこには、おみくじとトミちゃんが派遣されてるのに大丈夫なの ?」

    【キヨちゃん】
        「それを今から確認するために地下に降りるところよ。」
        「ナナもかばんを置いたら、すぐにきて。」

    帯締学園の地下の設けられているCIR(Combat Infomation Room)は1組と2組の生徒たちが騒然としていた。


    【ナナ】
        「トミちゃんたちは?」

    【サッチ】
        「現在安否を確認中だ。」

    巨大スクリーンには、惑星面境界軌道を周回するドローンからの中継画像が映しだされており、リアルタイムで戦闘の模様が流れていた。

    【サダッチ】
        「それに、関連があるかどうかわからないが、ほぼ同時刻にシナと統一朝鮮の連合軍がウラジオストクに侵攻したらしい。」


    【セッちゃん】
        「情報も輻輳してて混乱しているわ。」

    【ナナ】
        「ぇ。」

    【サダッチ】
        「先日、CIAの工作員によってウズベキスタンの政権が転覆して、バイコヌールがNATOアメリカの手に落ちただろ。」

    【ナナ】
        「ぇ、ええ、それくらいの情報は・・・。」

    【サッチ】
        「そこで建造中だったアトランティス艦がカメーニャ基地とボストチヌイ基地に避難しているんだ。」
        「どうやらそのフネを狙っているらしい。」

    【サダッチ】
        「そもそも以前からシナはウラジオストクの領有権を主張してて、それをロシアがずっと交渉を拒んでいたところに最新鋭の宇宙艦が避難してきたと言うことで、領土奪還を名目とした宇宙艦鹵獲を企てたんだと思う。」

    【サッチ】
        「先日の大九野島沖での鹵獲が失敗して目標を切り替えてきたんだろう。」

    【セッちゃん】
        「しかも運が悪いことに、ちょうどエミリアがカメーニャ基地にいるよ。」

    【ナナ】(・o・)
        「2組のエミリアが ?」

    【サダッチ】
        「おみくじたちの依頼を受けて砂漠順応型に調整したハヤブサのパーツをエミリアが届ける予定だったんだよ。」
        「その中継のカメーニャに立ち寄ったところにシナの侵攻に巻き込まれたんだ。」

    【ナナ】
        「で、そのエミリアからの連絡は」

    【サッチ】
        「途絶えたままよ。」

    【ナナ】
        「判ったわ、2組のエミリアは心配だけれど、そこは2組のクラス委員長が対応にあたってくれるでしょう。」
        「私たちはおみくじたちに関する情報収集に全力を尽くしましょう。」


    生徒会が帯締学園の大使館特権である外交チャンネルを駆使してエミリアとの連絡を試みているがなかなか繋がらない。
    どうやら現場では広域電波障害が発生しているようだった。

    【サッチ】
        「エミリアとの連絡がつかないわね。」
        「現地のロシア軍とも連絡はつかないのかしら ?」

    【サダッチ】
        「現在、極東ロシア軍はウズベキスタン国境付近で、NATO軍とにらみ合いをしてて、ウラジオストクの戦力は通常の半分以下となっています。」


    【ナナ】ヽ(#゚Д゚)ノ
        「って言うか、確か、カメーニャってミーシャたちの家があるとこじゃないの ?」

    【ミーシャ】(-_-;)
        「そうよ。」

    【ナターシャ】
        「大丈夫、ヨシフたちがなんとかしてくれるわ。」

    カラシニコフ姉妹たちは、自分たちの家が心配にはならないようだ。

    【ナナ】
        「アリョーナ少尉が昨日緊急帰国したってのは、これを察知してたのね。」

    【キヨちゃん】
        「そうだろうと思うよ。」

    【サッチ】
        「昨日帰国したと言うことは、もうそれ以前には侵攻されると確信していたわけだから、手薄になってるとはいえ極東軍管区も相応の体勢は整えているだろう。」

    【サダッチ】
        「むしろ心配なのは、ペルシャの方ですね。」
        「現在ペルシャ空爆しているのは、地球の空軍の中では最強を誇るエルサレム航空自衛隊の部隊だ」
    【サダッチ】
        「ペルシャにもSU-35や部隊が展開しているが、空戦スキルがまるで違う。」
        「アメリカ軍とエルサレムが背後で支援している国際テロ組織がイラク北部を制圧しているので、ペルシャまでの空路の安全は保証されているようなもの。」

    【サッチ】
        「アメリ海兵隊からのアラートがなければ完全に奇襲攻撃を受けているところだろう」

    【ナナ】(# ゚Д゚)
        「海兵隊から ?」

    【サッチ】
        「そうよ。」

    【サダッチ】
        「知っての通り、現在のアメリカ軍は実質的に議会を動かしている野党がコントロールしてて日本に対して高圧的な振る舞いをしているわ。」
    【サダッチ】
        「でも、海兵隊親日派大統領直々の指揮下にあるから、気を利かせて情報をリークしてくれたのよ。」
        「これが反日派大統領だったら、情報が届かずに今頃は大混乱しているところだったわ。」
        「今でも十分に大混乱なんだけどね。」

    【フクちゃん】(^o^)V
        「会長、現地のおみくじと通信がつながりました。」

    突然、激しい爆発と銃撃音がモニタスピーカーから流れ、その音の大きさに、驚いて耳を塞ぐ生徒たちが居た。

    【サッチ】(-_-;)
        「ナノリンク回線じゃないのね。」
    【サッチ】
        「状況はどうなってるの ?」

    【おみくじ】
        「ぁ、サッチ。」
    【おみくじ】(-o-;)
        「状況は最悪です。」
        「識神を放ったところ、分校はほぼ全壊しました」
        「分校生徒たちとの連絡もつかなくなりました。」

    【サッチ】
        「分校にはシールドかあったのではないのですか ?」

    【おみくじ】┐(´~`;)┌
        「どうも原発がヤラれたようです。」

    【サダッチ】
        「敵の姿は見たの ?」

    【おみくじ】
        「見ました。」
    【おみくじ】
        「国籍マークは消されていますが、明らかにエルサレム共和国が配備している機体でした。」
        「データを転送します。」

    【トミちゃん】
        「私たちはアラク見学の為、ハヤブサとともに空港にやって来たのですが、30分ほど前から、国際空港に国籍不明の大型輸送機が着陸して、メルカバ戦車を中心とする装甲戦闘部隊が姿を表しました。」
    【トミちゃん】
        「空港は完全に制圧されている模様です。」

    【おみくじ】
        「ヤツらは、破壊した原発を再起動させない為の管理委員会だと名乗っています。」
        「が、おそらくヤツらの目的は、宇宙艦の離陸阻止と、鹵獲でしょう。」

    【サッチ】
        「陸上部隊は空港で足止めって・・・、できますか ?」

    【おみくじ】
        「やって出来なくはありませんが・・・。」
    【おみくじ】( ´Д`)
        「教官の判断は ?」

    【さえ】p(^^)q
        「状況はわかりました。」
        「我々はアトランティス帝国の軍人です。」
        「宇宙艦隊の離陸を全力で支援するのがスジというものです。」
        「あなたたちはエルサレム戦車師団と交戦し、これを殲滅して空港を奪還してください。」
        「我々帯締学園も、今から全面的な支援体制を敷いてあなたたちを援護します。」

    【おみくじ】
        「判りました。」
        「その前に、ナノマシンの使用制限を解除してもらえないでしょうか ?」
        「制限が掛かってると識神1体しかコントロールできません。」

    【みさ】
        「了解しました、ナノマシンの使用制限を解除します。」
        「まっちゃん、お願いできるかしら ?」

    【まっちゃん】
        「判りました。 コードを送信します。」

    【おみくじ】
        「受信しました。」
    【おみくじ】
        「これより殲滅戦を開始します。」

    【さえ】
        「了解しました。」
        「これより、我々帯締学園は、ペルシャ防衛戦を開始する。」
        「現地に展開する池田末吉【おみくじ】と島田豊美子【トミちゃん】両名を全力で支援する。」




    エルサレムペルシャ侵攻舞台

    【メルカバ戦車兵 B】
        「ファイティングキャットの迎撃があるかもしれないって言ってたけれど、何もなかったな。」

    ペルシャ空軍からの激しい抵抗を予想していたが、呆気無く空港に上陸する事に成功したエルサレム軍の兵士たちは拍子抜けしていた。

    【メルカバ戦車兵 C】
        「おじけづいて逃げたんだろ。」

    【メルカバ戦車兵 D】
        「虎の子の戦闘機だからな。」

    【メルカバ戦車兵 C】
        「でもよ、虎の子と言っても、元は1970年代の旧型機だろ ?」
        「そんなに脅威なのか ?」

    【メルカバ戦車兵 B】
        「バカ言え、あの博物館級の機体を長年の経済制裁をものともせずに戦闘力を維持させて来たんだぜ。」
        「そのうえ、それをロシアの技術で大幅にパワーアップされているってんだから、旧式機とはいえ侮れないぞ。」
        「外見はトムキャットだが、中身はロシアの最新鋭戦闘機と思っていい。」

    【メルカバ戦車兵 D】
        「だとしても、戦闘機の迎撃が一切無かったのは奇妙だな。」

    【メルカバ戦車兵 C】(-o-)y-
        「だから、ビビったんだろうよ。」

    この時、ペルシャ空軍の主力戦闘機部隊の一部は、別の重要任務によりペルシャ国内には展開しておらず、エルサレムモスドは、このペルシャ空軍の動きを掴みきれていなかった。


    【メルカバ戦車兵 A】
        「無駄話はするな。」
        「今から、我々はアラクへ侵攻する。」
        「空軍が空爆して原発は完全に破壊したそうだ。」
        「外部からの始動電源がなければ離陸はできん。」
        「これでフネの離陸は阻止した。」
        「あとは周囲の敵性勢力を排除し、フネを完全に制圧する。」

    【メルカバ戦車兵 D】
        「敵の地上部との交戦の可能性は ?」

    【メルカバ戦車兵 A】
        「まずない。」
        「現れたとしても、ペルシャの旧式戦車では、我が軍の最新戦車には敵うことはない。」

    【メルカバ戦車兵 C】
        「しかし、それならどうして、これほどの部隊を投入する必要があるのでしょうか ?」

    【メルカバ戦車兵 A】( ̄へ ̄井)
        「一度鹵獲したフネを奪還される事を阻止するためだ。」
        「頭の悪いお前にも判るように説明してやろう。」
        「アトランティスは必ずフネを取り戻しに来るだろう。」
        「地上のフネは地上からでしか奪い返せない。」
        「だから俺たちは奪ったフネの守備を徹底するために1個師団もの戦車を送り込むんだ。」
        「判ったか ?」

    【メルカバ戦車兵 B】【メルカバ戦車兵 C】【メルカバ戦車兵 D】
        「イエッス、サーっ!」

    【メルカバ戦車兵 A】♪~( ̄ε ̄;)
        「心配するな、この任務はレバナン侵攻と思えばいい。」
        「ラクショーだろ ?」

    【メルカバ戦車兵 A】ヽ(`д´;)ノ
        「では、全員、乗車っ!」
        「進軍用意っ!!」

    ガスタービン特有の甲高いエンジンを放つ最新型メルカバ戦車が次々と空港から幹線道路へと入っていった。
    後続には、なにやら機材を満載した大型トレーラーが列をなして前に進む順番を待っている。


    その状況は識神によって逐次おみくじたちに知らされていた。

    【トミちゃん】(・o・)
        「ねぇ、後ろのトラックから先に攻撃したほうがよくない ?」

    【おみくじ】
        「まず最優先の脅威を排除する事が先決だ。」
        「対空警戒を怠るなよ。」
        あの戦闘ヘリが厄介だな・・・。


    【トミちゃん】
        「判ってるわよ。」

    メルカバは機動力よりも乗員の安全性を最優先とした世界でも珍しい戦車で、通常、戦車なら後部に配置する巨大なエンジンを前に配置する事で、万一被弾し内部に被害が及んだとしてもエンジンが盾となり乗員を保護する設計しそうになっている。
    さすがに先取攻撃をモットーとして戦闘経験が豊かな国柄だけのことはある。

    【おみくじ】
        「まずは、先頭の戦車を狙撃する。」

 

    【トミちゃん】(^o^)V

        「判ったわ。」

    おみくじは、以前に授業で生成した三八式改狙撃銃を具現化し、ストックを肩の上にのせる独特な狙撃姿勢をとった形は三八式改狙撃銃だが、初めて生成した時よりもさらに精度が高められ、使用する三八年式6.65mm弾頭風の銃弾も対戦車ライフル並の威力にまで大幅に高められている。

    三八式改狙撃銃は太平洋戦争当時でも驚異的な命中精度を誇り、ナノマシンでフルコピーされたこの銃もその精度はしっかりと継承されていた。

    【おみくじ】
        「先頭車との距離まで、4000mか・・・。」

    事前に識神が気象情報を集めており、途中で変化する気圧、風向き、地面温度によって上昇する気流をも計算にいれて弾道計算をダウンロードした脳内アプリにて行う。

    【おみくじ】
        狙うは砲身口・・・。

    直径120mmのこの小さな穴を4000m先から狙撃するわけだが、オリジナルの三八式改狙撃銃でもこの程度の距離であれば問題なく射抜くことが出来る。
    砲身がまっすぐおみくじの方を向いているわけではないので、中を通って砲尾にまで届くことはないだろうが、中にさえ放り込めば、バレル(砲身)内部に傷をつけることが出来る。
    それだけで十分だ。 滑空砲はバレルが傷つくと砲弾が直進しなくなるのだ。
    なので、角度がつけば命中させる難易度が高くなるが、その分バレル内に大きなキズを付けやすくなる。

    一発、発射する。
    カキーーンとメルカバの主砲の中に銃弾が飛び込むと、中で跳ねまわり大きなキズをつけた。
    メルカバのレーダーは飛来した弾頭の軌道を逆算し、即座におみくじが隠れる位置を特定して、主砲を向けてきた。
    閃光が煌めいた。

    【おみくじ】(-_-;)
        「撃ってきやがったか・・・。」
        そりゃそうだろうな。

    数秒後、すぐ後ろに着弾し大きな爆発音と砂煙が襲ってきた。
    もう場所はわれている。
    隠れても意味がないので、土手から姿を堂々と現した。

    続けて第2射を受けるがやはり命中しない。

    【おみくじ】
        そろそろ1号車は砲身のダメージに気がつく頃だ。
        とすれば、後続の2号車が出てくるぞ。

    その場で三八式改狙撃銃を構え直して待機すると、案の定、2号車が前に出てきた。
    即座に6.65mm弾を2号車の砲身に叩き込んだ。
    しかし、すでに砲弾を装填していたのか、一瞬戦車が宙に浮いて(そんな気がした)、
    砲塔から黒鉛が上がって2号車が急停止した。

    【おみくじ】
        「これで道路は塞がれた。」
        後続の戦車は不安定な路肩を回りこむしかなく隊列が乱れるだろう。

    トミちゃんは、背後から回り込んできた戦闘ヘリをさっさと片付けていたが、
    おみくじは特に気をかけることは無かった。
    ・・・というよりも、トミちゃんなら出来て当然だったので別にとりたてて褒めるほどの事ではないと判断しただけである。

    【おみくじ】
        「トミっ!! いくぞっついて来いっ!」

    【トミちゃん】
        「はいっダーリンっ♪」

    【おみくじ】
        「抜刀っ!!」

    【トミちゃん】(*´艸`*)
        「はいっ抜刀っ♪」

    三八式改狙撃銃は、ナノマシンの構成を解かれて姿を消すと、今度は担いでいた巨大な日本刀を手にして、全速力で突撃を開始した。

    獅子王(シシオウ)と、十拳剣(トツカノツルギ)(※1)。
    それが、おみくじとトミちゃんのハヤブサが持つ固有武装の名。
    日本の刀職人が宇宙艦1隻分に匹敵する重さのハンマーで半年がかりで鍛え上げた大剣で宇宙艦の装甲をも貫く。
    普段はナノマシンによって形状を分解され、必要に応じて再構成される。

    【メルカバ戦車兵 D】
        「おい、みろよ、あのAMP、サーベルを手にして走ってくるぞ。」

    【メルカバ戦車兵 B】
        「対戦車ライフルが故障したんじゃないのか ?」

    【メルカバ戦車兵 C】
        「それなら好都合だ。」
        「サーベルと戦車の砲とでは戦いにはならんさ。」

    【メルカバ戦車兵 D】
        「ラクショーだ。」

    【メルカバ戦車兵 A】
        「砲撃用意っ!」
         「目標は、前方のAMP、2機っ!」
 
    【メルカバ戦車兵 B】
        「距離3000」
        「速度120で直進中!!」

    【メルカバ戦車兵 A】
        「APFSDS装填っ!!」
        「2500で射撃。」

    【メルカバ戦車兵 B】【メルカバ戦車兵 C】【メルカバ戦車兵 D】
        「了解。」

    とみちゃんの脳内で警告アラームが鳴り響いた。
    レーザーの追跡を受けている ?
    悟った瞬間にパイロットの意思を感知したハヤブサの AI が最適な回避コースを算出して自動回避を行った。
    射線から外れた瞬間に2500m先の戦車から閃光が煌めき、砂塵が舞い上がるのが見えた。
    後方で着弾音と砂塵がハヤブサを追い越していく。

    【トミちゃん】o(^o^)o
        「ナイス回避。」

    【ハヤブサ AI】
        「ドウイタシマシテ」
        「次弾ソウテン、マデ、ヤク15ビョウ」

    【トミちゃん】(# ゚Д゚)
        「じゅ、15秒 ?」
        「遅すぎやしない ?」
        「日本軍の戦車でさえ、4秒間隔で発射できるわよっ!」

    【ハヤブサ AI】
        「めるかばハ、代々4名ジョウシャヲ基本運用ノ思想トシテオリ、コノタメ自動ソウテン装置ハ搭載サレテイマセン」

    【トミちゃん】
        「しかし、それでも近接戦闘に持ち込むまでには何発かは撃ち込まれるって事ね。」

    【おみくじ】
        「26式みたいに3秒間隔で高速連射されるよりはマシだろ。」

    【トミちゃん】
        「それはそうですね。」

    【おみくじ】
        「油断はするな。」
        「接近するほど閃光と同時に着弾するから回避が難しくなるぞ」

    【トミちゃん】
        「判ってるわ。」

    【おみくじ】
        「スモーク展開」

    【トミちゃん】
        「了解」

    【ハヤブサ AI】
        「スモークディスチェンジャー、オンライン」

    背後にウェポンラックにオプション装着されていたコンテナの一部が開き、小型のロケットが姿をあらわす。

    【おみくじ】
        「戦車の200m手前にスモーク展開」

    【トミちゃん】
        「了解」

    AI が識神から送信される最新の風速データを元に最適な投擲位置を割り出す。

    【ハヤブサ AI】
        「発射座標ヲせっとシマシタ」

    【トミちゃん】
        「準備出来たわよ。」

    【おみくじ】
        「こちらもOKだ」

    【おみくじ】
        「合図と同時に発射、目をくらますぞ。」
        「発射っ!!」

    シュバっと軽い曲射弾道を描くと、戦車の200mの手前上空で小型のロケットが炸裂すると白煙を撒き散らしながらゆるやかに降下していった。

    【メルカバ戦車兵 A】
        「くっスモークかっ!!」    
        「レーダー射撃に切り替えろ」

    【メルカバ戦車兵 B】
        「ダメです。」
        「あのスモークに電波干渉の効果があるようで目標を捉えることができません。」

    【メルカバ戦車兵 A】
        「スモークを避けろ。」

    戦車はスモークを迂回するため、走行していた路肩からさらに大きく道路から遠ざかった。

    しかしスモークを避けた途端に復帰したレーダーが接近する物体を警告した。

    【メルカバ戦車兵 D 同僚1】
        「ぁAMPですっ!!」

    外部カメラを通して映しだされた車内モニターにはハヤブサおみくじ機が目前にまで迫っていた。

    【メルカバ戦車兵 D】
        「ぅ、撃てっ!!」

    【メルカバ戦車兵 D 同僚1】
        「しかし照準が!」

    【メルカバ戦車兵 D】
        「構わん、こんだけ近ければ外れることはない。」

    【メルカバ戦車兵 D 同僚1】
        「りょ、了解っ!」

    トリガーを引くと激しい衝撃音とともに車内のホコリが舞った。

    【メルカバ戦車兵 D】
        ??? 着弾の感触がない

    すると背後から大きな衝撃音が響いた。
    すぐに後部ハッチが破壊された事を悟った。
    それがメルカバ戦車乗員達が感じた最後の思考だった。

    【おみくじ】
        「真正面から切り込むな。」
        「エンジンが邪魔するから、防御の薄い後部ハッチを破壊しろ。」

    【トミちゃん】
        「了解。」

    後部ハッチをサーベルで削ぎ落とすと、戦車内部をナノマシンで結界を展開し乗員を高温でバーベキューにしてゆく。



    帯締のCIRでは、おみくじ達の戦いをモニターしていた。

    【なるみ】
        「圧倒的な戦闘力ね。」

    【もっちゃん】
        「戦闘鬼による対戦車戦闘は世界で初めてのケースですね。」

    【さえ】
        「でも、油断はしちゃダメよ。」

    【ナナ】
        「この戦闘データは必ず役に立ちますから、後で整理して情報共有して下さい。」

       ナノリンクと脳内ストレージにより、現場から送信されてくるデータはそのまま全員のスキルとして直接フィードバックされ、戦場に居なくても各自の戦闘力が向上する。


    バンっ!!と言う巨大な着弾音がスピーカーから流れた。
    その音はマイクで拾いきれず音が割れていたが同時に、
    「きゃ~~」と、とみちゃんの悲鳴も聞こえてきた。

    【なるみ】(゚д゚)!
        「とみちゃんがヤラれたの ?」

    【もっちゃん】(・o・)    
        「ぃや、本人、キャー言うてるから無事なんじゃね ?」

    【フクちゃん】
        「おみくじ、とみちゃん、両機のハヤブサからの画像やテレメートリーには問題なし。」

    戦場監視ドローンからの映像は、もうもうと立ち上った土煙が晴れるとシールドを展開してとみちゃん機をガードするおみくじ機の姿が映った。
    着弾して吹き飛ばされた数枚の呪符シールドが欠損部分を補填し、再び完璧な防御陣形を築く。

    【ナナ】ヽ(;´Д`)ノ
        「無事だったのね。」
        「もう驚かせないでよ。」

    【さえ】┐(´д`)┌
        「とみちゃんは実体弾に弱いサークル型シールドだから・・・、だから油断しちゃダメっていったのに。」

    【サッチ】
        「あの主砲はあたったら痛いよ。」

    【サダッチ】
        「おみくじの呪符シールドとは言えゼロ距離なら何発も受ければ耐えられないわ。」
        「人力装填に助けられたわね。」


    【メルカバ戦車兵 C】
        「当たったか ?」

    【メルカバ戦車兵 C 同僚2】
        「嗚呼、手応えはあったぜ。」
        「すぐに爆発したからな。」

    【メルカバ戦車兵 C】
        「どうだ、確認できるか ?」

    【メルカバ戦車兵 C 同僚2】
        「ちょっと待って下さい。」
        「センサーがヤラれてますので外部モニターでチェック中です。」

    しかし、この戦車の乗員たちは戦果を確認する事なく生涯を閉じた。

    【ハヤブサ AI】
        「63ダイ目、撃破認定。」
        「ノコリ、アト7台。」

    【トミちゃん】
        「ぇ、7台しか残ってないの ?」
        「100台居ると思ってたんだけれど・・・。」

    【おみくじ】
        「おそらく予備兵力なんだろう。」
        「主力は国境付近で温存してるんだろう。」

    【トミちゃん】
        「とりあえず、あと7台を破壊しちゃいましょ。」

    【おみくじ】
        「そうだな。」

    と、一歩踏み出そうとした瞬間、索敵結界に飛来物を検知し、AIが自動的に回避行動を取った。
    さっきまで居た場所にバスンと何かが食い込み土が舞う。

    【トミちゃん】(,,゚Д゚) !?
        「何 ?   何事 ?」


    【ルービン】
        「おいおいウソだろ。」

    【ランスキー】
        「たった30分たらずで、2機のAMPが我が戦車師団を壊滅に追い込んだと言うのか ?」
        「新世代の武装システムとは言え、まさかここまで戦車が無力だとは思わなかったぜ。」

    【ガリル】
        「あれが日本軍のAMPか ?」

    【ルービン】
        「うわさに聞く世界初の量産型 AMP。」

    【ランスキー】
        「正確にはアトランティスが日本と共同で開発したものらしいぜ。」

    【ルービン】
        「しかし・・・なんて華奢なフレーム構造なんた。」

    【ランスキー】
        「脆そうだな。」

    【ガリル】
        「ジャップの兵器はみんなそうさ。」
        「機動力は優れているが防御がなくてすぐに壊れる。」
        「心配する必要はない。」
        「それにアレはもう旧型だ。」

    【ルービン】
        「しかし、気づかれましたね。」

    【ランスキー】
        「まさかこの距離からの射撃を察知して躱すとは。」


    【ハヤブサ AI】
        「新タナ敵デス。」
        「10ジノホウコウ距離1000めーとるニ戦闘鬼」
        「時速110kmデ、コチラニ接近中」


    【ハヤブサ AI】
        「目標、識別フノウ・・・未知の機体デス。」
        「脅威判定更新」
        「あれハやばいト断定。」
        「戦闘ヲ開始シマスカ ?」    

    【おみくじ】(-_-;)
        「司令部 ?・・・と言えばいいのかな 」
        「アレ、どうしよう。」
        「もうすぐ格闘戦できる距離にまで近づくんですけど。」

    【さえ】(・o・)
        「回避できないの ?」

    【トミちゃん】(・o・)
        「無理っぽいす」
        「めっちゃコッチに向かってます。」
        「さっき撃たれました。」

    【さえ】(・_・) ?
        「んーーーー・・・・・イケそう ?」

    【おみくじ】(・o・) ?
        「イケそうとは ?」

    【さえ】
        「戦ってみて退けられるかしら ?」

    【おみくじ】
        「それはやってみなけりゃ判りません。」

    【さえ】
        「そりゃそうよね。」

    【おみくじ】
        「数は3機か・・・」

    【さえ】
        「ぇぇ、こちらでもセンサーはモニターしているわよ。」
        「仕方ないわね数ではちょっと不利か・・・」
        「正体不明機と戦うにはリスクが大きいわ。」
        「撤退してっ!!」


    【おみくじ】【トミちゃん】
        「了解っ!!」

    【みさ】
        「安全な座標を転送するわ。 」
        「5分前に当該ポイント上空を通過した偵察ドローンからの動画映像によって安全を確認してあるわ。」
    【トミちゃん】
        「判りました。 ナビの誘導で退避に入ります。」




    ちょうどその頃、アラク宇宙基地では補給艦隊の発進準備が強行されようとしていた。

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊士官 A】
        「起動電源が足りません。」
        「このままでは発進するに必要な動力を得られないです。」

    【安江弘子】
        「原発が落とされたのが痛いな。」
        「空港からこちらに向かってくる敵の戦車部隊はどうした ?」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊士官 B】
        「現在、帯締学園の生徒たちが2機のハヤブサで食い止めているそうで、識神からの報告ではまもなく制圧しそうだとの事です。」

    【安江弘子】
        「学生なのによくやってくれるな。」
        「学生たちの努力をムダにしないためにも、なんとしてもフネを宇宙に上げるぞ。」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊士官 A】
        「ペルシャ外務省から連絡が入りました。」
        「テヘラン市街の全電力を艦隊発進のためにコチラにまわしてくれるそうです。」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊士官 B】
        「うそだろ!?」
        「マジなのか ???」

    【安江弘子】
        「ペルシャ外務省へ返礼しろ。」
        「我がアトランティス艦隊、及び、日本艦隊はテヘラン市民の多大なる協力と支援に感謝する。・・・と。」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊士官 A】
        「了解しました。」

    それから間もなく。
    十分な量ではなかったが、それでも艦のジェネレーターを起動するのに必要な最低限の電力が送られてきて順次立ち上げ作業が開始されていく。

    しかし、戦車部隊の壊滅を知ったエルサレム軍が次の一手を繰り出して来た。

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊士官 C】
        「センサーに大気圏に突入しようとする高熱源体を感知っ!!」

    【安江弘子】
        「何 ?」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊士官 C】
        「エルサレム軍のドローンです。」
        「アルー4型と断定っ!!」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊士官 C】
        「衝突コースです。」
        「正確にこちらを補足しています。」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊将校 D】
        「防空砲撃戦用意っ!!」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊士官 A】
        「ダメですっ!!」
        「まだジェネレーターが起動中なので武器システムにまでパワーが行き渡りませんっ!!」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊将校 D】
        「なんてことだ。」

    遠くテヘラン市街地の方向から何本もの熱源が、アルー4に向かっていくのが見える。

    【安江弘子】
        「あれは ?」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊士官 C】
        「センサーの情報によると、S-800(※2)ですね。」
        「弾道ミサイル迎撃が可能な最新鋭の対空ドローンです。」
        「しかし、まだアルー4との距離がありすぎるかと・・・。」

    その通りで、打ち上げられたS-800はアルー4に届かずそのまま闇に消えていった。

    この状況は撤退していたおみくじ達のセンサーにも捉えられていた。

    【トミちゃん】(・_・)
        「ねぇ、あれどうなってるの ???」
        「迎撃しないのかしら ?」

    【おみくじ】(-_-;)
        「おそらく起動中の無力な時間帯が狙われたんだ。」

    【おみくじ】
        「司令 ?」
        「迎撃の許可を ?」

    【さえ】(・o・)
        「ぇ、この距離から ?」

    【おみくじ】
        「三八式改狙撃銃で撃ち落とします。」

    それは無理でしょ。
    とクラスの全員は思った。

    【おみくじ】
        「どうせナノマシンで構成される武装ですから、通常よりも大幅に強化した超長距離狙撃ができるように再構築してみます。」

    【さえ】
        「そっか、ナノマシンならそれができるか・・・。」
        「いいわ、やってちょうだい。」
        「そのかわり、とみちゃん、聞いてる ?」

    【トミちゃん】
        「教官、何でしょう?」

    【さえ】
        「接近中の敵戦闘鬼からおみくじを守ってあげて。」

    【トミちゃん】ヽ(`д´;)ノ
        「判ってるわよ。」
        「任せてちょうだい。」
        「ダーリンは絶対に守ってみせる。」

    【おみくじ】
        「じゃ、バックは任せるぞ。」

    【トミちゃん】(*´艸`*)
        「OK 任せて。」

    【おみくじ】
        「来いっ三八っ!!」

    通常ならすぐに具現化される三八式改狙撃銃だが、遥か彼方の大気圏を突入していく目標を撃ちぬくほどの超長距離精密射撃を行うには非常に精度の高い工作技術が求められくる。
    当然具現化するのに時間がかかる。

    ハヤブサに接近警報が鳴り響き、おみくじが展開する呪符シールドに銃弾が命中しては火花を散らす。

    【トミちゃん】ヽ(`д´;)ノ
        「きたわね。」
        「ダーリンには指一本とも触れさせはしないんだからっ!!」

    背負っていたYFA30AR-TTRを構えると、おもむろにセレクターを3バーストに選択する。
    そして脳内アプリがYFA30AR-TTRの照準器と連動して敵の未来位置を予測し、緑のレクティルが赤になった時トリガーを引いた。
    タダダーーン
    AI判定によると、着弾は1発で、2発はかわされた模様だ。


    【ガリル】
        「構えると同時に発砲・・・そして一発が着弾か・・・。」
        「優秀な火器管制システムを搭載しているようだな。」

    【ルービン】
        「どうします ?」

    【ランスキー】
        「1機がうつ伏せになって何かを狙撃し、それを残り1機がガードしているように見える。」

    【ガリル】
        「何を狙っているかは判らないが、動きが止まっているのなら事実上3対1だ。」

    【ランスキー】
        「こちらは最新型だから性能差でも数の上でも我々が有利だ。」

    【ガリル】
        「俺とルービンはディフェンダーを排除するから、その隙にランスキーは寝そべっているヤツを殺れ。」

    【ランスキー】
        「了解した。」


    【トミちゃん】(-_-;)
        「意外に俊敏ね。」
        「でも一発は当たったんでしょ ?」

    【ハヤブサ AI】
        「装甲板ニ跳ネ返サレテイマス。 損害ハ軽微・・・モトイ損害ハナシ。」

    【トミちゃん】ヽ(`д´;)ノ
        「ちょっとなんで訂正するのよ」

    【ハヤブサ AI】
        「最新ノ観測結果ヲおーばーらいどシタダケデス。」

    【トミちゃん】(-_-;)
        しかし・・・30mmアサルトの直撃に耐えるの ?
        こりゃまいったな。

    と思う間に、瞬く間に懐に飛び込まれてしまった。

    【トミちゃん】(,,゚Д゚)
        「ひぇっ!!」

    とっさにサークルを描き結界を展開する。
    相手が放った銃火器の弾がサークル型シールドに食い込んだ後、ポロポロと地面に落ちていく。

    【ガリル】
        「銃弾はすべて受けとめたか・・・。」

    【ルービン】
        「アレが噂のシールドと言うやつか。」

    【ガリル】
        「実際に相手にすると思っている以上に厄介だな。」
        「コイツを倒したら機体のシールドが手に入るぜ。」

    【ルービン】
        「しかし、物理的な衝撃に脆いとも聞いたぞ。」

    【ガリル】
        「いいか撃ち続けるんだ。」
        「シールドの耐久力は無限ではない。」

    【ルービン】
        「了解。」

    【トミちゃん】
        接近戦かっ

    刀を具現化するには時間が足りなかったが、腰に収納されていた対関節ナイフが自動的に開放された。

    【トミちゃん】
        「ナイスフォロー。」

    【ハヤブサ AI】
        「ドウイタシマシタ」

    【トミちゃん】
        「変な過去形で返すなっ」

    相手は接近しつつもあくまで銃撃戦を挑んでくる。

    【トミちゃん】(,,゚Д゚)
        く・・・私のシールドは実弾に弱いのに・・・。

    対関節ナイフを手にすると、シールドを解除して、死角に回り込もうとする敵の AMP に襲いかかった。
    しかし敵の銃から格納されていた銃剣が飛び出し、逆に危うく斬られそうになる。


    【ガリル】
        「コイツ、なんてなめらかな動きをしてやがんだ。」

    2脚ロボットにありがちなぎこちない挙動は皆無で、生き物のように動きまわるハヤブサに驚いていた。

    【ルービン】
        「ホントにコイツ旧式なのかよっ!?」
        「モスド(※3)が掴んだ情報がガセだったんじゃねーのか ?」

    【ガリル】
        「俺に聞くなよ。」
        「帰ってからヤツらに文句を言え。」


    【トミちゃん】
        「うわっあぶなー。」

    とみちゃんは、左腕で敵のバレルをつかむとそのまま空に向かって銃口を空に押し上げた。
    すると敵戦闘鬼の脇が空き、そこにヤブサが潜り込むと、そのまま背負い投げとなり地面に敵戦闘鬼を叩きつけた。
    倒れたところを頭部センサのジョイントから対関節ナイフを差し込む。
    パイロットは即死だろう。

    【ガリル】
        「ルービンっ!!」
        「応答なし・・・くそ、やられたか・・・。」


    背後監視カメラの解析システムが銃口を向けられた事を検知すると、AIの判断によって結界が展開される。
    とみちゃんが気づいた時には既に何発かシールドに着弾した後だった。

    【トミちゃん】(,,゚Д゚)
        「1対3はキツイねー。」
        「しかも相手は飛び道具だし。」

    1機が腰だめに銃を構え、おみくじ機に至近距離から連射を開始した。

    【トミちゃん】
        いくらなんでも至近距離であれだけの銃弾を受けると結界が消失するわ。

    持っていた対関節ナイフを投げると敵戦闘機の膝関節に命中した。
    姿勢を崩しつつも、射撃はまだ止まない。

    【トミちゃん】ヽ(`д´;)ノ
        「なんてやつ。」

    さっき背後から撃ってきたヤツの事は頭から消え、倒れてもおみくじ機に銃撃を続ける腰の今フォーマルホルスターに格納されている25mmリボルバーを手にすると、一発発射した。
    リボルバーの走りながらの照準データは記録になく検索エラーとなり目標から外してしまう。
    敵は自分が撃たれたことに気づくと銃をとみちゃんに向けてきた。
    とっさに横に躱すと、倒れた状態での射撃は精度が悪く、関係のない方向へ銃弾がそれていった。
    とみちゃんは一気に敵の間合いに飛び込むと、敵の銃を腕ごと踏みつけて使用できないようにしてから、5発の弾丸を撃ち込んだ。
    戦闘鬼のモーター音が消え、敵は沈黙した。


    【ガリル】
        「ランスキー?」
        「ランスキーっ!! 応答しろっ!」
        「くそっなんて事だ、ランスキーまで殺られたのか。」
        「アイツは絶対に許せんっ!!」
        「ハチの巣だけでは気が済まんっ!! ボルト一本にまでバラしてやるっ!!」



    【トミちゃん】(;´Д`)
        「ふぅやったわ。」
    しかしハッと残り1機を忘れていたことを思い出した。
    警告アラームが鳴りっぱなしとなっていたが、おみくじ機の援護を優先するために、無意識にその邪魔なアラームを意識しなくなっていた。
    その為、気がついた時にはどうしようも無い至近距離から銃弾を受けることとなった。

    【トミちゃん】(,,゚Д゚)
        シールド緊急展開、ぃや、間に合わないっ!!
        しかもこの距離ならシールドでも防ぎきれないかもっ!!

    一瞬で最悪の事態が頭をよぎる。

    【トミちゃん】(,,゚Д゚)
        もうダメっ!!
        脳、せめて脳を守れれば再生ができる。

    そうひらめいた時にはAIがとみちゃんの意識を先読みして、腕をクロスする形でガードする姿勢に入った。

    ババババと連射と共に、敵の銃口から熱い熱風が襲ってくる。
    それほどの至近距離で撃たれ、ハヤブサの装甲が薙ぎ払われていく。

    【トミちゃん】(゚д゚)!
        ぁれ、死ぬ瞬間って走馬灯が出てくるんじゃなかったっけ ?

    と思った瞬間、射撃が止み、敵の戦闘鬼がガシャーンと前のめりで倒れこんだ。

    【ガリル】
        「コ・・イツら・・サタンだ・・・。」


    【トミちゃん】(・o・)
        ????

    敵の背後に立っていたのは、大太刀の獅子王を具現化したおみくじ機だった。

    【おみくじ】(-_-;)
        「大丈夫か ?」

    【トミちゃん】
        「ぇ・・・えええ。」

    【おみくじ】
        「動けるか・・・。」

    【トミちゃん】(-_-;)
        「チョッ・・・ちょっと無理かも。」

    【おみくじ】(,,゚Д゚)
        「どうしたっ!?」
        「どこヤラれたんだっ!!」

    【トミちゃん】(+д+)
        「それが・・・。」

    【おみくじ】(,,゚Д゚)
        「どこが壊れたのか ?」

    【トミちゃん】(-_-;)
        「いゃ、そうじゃなくて、メカニズムは無事なの。」

    【おみくじ】(-_-;)
        「じゃどうして動けないんだ ?」

    【トミちゃん】(/ω\)
        「も・・・。」

    【おみくじ】(-_-;)
        「も ?」

    【トミちゃん】(/ω\)
        「も・・・・・・・。」

    【おみくじ】(-_-;)
        「も ??」

    【トミちゃん】(/ω\)
        「漏らしちゃった・・・。」

    【おみくじ】(,,゚Д゚) !?
        「ぇっ!?」

    【おみくじ】(-_-;)
        「マジ ?」

    【トミちゃん】(/ω\)
        「ぅん。」

    【トミちゃん】(/ω\)
        「恥ずかしくて死にそぅ・・・。」

    【おみくじ】(-_-;)
        「やれやれ・・・だ ?」

    【トミちゃん】(/ω\)
        「だって、みんな、日本でモニターされているんでしょ ?」

    【おみくじ】(*´ー`)
        「心配すんな。」
        「あんな激しい接近戦すれば、普通でいられる気がイカれたヤツなんていやしないよ。」
        「誰だって恐怖で少しくらいチビってしまうさ。」


    【トミちゃん】(/ω\)
        「でも・・・」

    【ハヤブサ AI】
        「戦闘中ニ流出シタ液体ノ総量ハ、約650みりりっとるデス」



    【ナターシャ】(・o・)
        「じゃじゃ漏れね・・・」

    【ナナ】(,,゚Д゚)
        「こらシーっ!!」


    【サッチ】
        「あんなに近距離で攻撃を受ければ誰だってもうダメだと思うわよ」
        「私だって怖くてチビっちゃうわよ。」

    【キヨちゃん】┐(´д`)┌
        「おもらししちゃうなんてお子さまね」

    【サッチ】
        「あら、そう言う貴女だって、大九野島戦の後、こっそりと履いてたパンツをトイレのゴミ箱に捨てたでしょ。」

    【キヨちゃん】(,,゚Д゚)
        「な、な、何を根拠に。」

    【サッチ】
        「匂いで判るもん。」
        「猫族の嗅覚なめんなよっ!!」

    【レオンハルト】(-_-;)
        「呆れた。 貴女、ゴミ箱に捨ててある人の下着を拾って嗅いだの ?」

    【サッチ】(*´艸`*)
        「そう言う貴女だって捨てていたでしょ。」

    【レオンハルト】(,,゚Д゚)
        「ば・・・馬鹿を言わないでちょうだい。」

    【サッチ】ヽ(`д´;)ノ
        「馬鹿ですって ?」

    【サッチ】ヽ(`д´;)ノ
        「じゃ、こうなったら脳内ストレージに記憶している6人分全員のパンツ画像と、匂いの記憶をナノリンクで共有してあげるわっ!!」

    【レオンハルト】ヽ(`д´;)ノ
        「ってこらぁっ!! アンタなんて事すんのよっ!!」

    【エルメス】ヽ(`д´;)ノ
        「ってか、6人もいたのかっ!!」

    【アルビータ】(/ω\)
        「きゃーーー、私のがっ」

    【エルメス】(,,゚Д゚)
        「ぇっアンタもなの ?」

    【アルビータ】_| ̄|○
        「しまった・・・。」


    帯締のCIRからの連絡が途絶えた・・・。

    【おみくじ】(*´ー`)
        あっちはなんだか忙しそうだな・・・。

    【トミちゃん】(/ω\)
        「やっぱり帰りたくなぃっ!!」

    【おみくじ】(*^_^*)
        「心配するな、ほら俺だって・・・。」

    そう言って、おみくじは下腹部の緊張をほどいた。

    【トミちゃん】(,,゚Д゚)
        「ヤダっ何しているの ?」
        「ちょっとやめてっ!」

    ハヤブサを着込んでいるため、表面上はなにも変化は見られなかったが、カメラが機体内部の温度変化を察知し、それが何を意味するのか容易に想像できた。

    【おみくじ】(^_^)V
        「ほら、これで俺もお前と一緒だ。」

    【トミちゃん】(-_-;)
        「馬鹿・・・。」
    【トミちゃん】(*´艸`*)
        「でも、そんなダーリンが好き。」

    【サッチ】
        「前々からあの二人を思ってたけれど、」
        「帰ってきたら、馬鹿ップルと呼んでやろ。」

    【サダッチ】
        「そうですね。」

    【おみくじ】ヽ(`д´;)ノ
        「おぃ、聞いてたのかよっ!!」


    【トミちゃん】(・o・)
        「それより、落ちてくる物体は排除できたの ???」

    【おみくじ】
        「嗚呼、あの通りさ。」

    【トミちゃん】
        「なんか空明るいね。」
        「何を撃ちぬいたのよ。」

    【おみくじ】
        「多分核弾頭だろうね。」
        「放射線警報がでているだろ。」
        「あと数時間もすればこの一体は電波障害で通信ができなくなる。」
        「これで空港に取り残され上陸部隊は完全に孤立する。」
        「さっさと残りを片付けに行くぞ。」




    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊将校 D】
        「被害状況は ?」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊士官 A】
        「艦、地上設備ともに被害なし。」
        「ただし、放射線により地上要員は一時シェルターに避難しており、発進作業にやや遅れが生じています。」

    【安江弘子】
        やってくれたな。
        まさか世界が見ている前で核を撃ちこんでくるとはな。

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊将校 D】
        「例の学生はどうした ?」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊士官 B】
        「正体不明の陸戦と交戦して撃破した模様です。」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊将校 D】
        「そっか無事なのだな ?」

    【安江弘子】
        「核撃墜の礼は後にするぞ。」
        「まずは、艦隊の出港を急がせろ。」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊士官 A】
        「了解。」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊士官 C】
        「全艦、ジェネレーターの起動完了しました。」
        「しかし1隻がどうも出力が安定しません。」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊将校 D】
        「原因は?」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊士官 C】
        「不明です。」
        「このまま発進シーケンスに入っても飛び立てるか不透明です。」

    【安江弘子】
        「乗員を僚艦に避難して、遠隔で発進は可能か ?」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊将校 D】
        「ええ、可能ですが、何をするつもりで ?」

    【安江弘子】
        「さっきの核のお礼参りに使わせてもらおうと思いついた。」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊将校 D】
        「まさか・・・。」

    【安江弘子】
        「そのまさか。」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊将校 D】
        「悪魔ですね。」

    【安江弘子】
        「我々は悪魔ですから。」

    【安江弘子】
        「よし、亜光速ドライブ始動準備っ!!」

    その直後、ジェネレーターに供給されていた電力が突然途絶えた。

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊将校 D】
        「停電か ?」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊士官 A】
        「さっきの核爆発による影響でしょう。」

    【安江弘子】
        ギリでセーフだったわけか・・・。

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊士官 B】
        「各艦との無線リンクがダウン、断線しました。」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊将校 D】
        「発光信号に切り替え、発進シーケンスを続行っ!!」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊士官 B】
        「了解。」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊士官 C】
        「ジェネレーターが必要最低ラインでしか稼働していませんので、発進にまだ時間が掛かりそうです。」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊将校 D】
        「アトランティス艦隊の集合ポイントには間に合わなさそうだな。」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊士官 C】
        「そうですね。」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊士官 A】
        「最短コースを出して見ました。」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊将校 D】
        エルサレム共和国上空を通過するコースになるのか・・・。」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊士官 A】
        「そうですね。」

    【安江弘子】
        リスクが大きいな。
        「再び攻撃を受ける可能性は ?」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊士官 A】
        「確実かと。」

    【安江弘子】
        「強行突破しかないか・・・。」

    一方、シナと統一朝鮮軍の侵攻を受けていたウラジオストク近郊の秘密宇宙基地カメーニャではロシア太平洋艦隊陸戦隊がなんとか侵攻を食い止めていた。

    【エミリア】(,,゚Д゚)
        「ツイてない・・・。」
        「アイツら、なんでこんなところにまで出てくんのよ。」

    【エミリア】(,,゚Д゚)
        「しかもこんな時に学園との通信も途絶えるし・・・。」
        「挙句に太平洋艦隊のヘリも迎えに来ないし、どうしろと言うのよぉーーーーっ!!!

    【エミリア】(-_-;)
        とりあえず、なんとか学園と連絡取れる手段を探さなきゃ・・・。

    すると斥候に出していた識神から、2キロ先の林で戦闘の兆候を感知した事を知らせてきた。

    【エミリア】(゚д゚)!
        こんなところに学校 ?
        児童の数はおよそ20名。
        太平洋艦隊が合流に来ないし、敵がやってくるし・・・。

    【エミリア】(-_-;)
        「ぅーーーーん。」

    迷った挙句、とりあえず、敵が接近している学校に向かうことにした。

    【エミリア
        識神からの偵察情報では、敵の数は・・・戦車・・・24台かぁ・・・。
        そして・・・ん?

    一人の男が生徒を逃がしつつ、迫る戦車に素手で戦いを挑もうとしていた。

    【エミリア
        何者かしら、一人で戦車に立ち向かおうとしているの ?
        無茶よ。

    戦車の砲が火を噴いた。
    ぁ・・・と一瞬、もうダメだと思ったが

    【エミリア】(゚д゚)?
        ぇ!?  食い止めた ?

    識神からの分析情報が寄せられる。

    【エミリア
        サークル型人工電子結界ですって ???
        ナノスキル保持者が何故ここに ?

    【エミリア
        にしても、実体弾を苦手とするサークル型で戦車砲を食い止めるだなんて、なんて無茶な。
        しかし・・・そう何度も撃たれたら持たないわ。

    戦車が砲が何度もその男を砲撃をするが、なんとか防いでいた。

    【エミリア
        子どもたちがいるから反撃できないのね ?

    【エミリア】ヽ(`д´;)ノ
        「いくわよっパシオンっ!!」
        「レイピア(※4)ユニット、オンロードっ!」


    NAOT軍が開発したエミリア専用武装、パシオンレイピアが具現化される。
    もともとは戦闘鬼の手持ち武装だが軽量のため、エミリアのような華奢に体格でも振り回せるサーベルだ。

    データベスにアクセスしようにもアトランティス艦隊のデータベースから隔離されてしまっている為、戦車の詳しいスペックが得られない・・・。
    しかし識神から得られた画像情報から、敵戦車のハッチのおよその位置は検討が付いている。

    やがて男のシールドが限界に達し、破壊されてしまった。
    男がもはやこれまでかと思ったとき、制服を着た少女が戦車の砲塔ハッチに剣を突き立てていた。

    【ヨシフ】
        あの制服は ?

    【エミリア
        「ここは私が引き受けますわ。」
        「あなたは、子どもたちをつれて早く避難をっ!!」

    【ヨシフ】
        「判った、感謝する。」

    【エミリア】ヽ(`д´;)ノ
        「あなたたちは性懲りもなく、こんな田舎にまでやってきて何やってんのよっ!!」
        「まず、1台っ!!」
    【エミリア
        そして、もう一台は・・・と、あんなところかっ。

    やや離れたところに展開していた戦車を発見すると、脚力を強化するナノアプリを展開し、一気に50mの距離をジャンプしてみせた。

    【エミリア_| ̄|○
        「あイタタタ。 筋肉はそのままだからさすがに限界を超えたジャンプは筋細胞に負担が大きいわね。」

    2台目に飛び移ったエミリアは1台目と同じ位置のハッチを剣で突き刺す。
    砲手を失った戦車は戦闘力を奪われ、撤退を開始していく。
    敵もエミリアの存在に気がつくと、砲を向けてきた。
    上空を旋回する識神からの情報で、全戦車の展開位置を把握することに成功し、敵が同士討ちとなるような位置関係をキープしてエミリア自身の安全を確保しつつ的に接近するルートを選択した。

    【エミリア
        同士撃ちのリスクがあるから、そう簡単には撃てないわよ♪ さぁどうする ?

    ところが撃ってきた。

    【エミリア】(,,゚Д゚)
        「ひぇーーー。」
        「撃ってきたよ。」
        「ヤツらは射線上に味方がいるのお構いなしかっ!!」

    エミリアのシールドも、さっきの男と同様にサークル型でシールドを展開する事でなんとか直撃は免れたが、ナノマシンの使用が制限されている現状ではシールドの断続的な展開は厳しい。
    何台かの戦車が砲手を失ってもさらに子どもたちめがけて前進を続けようとした。
    せっかく搭乗員1名の犠牲だけで済んでいたものをっ!!

    【エミリア
        「レイピアトルナードっ!!」

    光学式ビームキャノンを発射すると無数のビームが戦車を穴だらけにしてしまった。
    もっともナノマシンのリミッタのせいで必要最低限の出力でしか発射できなかったが、それでも戦車3台を屠るには十分の火力だった。

    戦闘開始から15分後、捜索に来たロシア太平洋艦隊陸戦隊の陸戦が到着した。

    【ロシア太平洋艦隊陸戦隊 大尉 A】
        「た・・・たったひとりで戦車部隊を退けたのか ?」

    【エミリア
        「遅かったわねっ!」

    【ロシア太平洋艦隊陸戦隊 大尉 A】
        「申し訳ありません。 途中で敵の部隊と交戦して到着が遅れました。」

    【エミリア
        「子どもたちが付近にいる筈だわ。」
        「避難したのかしら ?」

    【ロシア太平洋艦隊陸戦隊 大尉 A】
        「大丈夫です。」
        「子どもだちはカラシニコフ邸に全員無事避難しております。」
        「そちらに、貴女のお迎えのヘリも待機させております。」
        「さっ参りましょう。」

    【エミリア
        「カラシニコフ ?」
        「どこかで聞いた名前ですわね。」


    屋敷に到着すると、さっきの男が出迎えた。

    【ヨシフ】
        「さきほどは大変失礼をいたしました。」
        「子どもたちの避難も無事に完了して助かりました。」
        「貴女は帯締学園の生徒さんではないですかな ?」

    【エミリア
        「ぇっ!?」
        「そうですよ。」
        「どうしてそれを。」

    【ヨシフ】
        「そうですか。」
        「私の名はヨシフ・ロマノフと申しまして、このカラシニコフ姉妹の屋敷を守護する者です。」

    【エミリア
        「ぁ、カラシニコフ姉妹って1組のアノ3姉妹の???」

    【ヨシフ】
        「そうでしたか、姫をご存知でしたか。」

    【エミリア
        「姫!?」
        「姫って呼ばれているの ?」
        そういえば、アリョーナもあの娘たちを姫って言ってた気が・・・。

    【エミリア
        「ねぇ、あの姉妹って何者なの ?」

    【ヨシフ】
        「そうそう、帯締学園と連絡を付けたかったんじなかったのかな ?」

    【エミリア
        「ぇっ!?」
        「ああそうなの。」
        「電波障害でドローン(通信衛星)とのリンクが断たれて連絡がつかないのよ。」

    【ヨシフ】
        「それなら、屋敷のネットワークを利用するとよいだろう。」
        「ナノリンクは使えるのだろ ?」

    【エミリア
        「ぁっはい。」

    【ヨシフ】
        「それでは、ユーザーアカウントを今作ったから、それで連絡するがよい。」

    【ヨシフ】
        「涼花、聞こえるか ?」

    【涼花】
        「はい、お父さま。」

    【ヨシフ】
        「お前は今何しているのだ ?」

    【涼花】
        「ぇ・・・と、ミーシャさまの寮でお洗濯をしておりました。」

    【エミリア
        「り、寮 ?」
        「寮って学園の ?」

    【ヨシフ】
        「そうだ。」

    【エミリア
        「どうして、この屋敷と学園の寮とが繋がるわけなの ?」

    【ヨシフ】
        「まぁその話しは後でいいだろ。」

    【ヨシフ】
        「涼花、ミーシャさまとは連絡が取れるのか ?」

    【涼花】m(_ _)m
        「はい、いつでも。」

    【ヨシフ】
        「なら、繋いでおくれ。」
        「そちらの生徒さんが、学園と連絡を取りたがっているとな。」

    【涼花】m(_ _)m
        「はい承知いたしました。」

    すると4機のハヤブサがパラシュートで降下してきた。

    【エミリア
        「ハヤブサ !?」

    ロシアの極東軍は日本のハヤブサを使用しているの ?
    しかもかなりチューンされていて細部はより実戦を想定した改修が施されているようだった。

    【アリョーナ】
        「敵の第2部隊が接近している。」
        「迎え撃つ準備を。」

    【アリョーナ】
        「この屋敷だけは絶対に死守せよっ!!」

    【エミリア】(*゚∀゚)
        「ぁ、アリョーナっ!!」

    【アリョーナ】(-_-;) ?
        「あら、貴女は2組の・・・。 ぁれ誰だっけ ?」

    【エミリア】(*゚∀゚)
        「エミリア。」
        「私はエミリアエステバンよ。」

    【アリョーナ】(-_-;)
        「貴女、帯締学園の生徒がここで何しているのよ。」

    【エミリア】(^^ゞ
        「ぇええ、ちょっとワケありでペルシャのアラクに向かう途中でここで巻き込まれちゃって・・・。」

    【アリョーナ】(・o・)
        「アラク ?」

    【オレーシャ】
        「あそこも今、エルサレムの核攻撃を受けて大騒ぎになってるわよ。」

    【エミリア】(,,゚Д゚)
        「ぇええっ!!」
        「とみちゃんたちは大丈夫なのかしら ?」

    【アジェリーナ】
        「それはどうかしら、私も自分たちのやる事で目一杯だからねぇ。」
        「艦隊の出港準備中に鹵獲部隊の強襲受けたそうだけれど、どうやら失敗したようね。」
        「その腹いせに、フネそのものを破壊する作戦に切り替えて核を撃ちこんできたようね。」



    【ミーシャ】
        「教官、寮の涼花から連絡が入ってます。」

    【さえ】
        「涼花 ?」
        「誰なの ?」

    【ミーシャ】
        「寮に住み込みで働いているお手伝いさんのようなものです。」

    【さえ】(-_-;)
        「忙しい時に・・・そのお手伝いさんがどんな用件なのか聞いてもらえるかしら ?」

    【ミーシャ】
        「エミリアが無事との連絡なんですけど。」

    【さえ】(*゚∀゚)
        「エミリアが !?」

    【ミーシャ】(-_-;)
        「そうよ。」
        「私のおうちに避難しているようで専用回線で寮が結ばれているからソコを経由してコッチに連絡が回ってきた・・・。」

    【さえ】(*゚∀゚)
        「判ったわ。」
        「回線を繋いでちょうだい。」

    【涼花】m(_ _)m
        「学園とお繋ぎ致しました。」
        「通話可能です。」

    【さえ】
        「連絡がついてよかった。」

    【アン】
        「心配してたのよ。」

    【エミリア
        「ぁ、委員長」
        「連絡がつかなくてすいませんでした。」

    【アン】
        「とにかく貴女が無事でよかったわ。」
        「そっちはどんな状況なの ?」

    【エミリア
        「コッチは戦車隊と遭遇して退けましたが、第2波が来ているそうで、戦闘は避けられない状況かと・・・。」
        「さっきナノマシンのリミッターが掛かって往生したわ。」
        「コレ外せないの ?」

    【さえ】
        「判ったわ。」
        「今から解除コードを送信するわ。」
        「くれぐれも無理しないでね。」

    【エミリア
        「それから、とみちゃんたちはどうなったの。」
        「さっきアリョーナから、アラクが核攻撃を受けたって聞いたわ。」

    【みさ】(*゚∀゚)
        「アリョーナ ?」
        「アリョーナもそこにいるの ?」

    【エミリア
        「ええ、さきほど一緒になったところなの。」

    【みさ】(*゚∀゚)
        「そうなの ?」
        「それなら安心ね。」

    【アン】(*゚∀゚)
        「とみちゃんたちふたりとも無事よ。」

    【みさ】ヽ(=´▽`=)ノ
        「とりあえず、学園に戻れるようにすぐに手配するから無茶しちゃだめよ。」

    【エミリア】(*゚∀゚)
        「はい。」

    【アリョーナ】(-_-;)
        「ねぇ、貴女、ハヤブサ着装出来るわね。」
        「第2波の迎撃、頼めるかしら ?」
        「このハヤブサはまだ配備されて間もないから、パイロットの慣熟がまだなのよ。」
        「貴女なら普段から使用している機体なんだし、素人が着装するよりはマシだと思うの。」

    【エミリア】(,,゚Д゚)
        「さっきの会話聞いてなかったの ???」
        「教官が無茶しちゃダメだって。」

    【アリョーナ】(-_-;)
        「聞いてたわよ。」
        「でも、ここを守りきらないと、元も子もないわよ。」

    【エミリア_| ̄|○
        「く、結局こうなるのね・・・。」

    【アジェリーナ】
        「操作は当然判るわね。」

    【エミリア
        「ええ。」

    【オレーシャ】
        「でも、今は宇宙艦隊とのリンクが切れているからスタンドアロンでしか動けないわよ。」
        「しかもAIも搭載していないのでアシストもなし。」

    【エミリア
        「そ・・・それはツライかも。」

    識神が2000mにまで接近中の敵戦闘鬼を感知。

    【オレーシャ】
        「時速20kmでこちらに向かっているわ。」

    【アリョーナ】ヽ(`д´;)ノ
        「迎え撃つわよっ!!」

    【エミリア
        「子どもたちは ?」

    【アジェリーナ】
        「地下のシェルターに避難した。」

    【エミリア
        「学園との通信はどうするの ?」

    【アリョーナ】
        「セッション(接続)はこのまま維持できるかしら ?」

    【涼花】
        「よろしいのですか ?」

    【ヨシフ】
        「あちらさんも生徒が心配でしょ。」
        「中継してあげなさい。」

    【涼花】m(_ _)m
        「判りました。」

    【アリョーナ】
        「脅威判定更新っ!!」

    【オレーシャ】
        「敵戦闘鬼の種別不明、数30機」


    アラクでは、亜光速ドライブを駆動する動力が臨界を越え、起動フェーズから運転フェーズに移行していた。


    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊将校 D】
        「スタンバイエンジン」

    【安江弘子】
        「補給艦隊本体は既にエウロパ基地に向かった。」
        「我が船団は周回コースに乗らずに、最短距離で本体と合流する。」
        「そこでエルサレム共和国上空を通過する為、ドローンの攻撃には厳に警戒せよっ!!」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊将校 D】
        「レッコー」
        「フル スラスター ボトム ツー」(両舷スラスター下方最大出力)

    スラスターを噴射し、艦首を徐々に持ち上げていく。

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊将校 D】
        「スロー アヘッド ポート」(左舷微速前進)

    右方向へ舵をきり、発進方向が定まったところで舵を戻す。

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊将校 D】
        「ミジップ」(舵中央)

    【安江弘子】
        「全艦発進っ!!」

    【アトランティス補給艦隊 アラク基地隊将校 D】
        「亜光速ドライブ出力10」
        「リングアップ!! 」(大気圏内巡航に移行)

    亜光速ドライブの出力を10%に制御し、徐々に加速しながら上昇していった。


    【トミちゃん】
        「無事に発進しましたね。」

    【おみくじ】
        「そうだな。」

    【おみくじ】
        「さてと・・・分校に戻って生存者の捜索と負傷者の手当をするぞ。」
        「動けるな ?」

    【トミちゃん】(/ω\)
        「パンツが冷たくなって、ちょっと気持ち悪い・・・。」

    【おみくじ】(*´ー`)
        「我慢しろ。」
        「俺もだ。」


    【エミリア】ヽ(`д´;)ノ
        「パシオン、レイピアユニット・オンロード。」

    おもむろに、パシオンレイピアを具現する。
    ハヤブサで使用する用に、エミリアが素手で持っていたときよりも一回り大きく具現化された。


    【ヨシフ】
        「ほぉ、お前さんの宝刀、さっき素手で飛び出してきた時より大きくなっているのぉ。」
        「動的にサイズも変化できるのかね。」

    【エミリア
        「ぁ、パシオンの事 ?」
        「そうね、ナノマシンで具現化する武装の大抵は寸法の変更は可能だわ。」
        「ただ最適な威力と取り回しを考えると、結局は普段使用するサイズは決まってくるのだけどね。」

    【ヨシフ】
        「なるほどね。」
        「私は武装のサイズを変化させるなんて発想がなかった。」
        「勉強になったよ。」
        「ありがとう。」

    【ヨシフ】
        「でわ。 私もお手伝いするとしようかな。」

    気が付くとヨシフがハヤブサの横に並んでいた。

    【エミリア
        「貴方は素手で戦うおつもりなの ?」
        「ご自身の武装は使用されないのですか ?」

    【ヨシフ】
        「あんな雑魚どもは素手で十分だ。」
        「対する我が方は5機+1名。」

    【オレーシャ】
        「数においては絶対に不利ね。」

    【アリョーナ】
        「さあ、貴女ならこの状況をどう乗り切る ?」

    【エミリア
        「そりゃ、あちらさんも越境しこんなところまでやって来ている以上はやる気満々でしょ。」
        「であるならば、先制攻撃ね。」

    【ヨシフ】
        「宜しい。」

    【アリョーナ】
        「最大戦速で、一気に懐に飛び込んで白兵戦に持ち込むわよ。」

    【アジェリーナ】
        「相手はナノマシンを持っていない分、乱闘になればこちらが有利よ。」

    【アリョーナ】ヽ(`д´;)ノ
        「では行くわよ。」
        「戦闘開始っ!!」


    (※1)獅子王(シシオウ)/十拳剣(トツカノツルギ)
        おみくじとトミちゃんのペアが所有する大剣。
        普段はナノマシンによって形状は分解されており、戦闘時に再構成される。
        ナノマシンのハイエンドスキル保持者は学園が用意した標準的な装備の他に自分独自の武装を個別に保持することが許されている。
        ただし、固有武装運用に必要なナノサブスタンスのメンテ等コストは全額各自負担となる。

    (※2)S-800
        ロシアが開発した弾道ドローン迎撃用ドローン。
        S-400の後継モデルで、MIRVなどの特に大気圏を再突入しながら軌道変更してくるタイプに対しての追従性が向上している。
        S-800の1発の本体には、4機の子ドローンを搭載しており、ブースターで迎撃高度に達すると分離して複数目標の弾道に対して個別に迎撃する事が可能となっている。
        ただし、同時多目標迎撃を実現するにあたって射程距離が犠牲になっており、ペルシャ軍による迎撃は不発に終わった。

    (※3)モスド
        エルサレム共和国が誇る秘密諜報組織。
        諜報組織と言うより敵対勢力の要人暗殺を主任務とした暗殺集団と言う色が非常に濃い。
        彼らの活躍により多くのペルシャ人科学者が消されており、被害はペルシャ駐留のアトランティス艦隊関係者にまで及ぶ。

    (※4)レイピア
        NATO軍が開発したエミリア専用の固有武装の名称。
        おみくじとトミちゃんが所有する獅子王/十拳剣と同様にナノマシンによって具現化される。
        基本的に固有武装はメンテナンスに各自が全額を負担している事が多いが、軍や企業が技術支援をしているケースでは、各国の機関から必要な経費が降りている事もある。
      

 

 

 

 

 

 

 

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