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アトランティスの亡霊

Ghost of Atlantis

【1-6-2】なのましんは魔法でもない!!

なのましんは魔法でもない!!

【1-6-2】


    大九野島
    ナナたちは、学園が購入した駆逐艦の離陸に備え、大九野島に警戒ラインを設定した。

    案の定、日本海軍は呉沖を通過している見かけ上は民間船である大型輸送船をそのまま通過させた。
    名称が自衛隊から軍と変更になった現在も、専守防衛と言う方針には変わりなく、相手が明確な戦闘意思を見せない以上は、こちらから攻撃はできないのだ。
    シナと統一朝鮮軍の艦隊は日本の厳格な交戦規定を逆手に取って堂々と領海内に侵入しているのであった。

    しかし海上保安庁の大型巡視船4隻が、前後左右を取り囲み、停戦要求を無線とスピーカーから呼びかけていた。
    その情報は識神によってナナたちにもリアルタイムで届けられていた。

    事前の交戦予報では、鹵獲した駆逐艦を運搬すると思われる大型輸送船が、呉沖を通過した事を把握し、約30分後には、この大九野島沖を通過すると予想されている。

    1時間ほど前に 生徒会会長であるサッチの渉外活動により、半径10km の住民に対して、避難勧告が出されていたが、対馬戦争により久しぶりの戦争を経験し、その時に市民たちは多くの巡航ミサイルの攻撃にさらされた。
    その教訓もあって、今回は混乱する事無く全員無事に避難を終えていた。

    当然、この避難勧告は、大九野島の外国人観光客にまで届いていた。



    大九野島 浮き桟橋

    【シナ人観光客C】
        「くそっ! 我が方の作戦がすっかりバレてるじゃないかっ!」
        「我々が襲うまでは気づかれる事はなかったんじゃないのか ?」

    【シナ人観光客A】
        「うろたえるな」
        「帯締学園がやって来た時点で、もう計画がバレていたんだ。」
        「それでも、輸送船が呉を通過できたと言うことは、あちらにも動けない何か事情があるにちがいない。」
        「まだ作戦が失敗したわけではない。」

    軍隊を動かすには、予算というものが必要で、先の対馬戦争で、からくも竹島の奪還に成功した日本軍とは言え、対馬戦争勃発時に政府債務がGDPの500%を超えていた日本にとっては、戦いに必要な費用を捻出するために、戦争債券を発行したものの、今はその返済に苦慮しており、安易に軍を出動させるわけにはいかなかったのだ。    
    もちろん、その日本の台所事情については、シナと統一朝鮮首脳たちにも知れわたっており、日本軍が出てこない事を想定した作戦を立てていたのだ。


    【シナ人観光客B】
        「どうします ?」
        「ブーメランを出しますか ?」

    【シナ人観光客A】
        「そうだな。」
        「輸送船もそろそろこの前を通過する時間だ。 島の反対側に回った帯締が輸送船の進路を妨害してくるだろうな。」
        「輸送船には手を出させん。」
        「そこで、我々はまず最優先目標として、ハヤブサを叩く。」
        「あわよくば、1機を無傷で手に入れて持ち帰るぞ。」

    この島を発着している見慣れたカーフェリーが再び、この島に到着しつつある事を確認したが、
    【シナ人観光客A】
        観光客の避難用でおそらく最終便になるだろう。
        同胞たちがこの島から避難してくれれぱ、こちらとしてもその方がやりやすい。

    【シナ人観光客B】
        「総員 戦闘配置っ!!」

    号令がかかると、浮き桟橋から海岸のある区画までダッシュで走りだした。
    海岸の波打ち際には立入禁止柵で工事中をカモフラージュした8個のブルーシートがあった。
    各員は、ブルーシートをひっぱがすと、上半身だけ水面に出た正体不明の AMP を着装した。

    【シナ人観光客A】
        「CA-12R(ブーメラン)起動っ!!」

    【シナ人観光客B】
        「輸送船通過まで、あと15分」

    【シナ人観光客A】
        「よし、移動するぞ」

    【シナ人観光客C】
        「たっ隊長っ!!」
        ハヤブサですっ!!」

    【シナ人観光客A】
        「わかってる。」
        「今から、そのハヤブサを殺りに行くんだ。」

    【シナ人観光客C】
        「ぃえ、そうではなくて」
        「浮き桟橋からハヤブサが接近してきますっ!!」

    【シナ人観光客A】
        「何だとっ!?」

    【シナ人観光客B】
        「さっきのフェリーか !?」

    すぐに、さっきのフェリーでやって来たものと結論づいた。

    【シナ人観光客A】
        「今頃になってなぜっ???」
        「くそっ、確認しておくべきだった。」

    【シナ人観光客B】
        「どうしますか ?」
        「ここで倒しておかないとマズイです。」

    【シナ人観光客A】
        「ちっ・・・私のミスだ。」

    【ヨンギュン】
        「俺が行こう。」
        「一度はあの機体と戦ってみたかった。」

    【シナ人観光客A】
        「おい、ヨンギュン少尉っ!!」
        「勝手なマネするなっ!」

    【ヨンギュン】
        「隊長、俺は統一朝鮮民国の軍人であって、シナ人民解放軍ではない。」
        「共同戦線をはってはいるが、解放軍の命令を聞くつもりなどない。」

    【ヨンギュン】
        「ヤツは俺が引き受ける。」
        「お前は隊長として隊を率いて本隊と思われる帯締のハヤブサと交戦してくれ。」

    【シナ人観光客A】
        「判った。」
        「しかし少尉、お前一人で大丈夫なのか ?」
        「1機残していってもいいんだぞ。」

    【ヨンギュン】
        「俺は大丈夫だ。」
        「貴重な戦力をこれ以上は割けんだろ。」
        「心配ない。 相手は旧式のハヤブサだ。 ヤツを倒してすぐに合流してやる。」


    一人後続のフェリーで遅れて到着したのは、キヨちゃんだった。
    先発がコンテナに収納されて島に上陸したのに対して、彼女だけはハヤブサを着装しての上陸だった。

    【キヨちゃん】
        「信じらんない。」
        「もぅ、なんで私だけ別行動なのよっ!!」

    【支援AI】
        「シカタアリマセン。」
        「ふぇりーノ サイダイセキサイジュウリョウヲ、おーばーシテシマッタイジョウは、ダレカガ フネカラ オリナケレバ ナリマセン。」

    【キヨちゃん】
        「わかってるわよ。」
        「そもそもこの緊急時に、たった53キロの重量オーバーで船を降ろされるってアリなの ?」
        「しかも、それって私の体重と一緒じゃないっ!!!」
        「ホントっ失礼だわっ!!!」

    【支援AI】
        「ワタシタチハ、ニッポンコクノ グンタイデハ アリマセン。」
        「キンキュウジデアッテモ、シンチュウスルゲンチノ、ミンカン ウンユキテイハ ゲンシュ シナケレバ ナリマセン。」

    【キヨちゃん】
        「だいいち、荷を運ぶトレーラーの方が私よりはるかに重いじゃないのっ!」
        「そっちを降ろしたら全員が乗れ・・・」
        「ちょっと待ってっ!」
             !? アレは何 ?


    重量オーバーにより別便で島に上陸した キヨちゃん は、トレーラーではなく自力で部隊の展開地区に移動しようとしていた。
    その途中で、海岸に展開中の正体不明の陸戦を発見したのであった。

    【キヨちゃん】
        ナナに連絡しなきゃ

    と思い、無線機を使用したが・・・。

    【キヨちゃん】
        繋がらない ?

    【支援AI】
        「ECMガ テンカイサレテイルヨウデス。」
        「なのりんくモ、ケンガイデス。 ナカマト レンラクガ トレマセン。」

    【キヨちゃん】
        「こいつは、鹵獲隊の一部なのか?」

    【支援AI】
        「ソノカノウセイハ、ダイ。」

    【キヨちゃん】
        「止めなきゃ。」

    【支援AI】
        「キケンデス。 アイテノ カズガ オオイデス。」

    【キヨちゃん】
        「何言ってるの。」
        「コイツらが、ナナとこ行ったら、背後から奇襲を受けることになるわ。」
        「ナナとこ行かなかったとしても、ここからドックまでは真正面」
        「フネの発進に支障が出るわ。」
        「どっちにしても、見過ごす訳にはいかないわ。」

    【支援AI】
        「らいぶらりショウゴウ、でーたべーすニトウロクサレテイナイ、ミカクニンノ キタイデス。」

    【キヨちゃん】
        「新型機ってことなの?」

    【支援AI】
        「フメイ。」
        「Data Not Found」
        「てーぶるカラれこーどヲチュウシュツデキマセン。」

    【キヨちゃん】
        とやかく言っている場合ではないか・・・。
        「いくわよっ!!」



    大九野島 西海岸


    その頃、ナナたちは、すでにハヤブサを展開させ、識神を放って輸送船の監視を行っていたが、いよいよ目視でも確認できる距離にまで近づきつつあった。

    【サダッチ】
        「輸送船を目視で確認っ!!」

    【ナナ】
        「巡視船は後退したのね。」

    巻き添えを食わないように巡視船が海域を離脱するのを確認し号令を出す。
    【ナナ】
        「総員、戦闘配置っ!」

    遅れて到着する予定のキヨちゃんを除く1個分隊、7機のハヤブサを選抜メンバーが、次々と着装していく。
    しかし、まだ配置についただけで、上半身だけはまだ機外に露出した状態で周囲警戒を続けた。
    剣術の稽古の後で、剣道着の上だけはだけて休憩していっぷくしいるイメージに近い・・・。



    幸洋船渠宇宙事業部ドッグ:民間駆逐艦

    【サッチ】
        「ねぇ、あそこ・・・。」

    サッチが指さした方向・・・ブリッジの天井の片隅に、
    ソンフォンとプレートが打たれているドームアンテナが据え付けられていた。

    【セッちゃん】
        「あれって、携帯の基地局 ?」

    【フクちゃん】
        「ああ、あれですか ?」
        「基地局のようですね。」
        「乗員全員がナノリンクを使えるわけではありませんから、携帯端末等も使えるようになってるんすよ。」
        「艦の内部は思う以上に電波状態がよくないので、ところどころに配置されているようですね。」

    【サッチ】
        「へぇ意外なモノが装備されているのね。」
        「艦内専用なの ?」

    【フクちゃん】
        「もちろん、艦の外の一般回線や携帯にも通じるはずですよ。」
        「まぁ外部アンテナが装備されてて、電波が飛ばせればの話ですけど。」

    【フクちゃん】
        「日本海軍の艦船にも同様のアンテナが設置されてて、たまに体験航海とかに乗船した場合とかは、思いがけないところにアンテナを新発見する事あるよ。」

    と言いながら、日本海軍が催した体験航海で乗船した時の記憶を、脳内ストレージから再生して見せてくれた。


    【幸洋船渠宇宙事業部ドッグ:機関技師】
        「ああ、あの基地局は動きますよ。」

    たまたま、そばで作業を手伝っていた幸洋船渠の技師が答えた。

    【フクちゃん】
        「本当っすか ?」

    【幸洋船渠宇宙事業部ドッグ:機関技師】
        「もちろんですとも。」
        「でないと、我々が工事する時、艦外の社員と連絡できなくて困りますから。」

    【フクちゃん】
        「ぁあ・・・それはそうですね・・・。」

    【セッちゃん】
        「ねぇねぇ、艦内シフトの案内や、警告とかも、SNSで済ませられるわね。」

    【アン】
        「それは、サッチが困るわよ。」

    【セッちゃん】
        「ぇっ!? どうして ?」

    【レイチェル】
        「だって、想像してごらん。」


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    レイチェルの妄想・・・。
    --------------------------------------------

    【サダッチ】
        「機関室からブリッジへ!!」
        「左舷、亜高速ドライブが被弾し推進力が低下しています。」
        「サッチ!!、ダメコンの派遣要請を願いますっ!!」

    【サッチ】
        「わかったわ、今そちらに人をやるから耐えるのよっ!!」
        「エンジン止めたら堕ちるから絶対に持ちこたえてっ!!」

    【サダッチ】
        「わかった。」


    その間にも続々と、SNS により各部署から、被弾の報告が入ってくる。

        「被弾なう」
        「被弾なう」
        「被弾なう」
        「被弾なう」
        「被弾なう」
            ・
            ・
            ・

    【乗員】
        「もうダメかもしれませんっ!!」
        「あちこちから被弾の投稿が入ってきます。」
        「副会長(サダッチ)っ!! 退艦の指示をっ!!」

    【サダッチ】
        「もはやこれまでかっ!」
        「総員退艦っ!!」
        「全員をフォローしてっ!」

    【乗員】
        「退艦命令がでたぞっ!!」
        「全員のアカウントに拡散っ!!」

        「退艦なう」
        「退艦なう」
        「退艦なう」
        「退艦なう」
        「退艦なう」
            ・
            ・
            ・

    どこかの惑星に墜落している艦を見送りながら
    【サダッチ】
        「間一髪、救命ポッドで脱出できたようね。」
        「点呼をお願い。」

    【乗員】
        「副会長っ!! 会長(サッチ)の姿が見えませんっ!!」

    【サダッチ】
        「ぇっサッチがっ!?」

    【サダッチ】
        「退艦命令の拡散で全員が脱出した筈では ???」
        「まさかっ!!  まだあの艦に取り残されていると言うの ???」

    【乗員】
        「会長は機械オンチだから、SNSのハンドルは持っていないって言ってましたが・・・。」
        「なので、退艦命令の拡散は、会長は知らないかと・・・。」

    【サダッチ】
        「ぇっ!?」
        「ぇえええーーーーーっ!!!」

    --------------------------------------------
    レイチェルの妄想・・・終わり。
    --------------------------------------------

    【レイチェル】
        「と言うことになったら、困るじゃないの。」

    ナノリンクによる意識共有でレイチェルの妄想を覗いてたセッちゃんも
    【セッちゃん】
        「ぁ、ありうるわね・・・。」

    思わず同意してしまった・・・。


    【サッチ】
        「ちょっと失礼ねぇ!!」

    【まっちゃん】
        「そうよ、この動画はちょっと会長がかわいそすぎるよ。」

    【サッチ】
        「そうそう、どうして、副会長のサダッチっが退艦命令をだすのよ。」
        「退艦命令を出すのは私の係なんだから。」
        「それに、サダッチが機関室にいるのも変じゃない?」

    【まっちゃん】【セッちゃん】【レイチェル】【アン】
        「ぇっ、そっち !?」



    大九野島 西海岸


    【サダッチ】
        「へっくしっ!!」

    【ナナ】
        「風邪 ?」

    【サダッチ】
        「ぃえ、突然くしゃみが・・・。」

    【ナナ】
        「ハヤブサを全部着込んだら暖かいわよ。」

    【サダッチ】
        「もう大丈夫。」


    【ナナ】
        「しかし、目標視認をどうやって、あちら(ドッグ側)に伝える ?」

    【サダッチ】
        「さっき、識神を飛ばしたわ。」
        「そろそろ到着する頃よ。」

    【ナナ】
        「さすが生徒会の副会長、ぬかりないわね。」

    【サダッチ】
        「そりゃあ、会長をサポートするのが私の役目だからね。」

    【サダッチ】
        「にしても・・・」
        「あのフネどうします。」
        「先に沈めちゃっていい ?」

    【ナナ】
        「ダメよ。」
        「鹵獲しようとする瞬間までは、まだ鹵獲に来たと言うことが最終的に決まった訳ではないわ。」
        「なので、私達から先制攻撃が出来ないのよ。」


    【サダッチ】
        「たしか、あなた達ニッポンの法律では、太平洋戦争で負けて、自分から攻撃できない "縛り" を設けたんでしたね。」
        「日本国憲法第9条ってやつ ?」
        「国権の発動たる戦争を永久に放棄し、その目的のための陸海空軍その他の戦力はこれを保持せず、国の交戦権はこれを認めない。」
        「つまり、日本が宣戦を布告して戦争を仕掛けに行くことを永久に放棄し、そのような事を目的とした軍隊も保有しないし、戦闘行動も一切行わない。」
        「・・・と明確に定義された。」
        「だから、攻撃を受けることが最初から判っていても、実際に攻撃を受けるまでは先に手出しができない。」

    【ナナ】
        「そうなのよ。」
        「日本の憲法では、防衛戦しか出来ないように定義されている。」

    【サダッチ】
        「我がアトランティスの法律では、」
        「我が帝国の軍隊は我が帝国市民、ならびにその友好国に危害が加えられた時にのみ武力を行使する事が認められる。」
        「と明記されてて、我が軍も日本と同様に攻撃を受けて被害がでて、そこではじめて反撃が認められる・・・と言う構図になっている。」

    【ナナ】
        「なんだかやられ損よね。」

    【サダッチ】
        「まったくですね。」

    【ナナ】
        「法律では一応、国民の生命財産に重大な危機が差し迫った場合に、海外での戦闘や同盟軍への軍事支援が可能なようになっていたけど、実際、対馬戦争では肝心のアメリカは助けに来なかった。」

    対馬戦争とは、慰安婦問題の全面謝罪を行うのと引き換えに、日本が国内で違法に働く売春婦を一斉摘発して統一朝鮮に強制送還した事がキッカケ(報復処置と言われている)だった。
    失業した多くの売春婦は祖国に帰ってもやはり仕事はなく、怒りの矛先は統一朝鮮政府に向けられた。
    経済が破綻した直後の統一朝鮮民国は、日本がオバノリスクの破綻によってデフォルトとなり、そのトバッチリを受けていたが、経済問題を協議する為に訪朝していたオバノ総理が暗殺されると言う事件が発生し、日本と統一朝鮮は一気に緊張状態となり、日本は領土保全を名目に艦隊を繰り出した。

    そこに竹島が含まれ、事実上の竹島海上封鎖となり、統一朝鮮も長年夢見ていた対馬侵攻の絶好の機会ととらえ、対馬と博多に大挙して攻め込んできた。
    自信満々で攻めこんできた統一朝鮮軍ではあったが、日本を相手にした戦闘力に埋めることの出来ない大きな格差がある事を目の当たりにして大敗したが、その際、アメリカは日本に同調する事は無かった。
    それ以降は日本はアメリカを信用していない。

    もっとも、統一朝鮮は大敗した事はマスメディアを通じで一切報じられておらず、それを知らない統一朝鮮国民は戦勝国の権利として日本に謝罪と賠償を求める運動が盛り上がっており、その戦後賠償として倭の国の帰属を求めており、今回の宇宙艦鹵獲も統一朝鮮国内的には、戦後賠償の差し押さえと言う報道がされている。



    鹵獲作戦 大九野島潜入部隊

    接近してくるハヤブサを確認し冷静に情勢を分析した。

    【ヨンギュン】
        敵は、一機のみ
        おそらく装備は先行した部隊のコンテナの中か ?
        ならば、ここは火力を有する俺の機体が数段有利と言うことになる。

    浮き桟橋からホテル前に通じる道路を通過するハヤブサをめがけて、ヨンギュンの駆る水陸両用のブーメランが一発だけマシンガンを発射した。
    マシンガンも一応は完全防水設計とはなっているものの、バレル内の水を排出する為に、初弾は単発でしか発射してはいけない運用ルールが決められていた。
    しかし、

    【キヨちゃん】
        「ひぃーーー撃ってきたよっ!!」
        「多重で索敵結界を展開して正解でしたわ。」

    【支援AI】
        「カクトウセン、カイシシマスカ?」

    【キヨちゃん】
        「もちろんよ。」
        「私の火器は先発したコンテナの中。」
        「刀しか持ってないから懐に飛び込むわよ」

    【支援AI】
        「リョウカイシマシタ。」
        「シュウイ ノ ケイカイ ハ マカセテクダサイ。」
        「イマカラ、サクテキケッカイノなのましんショウヒ ハイブンヲ、3%ゾウリョウシマス。」


    ハヤブサが展開した索敵結界は、もともとはキヨちゃんの保有する戦闘スキルであるが、搭乗する機体の AI は、本人に変わってスキルを発動する事が出来る。
    それはナノマシンを制御する術式が単なるプログラムコードである為、AI にアップロードしてやれば同じナノスキルが扱えると言う単純な仕掛けによるものだ。

    そのナノマシンの使用配分を索敵方向へやや強化し、周辺への警戒を厳にする事で火力を持たないハヤブサは近接格闘戦へ注力しやすい環境を構築した訳だ。

    そして索敵結界は、最低2重に展開し、最初に突破した結界と、最後に突破した結界の位置関係から弾道計算を行い、その結果はただちにキヨちゃんの脳内へ焼き付けられると同時に体が条件反射で回避を行う。

    【キヨちゃん】
        一発目は、外した。

    【支援AI】
        「テキノカリョク・・・データブソク、シカシ、サクテキケッカイ カラノ ジョウホウカラ、ダンガンハ、12.7mmマシンガン ト ハンメイ」

    【キヨちゃん】
        「機関銃が相手かぁ・・・それは次は躱すの難しそうね。」
        こっちの武器は携行リヴォルバーと対装甲刀のみ・・・。

    【キヨちゃん】
        「抜刀っ!!」

    ハヤブサの携行武装として固定されていた対装甲刀のロックが解除され、サヤから刀を抜き取ると、全力で正体不明の AMP(ブーメラン) に突進した。


    【ヨンギュン】
        「なっ!?」
        外しただと ?
        そんな馬鹿な、排水射撃とは言え、こんな至近距離で躱せるわけがない。

    【ヨンギュン】
        バレル内の海水は排除できた。
        「次は連写モード。」
        「これなら躱せまい。」

    銃を腰だめに低く構え、銃のセレクターをバーストに切り替え、トリガーを引く。

    ババババババン

    砂浜のチリやホコリを巻き上げながら、6連写する。

    しかし、
    【ヨンギュン】
        ?
        手応えがない ?

    【ヨンギュン】
        「センサーの反応は ?」
        「この至近距離だ。」
        「致命弾を与えたはずだ。」

    しかしブーメランの火器管制システムは、全弾が回避されたことをモニターに表示した。

    【ヨンギュン】
        「くっ」
        「まぐれかっ!?」

    続けてブーメランの索敵システムが、接近してくるハヤブサを捉え、警告のアラートを出す。
    光学センサーが、"日本刀"(対装甲刀) を抜いて突進してくるハヤブサを捉えモニターに出す。

    【ヨンギュン】
        「小日本は、マシンガン相手に、刀で立ち向かう気かっ!」
        「ふざけるなっ! ここは硫黄島じゃないんだぞっ!」

    焦ったヨンギュンは自分に言い聞かせた。
    【ヨンギュン】
        いいか、冷静になれ。
        普通に考えて、音速以上の速度で目標を破壊するマシンガンの銃弾が、日本刀なにんかに負かるわけがないんだ。
        小日本が太平洋戦争で、アメリカ軍の大砲相手に刀で突撃するなんて話は、シナの反日映画並みに誇張されたフィクションにすぎん。
        焦らず、落ち着いて目標を狙ってトリガーを引く。
        そうだ。 次の一撃でケリが付くはずだ。


    ヨンギュンが放った6発の銃弾は、ただちに弾道計算され、必要最低限の運動量で回避しながら、且つ突撃を続行するのに最適な機動を取っていた。
    背後の丘に着弾して土煙が登り、たむろしていたウサギたちが驚いて一斉に藪へ消えた。

    【キヨちゃん】
        「怖ぇぇぇぇぇ」
        「どっかに一発くらい当たってんじゃないだろうね ?」

    【支援AI】
        「ダイジョウブデス。 ゼンダンカイヒ ニ セイコウシテイマス。」
        「れーざーノツイセキヲ ウケテイマス。 テキノ カキカンセイしすてむハ カクジツニ コチラヲ トラエテイマス」

    【キヨちゃん】
        「わかってるわよっ!!」

    キヨちゃんの目が相手が再び銃を構え射撃体勢に入ったところを捉えた。

    【キヨちゃん】
        間に合うか ?

    【ヨンギュン】
        よし、今だっ!

    ババババババン
    今度は、確実に命中する掃射コースでぶっぱなした。
    これで外れる事は無いはずだ。
    一発でも当たれば足止めは出来る。
    その後でトドメをさせればそれでいいと考えた。

    しかし、ブーメランの索敵システムのアラートが鳴り止まない。

    【ヨンギュン】
        なぜ、警報が止まらない ?

    次にヨンギュンが目にしたものは、視覚に入らないよう低い姿勢からとび出して来たハヤブサの姿だった。

    【ヨンギュン】
        はっ速いっ!!

    ハヤブサの渾身の第一撃をかろうじでかわした。
    しかしマシンガンが裁断され使用不能になる。

    【キヨちゃん】
        「くーーっ!」
        「躱されたっ!!」

    【支援AI】
        「テキ ホンタイニだめーじナシ。 シカシ カリョクハ チンモクシタモノ ト ハンテイシマシタ。」

    【ヨンギュン】
        ハヤブサってこんなに素早く動けるものだったのか ?
        ブーメランの方が最新で先進的な機体の筈。

    【キヨちゃん】
        この距離で躱すとは・・・。

    【ヨンギュン】
        機体性能ではないとするなら・・・。

    【キヨちゃん】【ヨンギュン】
        コイツは・・・。
        エース!!」

    パイロットのスキルに気づいた両者は、いったん間合いを置いて睨みたいとなった。



    大九野島 西海岸

    サダッチがアトランティス人の特徴である猫耳をしきりに180度動かし何かを聞き取ろうとしていた。

    【サダッチ】
        「東の海岸で銃撃音。」
        「7発・・・ぃや、13発」

    【ナナ】
        「ぇっ!?」

    【サダッチ】
        「・・・このアクチュエーターの音は・・・キヨちゃんのハヤブサです。」
        「それから聞いたことのないアクチュエーターの音も聞こえるわ・・・どうやらハヤブサと交戦中のようです。」
        「今は睨み合いになったようですが、島の北側道路を迂回してくる同様のアクチュエーター音、数・・・7機、こちらに向かっています。」


    【ナナ】
        「よく聞こえるわねぇ。」

    【サダッチ】
        「猫科の人類の能力をナメてもらっちゃぁ困るわよ。」
        「私の耳の聴力は10万ヘルツまでの音波を正確に全周スキャンできるのよ。」
        「三角耳は、あそこの島からの反射音まで加味して正確にこの島の反対側のどこで何が起きているかを聞き分けられるわ。」

    【ナナ】
        「そうだとしても、キヨちゃんのハヤブサのモーターなんて、おなじハヤブサならココにもあるのに、その個体差も判るの ?」

    【サダッチ】
        「そうよ。」
        「もともと私達のベースとなった猫たちは、狩りをする時は超音波帯域で会話するネズミの鳴き声だって聞き分けていますから。」
        「だからモーター駆動音の識別なんてちょろいもんよ。 ナノマシンのアシストなんて必要ないわ。」
        「それより、敵さんのモーターなんだけれど・・・、なんだかハヤブサと同じ雰囲気のモーターの音がするのよ。」

    【ナナ】
        「ぃやな報告しないでよ。」
        「ハヤブサではないんでしょ?」

    【サダッチ】
        「そうなんだけれど・・・同じ系統のモーターを採用したのかな ?」
        「ちょっと雑音が混じってるのでそんな高い品質で組み上げられているわけでもなさそうね。」
        「どうします ? 迎撃しましょうか ?」
        「相手にはすでに明確な戦闘意思があるものと推測できます。」

    【ナナ】
        「しかし、あのフネどうするの ?」

    【サダッチ】
        「後方から接近してくる敵(たぶん)は、私でなんとかします。」
        「キヨちゃんも、あっちの方で1機と戦ってますが、こちらはスグにケリがつくでしょう。」
        「かならず、この7機を追いかけるはずですから、合流して二人でやっつける事にします。」

    【ナナ】
        「わかったわ。」
        「無理しちゃだめよ。」


    こうして、帯締学園初の実戦がなんとなく開始された。

 

 

 

 

 

 

 

 

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