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アトランティスの亡霊

Ghost of Atlantis

【1-7-2】残党軍出撃!

残党軍出撃!

 【1-7-2】


    だいたい1週間後

    某所、護国大社

    【日本海軍 儀仗隊 分隊長】
        「祖国の為に命を捧げた英霊に敬礼っ!!」

    号令とともに英霊の故国であるシナ国歌と統一朝鮮国歌が流された。
    そして国歌が終わると、海軍阪神基地から呼び寄せた正装した1個分隊の儀仗隊による弔銃が整列し、礼砲を2発発射する。
    突然の銃声に驚いた鳩が空へ舞い上がる。
    礼砲が終わると、お祓いが始まり静かにアトランティスと日本との合同慰霊祭が執り行われた。

        ・アトランティス/日本側
            死傷者数:死者0名
            重傷者:1名
            負傷者数:12名
            その他一般市民:竹原市内にて避難途中で転倒し、骨折した初老の女性1名

        ・シナ軍/統一朝鮮軍
            死者数:推定1216名
            政治亡命:5名

    これが島風鹵獲作戦におけるすべての犠牲者だった。
    望んだ戦闘ではなかったが、数だけ見ればアトランティス大使館の擁する小さな学園の圧勝だった。


    【サッチ】
        「しかし、日本人ってどうして、ついこの前戦った相手を神社に祀ったりするの ?」
        「よくわからない不思議な民族ね。」
        「あの出雲で猛威を奮ったオロチをも祀っているんでしょ ?」

    【サダッチ】
        「日本人ってのは、基本的に死んだら生前の行いはチャラになるって宗教上の考えがあるんだ。」
        「ラグビーでいうところのノーサイドってやつね。」

    【セッちゃん】
        「戦いが終わったら敵も味方もなくお互いの健闘を讃え合うってアレの事 ?」

    【サダッチ】
        「日本人は太古の時代から、幾度と無く各地で戦乱が起きたそうよ。」
        「その歴史の中で多くの武将・・・ま、ようするに私達の文化でいう英雄ってやつ ?」
        「その英雄が死んだ時、日本各地には敵味方区別しないでその英霊を祀る神社や寺、あるいは石碑のようなものが沢山作られたらしいんだ。」


    【オカちゃん】
        「その人が生前に発揮した才能にあやかりたいと言う思いもあるようですね。」
        「敵味方関係なく、アイツすごいヤツだと認めたらカミとして祀る。」

    【まっちゃん】
        「日本人の良い所は、相手の良い所を素直に認めて、それを吸収しようと努力するところかしら。」
        「これは日本と隣国との工業力の差として顕著に示される結果になってるわ。」
        「相手を認めたくないからコピーに手を染める、形やスペックは似せられるけれど、結局のところは限界性能で大きな差となって現れる。」

    【サダッチ】
        「まぁ、そういう私達アトランティス人にも、そのような文化はないのだけれど、今回は、日本国内において犠牲者が出た以上は日本の慣例にしたがって、英霊の健闘を讃えようではないかと言う事になったんだって。」

    【フクちゃん】
        「しかし、本来なら東京の靖国大社に祀るんだけれど、先の対馬戦争で統一朝鮮軍巡航ミサイルの狙い撃ちにあって全壊。」
        「一時は復興を検討したらしいけれど、再度攻撃を受ける受ける可能性を考えた時、御霊を分散したほうが攻撃を受けた時の被害も減らせるだろうと考えて、復興は断念して御霊は全国に点在する出身地の護国大社に納められることになったんだとさ。」

    【まっちゃん】
        「で、先日の戦闘で我々がやっつけた兵士たちは、私達の学園にもっとも近所ににある、ここに祀られる事になったってことね。」

    【サッチ】
        「あーーあ。」
        「このへんの宗教的な文化って言うのはなかなか理解するのは難しいよね。」

    【レオンハルト
        「私達のようなキリストやイスラム教は、原則として他の神(宗教)が存在する事は許さないけれど、この国は、萬の神と言って万物に神が宿るって思想が太古から根付いていたから、他国の神や宗教が日本にやって来ても、フツーに受け入れてしまうんだね。」

    【アルビータ】
        「日本にとっては他国の神様なんて、萬の神々のうちの一人に過ぎないんでしょうね。」

    【エルメス
        「だが、そのおかで、日本はどの国の文化に対しても柔軟に対応できる性質を持っているんだよ。」
        「そして自国にそれを取り入れてさらに発展させる。」

    【サダッチ】
        「今でこそ対馬戦争後は日本の教育改革が行き届いて近代史から教育を受けますが、昭和、平成と呼ばれていた時代は、マニアしか喜ばない古代から教育して、明治になったら学期が終わって、ワザと近代史を教育させないようにしていましたからね。」
        「おかげで世界を知らないアホばかりを大量生産。」
        「その結果、世界を相手に貿易するのに世界中の反日運動が足を引っ張り、日本の国益を著しく損ねる直接的な結果を招いてしまった。」
        「歴史教育の重大さに気づいたのは、話し合いをすれば必ず相手もわかってくれると綺麗事を言って自己満足に浸っていてても、歴史を摺り込まれた挙句に道理も通じない相手にして実際に対馬戦争を戦ってみて、初めから交渉の余地なんて無かったんだと思い知った後の事。」

    【サッチ】
        「日本人って気づくのが遅すぎ。」

    【サダッチ】
        「しかし勤勉だからこそ、その失敗の歴史を正面から受け止め、現在の教育になった訳よ。」

    【ナナ】
        「まさに文明国のお手本のようなものね。」

    【サッチ】
        「しかし、無事に帰ってこれてよかったよ。」
        「でないと、今頃私達も一緒にあそこに祀られるところだったわよ。」

    【サダッチ】
        「そうね。」

    【ナナ】
        「でも、どうして、宇宙ドッグがあの宙域を航行していたの ?」
        「宇宙ドッグが通りかからなかったら、大気との摩擦でバーベキューにされていたわ。」

    【フクちゃん】
        「冥王星で建造していた大和級の一番艦をアトランティス要塞の奥深くに封印する為に運ぶ途中だったらしいよ。」

    【サッチ】
        「辺境の冥王星からやって来たの ?」

    【フクちゃん】
        「地球周辺であんな巨大な戦艦を建造していたら迷彩していても何かの拍子に目撃されてしまいますからね。」

    【サダッチ】
        「それより、封印って何か問題でも ?」

    【フクちゃん】
        「支援AIをインストールしたんだが、これが失敗の原因さ。」
        「退役した戦艦三笠に搭載されていた AI を移植して、各装備や機器との認証手続きまでは成功したんだけれど、いざ試運転しようとしたら一切のコマンドを受け付けずに、断固命令拒否。」
            「アドミラルを呼べ・・・」の一点張り。」
        「AIが艦の全システムを乗っ取った挙句に引きこもってしまったので、もうどないもこないも動かせなくなってしまって。」
        「・・・で仕方なく、武器システムも含めてまるごと封印する事にしたのさ。」

    【サッチ】
        「どうして、そんなに事情に詳しいの ?」

    【フクちゃん】
        「大和型の設計は私も参画しましたからね。」
        「なので、あのプロジェクトには仲間がいるんだ。」
        「たしか今の時期、曳航されてくるって聞いてたので、ダメもとで秘匿回線で呼びかけたらビンゴっ!だったって訳さ。」

    【ナナ】
        「しかし、大和の設計に関わったフクちゃんがいたから私たちは助けられたのであって、フクちゃんがいなければ、きっと、私達をわざわざ助けに来る事はなかったわよ。」
        「ありがとう、助かったわ。」

    【フクちゃん】
        「いぇ、私なんか代わりはいくらでも居ますよ。」
        「助けられた理由は皆さんが優秀な幹部候補生だからですよ。」

    【サダッチ】
        「あら、お世辞も上手になっちゃって。」

    【ナナ】
        「しかし、トラブルって言うのは、何か設計上のミスでもあったのかな ?」

    【フクちゃん】
        「ぅーーん。 他の武蔵や信濃とか4隻の姉妹艦については問題が出ていないんだよ。」

    【サッチ】
        「ぇ!? あのタイプのフネが、あと4隻もあるんだ。」

    【フクちゃん】
        「そうだよ。」
        「この銀河で最大級を誇る最新鋭の戦艦で、DBにはすでに艦名がエントリーされているけれど、詳細な諸元についてはかなり上級の権限でないと開示されない程の極秘プロジェクトなんだ。」
        「まぁ量産するつもりだったけれど戦局の悪化で建造は5隻の試作のみで終わったけどね。」
        「しかも一番艦の大和が引きこもりになってしまったので、大金をかけて建造したものの、いざ戦闘になったら使い物にならないって事になればシャレになりませんからね。」
        「それが理由でプロジェクトが打ち切られたって感じ。」

    【まっちゃん】
        「でも、だからと言ってこの前見たあの大和については誰にも喋ったらダメですよ。」

    【サッチ】
        「喋ったらどうなるの ?」

    【まっちゃん】
        「司法警察がやって来て、もう次の日から学校には出て来ることはないかも。」

    【サッチ】
        「ひぃえええええ怖ぁぁぁぁぁぁ。」

    【ナナ】
        「それはそうと、投降してきた戦闘機のパイロットたちはどうなったの ?」

    【ケンジ】
        「ああ、あいつらのことか ?」
        「ってか、なんで急に話をコッチに振るんだよテメー。」

    【マナブ】
        「いったん小松に運ばれて尋問を受けた際、パイロットの方から政治亡命の申し出があったんだよ。」
        「シナ外交部の方から水面下で機体とパイロットの返還要求がきているけれど
            パイロットの生命の安全が保証できないとの理由で拒否したらしいぜ。」
        「ただ日本としても面倒な事はできれば避けたいので、パイロットの受け入れをアトランティス側に
            求めたってわけさ。」

    【さえ】
        「こら、ソコっ!!」
        「催事の最中に私語とはいい度胸しているな。」


    【ナナ】【サダッチ】【セッちゃん】【フクちゃん】【まっちゃん】【レオンハルト
    【アルビータ】【エルメス】【オカちゃん】【ケンジ】【マナブ】
        「はっはい。」
        「すいません・・・。」


    【ケンジ】
        「ってっか、サッチが最初にしゃべり始めたんだろっ!」
        「なんで、シレっと自分じゃないフリしてんだよっ# !!」

    【みさ】
        「こらケンジっ!」

    【ケンジ】_| ̄|○
        「スンマセン・・・。」


    小一時間を超える長い催事は、いくら軍人とはいえ、まだ子供同然の生徒たちにとっては退屈で仕方なかった。
    慰霊祭から開放されるとそのうっぷんを晴らすように周囲は一気に賑やかになった。


    【さえ】
        「それはそうと、対抗戦のチーム分けは決まったの ?」

    【ナナ】
        「そうなのよ。」
        「考えようと思っていたら、島風の引取り任務が発生して、一日で帰ってくる予定だと聞いたので余裕ぶっこいで出撃したら、気がついたらアトランティス司法警察の調書を取らされて、一昨日の帰還・・・。」
        「考える間も無かったわよ。」

    【さえ】
        「その事を慰霊祭の最中に考えていたのね。」

    【ナナ】
        「アタリ♪」

    【さえ】
        「私なんか、もうずっとアイスのことしか頭になかったよぉ。」

    【ナナ】
        「たしか、帰ったら寮の冷蔵庫にアイスがあったわね。」

    【さえ】
        「ぁ、そうだった♪」
        「帰ったら食べましょう。」

    【ナナ】
        「そうね。」

    対抗戦とは毎年夏に開催される添下学園との対抗試合の事で、お互いの戦闘技術のレベルを確認しあう事を目的としている。
    民間人を傷つけたりしない為、各自のナノスキルは街の中での使用は厳しく制限されている。
    普段は両校との交流が無いため、自分たちがどの程度の能力保持者なのかなかなか現実味が沸かないが、この対抗戦により、各自のナノスキルのレベルを実際に確認する事が出来る唯一のイベントとなっている。

    試合は大きく別けて、2つあり、
    1つは、艦隊シミュレーターによる、艦隊運用技能試合で、
    もうひとつは、近接格闘技能試合である。
    残念ながら、ケンジたちが得意とする、航空格闘戦をテーマにした試合は存在しない。
    これは企画/運営している添下学園には航空機に関する課程が存在しない為だった。

    艦隊運用技能試合は、以前に添下学園と訓練した時と同様に、1人に宇宙艦を1隻割り当てられ、それで艦隊を編成して、相手の旗艦を先に沈めた方が勝利としている。
    基本的なルールは前やった試合に準拠する。
    協賛企業にアトランティス艦艇のメインテナンスや改修を行う企業がついている為、操縦システムは自由にカスタマイズする事が許されている。
    しかし潤沢な資金で最新の操縦システムを装備してくる添下学園に対して、帯締学園は予算の関係上、ノーマルの操縦システムのまま使用しており、これが模擬戦での優劣に直結してしまっている。


    そして、近接格闘技能試合とは、AMPと呼ばれる陸戦型戦闘鬼を含めた40(うちAMP5機)対40(うちAMP5機)の集団格闘戦が行われる。
    これは、AMPそのものの戦闘力をオロチに見立てる事でオロチvs生身、あるいはオロチvsAMPとの戦闘を想定した実践的なメニューとなっている。

    また、一鬼打ち戦では、5名編成のAMPにて、1vs1での単独格闘戦が行われ、相手のすべてのAMPを倒す事で勝敗を決する。

    各自のスキルはポイント化され、倒した相手のポイントが計上される事で試合の順位が決定する。
    AMPにしても、予算の限られた帯締学園は、ハヤブサで添下学園に挑むが、軍事企業がメインスポンサーとなっている添下学園は毎年、最新鋭の試作AMPを繰り出し、ハヤブサを圧倒している。
    この対抗戦は、添下学園のスポンサーにとっても、データを採取し、アトランティス艦隊へ技術を売り込むための重要なイベントでもあった。
    その為に、貧乏学園にはお金があれば勝てる・・・と言う感じの不利なルールとなっており、事実、帯締学園は添下学園に勝利した事は一度もない。


    【サッチ】
        「今年こそは勝てるといいね。」

    【ナナ】
        「そうね。」

    【サッチ】
        「毎年タイトルが一つも取れなくて悔しい思いしてますものね。」

    【ナナ】
        「それは言わないで。」
        「原因は判っているから。」

    【サッチ】
        「今年はナナが主将を務めるんでしょう ?」

    【ナナ】
        「ええ、クラス委員長になった以上はクラスを率いらないと。」
        「にしても、チーム編成悩むなぁ。」

    【サダッチ】
        「個々の技術は高いけれど、集団行動が弱いから、チーム戦ではなかなか成績収められませんよね。」
        「落ちこぼればかりを寄せ集めた愚連隊に団体戦を期待するのは無謀かもね。」

    【サッチ】(-_-;)
        「頭の痛い問題ね。」

    【サダッチ】
        「まぁそもそもこのイベントは添下学園が、自分の生徒の優秀さを PR する為のような大会ですから、ルールが我々には不利なんですよ。」

    【サッチ】
        「お金持ちの道楽・・・みたいなものね。」

    【ナナ】
        「そういえば、たしか近々、受け入れに難色を示す日本政府にゴリ押ししてまで派遣してくるシナと統一朝鮮の留学生達もこのイベントには参加させろと言ってきているとか ?」
        「生徒会は何か聞いてるの ?」

    【サッチ】
        「ぃえ、私達もコレと言った情報は持っていないわ。」
        「まぁあの2カ国も、添下学園のスポンサー企業さまも、お互いの情報を収集するにはいい機会と思っているのでは ?」
        「なんか面倒なことになりそうな予感しかしないんですけどね。」

    【サダッチ】
        「本来、シナと統一朝鮮は、添下学園への留学を希望していたらしいのだけれど、さすがに企業の最新技術を使用した AMP とか、艦隊装備とかをみすみす盗まれるような事はしたくないので、コッチに振ったって話よ。」

    【サッチ】
        「でも、実力は知りたいから、大会には参加させてあげるって事ね。 きっと。」
        「都合のいい話ね。」

    【ナナ】
        「私たちが得するようなことは一個もないじゃないのよ。」




    学生寮

    【ナナ】(*´ω`*)
        「ただいまぁ。」
        早く着替えましょ。

    【セッちゃん】
        「あとでクリーニングしてあげるから、畳んで更衣室に置いといて。」

    【ナナ】
        「ぅん。」
        「ありがとう。」

    【ナナ】
        「そうだ、汗かいたから着替える前にシャワーでもしようかなぁ。」
    
    はなうた混じりの上機嫌でバスルームのドアを勢い良く開けた。

    【不審者】(・o・)
        「ぁ、」

    【ナナ】(・o・)
        「へっ!?」

    裸の不審者と鉢合わせになった。

    【ナナ】ヽ(`Д´#)ノ
        「きゃーーー変態ぃぃぃ!!」

    ドア付近は狭いため、回し蹴りではなく、かかと落としで不審者を KO した。

    【ナナ】
        「さあ、捕まえたわよ。」
        「この痴漢野郎め。」

        「司法警察に付き出してやるからね。」

    と気絶した男の顔を確認すると、真っ青になった。

    【ナナ】(,,゚Д゚)
        「と、と、東郷 ?」
        「なんで、アンタがこの時間にお風呂にいるのよ・・・。」
        ぁ、そうだった、この人、怪我で療養中だったんだ・・・。
        すっかり忘れていたわ。

    【ナナ】
        騒ぎを聞きつけて、他の子達が来るわ。
        とにかく気絶した東郷をなんとかしないと。

    【ナナ】
        「そうだ、部屋につれていこう。」
        自分のベッドに寝かせれば、最初からそこに寝ていたことに出来るわ。
        今見た私の裸も夢だった事に出来る。
        よし、運び出そう。
        とりあえずパジャマを着せるのは部屋についてからね。

    しかし、大人一人を運ぶのは容易ではなかった。
    よく相手の片腕を自分の首にまわす、いわゆる肩に担ぐシーンを見かけるが、
    実際にやってみると不可能だという事が判った。

    【ナナ】
        「あれって、相手も歩いてくれなきゃ無理じゃないの。」

    【ナナ】(-_-;)
        ぅーーーん。

    考えた末、単純な方法を思いついた。

    【ナナ】
        「なーんだ、最初から、おんぶすれば良かったのよ。」

    東郷を一度座らせると、両腕を自分の背後から抱きつかせるような形で背負うことに成功した。

    【ナナ】(*´Д`)ハァハァ
        「ぁ、おしりのあたりになんかへんな感触が。」
        ここここ、これが東郷の ???

    【ナナ】
        ぃやぃやぃや、ここで男の感触を堪能している場合ではない、誰かが来る前に
        はやくコイツを部屋につれていかなければ。

    ナナのおしりの谷間にちょうどよくそのやわらかいモノが収まってくれたおかげで、とりあえず横滑りは防止できそうだった。

    そーーーと、更衣室から廊下に出ると、東郷の部屋を目指した。

    【ナターシャ】(・o・)
        「何やってるの ?」

    【ナナ】(゚д゚)!
        「ひぃーーーーーーっ!!!」

    【ターニャ】
        「ぁ、パパ。」

    【ナナ】
        「なんでアンタたちがココにいるのよっ!!」
            しまった、この子たちもいたことを忘れていたわ。

    【ナターシャ】
        「それはコッチのセリフよ。」
        「なんでナナが裸で裸の東郷をおぶってるのよ。」

    【ナナ】
        「そそそ、それはちょっとした事情というものがあって・・・。」

    【ナターシャ】
        「裸になる事情とはなんなのよ。」

    【ターニャ】(・o・)
        「パパを襲う気だ。」

    【ミーシャ】(,,゚Д゚)
        「そ、そうなの !?」

    【ナナ】(ノ`Д´)ノ
        「ばっ馬鹿言わないでよっ!!」
        「そんなワケあるワケないじゃないのよ。」

    【ナターシャ】
        「じゃ、どうして気絶した裸の東郷を運んでいるのよ。」
        「自分の部屋に連れ込もうとしたんしゃないの ???」

    【ナナ】
        「そ、そんな、わ、わ、私の部屋に運んで、と、と、東郷に何しようと言うのよ。」

    【ターニャ】(・o・)
        「セック●。」

    【ナナ】ヽ(`Д´#)ノ ムキー!!
        「ばっばっ馬鹿じゃないのっ!?」
        「そんな破廉恥な事するワケないじゃないのよ。」
        「まったくこのマセ餓鬼どもがっ!!」

    【ナターシャ】
        「じゃ、どうして動揺しているの ?」

    【ナナ】
        「ど、動揺 ?  この私が動揺ですって !?」
        「ほほほほっ、そんなわけないじゃないのよ。」
        「まったくおバカさんね。 この子たちったら。」

    【ミーシャ】
        「ぁ、気がついた。」

    【ナナ】(・o・)
        「へっ!?」

    騒々しさで、東郷は意識を取り戻しつつあった。

    【ナナ】
        しまった、早く部屋に運ばないと目覚めてしま・・・ぇっ!?

    ナナは自分の両方の胸を掴まれる感触を覚えた。

    【ナナ】(*´Д`)ハァハァ
        まっまさか目覚めた !?
        「ちょっ、ちょっとどこ揉んでるのよっ!!」


    そしておしりに挟まっていた柔らかいモノが次第に硬くなっていくのを感じた。

    【ナナ】(ノ`Д´)ノ
        「ひぃぃぃぃぃぃぃーー。」
        「ちょっとどこ硬くしているのよっ!!」
        「この変態っ!!」

    条件反射的に背負っていた東郷を振り払うと、顔面にパンチとをお見舞いして再び夢の中へ送り返した。

    【ミーシャ】
        「ぁーーーあ。」

    【ナターシャ】
        「しーらないっと。」
        「しかし、気絶しても立つものは立つんだね。」

    【ナナ】ヽ(`д´;)ノ
        「こらぁ、ナターシャっ!!  何を間近で観察しているのよ。」

    【ターニャ】
        「これ、ドクン、ドクンって生き物みたい。 ・・・なんだか熱い♪」

    【ナナ】ヽ(`Д´#)ノ ムキー!!
        「ん? ターニャは何してるのかな ?」
        「きゃーーーーターニャの馬鹿ぁぁぁぁ。」
        「そんな不潔なモノを握るなァァァァァーーーー。」


    その日の夕食。

    【サッチ】
        「久しぶりの家庭料理ね。」
        「せっちゃん張り切っちゃって、今日は豪華ね。」

    【セッちゃん】
        「それ私ではないわ。」

    【サダッチ】
        「ぇ、誰が作ったの。」

    【涼花】
        「はじめまして、私、涼花・ロマノフと申します。」
        「皆様がご不在の間、私が姫さま・・・ぃえ、お嬢様のお食事の世話をさせて頂く為に、ウラジオストクのお屋敷から派遣されて参りました。」
        「以後、お見知りおきを。」

    【ナターシャ】
        「せっちゃんが不在の間、だれも食事つくる人がいないから、ロシアから呼び寄せたのよ。」

    【サッチ】
        「ぁ、そうなんだ・・・。」

    【涼花】
        「あら、今日は東郷さまはまだお見えになられていませんね。」
        「まだお部屋でしょうか ?」
        「私がお呼びに参りましょうか ?」

    【ナナ】
        「ぇっ!?」
        「あ、ああ、東郷はいいのよ。」
        「疲れているみたいでぐっすりと寝ていたわ。」
        「起こしちゃ悪いから、もうすこし寝かせてあげましょうね。」
        「あははは、あははは。」

    【ナターシャ】
        「ふんっ」
        「馬っ鹿じゃないの。」

    【ナナ】
        「なっ何よ、アンタたちが驚かせるのが悪いんじゃないのよ。」

    【ナターシャ】
        「私たちのせい ?」
        「私達のせいになってるの ?」
        「そもそも、ナナが東郷をノックアウトしなければああはならなかったのよ。」

    【ナナ】
        「ぇ、ええまぁ、そう言う見方もあるわね。」

    【ナターシャ】
        「それ以外の見方はないでしょっ!」

    【涼花】
        「なに、ヒソヒソとお話をされているので ?」

    【ナナ】
        「ぁああ、いいえ、なんでもございません。」

    【ナナ】
        「それより、豪華な料理ですね。」

    【涼花】
        「ええ、本日は皆様がお戻りなられると言うことなので、腕を振るってみましたわ。」

    【ナナ】
        「で、涼花・ロマノフさん・・・と呼べばいいのかしら。」

    【涼花】
        「リョーカとお呼びください。」

    【ナナ】
        「貴女はいつロシアに戻るの ?」

    【涼花】
        「それが、まだ決まっておりませんの。」

    【ナナ】
        「どうして ?」

    【涼花】
        「無期限出張ということで、しばらく姫、ぁ、いえ、お嬢様の世話をするようにと司令を受けて来日致しましたの。」
        「そう言うわけでして、しばらくこの寮におじゃまさせていただく事になりました。」
        「よろしくお願いいたします。」

    【サッチ】
        「部外者がこの寮に泊まるってのはアリなのかなぁ ???」

    【サダッチ】
        「学園長が許可したんだから、生徒会とはいえ私達に拒否できる権限はない。」

    【サダッチ】
        「しかし、せっちゃんの料理も美味しいけれど、涼花もなかなかのものね。」

    【涼花】
        「お褒めに頂き光栄ですわ。」

    【サッチ】
        「そういえば、アイス食べようと思ってたのをすっかり忘れていたわ。」
        「食後のデザートはアイスにしようかな。」

    【涼花】
        「アイス ? ですか ?」
        「たしかアイスは、ナターシャ様とターニャ様が、昨日最後の2個を食べておられましたけれど。」
        「もう残っていないかと・・・。」

    【ナナ】
        「ぇえええーーーちょっとアンタ、なに勝手に人のものを食べてるのよっ!!」

    【ナターシャ】
        「何って何よっ!」
        「アイス残したまま、出かける方が悪いんじゃないのよ。」
        「もし戦死していたら、アイスは永久に冷凍庫に残ることになるのよっ!」
        「そうならないように事前に手をうった私たちに感謝すべきでなくって ?」

    【ナナ】
        「それどう言う意味よっ!」
        「ちゃんと戻ってきたわよ。」

    【ナターシャ】
        「それは結果論でしょ。」

    【ナナ】
        「結果論 ?」
        なんか結果論の言葉の使い方を間違ってる気がするのは気のせい ???

    【涼花】
        「ささ、お風呂湧いてますから、お食事が済まわれましたら、皆さん順番に頂いてくださいね。」
        「東郷さまは最初に入るようにお勧めしたのですが、湯冷めしてないかしら ?」
        「あとでちょっと様子を見てみますね。」

    【ナナ】
        「ぁっ! ああ、東郷は、あとで私が面倒見ておきますから、涼花は休んでで下さい。」

    【涼花】
        「そうなのですか ?」
        「では、東郷さまは、ナナさまにお任せ致しますわね。」

    【涼花】( ̄ー ̄)b
        「ぁ、東郷さまの部屋に行かれるときは、これをお忘れなく・・・。」
        「必要なモノでしょ ?」

    【ナナ】(・o・)
        「ぇっ!?」

    そっと手渡されたモノを見て赤面した。

    【ナナ】(゚д゚)!
        「ちょっちょっ、何よコレ。」

    【涼花】(・o・)
        「コンドーム。 」

    【ナナ】(ノ`Д´)ノ彡
        「ひぃぃぃぃぃぃぃーー。」
        「その不潔な単語を平気で口走っちゃダメっ!」
        「何考えてるのよっ!!」
        「それに、こんなの使わないわよっ!!」
        「入れ知恵したのは、誰っ!?」


    【涼花】(・o・)
        「ぇっ!?」
        「ナナさまは、コンドームを使わないのですか ?」

    【ナナ】ヽ(`Д´#)ノ ムキー!!
        「当たり前でしょっ!」
        「何故、私がこんなものを使わなければならないのよっ!!」

    【涼花】m(_ _)m
        「そうだったのですか・・・。」
        「そういう事情を存じもせず、大変失礼致しました。」
        「今度、赤ちゃんがお生まれになった時には、是非私にも赤ちゃんを抱かせてくださいね。」

    【ナナ】(・o・)
        「ぇっ赤ちゃん、何のこと ?」

    しばらく意味が理解できなかったが、会話の内容を脳内でプレイバックして、
    ようやく涼花が壮大な勘違いをしている事に気が付いた。

    【ナナ】
        「ぃ、いや、そのこれはそういう意味ではなくてですね。」
        ぅぅ、疲れた・・・強敵が現れたぞ。


    翌日の朝

    リビングでは久しぶりにいつものメンバーが集まって朝食をとっていた。

    【涼花】
        「あら、東郷さま、おはようございます。」

    「ぇっ!?」
    一同は驚いて振り返ると、東郷がリビングの入り口で立っていた。

    【東郷】
        「ああ、おはようさん。」

    【涼花】
        「もうお体のほうはよろしいのですか ?」
        「ナナさんが、昨夜は東郷様さまは疲れておられると・・・。」

    【東郷】
        「ぇっ!?」
        「ぁそう?」
        「私はこの通り元気だよ。」
        「なんとか、不時着した時に負傷した部分はほぼ回復したけれど、なんか今日目覚めたら、昨日までなんともなかった首が痛くて・・・。」
        「ぃやぁ、昨夜はまっぱの女の子にかかと落としれさて、さらに顔面パンチされた夢を見ちゃったよ。」

    【サッチ】
        「いったいどんな夢を見てたんですか。」

    【東郷】(*´Д`*)
        「ぃやはや、私もあんまり良く覚えてなくて、」
        「なんか女の子の股間の部分しか脳裏に鮮明に残ってないんだよ。」

    【サッチ】┐(´д`)┌ヤレヤレ
        「ぃゃー教官ったら朝からえっちー。」
        「そんな女の子いるワケないでしょ。」

    【サダッチ】(*´艸`*)
        「ずっと寝たきりだったから、欲求が溜まっているのね。」
        「可哀想な東郷。」

    【セッちゃん】
        「私が癒やしてあげましょうか ?」

    【東郷】
        「ん? どうしたのナナ?  顔を真っ赤にして。」
        「熱でもあるのか ?」

    【ナナ】
        「ぁ、いいえ、私は大丈夫です。」

    【東郷】
        「そうなのか ? 無理するなよ。」

    【ナターシャ】
        「ふん、ばーか。」

    【東郷】
        「今日は私も久しぶりに出勤するから宜しくな。」


    【サダッチ】
        「もう動きまわってよろしいのですか ?」


    【東郷】
        「ゆっくり休みたいのはヤマヤマなのだけれど、そうも言っていられない状況でね。」

    【セッちゃん】
        「私がみたところ、ほとんど問題がなさそうに見えますわね。」
        「たぶん大丈夫ではないかと思いますわ。」


    【東郷】
        「そうそう、」
        「セッちゃんには広島へ行く前に連絡して了解をもらっているのだけれど、しばらく彼女はオカちゃんと共に、とあるミッションに参加する為、地球を離れることになる。」

    【ナナ】
        「そうなんだ。」
        「いつ ?」

    【東郷】
        「まだ正確な出発日は決まっていないけれど、そう遠くない時期になるだろう。」
        「セッちゃんたちは最新鋭の巡洋艦、衣笠に乗艦して特殊任務についてもらう。」
        「まぁこれは近衛艦隊からの指名なので学園としては断れなくってさ。」
        「その衣笠は艤装を終えたばかり新品で、今は公式試運転の為、太陽系を離れているそうな。」
        「その艦がアトランティスに戻り次第、任務に出発と言うことになる。」

    【ナナ】
        「でも、そうなると、この寮の食事はいったい誰が ?」

    【東郷】
        「ああ、その事なのだが・・・。」
        「君たちが広島行ってドンパチやってる間に、この涼花さんがやって来たので、事情を聞くと彼女はカラシニコフ姉妹の従女で、当面の世話に来たというので、せっかくなので、セッちゃんが留守の間の寮を面倒見てもらおうかとお願いしたのだよ。」
        「ダメもとだったけれど、快諾いただいて助かりましたよ。」

    【涼花】
        「いぇ、お安い御用です。」
        「ウラジオストクのお屋敷とくらべて、そんなに広くはありませんから、"この程度" の屋敷は私一人で十分です。」

    【ナナ】
        「ぁ、そう、この程度ね・・・。」

    【セッちゃん】
        「涼花さん。」

    【涼花】
        「はい、なんでしょうか ?」

    【セッちゃん】
        「すこし、ご相談があるのですが・・・。」

    【涼花】
        「東郷に抱かれる方法かしら?」

    【ナナ】
        な、なんですとっ!!!
    飲んでいた紅茶を吹き出したのはナナだった。

    【セッちゃん】
        「ぃえ、私にレシピを教えて下さい。」

    【涼花】
        「レシピですか ?」

    【セッちゃん】
        「はい。」

    【ナナ】
        「船にはコックさんとかも乗艦しているのではないの ?」

    【涼花】(・o・)
        「コックさんも乗るのですか ?」
        「毎晩ヒーヒー言わされるのですね。」

    【セッちゃん】( ..)ヾ    
        「ぃえ、そのコックさんではなくて・・・。」
        「調理師さんの事です。」
    と赤面しながら返した。

    【ナナ】(・o・)
        「ぇっ!?」
        「コックさんって何が問題でも ?」

    【サッチ】
        「ぁ、あのセッちゃんが珍しくボケに突っ込んだけれど、さすがに、ナナはついて行けてないか・・・_| ̄|○

    【サダッチ】
        「ぃえ、いいとこ育ちのお嬢様には関係のない会話です。」

    【ナナ】
        「ぇえーーーちょっとどういう意味よっ!!」
        「私にも教えてよぉォォっ!!」

    【サッチ】
        「アンタは昨日、東郷のモノを真近くで嗅いだり触ったりしたんでしょ ?」

    【ナナ】(・o・)
        「ぇ!? 何の話し ?」

    【サダッチ】
        「あれ、ナターシャの情報はデマ ?」

    ナナは瞬時に理解した。

    【ナナ】(,,゚Д゚)
        「ひぃぃぃぃ」
        「違うっ、私は、あんまり見てないよ。」

    【サッチ】
        「あんまり ?」

    【ナナ】
        「はぅぅ・・・。」
        くっ絶体絶命か・・・。

    【ナナ】ヽ(`Д´#)ノ ムキー!!
        「ナターシャがバラしたのねっ!!」
        「こらっ!」
        「ナター・・・」ぁ、居ないっ!!

    【東郷】
        「私がどうかしたのか ?」

    【ナナ】(´ε` )
        「ぁ、ぃえ、なんでもないですわ。」
        「あははは、あははは。」

    【セッちゃん】
        「たしかに、船にもコックさんはいるでしょうけれど、長旅になるとお聞きしていますので、私もお料理を作って、兵士たちの長旅をサポートできればと思っていますの。」
        「その為に、お料理が上手な涼花さんにレシピを教えてい頂きたくて・・・。」
        「その、いろいろとお料理詳しそうですから。」

    【涼花】
        「浅野さんでしたね?」

    【セッちゃん】
        「セッちゃん・・・でいいですわ。」
        「みなさんそう呼んでいるし。」

    【涼花】
        「判りました。」
        「セッちゃんは十分にお料理上手だと、お嬢様たちからお聞きしておりますわ。」

    【セッちゃん】
        「今回の航海で積み込まれる食材の一覧をご覧になられますか ?」

    【涼花】
        「食材とはいえ、軍事物資でしょ ?」
        「私が見てもいいの ?」

    【セッちゃん】
        「すでに艦長と料理長の許可は頂いております。」

    【涼花】
        「判りました。」
        「ではナノリンクで転送してくれますでしょうか ?」

    およそ1年の長旅を想定した食材のリストが瞬時に涼花に共有された。

    【セッちゃん】
        「これらの食材の中で、コレと、コレ、それから、この食材の活用法が
            分からないんですよ。」
        「この国では手に入らない野菜なので、調理したことがなくて・・・。」

    【涼花】
        「なるほどね。」
        「データとして知識はあっても、実際に作る経験が不足しているのね。」
        「たしかにレシピのデータだけで、ある程度の味は再現はできるけれど、その時々の環境、つまり宇宙船でいえば空調と言うのかしら ?」
        「それに、お客様の体調によっては、味覚が全く変わってきますので臨機応変に調理を微調整する必要があるわね。」
        「しかしスキルはデータ化されていませんから、実際に作って感覚を覚えるしか無いのは事実・・・。」

        「判りましたわ。」
        「出発までに、お屋敷に伝わるいくつかのレシピをお教え致しますわ。」
        「お嬢様が美味しいと言ったら合格ということでいいかしら ?」

    【セッちゃん】
        「ぇっ!?」
        「ホントですか?」
        「ありがとうございます。」

    【涼花】
        「では、今晩から特訓ね。」

    【セッちゃん】
        「はいっ♪」
        「よろしくお願いします。」



    数時間後の学園長室

    【学園長】
        「彼女たちには ?」

    【東郷】
        「ええ、もう伝えてあります。」

    【東郷】
        「しかしだ。」
        「マゼラン付近には、アンドロメダ艦隊が張り付いてるというではないか ?」
        「本当に無事にマゼランにたどり着けるのかね ?」

    【学園長】
        「近衛艦隊は、その為に衣笠を前倒しに就航させたのでしょう。」

    【東郷】
        「重力探査をかいくぐる為、ネガティブグラヴィティジェネレーターを使用しないで亜光速ドライブ24時間の連続加速で光速にまで到達出来る健脚を発揮できるのは衣笠だけですからね。」
        「でもリスクは大きいですね。」

    【学園長】
        「無事にマゼラン側のエージェントと接触して彼の生存を確認できれば、そして、もし連れ帰ることができれば、ダイダロス銀河での劣勢をひっくり返せる可能性が出てきます。」
        「しかし、何故、カラシニコフ姉妹ではなくて ?」

    【東郷】
        「そりゃまぁ彼女たちが直接行ったほうが説得力はあるだろうけれど、護衛もなく単艦でマゼランに乗り込む衣笠にカラシニコフ姉妹を乗せるのは、ちょっとリスクが大きいよ。」
        「なるほど、だから、外交官家系である岡本さんと浅野さんの両名に行ってもらうことになったわけね。」
        「まぁ彼女たちの家系もアトランティス代々の名門ですからね。」
        「近衛艦隊としても名門の名前を利用してでも説得する構えなんでしょう。」

    【学園長】
        「その目のところのアザはどうしたの ?」

    【東郷】
        「ぇ? ああ、これですか ?」
        「今朝起きたら、こうなってて。」

    【東郷】
        「どうしてなんでしょうね。」
        「ベッドから落ちたのでしょうか ?」

    【東郷】
        「ところで、学園長。」

    【学園長】
        「なんです ?」

    【東郷】
        「あの校門前の女性たちは ?」

    【学園長】
        「統一朝鮮からやって来た女性らしいのよ。」

    【東郷】
        「先日の戦闘の抗議活動ですか ?」

    【学園長】
        「ぃえ、違うわ。」

    【学園長】
        「近々日本艦隊がアトラミス王国救援作戦に参戦する事は知ってるわよね。」
        「ええ、今はアンドロメダ陣営に属していますがアトランティス王国の古くからの友好国だとか。」
        「そのアトラミス王国がアンドロメダ陣営の制裁を受けて種の存続危機に陥っているとか。」
        「アトラミス王国から艦隊と陸戦隊の派遣を要請して来て、アトランティスは日本艦隊を差し向ける決定を下して、今はその準備に入っているの筈です。」
        「どうやらその情報が漏れているらしいのよ。」

    【学園長】
        「彼女たちは、あなたが率いる事になるその艦隊に私達も連れて行けと言うのよ。」
        「日本の公安によると、昨日の晩に高速鉄道で博多に到着してそこで一泊してから朝一番の新幹線で大阪都に上陸したとの事よ。」

    【東郷】
        「娼婦ですか ?」

    【学園長】
        「そのようですね。」

    【東郷】
        「反日運動やってる傍らでコレですか。」
        「連れて行かないほうが賢明だな。」
        「どうせ、あとで強制徴用されたって言い出して金銭を要求してくるパターンだ。」

    【学園長】
        「彼女たちを責めないでちょうだい。」
        「生活が掛かってるのよ。」
        「それを国家権力の安定の為に利用するのは政治家の責任であり彼女達には罪はないわ。」
        「ただただこの世界を生きのびたいだけなのよ。」

    【東郷】
        「しかし、日本政府は一度痛い目に遭ってるから、今回ばかりは受け入れないだろうね。」

    【学園長】
        「よくしってるわね。 そのとおりよ。」
        「今回は統一朝鮮とシナの国からの女性だけは受け入れない事を我が大使館の方に申し入れてきたわ。」

    【東郷】
        「それ以外の国は受け入れているのですか ?」


    【学園長】
        「ええ、まぁ公式ではなく、黙認・・・と言うことでスルーするようね。。」

    【学園長】
        「数万人単位の兵士が命を掛けて戦うには何が必要だと思いますか?」

    【東郷】
        「守るもの・・・ですかねぇ。」

    【学園長】
        「そのとおりです。」

    【学園長】
        「既婚者には家族を守るために戦う強い意思と目標があって、それが戦う上でのモチベーションとして機能しますが、まだ結婚していない若者たちにはそれがありません。」
        「最初はいつ死ぬかわからない恐怖に怯えますが、慣れてくると、やはり人恋しくなるのです。」
        「自分が死ぬ前に、一度くらいは女性と楽しい夜を過ごしたいと思う若い隊員が出てくるのは、生き物として当然の考えです。」
    【学園長】
        「そして、生き残ればまたその人に会いたい、その楽しいひと時をモチベーションが戦闘力として発揮されるのです。」
        「当然、中には叶わぬ恋に目覚める兵士たちも出てくるでしょう。」
        「そしてその彼女たの為に命を掛けようと奮起する人も出てくるでしょう。」

    【学園長】
        「兵士たちは戦うためのマシーンではありません。」
        「彼女達はそんな兵士たちの戦闘力を維持する為に自分の体を張って、全力で男を癒やし、そして戦場へ送り出す崇高な女神なのです。」
        「大抵の国は自国の軍隊における慰安活動については否定はしますが、実際問題として彼女達がいなければ戦争できないのが事実です。」

    【学園長】
        「ほんとうはこの宇宙から戦争を根絶できれば、私達も慰安活動で戦力を維持する事はしなくて済むのです。」

    【東郷】
        「戦争は、兵器、武器/資材、軍資金だけでなく、兵士のモチベーションが必須と言うわけですか。」

    【学園長】
        「そうね。 どれか一つ欠けても勝利は得られないわ。 残念ながら。」
        「慰安活動は否定するが戦争と言う人殺しは肯定するというのはおかしな話よね。」

    【学園長】
        「さて、」
        「あの彼女たちを連れていくかどうか決めるのはあなたよ。」

    【東郷】
        「遠慮しておくよ。」
        「末代に至るまで外交問題にされるのはこれからの未来の子供達には申し訳が立たないんでね。」

    【学園長】
        「そうですか。」
        「それなら、あとで司法警察を呼んで排除しておくわ。」


    【東郷】
        「さて、でわ、そろそろ授業があるので。」
        「私はこれで失礼します。」
        「美味しいお茶、ごちそうさまでした。」

    【学園長】
        「はいお疲れ様でした。」

    【学園長】
        「ぁ、東郷教官。」

    【東郷】
        「なんでしょう。」

    【学園長】
        「テヘラン分校に派遣する人選は終わったの ?」

    【東郷】
        「ええ、今から朝礼で通知するところです。」

    【学園長】
        「そうわかったわ。」


    6年1組の朝礼

    【アルビータ】
        「ねぇ、教官、もう体は大丈夫なの ?」

    【東郷】
        「ああ、おかげさまでね。」
        「私が療養中にいろいろあったようだが、皆元気そうだね。」

    【エルメス
        「でも、2組のカンピオーニ君が・・・。」

    【東郷】
        「ああ、その話は聞いてるよ。」
        「でも、セッちゃんが応急処置してくれたおかげで命はとりとめて、今は病院治療中。」
        「アグスティナが24時間つきっきりで看病しているが、近いうちに退院して登校できそうだと聞いてるよ。」

    【エルメス
        「カンピオーニ、もう登校が可能なのですか ?」

    【東郷】
        「病院の先生も、セッちゃんの腕前に驚いていたそうよ。」

    【東郷】
        「さて、毎年恒例の対抗戦の時期がやって来るみたいですね。」

    【ケンジ】
        「みたいって、アンタ教官だろ ?」

    【東郷】
        「だって、私が着任したのは、春だから。」
        「去年の事などしらん。」

    【東郷】
        「で、毎年、添下にはコテンパにやられてるって ?」

    【バネット】
        「でも、それでも毎年、必ず準優勝は取ってるわよっ!」

    【東郷】
        「そら参加するのは、ウチと添下の2校だけではねぇ。」
        「ものは言いようだな。」

    【バネット】
        「なんで、今からそんなモチベーション下げることを言うわけなの ?」

    【東郷】
        「事実を言ったまでだ。」
        「逆に言えば、その1校を倒すだけで優勝するんだろ ?」
        「ならば目標は簡単だ。」
        「その1校のみを倒すことに専念する事だな。」

    【マナブ】
        「しかし、相手は大企業がバックの金持ち校ですよ。」
        「ルールだって、すべてあちらが有利にできている。」
        「勝てっこないよ。」

    【東郷】
        「それはやってみないと分からないさ。」

    【ケンジ】
        「先公ってホンマ脳天気だなぁ。」
        「今まで、勝てなかったものが突然勝てるようになるワケなかろうよ。」

    【マナブ】
        「そうそう。」

    【東郷】
        「対抗戦の事で頭が一杯かと思うけれど、テヘラン分校にハヤブサを3機と共に行ってもらいたい。」
        「呼ばれたものは、ペルシャ共和国に飛んでもらう。」
        「期間は2ヶ月。」

    【東郷】
        「池田末吉」
        「島田豊美子」
        「そして、2組からは、アルフォンス・シュヴランが出ます。」

    【東郷】
        「近々行われる、太陽系外作戦において、現地惑星での環境に似ている戦場での陸戦の挙動を最適化する為に、ハヤブサを送り込んで、そのベンチマークを得ることが目的である。」
        「ま、完璧にソックリな環境ではないが、乾燥した砂漠ということで、ペルシャでの実験が適任だと言う判断だ。」
        「ちょうどあのへんにアトランティス艦隊の宇宙基地と我が校の分校があるし。」

    【おみくじ】
        「判りました。」
        「出発はいつでしょうか ?」

    【東郷】
        「時期については追って連絡する。」


    【おみくじ】【トミちゃん】
        「はいっ!」

    【東郷】
        「そこで得られたデータは、作戦に参加するアトランティス全軍に共有される。」


    【コンブ】
        「アトランティス全軍というよりは、ほとんど日本軍の総戦力に近いじゃん。」

    【東郷】
        「なんだ、知ってるのか ?」

    【コンブ】
        「うちの親も関係者だからね。」
        「両親の会話でなんとなく判るさ。」
        「しかし、その作戦ってかなりヤバイって親父が言ってたぜ。」
        「日本軍が負ければ、その作戦に参加しないで残った海軍のみで日本を防衛しなきゃならんって。」

    【マナブ】
        「他の国は参加しないのかよ。」


    【東郷】
        「アメリカ艦隊とかロシア艦隊とかは太陽系の守備力強化に艦隊を出すと言うことで、太陽系外に出るのは日本だけ。」

    【マナブ】
        「そうなの ?  なんだか、どうもバランスが変じゃね ?

    【東郷】
        「アトランティス艦隊も一枚岩ではなく、地球人を下等な猿族して認めない者も多い。」
        「彼らの中に地球軍に安心して背中を任せられないと考えている者もいるんだ。」
        「そこで新しい作戦では、その力量を計るため、地球艦隊に出動を要請したワケ。」
        「まぁ建前は実力を見るためとなっているのだが、実態は勝つ見込みが殆どないため、責任逃れ出来るように地球艦隊を差し向けることになったって事さ。」

    【東郷】
        「で、地球艦隊に、どの国が参加するのか派遣艦隊と陸上部隊の編成を指示したところ他国は、それまで温存していた太陽系のパトロールを突然始めちゃって、その戦力維持を名目に艦隊の派遣に難色を示したんだ。」

    【マナブ】
        「で、そう言う事するのが苦手な日本が、まんまと太陽系外行きと言う栄誉ある切符をゲットしたって訳ね。」
        「外交力が弱いのは今も昔も同じか・・・。」

    【ナナ】
        「しかし、2ヶ月不在と言うことはエース級を欠いた状態で対抗戦を戦うことになるわね。」

    【東郷】
        「申し訳ない。」
        「だが、この事案は実戦を想定した正式な近衛隊から要請を受けた "任務" となるので最優先だあたってもらいたい。」

    【マナブ】
        「上からの通達じゃ仕方ないか。」

    【キヨちゃん】(^_^)/~~~
        「ねぇ、おみやげは、本場のペルシャ絨毯ね。」
        「なかなか美しくて憧れるの。」

    【ブリジット】
        「ぁ、ずるーーい。」
        「私も、部屋に飾りたぁい。」

    【キヨちゃん】
        「ペルシャ絨毯っていくら位するものなんですか ?」

    【東郷】
        「日本円にして、100万とか1000万とかするそうよ。」

    【おみくじ】( ̄へ ̄井)
        !!
        「そんなに高いと買えるかっ!!」

    【ナナ】
        「安かったら買うつもりだったの ?」

    【おみくじ】
        「ぃや、そういう意味ではないが・・・。」
        「聞いてみただけだ。」


    この2日後、3名とハヤブサを拘束したコフィンセルコンテナは、舞鶴からロシア太平洋艦隊のステルス輸送艦ウラジオストクのカメーニャ基地にひっそりと運ばれ、そこからロシア戦略宇宙軍の専用輸送機に載せ替えられて空路でペルシャに入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

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