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アトランティスの亡霊

Ghost of Atlantis

【1-9-5】環境テロリスト

環境テロリスト

【1-9-5】

 

 

アトラミス帝国資源惑星 ヘルムニート

 

気温が60度にも迫る灼熱の地上は宇宙からの砲撃にさらされていたが

季節風によって爆発の大穴はたちまち砂に埋もれてかき消されていた。

その地下深くの非常に強固な岩盤をくり抜いて設置された地下施設は

ジェネレーターにより環境は維持されてはいたが時折地表での爆発が

重い振動として伝わり天井から砂埃が落ちてくる。

 

 

 【アトラミス帝国:国王】

  「娘たちはもうアトランティスに着いたのだろうか・・・。」

  「連絡が途絶えてずいぶん経つが。」

  「そもそもアトランティスの民がいまだ健在なのかどうかも判らない。」

 

 【側近A】

  「きっと大丈夫ですよ。」

  「式典で交換した星系の位置情報が正しければ

   もうすでに姫さまならアンドロメダ艦隊の追撃を振り切って到着している頃ですよ。」

 

 【アトラミス帝国:国王】

  「だといいのだが。」

 

 

 【アトラミス帝国:国王】

  「ぃや・・・」

  「ああ、すまんな。」

  「私ごとの心配で・・・。」

 

 【アトラミス帝国:国王】

  「よし、気を取り直して本日の概況を聞こうか ?」

  「地上各陣の戦況はどうなっとる ?」

 

 【側近A】

  「は、。」

  「現在のところ、季節風が巻き上げるチリの影響により艦砲射撃の威力が低下しており敵も攻撃を控えているようです。」

 

 【側近A】

  「ただその分、オロチの降下部隊が増員されており、各地のシェルターが防衛戦を展開しています。」

  「すでに30%のシェルターが破壊されてしまいました。」

  「戦況は芳しくありません。」

 

 【アトラミス帝国:国王】

  「多脚戦車ならまだなんとか打てる手立てはあるが、オロチ族が相手となると不利だな。」

 

 【側近B】

  「我々精鋭の兵士1000人がかりでオロチ1人とやっとで互角ですから話になりません。」

  「至近距離からの砲撃にも耐えるし打つ手なしです。」

 

 【側近C】

  「一時的にヤツを撃退したとしても、我が方の損害があまりに大きすぎて次の襲来では耐えられません。」

  「艦砲の高出力砲でなんとか倒せてはいるものの、エネルギー不足でそうホイホイと撃てるものではありません。」

 

 【側近A】

  「皇女さま脱出作戦から生還できたフネを地上砲台として利用可能な陣ではなんとかオロチの攻撃を防いでおりますが、季節風が止めばビームを遮るものがなく直撃を受けますので、実際問題としていつまで耐えられる判りません。」

 

 【アトラミス帝国:国王】

  「どれくらい持ちこたえられそうだ ?」

 

 【側近A】

  「240レーン(地球:約6ヶ月)くらいかと。」

 

 【アトラミス帝国:国王】

  「それだけあれば、地下工場の最終兵器が完成できるな。」

 

 【側近C】

  「あそこは特別に硬い坑道ですから、そう簡単には落ちません。」

  「完成した暁には一泡吹かせてやりましょうよ。」

 

 【アトラミス帝国:国王】

  「お前たちにはすまないと思っている。」

  「こんな絶望しか無い戦いに巻き込んでしまったことを。」

 

 【側近A】

  「なにをおっしゃいますか。」

 

 【側近A】【側近B】【側近C】

  「私達は国王様とともに戦えて光栄だと思っております。」

 

 

 

 

 

 

帯締学園生徒会トレーディングルーム

 

 

 【ノブちゃん】(*´艸`*)

  「お姉さまちょっとよろしいですか ?」

 

 【サッチ】(-_-;)

  「どうしたんだノブちゃん。 不正会計が発覚したか ?」

 

 【ノブちゃん】ヽ(`д´;)ノ

  「そんなことやってません!」

 

 【ノブちゃん】

  「このチャート見て頂けますか ?」

 

 【サッチ】

  「どうしたの ?」

 

 【ノブちゃん】

  「アンドロメダ陣営の軍事企業関連の株価なのですが、先日から高騰しています。」

  「さらに資源関連の企業の株価も連れ高状態となっています。」

  「原因は戦時星系債(※1)が発行されたものと思われます。」

 

 【サッチ】

  「これが何を意味するの ?」

 

 【ノブちゃん】

  「おそらくですが、アンドロメダ陣営は新しい大規模作戦を展開するために、地球で言う戦時債権を発行したのだと思います。」

  「だから新しい装備調達が必要となり、関連企業の株価が高騰していると思うのですよ。」

 

 【サッチ】

  「ということは・・・このダイダロス星系に大規模な艦隊が押し寄せてくる前触れかもしれないな。」

 

 【ノブちゃん】

  「はい、そういう可能性が濃厚かと。」

  「まぁ、もっとも資金を確保したからと言って、侵攻準備には時間が必要でしようから、ただちに明日攻めてくるってことはないとは思いますが、それでも半年とか一年後くらいには本格的な艦隊がやってくるのではないでしょうか ?」

 

 【サッチ】

  「それはそうと、この高騰に」

 

 【ノブちゃん】

  「はい、もちろん乗っかってますわよ。」

 

 【サダッチ】

  「さすがノブちゃんは抜け目ないな。」

 

 【ノブちゃん】

  「ええ、お姉さまの生徒会ですから。 資金面で全力で支援するのが会計としての私の役目です。」

  「ここ数日のトレードにおいて日本国家予算の10年分くらいは確保したわ。」

  「この潤沢な資金で私達も装備を増強できます。」

 

 【サッチ】

  「それはよかった。」

  「大和級を5隻も建造したら生徒会の資金が底をつくところだったのよ。」

 

 【サダッチ】

  「それは使いすぎです。」

 

 【ノブちゃん】

  「そうですよ。」

  「しかもネームシップである一番艦の AI が引きこもりに陥って全然使えないって・・・まるまる無駄使いじゃないですか。」

 

 【ノブちゃん】(-_-;)

  「少しは反省してほしいものです。」

 

 【サッチ】ヽ(=´▽`=)ノ

  「いや、それはノブちゃんがね、その腕前をもってすれば、ササッとトレードでたちまちに資金を回復させてくれると確信していたからだよ。」

 

 【ノブちゃん】(*´ω`*)

  「ま、まぁお姉さまがそうおっしゃるのでしたら・・・。」

 

 【サッチ】

  「うん、判った情報ありがとう、学園長に伝えておくわ。」

 

 【サッチ】

  「あと、地球軍の活躍が気になるわね。」

 

 【サダッチ】

  「今、実戦演習に出動しているNATO艦隊の事ですか ?」

 

 【サッチ】

  「んにゃ、アメリカの方。」

 

 【サダッチ】

  「アメリカ艦隊ですか ?」

 

 【サッチ】

  「そう。」

  「確かネームシップ扶桑型の4番艦、アリゾナを中心とした艦隊だったかな ?」

 

 【ノブちゃん】

  「あー、アリゾナでしたら、アトランティス第三艦隊、アメリカ第4艦隊第2打撃群ですね。」

  「その艦隊にはエンタープライズを主軸とした同アメリカ第5艦隊第2航空群が随伴しているみたいですよ。」

 

 【サダッチ】

  「この布陣であれば大丈夫ではないでしょうか ?」

  「しかも彼らの練度は非常に高くて優秀ですから。」

  「何が気になることでも ?」

 

 【サッチ】

  「日本艦隊の未帰還予定は、アメリカ側も陰謀に加担しているって話で、つまり地球艦隊の主力艦隊は日本からアメリカへ移ることになる訳で、嬉しさ爆発で調子こいてヘマやらかさないかな ? ・・・って。」

 

 【サッチ】

  「アメリカ軍って強いって自負している割には、いつも詰めが甘いのよね。」

 

 【サダッチ】

  「ぃやぁ~それは大丈夫でしょう。」

  「宇宙の覇権を日本から奪取する気満々ですからここでヘマはしないと思いますよ。」

 

 【サッチ】

  「だといいのですが・・・。」

 

 【ノブちゃん】

  「お姉さまったら、気にしすぎなんですよ。」

 

 

 

 

 

 

アンドロメダ艦隊 ダイダロス追撃部隊

 

 【掃討群体作戦オペレーターA】

  「ダイダロス群体、さらに戦力を損耗。」

  「攻撃が効いています。」

  「我々の群体に挟撃され身動きがとれない模様です。」

 

 【司令官】

  「よし、このまま押し切って完全駆除に追い込むぞ。」

 

 【掃討群体作戦オペレーターB】

  「センサーに反応するものあり!」

  「亜光速でこちらへ接近する未確認の物体を感知!!」

 

 【作戦参謀】

  「なんだと ?」

 

  【掃討群体作戦オペレーターB】

  「先の侵入制限区域の方向から侵攻中!」

  「一直線にこちらへ接近してきます!!」

 

 【作戦参謀】

  「正体は?」

 

 【掃討群体作戦オペレーターB】

  「正体は不明です。」

 

 【司令官】

  「なぜ発見できなかった ?」

 

 【掃討群体作戦オペレーターB】

  「重力探査の反応もなく、センサーがかろうじで微弱な熱源を感知しました。」

  「ノイズを除去したところ多数の物体である事が判明しアラートを発令しました。」

 

 【作戦参謀】

  「さっき発見した迷子か ?」

 

 【掃討群体作戦オペレーターB】

  「おそらく。」

 

 【司令官】

  「その迷子は現在位置は ?」

 

 【掃討群体作戦オペレーターB】

  「さきほどロストしました。」

  「センサーに感ナシっ!!」

 

 【掃討群体作戦オペレーターB】

  「それに重力センサーに広域妨害(バレージ)を掛けられました!」

 

 

 【作戦参謀】

  「逃げ切れないことを悟って反撃に出てきたのでしょうか ?」

 

 【司令官】

  「おそらくな。」

 

 【作戦参謀】

  「如何なされます ?」

 

 【司令官】

  「最後のあがきにイチイチ付き合ってはおれん。」

  「ダイダロスの各個体の位置は把握しているんだろうな ?」

 

 【掃討群体作戦オペレーターA】

  「はい、指向性ビームを照射しておりますのでまだセンサーには感が残っています。」

 

 【司令官】

  「ならば作戦は継続。」

 

 【司令官】

  「ただし、シールドを強化して迷子からの奇襲には備えよ。」

  「迷子をロストしたという事は、妨害の発信源はその迷子という事だ。」

  「警戒はしておけ。」

 

 【掃討群体作戦オペレーターB】

  「了解しました。」

 

 

 

 

アメリカ空軍宇宙艦隊 戦艦アリゾナ

 

 【戦術士官A】

  「主砲の着弾まで、あと15秒っ!!」

 

 【艦長】

  「よし、次の主砲、榴弾を装填っ!!」

 

 【戦術士官A】

  「榴弾装填!!」

 

 【シスターC】

  「榴弾に放熱術式展開っ!!」

 

 【艦長】

  「ダイダロス艦隊の残存艦艇へ重力電文!」

  「電子結界の周波数パターンを β74A3D に変調!」

  「実体弾の流れ弾に備えよっ!!」

 

 【戦術士官B】

  「了解、電文を送信します!!」

 

 

 【戦術士官B】

  「艦長っ!!」

  「ダイダロス艦、シールド周波数の変調を確認っ!!」

 

 【艦長】

  「メッセージを理解してもらえたようで良かった。」

  「これで誤爆してもダメージ免れるな。」

 

 【戦術士官A】

  「着弾まで、あと5秒っ!!」

 

 【艦長】

  「さてと、つぎの砲撃をかますとするか。」

 

 【艦長】

  「砲撃開始っ!」

 

 【戦術士官A】

  「砲撃開始っ!」

 

 

 

 

 

アンドロメダ艦隊 ダイダロス追撃部隊

 

 【掃討群体作戦オペレーターB】

  「熱源、このまま直進してきます。」

  「まもなくシールドに衝突します。」

 

 百戦錬磨のアンドロメダ艦隊のオペレーターは慌てることもなく淡々と状況を報告する。

 

 

 【作戦参謀】

  「この程度の些細な反撃は我が艦隊には効かん。」

 

 【掃討群体作戦オペレーターB】

  「さらに光学センサーに多数の発光と熱放射を感知っ!!」

  「見たことのないセンサー反応ですっ!!」

 

 【作戦参謀】

  「何 ?」

 

 と、聞き返したと同時にアメリカ艦隊が最初に放ったトリプルHEAT弾が立て続けにアンドロメダ艦のシールドに着弾した。

 3段階に効果を発揮するトリプルHEAT弾は、シールドに接触すると最初の爆薬でシールドを形成していたナノマシンを吹き飛ばしつつそのままの勢いを維持してアンドロメダ艦の装甲に達すると、第2段階として甲板構造物を吹き飛ばしてナノマシン展開システムを粉砕し、さらには第3段階で高圧のメタルジェットで装甲をぶち破って艦体内部にダメージを与えた。

 

 【艦長】

  「何事だ ?」

  「状況を報告せよ。」

 

 経験した事のないダメージに一瞬狼狽する艦長だったが、そこはダイダロス相手に戦ってきた歴戦の艦長だけにすぐに冷静さを取り戻した。

 

 

 【掃討群体作戦オペレーターC】

  「艦内部で爆発があった模様。」

  「右舷装甲が破られており、外部からの侵入した爆発物のようですっ!」

 

 【艦長】

  「敵の攻撃か ?」

 

 【掃討群体作戦オペレーターA】

  「わかりません。」

  「ただ過去のライブラリーでは登録にないダメージです。」

 

 【艦長】

  「まずは被害区画に取り残された将兵の救助を急がせろっ!!」

 

 【掃討群体作戦オペレーターC】

  「了解しましたっ!」

 

 しかし続けてアメリカ艦隊の榴弾が着弾し、激しい爆発音が艦内に反響した。

 

 【作戦参謀】

  「やはり攻撃かっ!!」

 

 【掃討群体作戦オペレーターA】

  「シールドシステムがダウンしました。」

  「再起動不能っ!!」

 

 【作戦参謀】

  「くそっ、どこからの攻撃だ ?」

  「探し出せっ!!」

 

 【掃討群体作戦オペレーターB】

  「味方群体に多数の被害が発生しています。」

 

 同様のダメージを受けている味方がパンデミックのように急激に拡大している事をモニターの表示が示していた。

 

 【作戦参謀】

  「敵の詳しい位置はまだ掴めんのか ?」

 

 【掃討群体作戦オペレーターA】

  「申し訳ありません。」

  「重力探査が妨害されており発見が困難となっています。」

 

 【艦長】

  「言い訳は後で聞く。」

  「まず敵の発見と撃退が先決だ。」

  「撤退するダイダロスの背後に展開させた友軍をすぐに呼び戻せっ!」

 

 

 【掃討群体作戦オペレーターB】

  「了解っ!!」

 

 【掃討群体作戦オペレーターC】

  「シールドが失われております。」

  「放射線防護スーツを着装してください。」

  「雷撃されるおそれがあります。」

 

 【司令官】

  「私はいい。」

  「指揮に関わる。」

  「君たちこそ、防護スーツをはやく装着したまえ。」

 

 

 

 

 

アメリカ空軍宇宙艦隊 戦艦アリゾナ

 

 【司令官】

  「戦況は ?」

 

 【戦術士官A】

  「こちらの有利にすすんでいます。」

  「アンドロメダは大混乱中ですね。」

 

 

 【アトランティス艦隊 連絡将校】

  「油断しないで、気を引き締めるのよ。」

 

 【戦術士官A】

  「了解。」

 

 

 【司令官】

  「敵の損耗率は ?」

 

 【戦術士官B】

  「およそ50%ほどかと」

 

 【戦術士官B】

  「ダイダロス艦隊を追撃中だったアンドロメダ艦隊の別働隊が転進しました。」

  「本隊に合流するようです。」

 

 【司令官】

  「よし、エンタープライズにつなげ」

  「機動部隊へ敵艦隊への空爆を要請する」

 

 【戦術士官A】

  「了解しました。」

 

 【戦術士官A】

  「コネクトしました。」

 

 【エンタープライズ:司令官】

  「おう、調子はどうだ ?」

 

 【司令官】

  「ぼちぼちでんな。」

 

 【エンタープライズ:司令官】

  「出番か ?」

 

 【司令官】

  「ああ、出番だ。」

 

 【司令官】

  「あらかたの戦闘力は奪いつつあるが、別働隊が戻ってきて体制を立て直しつつある。」

  「我が艦隊を見つけて反撃してくる前にトドメを刺す」

 

 【エンタープライズ:司令官】

  「わかった。」

  「だが、"今度" オレとこの小僧どもに流れ弾をぶつけたりしたら承知しねーぞ。」

 

 【司令官】

  「そんなヘマすると思うか ?」

 

 【戦術士官A】

  「お取り込み中のところ、すいません。」

  「そろそろ敵もこちらの位置を特定してくる頃だと思われます。」

  「早く掃討しないと敵が反撃してきます。」

 

 【司令官】

  「判った。」

 

 

 

 

 

アメリカ空軍宇宙艦隊 空母エンタープライズ

 

 【戦術士官C】

  「アリゾナ、交信カット」

 

 【エンタープライズ:司令官】

  「よし、第一次攻撃隊の出撃を準備しろ。」

 

 【戦術士官D】

  「コンバットレスキューが先発します!」

 

 【エンタープライズ:司令官】

  「判った。」

  「友軍艦隊の展開位置と火力投入位置の情報はちゃんとリンクしているんだろうな ?」

 

 【戦術士官C】

  「はい。 機能しています。」

 

 【戦術士官C】

  「艦長 ?」

 

 【エンタープライズ:艦長】

  「なんだ ?」

 

 【戦術士官C】

  「センサーによると友軍艦隊から離脱して敵艦隊へ突入していくフネが1隻あるのですが・・・。」

 

 【エンタープライズ:司令官】

  「ああ、それな。」

  「そのフネはVHFチャンネルZで交信できる。」

 

 【戦術士官C】

  「一般周波数ですか ?」

 

 【エンタープライズ:司令官】

  「そうだ。」

 

 【エンタープライズ:司令官】

  「パイロットに全員に通達しておけ、もし撃墜されてコンバットレスキューが来ないようならチャンネルZを使用するように。」

 

 【エンタープライズ:艦長】

  「そのフネは病院船だ。」

 

 【戦術士官C】

  「病院船 ?」

 

 【エンタープライズ:艦長】

  「そうだ。」

  「今回から配属されてきた新造艦らしいぞ。 なんでも、弾幕の中でも救助に駆けつけてくれるそうだ。」

 

 【戦術士官C】

  「そ、それは心強いですが・・・あんな場所をウロウロして見つかって逆に沈められたりしないでしょうね ?」

 

 【エンタープライズ:艦長】

  「しるもんか。 あいつらは我々より上位権限で動いてるんだ。」

 

 【戦術士官D】

  「コンバットレスキュー隊全チーム出動しました。」

  「続いてELINT(※2)が出動します。」

 

 【エンタープライズ:司令官】

  「よし、ELINT は AWACSの指示に従わせるんだ。」

  「ELINTが出たら、次、第一次攻撃隊を出動させ、二次隊と三次隊を待機させておけ。」

 

 【戦術士官D】

  「了解しました。」

 

 【戦術士官D】

  「第四次は如何致します ?」

 

 【エンタープライズ:司令官】

  「一次が戻ってきたタイミングで出せるように準備しておけ。」

  「全8ソーティ(※3)でミッションクリアできればいいのだがな。」

 

 

 

 甲板上では、アメリカ海軍空母に準じた青のジャケットに黄のヘルメットを被った航空機誘導員が第一次の攻撃隊を発信位置へ誘導し、緑のジャケットに緑のヘルメットを被った射出員が手慣れた手順でカタパルトの手配を行っていた。

 さすがにこの辺の段取りは空母運用に空白期間のあった日本艦隊よりは手際がいい。

 

 次々と攻撃隊が発艦すると、次は帰還機に備えて着艦エリアを確保し、補給に戻ってくる給油機などの支援機が直ちに戦場に戻れるように要員を待機させていった。

 この一連の作業は非常なに高度なチームプレーと集中力が要求され、宇宙空母1艦で可能とする出撃回数は4ソーティとされている。

 そうたった4回しか再出撃ができないのを機動部隊全体で1艦あたり、倍の8ソーティ、つまり3時間に1回の頻度という超過密ミッションをこなさなければならなかった。

 

 

 

 

 

 

 

アンドロメダ艦隊

 

 【掃討群体作戦オペレーターA】

  「後続の艦隊が攻撃を受けています。」

  「敵の攻撃が後方へ移ったようです。」

 

 【作戦参謀】

  「退路を断つつもりか ?」

  見慣れない戦法だが戦い慣れているな・・・。

 

 【掃討群体作戦オペレーターB】

  「センサーに感 ?」

  「発見しました。」

 

 【作戦参謀】

  「数は ?」

 

 【掃討群体作戦オペレーターB】

  「およそ50匹程度かと ?」

 

 【作戦参謀】

  「50匹 ?」

 

 【司令官】

  「何かの間違いではないのか ?」

  「それっぽっちの訳がないだろ ?」

 

 【掃討群体作戦オペレーターB】

  「いえ、センサーで捉えた反応は50匹・・・正確には52匹です。」

 

 【作戦参謀】

  「未知の隠密シールドか・・・。」

  「他にもいる筈だ、探し出せ。」

  「まずは、発見したヤツを先に叩く!!」

 

 【掃討群体作戦オペレーターA】

  「了解!」

 

 

 

 

アメリカ空軍宇宙艦隊 戦艦アリゾナ

 

 【戦術士官B】

  「敵の動きに変化あり!!」

  「ダメージの少ない艦たちがこちらへ転進しました。」

 

 【戦術士官B】

  「見つかったようです。」

 

 【艦長】

  「思っていたよりこちらを発見するのに手間が掛かったな。」

 

 【司令官】

  「だが、もう手遅れだな。」

 

 【戦術士官B】

  「敵残存兵力が集結しつつ接近してきます。」

  「その数約、1000隻。」

 

 【司令官】

  「よし、雷撃戦準備っ!!」

 

 【戦術士官A】

  「雷撃戦準備!」

 

 【司令官】

  「全艦隊に対して、放射線警報発令しろ」

  「シールドも強化するんだ。」

 

 【艦長】

  放射線警報発令!」

 

 【戦術士官A】

  放射線警報発令!!」

  「シールド出力最大!!」

 

 【シスターB】

  「人工電子結界、術式最大展開っ!!」

 

 

 

 

アメリカ空軍宇宙艦隊 空母エンタープライズ

 

 【戦術士官C】

  「全艦隊に放射線警報が発令されました。」

  「雷撃を実施するようです。」

 

 【エンタープライズ:司令官】

  「よし、弾着が確認されたら攻撃隊を突入させろ!」

  「それまでは待機させておけ。」

 

 【戦術士官D】

  「了解。」

 

 先発した救難機や ELINT機は雷撃戦の中でも行動できるようになっており、攻撃隊もそれなりの放射線防御が施されてはいる。

 しかし、それでも用心のため雷撃が終わるまでは攻撃隊を発進させない事にした。

 

 

 

 

 

アメリカ空軍宇宙艦隊 戦艦アリゾナ

 

 【司令官】

  「目標の選定は ?」

 

 【戦術士官A】

  「終わりました。」

 

 【シスターC】

  「放熱術式の展開も完了しましたっ!!」

 

 【司令官】

  「よし、雷撃開始!」

 

 【戦術士官A】

  「雷撃開始!!」

 

アメリカ第4艦隊・・・駆逐艦や支援艦を含めても52隻の小規模な艦隊ではあったが

からしてみれば正体不明の文明と正体不明のテクノロジーによる奇襲効果は大きく、数千という艦隊に対して効果的に戦果を挙げ着実に宇宙艦隊の運用スキルを向上させていった。

 

  

 アメリカ空軍宇宙艦隊 空母エンタープライズ

 

 【戦術士官C】

  「第2打撃群が雷撃を開始しました。」

  「着弾まで20分。」

 

 【戦術士官C】

  「セオリーとおり砲撃戦でできるだけ数を削るようです。」

 

 【戦術士官D】

  「パイロットから発進要請が出ていますが ?」

 

 【エンタープライズ:司令官】

  「まだ早い。」

  「魚雷が当たるまで待たせろ!」

 

 【戦術士官D】

  「わかりました。」

 

 【戦術士官C】

  AWACSから入電、敵の艦爆隊を察知っ!!」

 

 【エンタープライズ:司令官】

  「数は ?」

 

 【戦術士官C】

  「200ほどです。」

  「10分で、第2打撃群の一次防衛ラインに入ります。」

 

 【エンタープライズ:司令官】

  「第2打撃群の直掩は ?」

 

 【戦術士官D】

  「迎撃に向かいました。」

  「間もなくエンゲージします。」

 

 【エンタープライズ:司令官】

  「第2打撃群には手を出させるな。」

  「AWACSに監視をさらに強化するよう伝えよ。」

 

 【戦術士官C】

  「了解!」

 

 【戦術士官D】

  「第2打撃群も迎撃を開始しました。」

  「防空隊の増援は如何しますか ?」

 

 【エンタープライズ:司令官】

  「いまは攻撃隊が待機中だ。」

  「現在の直掩隊で守りきってもらう。」

 

 【戦術士官D】

  艦爆隊から熱源を感知!」

  「ドローンのようです。」

 

 【エンタープライズ:艦長】

  「どこへ向かっている ?」

  「こっちか ?」

 

 【戦術士官D】

  「いえ、第2打撃群の方です。」

 

 【エンタープライズ:司令官】

  ん!? なにか変だぞ。

  「光学兵装ではなくドローンということは、雷撃か !?」

 

 【戦術士官D】

  「そのようです。」

 

 【戦術士官D】

  「第2打撃群全艦隊に核攻撃警報が発令された模様です!!」

 

 しかし第2打撃群も慣れたものだった。

 航空隊との連携は完璧に機能しておりCAPが漏らしたドローンを対空ドローンを使用してたちまちのうちにすべてを撃ち落とした。

 

 

 【エンタープライズ:艦長】

  「アリゾナはさすがですな。」

 

 【エンタープライズ:司令官】

  「そうだな。」

 

 【エンタープライズ:司令官】

  「日本艦隊がなくても我が艦隊がアトランティス艦隊を支えることができる事が証明できた。」

 

 【アトランティス艦隊 連絡将校】

  「貴官殿は十分に活躍しています。」

 

 

 

 【戦術士官D】

  「魚雷、敵の艦隊に着弾します。」

 

 着弾から数秒後にまばゆい閃光が到達し、そしてすぐに静かに消滅した。

 その核爆発を確認すると直ちに次のミッションを指示した。

 

 【エンタープライズ:司令官】

  「よし、攻撃隊発艦っ!!」

  「掃討作戦に移行する。」

 

 【エンタープライズ:艦長】

  「よし、エンタープライズ戦闘速度へ移行」

 

 【戦術士官E】

  「了解!!」

  「亜光速ドライブ最大戦速!!」

 

 【戦術士官D】

  「第一次攻撃隊全機発艦!」

  「繰り返す、第一次攻撃隊は全機発艦せよ!」

 

 

 第一次の攻撃隊が発艦を開始した。

 これからは生き残っているフネを見つけ次第に各個撃破するフェーズとなる。

 

 

 

 

 

 

アメリカ空軍宇宙艦隊 戦艦アリゾナ

 

 【アトランティス艦隊 連絡将校】

  「これからが本当の勝負です。」

  「一兵たりとも生きて帰してはなりませんよ。」

 

 【司令官】

  「ああ、ここで勝利できれば、我が合衆国が地球軍のメインプレイヤーとなれる事が貴女たちアトランティス艦隊に証明できる。」

 

 【アトランティス艦隊 連絡将校】

  「上層部にはきちんと私の方から報告しておきます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

帯締学園

 

 【東郷】

  「おーーい、2組と合同のクラス会を始めるぞ。」

  「席につくんだ。」

 

 【東郷】

  「欠席者はいないな ?」

  

 【東郷】

  「さて、対抗戦の人選がほぼ決まったそうなので1組クラス委員長、発表してください。」

 

 【ナナ】

  「ぁ、はい。」

  

 【ナナ】

  「まず、対抗戦は例年通り、夏休みが終わったあとすぐに3つのカテゴリにて実施されます。」

 

 【ナナ】

  「1.シミュレーターによる艦隊戦」

  「会場は、帯締学園と添下学園にて行われます。」

 

 【ナナ】

  「勝利条件は、相手の旗艦を沈める事となっています。」

  「通常の操艦では多数のスタッフが一丸となってフネをコントロールしますが

   私達は幹部候補生ですから、一人ですべての事をコントロールできなければなりません。」

 

 【ナナ】

  「ひとり1艦で操艦、攻撃、防御、ダメージコントロールをシミュレートします。」

  「まぁいつもやってる事だから大丈夫よね。」

 

 

 【ナナ】

  「顧問は、艦隊運営専任講師のさえ教官が担当します。」

  「リーダーは、もっちゃんにお願いして、副リーダーにはサッチにお任せするわ。」

 

 【ナナ】

  「いいかしら。」

 

 【もっちゃん】

  「わかりました。」

 

 【サッチ】(ノ`Д´)ノ彡┻━┻

  「ええーーー私はサダッチとおなじがいい。」

 

 【ナナ】(-_-;)

  「あなたの専攻科目はもともと集団艦隊戦術でしょ。」

  「それに、エグザクタは真台湾で破壊されてしまったじゃないの。」

 

 【サッチ】_| ̄|○

  「そ、そうだった・・・。」

 

 【ナナ】

  「会長はもっちゃんを支援してあげてほしいの。」

 

 【サッチ】(-_-;)

  「わかったわよ。」

 

 

 【ナナ】

  「2.戦闘鬼を使用したトーナメント格闘戦。」

  「会場は、東富士演習場となります。」

 

 【ナナ】

 「勝利条件は当然ながら、すべての対戦相手に勝利することです。」

 「戦闘不能になった時点で敗北となりますので、1回戦での勝利も重要ですが、次の対戦まで鬼のコンディションをいかに整えるか、メンテチームとの連携が重要な鍵となります。」

 

 【ナナ】

 「また我がチームだけでなく相手のチームも新型機を投入してくるので皆さん気合が入っています。」

 「なので、リーダーはサダッチにお願いします。」

 

 【ナナ】

  「貴女の冷静な判断力を頼りにしてるわ。」

 

 【サダッチ】

  「わかりました。」

  「引き受けましょう。」

 

 【ナナ】

  「副リーダーはジョージ、あなたにおまかせしますわ。」

 

 【ジョージ】

  「了解しましたわ。 任せて。」

 

 【ナナ】

  「顧問は、航空隊専任講師のみさ教官が担当してくださります。」

 

 【ナナ】

  「ただ、日本軍の総合火力演習の一部日程に特別参加させてもらってますので、夏休みの後半には静岡へ行ってもらいます。」

 

 【ジョージ】(-_-;)

  「夏休みが減るね。」

 

 【サダッチ】

  「経験値が得られるのであれば仕方ありませんわ。」

 

 【ナナ】

  「そして最後に、」

 

 【ナナ】

  「3.異種混合戦。」

  「生身と戦闘鬼との混成チームによるバトルロワイヤルですね。」

 

 【マリアン】(,,゚Д゚)

  「なんですか、それ。」

  「生身が戦闘鬼相手に戦うのはめちゃ不利じゃないの。」

 

 【サッチ】

  「あら、貴女、対抗戦は今回が初めてなのね。」

  「この異種混合戦は、敵襲により混乱した状況下で戦闘鬼と生身が共同で敵に対抗する事を想定した内容なの。」

 

 【サッチ】

  「私達猫族は生身でも猿族よりは、高い戦闘力を誇りますから。」

 

 【マリアン】(-o-;)

  「む・・・ちょっとムカつく・・・。」

 

 【ナナ】(^-^;

  「まぁまぁ・・・。」

  「さて、勝利条件は相手チームを全滅させるか降参に追い込む事。」

 

 【ナナ】

  「開催会場は、この大和盆地全域となります。」

  「山、川、平地、街、と様々なロケーションに用意された特設フィールドにて行われます。」

 

 【ナナ】

  「各校から選抜された4チームが各ロケーションにランダムで配置され、そこで勝利した4チームが最終ステージで戦う事になります。」

  「一番規模の大きなイベントで王室や艦隊関係者、または各国要人や企業関係者らも見学に来られます。」

 

 

 【ナナ】

  「リーダーはエルメスにお願いします。」

  「ロンメル家の実力をいかんなく発揮してくださるかしら ?」

 

 【エルメス】( ̄ー ̄)b

  「おやすい御用よ。 まかせてくださいな。」

 

 【ナナ】

  「副リーダーは私が担当致します。」

 

 【ナナ】(/ω\)

  「顧問は、マイダー・・・、もとい、東郷教官が担当してくださります。」

 

 

 【ナナ】( ̄ー ̄)b

  「ちなみに過去の当校の各カテゴリにおける最高順位は、準優勝よ。」

 

 【ミーシャ】ヽ(=´▽`=)ノ

  「ぉおおーーーすごい・・・。」

 

 【ナターシャ】ヽ(`д´;)ノ

  「ってか、参加するのは2校だけじゃないかっ!!」

 

 【ナナ】

 「大丈夫よ、今回は、シナ軍と統一朝鮮軍が混成部隊として特別参加します。」

 

 【サッチ】

  「準優勝も逃す事態だけは避けたいな・・・。」

 

 

 【ナナ】

  「各チームの詳細な編成は以下の通りよ。」

 

 ナノリンクにて詳細なチーム編成が配信された。

 

 【トレイシー】(゚д゚)!

  「あれ ?」

  「ケンジたちや、セッちゃんとかおみくじはリストに入っていないよ。」

  「なんで ?」

 

 【ナナ】

  「ケンジとマナブとコンブは、SU-57S-J(※4)のライセンス取得のために出張するのよ。」

 

 【ヘンリェッタ】

  「この前、ライセンスを取得したんじゃないの ?」

 

 【ケンジ】

  「航空機は機種ごとに異なるライセンスが必要なんだよ!」

 

 【ヘンリェッタ】

  「なんでそんなたくさん免許を集める必要があるのさ ?」

  「オタクなの ?」

 

 【ケンジ】

  「うるせーな!」

 

 【コンブ】

  「任務に応じたヒコーキが飛ばせれば、それだけミッションの幅が広がるんですよ。」

 

 【ヘンリェッタ】

  「へぇー、そういうものなの ?」

 

 【コンブ】

  「そういうものだよっ!!」

 

 【ナナ】

  「セッちゃんとオカちゃんの方は、近衛艦隊からの要請により外交任務として夏に出発するそうよ。」

 

 【アン】

  「艦隊勤務なの ?」

 

 【レイチェル】

  「すげーー。」

 

 【カンピオーニ】

  「いいなぁ。」

 

 【ルーシー】

  「どんな任務なの ?」

 

 【セッちゃん】(*´艸`*)

  「あははは、秘密任務なので内容は話せないのよ。 ごめんなさいね。」

 

 【ナナ】

  「おみくじとトミちゃんたちも、ペルシャ革命防衛隊のニールーイェ隊と共に、月面環境シミュレーターでの訓練に参加するのに手が一杯だわ。」

 

 

 【レオンハルト

  「おみくじたち変態カップルが不在なのは痛いな。」

  「結構な戦力ダウンだ。 どうしてもニールーイェ隊と一緒に訓練する必要があるのか ?」

 

 【バネット】

  「仕方ありませんわ。」

  「おみくじたちはペルシャ共和国の英雄ですからね。」

  「その英雄を慕って参戦してくださるのですから、その好意を受け止められるのはおみくじとトミちゃんだけよ。」

 

 

 

 【コハル】(^o^)

  「なんだか楽しそうね。」

  「私達も参加できないのかしら ?」

 

 【ナナ】

  「そう言うだろうと思って申請したら、異種混合戦でなら アッサリとOK がでたわ。」

  「まぁシナ軍と統一朝鮮軍がOKなのに、あなた達が NG というのはね。」

 

 【サッチ】

  「まぁ後は、あなた達を狙った組織が誰なのか、しっぽ出すかもしれませんしね。」

 

 【サダッチ】

  「どういった経緯で OK になったのか不透明な部分がありますので、警備は万全にしておきますわ。」

 

 【コハル】

  「本当に私が参加してもいいの ?」

 

 【ナナ】

  「もちろんよ。」

 

 

 【東郷】

  「しかし、今までなんで優勝できなかったんだ ?」

  「過去の卒業生や君たちを見ていれば十分に優勝できる資質はあると思うのだが ?」

 

 【もっちゃん】ヽ(`д´;)ノ

  「それは、前任の教官のせいよ。」

  「アイツが私達を正当に評価しなかったのでみんなやる気が無かったのよ。」

 

 【東郷】

  「今年は勝てそうか ?」

 

 【もっちゃん】

  「ま、まぁ私達としては東郷教官を認めた訳ではないのですが、そういつまでも添下にやられっぱなしというのもアレだし、そろそろ今までのお返しをきっちりと利息をつけて返しておかなきゃと思っただけですわ。」

 

 【東郷】(^-^;

  「ぁ、そう、あははは・・・。」

  「私としては勝ってくれればそれでいいや。」

 

 

 

 【フクちゃん】(・o・)

  「私からも連絡があります。」

 

 【東郷】

  「ぉ、そうだったな。」

 

 【フクちゃん】

  「一部の生徒にですが、新しい戦闘鬼が組み上がっていますので引き渡しを行います。」

 

 【レオンハルト】(*゚∀゚)

  「ぉおおおーーーいよいよか。」

 

 【フクちゃん】

  「ただ、まだ組み上がったばかりなので鬼の調教は各自で行って下さい。」

  「私は来週早々から関空での作業がありますので、細かな微調整は重工学部の部員に依頼してください。」

 

 【フクちゃん】

  「現在使用しているハヤブサは一旦バラして整備/再調整した上で、後輩たちに引き継ぎます。」

 

 【フクちゃん】

  「ぁ、コハルさんとコユキさんにもハヤブサを用意しましたので、あとでハンガーへ来て下さい。」

  「異種混合戦では、戦闘鬼を着装するか否かは貴女たちにお任せしますわ。」

 

 

 【コハル】

  「ぇ、ハヤブサ ?」

 

 【ナナ】

  「そう、戦闘鬼「隼」。」

 

 【コハル】( ・_・)

  「って何 ?」

 

 【ナナ】

  「対オロチ戦専用のバトルスーツというかアシストスーツみたいなものね。」

  「1対1で互角に戦えるといえば興味がわくかしら ?」

 

 【コハル】

  「"戦闘鬼" って、ときどき会話にでてくるワードですけれど、ソレ、本当なのかしら?」

  「私達アトラミス帝国どころかアンドロメダにすら存在しない発想のマシンのようですが、事実だとしたら、この銀河大戦の戦況がひっくり返りかねないわ。」

 

 【ナナ】

  「だから、貴女たちにこの戦闘鬼を知ってもらおうと思って、私が教官たちにお願いして用意してもらったのよ。」

 

 【コハル】

  「そう言えばターニャさんたちはハヤブサを着装しないのね ?」

 

 【ナナ】

  「ええ、彼女たちは未着装で出場するって。」

 

 【コハル】

  「そうなの ?」

  「じゃ私も未着装でいいわ。」

 

 【ナナ】

  「え!?」

 

 【コハル】( ̄へ ̄井)

  「でも、せっかく用意してくださったハヤブサですから、どんなのか試させていただきますわ。」

  「私をガッカリさせないでくださいね。」

 

 【ナナ】(^-^;

  「ええ。」

 

 

 

 

帯締学園 体育館(通称:屋内バトルフィールド)

 

 【まっちゃん】

  「これが、帯締学園、重工学部が開発した戦闘鬼ハヤブサです。」

  「正式名称は先進型機動甲冑(Advanced Mbile Powerprotect)、この星では通称AMPと呼ばれていますが私達は、これを陸戦型戦闘鬼、あるいは鬼式陸戦と呼称しています。」

 

 【まっちゃん】

  「オロチ人との近接格闘戦を想定し、体力的格差を補う目的で開発された動力アシスト型甲冑です。」

 

 【コハル】

  「しかし、オロチ人には飛行できる種族も存在するわ。」

  「どうやって対抗するの ?」

 

 【まっちゃん】

  「もちろん飛行型オロチ人が存在することは私達も古い文献にて把握しており、それに対応すべく飛行可能なユニットを開発中よ。」

 

 【コハル】

  「そうなんだ・・・しかし・・・このお顔・・・」

 

 【コハル】

  「ツノが生えてて、なんだかデータベースにあった、鬼のような恐ろしいお顔をしているのね。」

 

 【まっちゃん】

  「ああ、あのツノはブレードアンテナですよ。」

  「全体的なデザインは、"夜叉" がモチーフになっており、「見る者の心理的影響をも考慮して」設計しているのよ。」

 

 【ターニャ】

  「そのセリフ、どこかで聞き覚えが・・・。」

 

 【まっちゃん】

  「着装してみます ?」

 

 【コハル】

  「ぜひお願いしますわ。」

 

 【まっちゃん】

  「それでは生体認証を登録します。」

  「プローブが血液を採取しますから少しだけチクっとしますよ。」

 

 【コハル】

  「痛っ!!」

 

 【まっちゃん】(,,゚Д゚)

  「大丈夫ですか ?」

 

 【コハル】

  「す、少しだけ痛かったけれど、これくらい大丈夫よ。」

 

 【まっちゃん】

  「基礎データと経験値はすでに投入済みなので、普通に動かせると思います。」

 

 【コハル】

  「もう動けるの ?」

 

 【まっちゃん】

  「はい。」

 

 【まっちゃん】

  「ハッチを閉じますね。」

  「息苦しくなったら言ってくださいね。」

 

 【コハル】

  「わかったわ。」

 

 ハッチが閉じられてモニターに外の映像が映し出された。

 

 【まっちゃん】

  「今はモニター出力になっていますが、我々のナノマシンだと脳内に直接景色が投影され、あたかも自分が見た景色のように見えます。」

 

 【コハル】

  「へぇー。」

 

 【まっちゃん】

  「右手動かせますか ?」

 

 【コハル】

  「右手 ?」

 

 右手を軽く動かすと肉体が発する電気パルスをセンサーが読み取り、直ちに駆動力に変換されあたかも自分の腕のような振る舞いを見せた。

 AIは、犬族のマキリ人のパルス信号を読み取ると猿族や犬族との違いを検出して、リアルタイムで補正しつつ学習していった。

 

 【コハル】(-_-;)

  「不思議ね。」

  「なんだか、まるで自分の腕のようですわ。」

 

 【サッチ】(・o・)

  「・・・という事は、歩けるんじゃね?」

  「一歩踏み出せば ?」

 

 一同の予想に反して難なく足を前に踏み出すことに成功した。

 

 【まっちゃん】(,,゚Д゚)

  「これは驚いた。」

 

 【まっちゃん】

  「AIの支援があるとはいえ、転倒もしないで最初の一歩を踏み出すヒトなんてほとんどいないよ。」

  「彼女、思っている以上に適正が高いかも。」

 

 驚く帯締学園生徒たちを前に、歩いたり走ったりしてみせた。

 

 【まっちゃん】(^^ゞ

  「まいったなこりゃ・・・。」

 

 【サッチ】(^o^)

  「ナナ、アンタより腕がいいんじゃない ?」

 

 【ナナ】(-_-;)

  「う、うるさいわね。」

  「私達が初心者だった頃よりもAIが蓄積している学習量が膨大だからスタートアップが容易になっただけよ!」

 

 【サッチ】

  「負け惜しみかい。」

 

 【ナナ】(-_-;)

  「ふんっ!!」

 

 【東郷】

  「まぁまぁ、確かに初期の頃に比べれば蓄積されているデータが豊富になってるので最初の一歩を踏み出すのはナナの時と比べても、すごくラクになっていると思うよ。」

 

 【東郷】

  「でも、それは、ナナが何度も何度も転んだりつまづいたり、ある時はランニングしたりと苦労しながら大事に大事に調教して来たスキルの積み重ねなんだよ。」

 

 【ナナ】(*゚∀゚)

  「ぁ、東郷先生!」

  「いつからそこに。」

 

 【東郷】

  「いま来たところ。」

 

 

 【コハル】(^◇^)

  「これ、いいね。」

  「自分の体のように自由に動く。」

  「思っている以上に体に馴染むわ。」

 

 【東郷】

  「とは言え、想像以上の適応力だな。」

  「天才とはまさにこのことだな。」

 

 【ナナ】

  「彼女が天才 ?」

 

 【東郷】

  「そう天才。」

  「天才とは読んで時の如く、天から与えられた才能を指し、99%の才能と1%の努力で成り立つ。」

 

 【東郷】

  「アシストがあるにしろ最初からここまで自在に動かせるヤツはほとんどおるまい。」

  「この学園内でも数人程度だろうな。」

 

 

 【東郷】

   「対してナナは努力家だ。」

  「ナナはここ最近になってメキメキとスキルが上達しているが、お前の場合は、1%の才能しかなくても99%の必死の努力による賜物だ。」

 

 【ナナ】(-_-;)

  「なんだか褒められている感じがしないのは気のせいかしら?」

 

 【東郷】

  「褒めているんだよ。」

 

 【ナナ】(-_-;)

  「そ、そう ? それならいいんだけど・・・。」

 

 

 【東郷】

  「誰か模擬戦の相手をしてやれ。」

 

 【ナナ】(,,゚Д゚)

  「模擬戦って、大丈夫なのですか ?」

 

 【東郷】

  「大丈夫だろう。」

  「なにかあったら私が責任をとってやる。」

 

 【東郷】

  「やってみろ。」

  「どうせ、お前らも彼女の持つ力を見れるものなら見てみたいんだろ ?」

 

 【ナナ】

  「そりゃそうですけど・・・。」

 

 【東郷】

  「ノブちゃん相手をしてやれ。」

 

 【ノブちゃん】ヽ(;´Д`)ノ

  「えー私ですか ?」

 

 【東郷】

  「そうだ。」

 

 【東郷】

  「会計とはいえ生徒会だからな、お手本を見せてやれ。」

 

 【ノブちゃん】(-ε´-。)

  「ふぅ・・・解りました。」

 

 

 【まっちゃん】

  「さて、準備は如何ですか ?」

 

 【コハル】(^◇^)

  「私も準備はいいですわ。」

 

 【ノブちゃん】(ーー゛)

  「しかたありませんね。 軽くあしらってあげましょうか。」

 

 

 【まっちゃん】ヽ(=´▽`=)ノ

  「では、模擬戦!!」

  「はじめっ!!」

 

 【コハル】(`´)

  「さてと・・・この戦闘鬼の性能とやらを見せてもらいましょうか ?」

  「いくわよっ!!」

 

 

 

 

 

 

(※1).戦時星系債

 アンドロメダ陣営が戦争を遂行するのに必要な資金を得るために発行する戦時債権の名称。

 アンドロメダ軍は最近になってダイダロス(天の川銀河)軍に対して優勢に戦いを展開しており、

 今後の戦線拡大期待による軍事産業の活性化が期待されているために人気債権となって

 売買単価が高騰している。

 

 

(※2).ELINT

 電子戦を得意とする航空機で、敵の電子情報を収集したり逆に妨害するなどして混乱に陥れたり、

 味方の航空戦力の前衛に進出して味方機の驚異となる防空システム等が使用する電子システムを

 無力化する。

 

(※3).ソーティ

 航空打撃部隊の航空団単位で全力出撃できる1回の単位を1ソーティと呼ぶ。

 

(※4).SU-57S-J

 スホーイ社が開発した、SU-57の最終進化型のステルス機。

 型式名のSJの最初のSは、アトランティス艦隊所属機を意味し、

 最後のJは、日本軍用にカスタマイズされた事を意味する。

 →ケンジが以前に取得したライセンスは、SU-37から重戦闘爆撃機へ派生したSU-50用で、

 日本軍が配備しているSU-55と互換性があり、ケンジはSU-55の操縦もできる。

    -----------------------------------------------
  【1-9 *】 END
   -----------------------------------------------

 ■環境テロリスト
   登場人物

    -----------------------------------------------

 【東郷】

【ターニャ】

【ナターシャ】

【ミーシャ】

【ナナ】

【ナナの母】

【サダッチ】

【サッチ】

【もっちゃん】

【なるみ】

【アン】

【アルビータ】

【アグスティナ】

エルメス

【オカちゃん】

【おみくじ】

【カンピオーニ】

【キヨちゃん】

【ケンジ】

【コンブ】

【さえ】

【シャルロット】

【ジョージ】

【セッちゃん】

【トミちゃん】

【トレイシー】

【ノブちゃん】

【バネット】

【ヒデコ】

【フクちゃん】

【フランシーヌ】

【ブリジット】

【ヘンリェッタ】

【まっちゃん】

【マリアン】

【マナブ】

【ルーシー】

【レイチェル】

レオンハルト

【コハル】

コユキ

【マキリ人少女 A(コハル)】

【マキリ人少女 B(コユキ)】

【良子】

【ホログラム】

【風紀員長】

【風紀員A】

【風紀員B】

【学園長】

【工場長】

 

【女将さん】

【旅館支配人】

【組合長】

【組合理事】

【台湾大統領】

【旅館の爺さん】

【動画視聴者】

白バイ隊員

 

【アトラミス帝国:国王】

【側近A】

【側近B】

【側近C】

 

アメリカ空軍宇宙艦隊 司令官】

アメリカ太平洋艦隊 第七艦隊司令官】

 

【北米防空司令部 司令官】

エンタープライズ:艦長】

エンタープライズ:司令官】

アトランティス艦隊 連絡将校】

【艦長】

【作戦参謀】

【司令官】アメリカ艦隊

【操舵士】

【戦術士官A】

【戦術士官B】

【戦術士官C】

【戦術士官D】

【戦術士官E】

【シスターA】

【シスターB】

【シスターC】

 

 

アンドロメダ群体 第20216方面群体(首都防衛群体) 司令】

【アトラミス粛清群体 司令】

【対ダイダロス攻略群体 司令】

【対リヴァイアント防衛群体 司令】

【統括情報部 将校】

【司令官】アンドロメダ艦隊 ダイダロス追撃部隊

【掃討群体作戦オペレーターA】

【掃討群体作戦オペレーターB】

【掃討群体作戦オペレーターC】

 

 

 

【CIA極東支部長】

【CIA極東支部 エージェント A】

【CIA極東支部 エージェント B】

【CIA極東支部 エージェント C】

【ナイトストーカーズ 隊長】

【ナイトストーカーズ 隊員A】

【ナイトストーカーズ 隊員B】

【ナイトストーカーズ 隊員C】

 

【雷神隊 隊員A】

【雷神隊 隊長】

【雷神隊の皆さん】

 

【シーブルドッグ:ブーメランパイロット隊長A】

【シーブルドッグ:ブーメランパイロット隊員B】

【シーブルドッグ:ブーメランパイロット隊員C】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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