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アトランティスの亡霊

Ghost of Atlantis

【1-4-5】思っていたのとちょと違う感じ

思っていたのとちょと違う感じ

【1-4-5】



    ナナたちは寮に戻ってきた。


    【ナナ】【サッチ】【サダッチ】
        「ただいまぁ」

    先に帰宅していた割烹着姿のセッちゃんが布巾で手を拭きながら出てきた。
    【セッちゃん】
        「おかえりなさい」
        「あら、ナナも一緒だったの ?」

    【ナナ】
        「ちょっと心配だったから様子見に行ったのよ。」
        「それより、早く帰ってたのね。」

    【セッちゃん】
        「ええ、東郷先生が一人じゃ寂しいだろうと思って、急いで帰ってきちゃった♪」

    【サッチ】【サダッチ】
        「先越されたのね。」

    【ナナ】
        「それどういう意味よっ#」

    【セッちゃん】
        「ぇ、何の話 ?」

    【サダッチ】
        「他の子たちは ?」

    上を指差し、
    【セッちゃん】
        「屋根裏よ。」

    屋根裏には払い下げられた、第4世代対応型の操艦シミュレーターが設置されていた。
    誰が設置したかは定かではないが、すくなくともナナやサッチがこの寮に入った時には既に置かれていた。
    すくなくとも、学校にある第3世代対応型よりは進化している。

    一部屋一台ずつ利用が可能となっているが、莫大な電力を消費する為、200V電力をアシストする為に屋根上には太陽光パネルを設置し、太陽が沈むまでは全機を一斉に稼働させる事が可能となっている。
    太陽は完全に沈んでしまっているが、現在4台が稼働し、床下に設置してあるバッテリーにより、電力モニターをチェックする限りでは、あと3人が参戦しても30分は稼働させられそうだった。

    【サダッチ】
        「どうする ?」
        「参戦する ?」

    【セッちゃん】
        「お夕食の準備が整うまで、ちょうど30分くらいあるわ。」

    【サッチ】
        「では、一戦交えるとしますか ?」

    目でナナを誘ってみた。

    【ナナ】
        「いいわ。」
        「付き合いますわ。」

    各自、自室に荷物を置いて、屋根裏部屋に駆け上がってくる。

    【ナナ】
        「誰が戦ってるの ?」
    戦況モニターを覗いたサッチに聞いた。

    【サッチ】
        「東郷センセーと、3人のおチビさんたちのようね。」
        「1対3で戦ってるようよ。」
        「チビどもに加勢するわよ。」

    【ナナ】
        「いいわ。」
        「コテンパにやっつけてやる。」



    ナナも戦況モニターを覗いてみた。

    【ナナ】
        「ちょーーーー何よこれっ!」

    【サダッチ】
        「どうやら、ステージは地球大気圏内のようですね。」

    【ナナ】
        「って言うか、海の中じゃないのよ。」
        「宇宙艦で海の中で戦うのってアリなの ?」

    【サッチ】
        「基本的に、宇宙艦は海の中での戦闘は全く考慮されていませんからね。」
        「というより、第4世代の艦そのものが地球上で1G戦をする事は想定していないわ。」
        「でも、高密度ガス空間での戦闘は実際に記録されているわ。」
        「ガスに阻まれてビームが届かないから、どの陣営もガス空間での戦闘は回避しているようですが、実体弾を使用する地球軍にとっては、数少ないアドバンテージになりそうね。」

    【サダッチ】
        「ログアウトする ?」

    【ナナ】
        「チビたちは ?」

    【サッチ】
        「小笠原海溝付近で、センセーと交戦中。」
        「追う ?」

    チビたちが、戦っているのを見て、上級生として引き下がるわけにはいかなかった。
    【ナナ】
        「いくわよっ!」

    【サダッチ】
        「思いのほか、負けず嫌いなのね・・・。」

    3人はヘッドマウントディスプレイを装着すると、ソファに深々と横になって、ナノリンクでシミュレーターに接続していく。 認証が OK になると各自サーバーにダイブを開始し、自分が操縦するフネとリンクが完了する。
    学校のシミュレーターは、物理的なキーボードを介して操艦していたが、このボロアパートにあるものは、それよりも優れナノリンクでコントロールが出来るようになっている。
    もっとも学校にあるソレは、ナノマシン保有していないt学生でも訓練が出来るように配慮されている為、最低限の物理端末でコントロールが出来るようになっているだけなのだが・・・。


    【サッチ】
        「発進シーケンスを省略するわよ」

    【サッチ】
        「現在値は ?」


    地図をモニターで確認し、紀伊半島が映し出された。
    【サダッチ】
        「勝裏の東南海上だいたい200Kmら辺です。」

    【サッチ】
        「小笠原海溝まで、ちょっと遠いね。」

    【ナナ】
        「周囲の敵影は」

    【サダッチ】
        「西方海上に、日本海軍のDDHが展開中」
        「それ以外は周囲350Kmに脅威となりうる敵影なし。」

    四国沖には領海を拡張してきたシナがメタンハイドレードのリグを建設しておりメガフロートを進出させて海軍の前哨基地を展開させていた。
    通常、四国沖合と、紀伊水道の出口付近には、シナ海軍の駆逐艦が張り付き、日本海軍の動向を探っておりシミュレーターでも、この動きは忠実に再現されている。
    しかし、今日は、いくつかの民間船と漁船は識別出来たがシナ海軍の軍艦は出ていないようだ。


    【サダッチ】
        「どうしますか ?」
        「海中に潜行すれば、現場までは時間かかりますが ?」

    【ナナ】
        「空から襲撃します。」

    シナ海軍が展開していなければ、姿を見られる心配もなく、速力が低下する水中より空中を移動したほうが目的地に早く到達できる。


    【サダッチ】
        「フリタイン・サーバンス(勇敢な守護者)級デストロイヤー発進っ!」

    フリタイン・サーバンスは、第4世代型の旧式駆逐艦ではあるが光学兵装の損耗によって一部の火器が地球製に順次置換えられつつあった。 比較的軽量なため、地球大気圏内での航行も可能で、実際に連絡用として時折地球に降下してくるのか、このタイプの駆逐艦である。
    既に退役が始まっているが一部は地球艦隊に払い下げられており、宇宙と地球との連絡用に使用されている。
    ターニャの悪戯でカメーニャの浅瀬に不時着したアメリカ籍の駆逐艦もこのタイプだった。


    【ナナ】
        「全艦、レッコー」(重力アンカー解除)
        「亜光速ドライブスタンバイ」
        「ミジップ」(舵中央)
        「スローアヘッツー」 (両舷微速前進)

    【ナナ】
        「全艦大気速度でリングアップ」(大気圏内巡航に移行)

    【サッチ】
        「チビたちの戦況は ?」

    【サダッチ】
        「依然として、センセーを追撃中のようです。」


    【ナナ】
        「全艦、フルアヘッフル」(全舷全速前進)
        「艦隊戦用意っ!!」

    【サッチ】
        「この距離から ?」

    【ナナ】
        「対艦ドローンで牽制します。」
        「大気圏内ですので大気抵抗により射程距離が著しく低下しますが、ヤツに十分届く距離ですわ。」


    突然、センサーに警告が出される。

    【サダッチ】
        「ちょっとまって、センサーが水中から発射されたと思われるドローンを感知。」

    ドローンが自身に向けられたものでないと判断すると、防衛システムは自動的に脅威判定を取り下げ、警報は解除された。

    【ナナ】
        「どこから ?」

    【サダッチ】
        「チビたちの攻撃のようね。」
        「1人、12発ずつ、計36発の同時発射ね。」

    【サッチ】
        「あら、意外にいい連携しているんぢゃない ?」
    幼女が繰り出すにはあまりの手際のよさに感心した。


    【サダッチ】
        「そうですね。」
        「センセーが潜行している付近の周囲を囲う形でドローンが飛翔しています。」

    【サッチ】
        「これって。」

    【ナナ】
        「どうやら、あの子たちは、対潜水艦戦闘と同じ戦術でヤツを追い込むつもりね。」

    【サダッチ】
        「宇宙と違って、動ける方向は限られてますから、ちょっと逃げ切るのは難しそうですね。」

    【サッチ】
        「さぁ、どうする ?」

    即答した。
    【ナナ】
        「支援射撃を実施します。」
        「添下との闘いぶりが偶然のものだったかどうか試させてもらいますわ。」

    【サダッチ】
        「海中の相手だと、センサーの感度に誤差が生じます。」
        「補正が必要だわ。」

    【サッチ】
        「音響ドローン(※1)放出できる ?」


    【サダッチ】
        「わかったわ。」



    しかし、突然、海中から、1発のドローンが空中に飛び出した。
    脅威判定は、赤。
    要するに、重度警戒態勢を示していた。

    【ナナ】
        無人捜索ドローン!?

    センサーが、無人捜索ドローン(※2)から電波の照射を受けた事を示す警告音が発せられる。

    【サダッチ】
        「索敵レーダーに捉えられました。」
        「こちらの位置、特定されています。」

    その直後、無人捜索ドローンがセンサーが消えた。

    【サダッチ】
        「どうやら、チビたちが撃墜したみたいね。」

    【サッチ】
        「どうする?」
        「こちらの位置が知られたら攻撃を受ける可能性が。」

    【ナナ】
        「全艦、プレイクっ!(散開)」
        「安全距離を確保っ!!」

    【ナナ】
        「音響ドローン放出っ!」

    再びセンサーの警報が鳴り響く。
    脅威判定は、赤。
    2機目の無人捜索ドローンを補足し、電波の照射を受けた事を示す警告音が発せられる。

    【サダッチ】
        「また、索敵レーダーの照射を受けました。」
        「しかし、こちらの音響ドローンも、センセーの艦を捉えています。」
        ? 浮上している???

    【サッチ】
        「どうしたの?」

    【サダッチ】
        「目標、急激に浮上中です。」

    音響ドローンから警報が届く。

    【サダッチ】
        「目標、ドローン放出、数3、ぃえ6」
        「ロケット推進音」
        「魚雷 ?」

    【サッチ】
        「・・・にしても、魚雷にしては早くない ?」
        空飛ぶより遅いけど・・・。

    【ナナ】
        地球大気圏内で雷撃するなんて考えられない。・・・ならば。
        「通常弾頭の対艦ドローンだわ。」

    【ナナ】
        「浮上してくる頭を押さえるわよ。」
        「対艦ドローン装填」

    【サダッチ】
        「おチビさんたちのドローンが水中に突入。」
        「目標の追跡を開始しました。」


    【サッチ】
        「そもそも宇宙艦が水中戦闘するようには考慮していないから深く潜行すると水圧で圧潰するわ。」
        「なら浮上するしかないわね。」

    【サダッチ】
        「でも、人工電子結界で防御される可能性は ?」

    【ナナ】
        「それは絶対にないわ。」
        「人工電子結界は熱光学兵器を中和拡散する事を目的としたエネルギーシールドよ。」
        「そんなの水中で使用したら、水蒸気爆発を起こして船体にダメージを受けるわ。」

    【サダッチ】
        「ぁ、なるほど。」

    【ナナ】
        「対艦ドローン発射っ!」

    【サッチ】
        「発射っ!」

    【サダッチ】
        「ドローン、着水予定地点まであと10秒」

    【サダッチ】
        「目標、なお浮上中。」

    【サダッチ】
        「おチビさんたちのドローン、目標と接触まであと5秒」
        「目標、深度20m」
        「水上に出ますっ!」

    【サッチ】
        「ちょ、ちょっ、ちょっとまってよ。 水面から出るの ?」

    【ナナ】
        「サッチっ!」
        「ドローンへ信号送信っ!」
        「近接爆発モードから、直撃モードにスイッチ(モード変更)」
        「急いでっ!」

    【サダッチ】
        「切り替えましたっ!」

    近接爆発モードは、爆発による圧力で船体へのダメージを狙ったもので、特に水中や高濃度ガス空間での戦闘で使用される。
    一方で、直撃モードは、直接目標にヒットさせる事を狙う。    もちろん近接爆発モードより与えるダメージは大きいが、
    その分精密な誘導を必要とされる。    


    【サダッチ】
        「目標、水面に出ますっ!!」


    【ナナ】【サッチ】【サダッチ】
        ぇっ!?

    センサーモニターには、水面に浮上した目標が、ロール(回転)をうった事を示していた。

    【サッチ】
        「どうゆうこと?」
    何が起きたかわからなかった。

    三姉妹が放ったドローンは水面下で爆発し、ナナたちが放ったドローンも空中で爆発してセンサーから消えた。

    【サダッチ】
        「センサーでは、目標が武器システムを使用した形跡がないわ。」

    【ナナ】
        「やられたかも・・・。」

    【サッチ】
        「何が ?」

    【ナナ】
        「あのロールは、私たちがドローンを放ってくることを予測していたのよ。」

    【サダッチ】
        「??? 意味がわからないよ。」

    【ナナ】
        「ロールをうつ事で、水中の水は撹拌され、その水圧であの姉妹のドロンを一挙に破壊。」
        「しかもロールを水面で行う事で大量の水しぶきを空中に散布する事になった。」
        「水しぶきとはいえ、音速で飛行するドローンにとってはコンクリートに衝突するのと同じ衝撃を受けるわ。」

    【サッチ】
        「こちらの攻撃を読みきっていたということなの ?」

    【ナナ】
        「ロールをうつタイミングからみてそうとしか考えられないわ。」

    【サダッチ】
        「同時に2箇所からの攻撃を回避したというの ?」
        「なんと言う戦闘力なの・・・。」

    【ナナ】
        「で、ヤツが放ったドローンは今どこよ。」

    【サダッチ】
        「こっちに向かっているけれど・・・。」
        「まだ水の中・・・。」


    【ナナ】
        「なら、まだこちらに勝機があるわ。」
        「防空戦用意っ!」

    バヒューーーーーーン・・・・。

    突然モニターが真っ黒になり辺りが静まり返った。

    【サダッチ】
        「ぁ、電源落ちた。」

    【ナナ】
        「そのようね。」

    電力モニターでは、電気残量がゼロを示していた。

    ヘッドマウントディスプレイを外しながら少しガッカリした。
    【サッチ】
        「電源が落ちたのであれば、交戦記録は残ってないでしょうねぇ。」

    【サダッチ】
        「貴重なデータが取れそうだったのに残念ね。」

    【サッチ】
        「どうしたの ?」
    無口になったナナに声を掛けた。

    【ナナ】
        「ぃえ、なんでもないわ。」
    負けなかったとはいえ、強い敗北感を感じていた。

    ヘッドマウントディスプレイを外しながら、3姉妹と東郷たちが、奥のソファから起き上げるのが見えた。


    【ミーシャ】
        「あんたたちが出てきたせいで、稼働時間が予定より短くなったじゃないのよっ!」
    おかんむりだった。

    【ナナ】
        「ご、ごめんね。 電源落ちちゃった。」
        「ぁははは・・・。」


    キッチンではすでに夕食の準備ができていた。

    【セッちゃん】
        「あら、早かったのね。」

    【ナターシャ】
        「ナナたちが乱入してきたせいで、稼働時間が短くなったのよ。」
        「まったく、せっかくの稽古がパーだわ。」


    【ナナ】
        「ねぇ、どうして ?」

    唐突に質問されて、私も何を聞かれたのかわからなかった。
    【東郷】
        「何が ?」

    【ナナ】
        「どうして、私たちが攻撃してくるってわかったのよ。」

    【ミーシャ】
        「当然じゃない。」
        「最初の偵察ドローンが放った索敵レーダーで散開すれば、敵意があるって丸わかりよ。」
        「攻撃を受けると思ったから散開したんでしょ。」

    【サッチ】
        「なるほど、良く見ているのね。」

    【ナターシャ】
        「まぁ参戦してきたと言うことは、その時点でやる気満々でやって来たってことでしょうしね。」

    【東郷】
        「まぁ、皆の戦術としては良かったと思うよ。」
        「洋上へ抜けようとしたらナナ君たちのドローンが頭の上に来るのが分かったから、正直もうダメだと思ったよ。」

    【サダッチ】
        「水上でロールして水しぶきでシールドを形成したのは ?」

    【東郷】
        「ぁ、あれね。  やぶれかぶれさ。 どうせダメなら、一か八かってやつね。」
        「たまたま偶然に成功しただけで、あれば何度でも成功するものではないさ。」
        「ロールをうった事で船体強度が著しく低下したので、次に攻撃を受けたらアウトだったかもしれない。」

    【サッチ】
        「ぁ・・・呆れたわ。」
        「私達は教官の運と戦って負けたと言うの ?」

    【セッちゃん】
        「今日は、クジラの肉で作ったハンバーグよ」

    【ナターシャ】
        「牛肉じゃないの ?」

    【セッちゃん】
        「ごめんね。」
        「オーストラリア産は、テロ支援国家と認定されてからはオージービーフは制裁対象として全面禁輸となってるし、アメリカ産もBSE騒動で輸入が止まったままだから・・・。」
        「一番安いお肉は、養殖が始まったゴンドウクジラなのよ。」

    【セッちゃん】
        「でも、このお肉も値上がりするかもしれないわ。」

    【サッチ】
        「どうして ?」

    【セッちゃん】
        「今日、夕方、森裏湾を閉鎖して作られた養殖施設が、シーブルドッグの攻撃を受けたのよ。」
        「ここ2、3時間前の話ね。」


    テレビを ON にしてチャンネルをニュースにあわせた。
    破壊された堤防に黒煙を上げて炎上する港湾施設が映され、傷ついたゴンドウクジラが浜に打ち上げられていた。

    【サダッチ】
        「またあいつらの仕業か。」

    【現地レポーター】
        「養殖施設への破壊工作は、オーストラリアに拠点を置く環境テロリストのシーブルドッグが犯行を認めており  "施設の完全な破壊に成功した。 数多くのクジラの救出に成功したが脱出を試みたクジラのいくつかは日本人に射殺された。" との声明が出されています。」
        「しかし漁業関係者によりますと、  "日本人がクジラを射殺した事実はなく、目下傷ついたクジラを保護し、今も全力で救助活動を継続している。" との情報が入っています。」


    【現地レポーター】
        「今回の襲撃により養殖施設の漁師1名が病院へ搬送されましたが、まもなく死亡が確認されました。  これについてもシーブルドッグ代表のポール・ワトキンソンはWEB上で声明を出しており、  "多くのクジラを救う為、犠牲者が出た事はしかたがない。 しかし死亡したのはクジラを監禁していた一味であり当然の報いである。" と発表しています。」

        「さらにWEB上で、ポール・ワトキンソンは、 "今後も我々の容赦の無い無慈悲な破壊活動は続くだろう。"    "我々はオーストラリア政府の支援を受け、最新の装備も近々に配備され今まで以上に攻撃力が向上するだろう。" と発表しており、今後もシーブルドッグの破壊活動が続くことを示唆しました。」
        「いったんマイクをスタジオに返します。」

    【ミーシャ】
        「アトランティス艦隊(※3)へ送られるお肉も、この養殖所のものなの ?」

    【セッちゃん】
        「たぶん違うわ。」

    【セッちゃん】
        「別に専用の養殖施設があったはずよ。」


    【東郷】
        「ところで。」
        「道路封鎖して厳重に警戒態勢が敷かれているのに、犯行グループが捕まったとか、一言も触れられていないよね。」

    【ナナ】
        「たしかに、そうね。」

    【サダッチ】
        「どうせ海から逃げたんぢゃないの ? しらんけど。」

    【サッチ】
        「どうやって ?」
        「水上は常時、海上保安庁が警備しているわよ。」

    【サダッチ】
        「水中 ?」

    【ナナ】
        「そうね。 警備の厳しさから考えて、一番手薄なのは水中ね。」
        「しかし、アイツラが潜水艦をもっているなんて聞いたことないわよ。」

    【東郷】
        「現在、オーストラリアと友好関係にあり軍事的にも協力している国はどこだと思う ?」

    【サッチ】
        「シナ ?」

    【サダッチ】
        「若しくは、統一朝鮮」

    【ナナ】
        「なるほど、シナのセンが強そうね。」
        「確か四国沖のリグに併設されているメガフロートはシナ海軍が進駐していましたわね。」

    【サダッチ】
        「なるほど、そこからシナの潜水艦をチャーターして沿岸に接近したのね。」

    【東郷】
        「まぁ、あくまで推測の域を出ないけれど、多分、大体はあっていると思う。」

    【ナターシャ】
        「でも、それがわかったところで、学生の私達に何が出来るの ?」

    【全員】
        そりゃそうだな・・・。

    しかし、ポール・ワトキンソンの不吉な予告は、こともあろうか後日になって我が学園に災いとなって降りかかってくるのであった。




    その頃、噂をしていた北京の人民大会堂
        シナと統一朝鮮共和国との間でワインを片手に首脳同士の極秘会談が行われていた。
        無駄にだだっ広い応接室で通訳を入れて3名だけの会議だ。
    
    【統一朝鮮共和国:大統領】
        「我々が東海作戦(日本名:対馬戦争)で、独島(日本名:竹島)から撤退した事は国民には伏せてはいますが、日朝平和条約の一環で釜山と博多間との高速鉄道トンネル開通により多くの国民が日本へ訪問するようになった。」

        「ところが、行った先で、独島から我が軍が撤退した事を知って帰ってくる観光客が多く、それがネットで拡散しつつある。」

        「なんとか情報を遮断して、代わりの偽情報を流しているが、東海作戦で大敗を喫した事は、徐々に抑えきれなくなりつつあり、我が政権を揺るがしかねない事態になっている。」

    【シナ人民共和国:書記長】
        「それは由々しき事態ですな。貴国の政情不安は、我が国にも影響を及ぼしかねない。」
        「我が国も、チベットウイグルどもが起こした国家分断を狙ったテロをなかなか押さえられず、漢民族に多数の被害が出ている。」
        「しかも南方では、フィリピンとベトナム、マレーシア、ブルネイインドネシアを主軸としたASEAN艦隊を相手に苦戦を強いられており、人民の不満が溜まりつつある。」
        「貴国で反政府運動が起これば、我が国にも飛び火する危険が大きい。」

    【統一朝鮮共和国:大統領】
        「艦隊は増派されないのですか ?」
        「貴国の大艦隊をもってすれば、ASEAN連合どもの艦隊は蹴散らせるのでは ?」

    【シナ人民共和国:書記長】
        「我が主力艦隊は、日本の四国沖に建設しているメタンハイドレード鉱区のメガフロートに進駐しており、日本からの妨害に備えている。」
        「琉球にも最新の艦隊を配置しているが、これらも九州方面の日本軍を警戒しているので、ASEAN艦隊には振り向けられん。」
        「それに、南シナ海の資源価値は、占領した東シナ海や、進出に成功した四国沖と比較して、それほど重要ではない。」
        「たしかにASEAN艦隊は苦戦しているが、撤退しなければ我が軍の勝ちだ。」

        「我が軍は、目下、着々と、九州と四国の編入を計画している。」
        「その際は、貴国には中国地方の攻略に参加していただきたい。」
        「今回は海底トンネルが開通しているから物資の補給は容易だろう。」

        「今の小日本には、戦争を2正面で戦える国力などは無いし、アメリカとの軍事条約も失効している。」

    【統一朝鮮共和国:大統領】
        「ですが、あの国は、アトランティスと言う宇宙人と防衛協定を結んでいるとの話。」

    【シナ人民共和国:書記長】
        「それは、小日本お得意の妄想だよ。」
        「アトランティスはカモフラージュで実態は宇宙の覇権を独占する為の狂言にすぎない。」
        「太古に滅んだ亡霊を今更呼び出したところで、そんな狂言は誰も信じないさ。」

    【統一朝鮮共和国:大統領】
        「我が国は、近々、外交ルートを通して、アトランティスが開設したと噂される軍の訓練施設にスパイを送り込む計画を立てています。」
        「そこでは陸戦型戦闘鬼と呼ばれる最新鋭の装備の開発や運用テストが実施されているとかで、その能力は我が軍のそれを遥かに超える性能を誇っているとの情報を掴んでいます。」

    【シナ人民共和国:書記長】
        「ハヤブサの事ですな ?」

    【統一朝鮮共和国:大統領】
        「ぇ、ご存知でしたか ?」

    【シナ人民共和国:書記長】
        「我が軍の61398部隊(※4)もその情報は掴んでいる。」
        「我が人民軍も、コイツの能力に注目しており、貴国同様に工作員を潜入させる事を決定している。」
        「我々の方は、情報収集ではなく、実機の鹵獲を目的としている。」
        「我々の陸戦の性能より優れていると言うのはいささか誇張されているとは思うがな。」

        「アトランティスなどと正体のわからい架空の組織なんぞには興味はない。」
        「他にも開発中の機体があるらしいので、調査して奪えるようであれば奪取する事を指示している。」

    とつぜん、書記長が小声で前かがみに話しかけてきた。

    【シナ人民共和国:書記長】
        「ここだけの話だ。 まだ誰にも話はするな。」

    統一朝鮮大統領もそれに答え、前かがみの姿勢で耳を傾けた。
    【シナ人民共和国:書記長】

        「貴殿にはまだ詳細は話せないが、我が陣営に強力な後ろ盾を得ることが出来た。」
        小日本が主張するアトランティスのお伽話は凝った作り話だが、我が方は、正真正銘の科学の進んだ文明との軍事協定を調印する事になるだろう。」
        「その際は、貴国もその協定に加入して頂く必要がある。」
        「彼らの科学力をもってすれば、小日本は一捻りだ。」
        「宇宙一の科学力が手に入れば、あのアメリカの軍事力でさえ圧倒し、これからの宇宙の覇権を難なく手中に収められるだろう。」

        「貴国には我が国の友好国としてしっかりと働いてもらうぞ。」

    【統一朝鮮共和国:大統領】
        「任せて下さい。 書記長。」




    奴らが再び不穏な密談を交わしている頃、脳天気な寮では。

    【サダッチ】
        「やっぱ、ハンバーグは牛肉がいいーーーっ!!」
        「牛肉食いてぇーーー!」

    【ナターシャ】
        「ふん」
        「アトランティス人が牛肉に毒されよってからに。」

    【サッチ】
        「あなた、牛肉ばかり食べたら乳牛みたいに胸でかくなるわよ。」

    【サダッチ】
        「ひとの事言えるわけ ? 2センチしか違わないくせに。」

    【サッチ】
        「大きいと肩がこるし、走ると邪魔だし、大きいのが何がいいわけなの ?」

        ちなみに
            サッチ:90-61-89【E】
            サダッチ:88-60-88【E】
            セッちゃん:111-61-92【N】
        番外
            ナナ:86-57-86【E】

    【ナナ】
        「ちょっと番外ってどういう意味よっ! #」
        「私だって、サダッチとは、2センチしか違わないし同じ E なのに。」

    【サダッチ】
        「ぃや-、80中盤か、後半に属しているかと言うのは、やはり違うわけで。」
        「ほら、80後半だともう少しで、90台と言うイメージがあるし♪」

    【サッチ】
        「ちょっと、セッちゃんっ!」
        「どうして、あなただけ関係なさそうな涼しい顔して食べてるのよ。」
        「この中であなたが一番大きいでしょ。」

    【セッちゃん】
        「ご、ごめんね」
        「私、そういうのあんまり興味なくて・・・。」

    サダッチがムカついてセッちゃんの後頭部をグーでどつく。

    【セッちゃん】
        「いったぁーーー !?」
        「どうしてグーなの ?」

    【サダッチ】
        「いや、なんとなく」


    【ターニャ】
        「ごちそうさまでした・・・。」

    食器を片付けることなく、そそくさと自室に戻っていった。

    【ナナ】
        「・・・、あら、めずらしく今日はすぐ戻っていったのね。」

    【ミーシャ】
        「私が片付けておくわ。」

    【ナナ】
        「なにかあったの ?」

    【ミーシャ】
        「別に。」

    【ミーシャ】
        「明日、ナンバのでんでんシティーへ本を買いにいくのよ。」
        「すぐに売り切れるそうだから、毎月朝一番でナンバまで出掛けるのよ。」
        「早く寝て明日は朝から出発するのよ。」


    【サダッチ】
        「本って何 ?」
        「本屋さんは、大和にもあるじゃないの ?」

    【ミーシャ】
        「月刊、ドシロートってマンガよ。」
        「大和では売ってるところがないからナンバまで行くのよ。」

    【ミーシャ】
        「かなり昔にカードゲームってのが流行っていたらしくて、そのゲームを題材にしたマンガだったらしいのよ。」
        「でも今は、対戦型携帯コンテンツが題材になっているみたいよ。」

    【セッちゃん】
        「へぇ。 ミーシャはゲームしないの ?」

    【ミーシャ】
        「私はやらないわよ。」

    やれやれ子供の遊びには興味ないわって感じの態度でクビを横にふった。


    【ナターシャ】
        「まぁ、ターニャもゲームやりたくて本を買うのではなく、付録でついてくる携帯アプリの無料ダウンロードの権利がほしいだけよ。」

    【サダッチ】
        「アプリがタダで貰えるの ?」

    【ナターシャ】
        「そうよ。」
        「ただソースコードも付いて来るから、自分でカスタマイズも出来ちゃうの。」
        「その中から、特に気に入った装備を見つけては、自分で識神展開術のコードにアレンジして、実際に具現化する事を趣味にしているの。」

    【セッちゃん】
        「でも、携帯アプリと、ナノ技術を使用した脳内アプリとは根本的に違うんぢゃないの ?」

    【ミーシャ】
        「そうよ。」
        「でも、携帯アプリで使用されている3Dグラフィックの描画機能から形状複製を行っているので ほとんど同じ姿に再現しているわ。 しかし、それはあくまで形を再現しただけで、 そのアイテムには魔法も魔力も宿していないから、そこは、ナノマシンで、それっぽく見せているわ。」

    【サダッチ】
        「携帯アプリのソースからナノマシンのソースを起こすなんて、すごいね。」

    【ナターシャ】
        「そんなに難しい話ではないわ。」
        「私もミーシャだってできるし。」

    【ナナ】
        「ずっと聞こうと思っていたのだけれど、どこでそれほどのナノマシンの高等テクニックを覚えたの ?」

    【ミーシャ】
        「ん ?」
        「気付いたら、出来るようになってた。」
        「まぁ天才って言うのは私達のような子を言うのかしら。」

    【ナナ】
        「・・・!」
    生意気だとはおもったが、事実、そうである事は認めざるを得ず、返す言葉が思い浮かばなかった。


    【ナターシャ】
        「お母様が言ってたわ。」
        「天才とは、天から授かっさた99%の才能と、1%の努力する人を言い、 努力家とは、天から授かっさた1%の才能に、99%もの努力をする人を言う・・・って」

    【ミーシャ】
        「でも、結果として実力があるのであれば、それを身に付けるまでのプロセスは問題ではない・・・とも言っていたわ。」

    【ナターシャ】
        「だから、私達は努力をする人を決して馬鹿にはしない。」

    【ナナ】
        「そうね、人を見下す人ってサイテーよね。」
    いい教育を受けていたのね、きっと。
    しかし、いったいどういう家柄の子たちなんだろぅ・・・。


    時折見せる三姉妹たちの素養の高さに不思議に思うナナだった。

        (※1)音響ドローン
                地球軍が対潜水艦作戦で使用する、アクティブ・ソナーを使用したブイに似ており、 電波の届きにくい水中を電波の代わりに音波を発して、その反射波で水中の物体の正確な位置を特定する。

        (※2)無人捜索ドローン
                早期警戒用の無人探査機で、様々なセンサーを搭載して周囲の物体を探索を行う。
                基本敵、探査ドローンと呼ばれるが、たいていは無人捜索ドローンと呼ぶが、中には音響ドローンのように 伝播速度の遅い音響を使用したタイプも保有してるが、宇宙戦闘では当然使用されるケースはない。

        (※3)アトランティス艦隊の備蓄食料としてのクジラ肉
                もともとアンドロメダ陣営に属していた頃、母星での蛋白源はクジラによく似た海洋性動物の肉から得ていた。
                しかしアンドロメダ陣営を追われたアトランティス艦隊は地球に非常によく似たクジラをタンパク源とするようになった。
                一時は乱獲が危惧されたが、日本の研究機関の努力で養殖技術が確立され、どうにか艦隊への補給が継続できるようになった。
                しかしクジラ肉流通により牛肉の流通が減ることを恐れた豪州政府は、IWCに対して養殖の全面禁止と、従来認められていた 沿岸捕鯨ですら全面禁止を訴え、主張が認められた。 しかし日本はIWCIWCの理念を放棄した事を理由にIWCを脱退するも 今度は国際司法裁判所に訴えらるが、日本は出席を頑なに拒否している。
                そこで業を煮やした豪州政府は環境テロリストであるシーブルドックに養殖施設の破壊を依頼し、日本と豪州との全面抗争に発展した。
                豪州は養殖しているゴンドウクジラを政治目的でレッドデータブックに掲載する事に成功し、食用を阻止しようとする一方、 牛肉の生産拡大の為、放牧地を荒らすアカカンガルーを害獣に指定し絶滅に追い込む。 しかしレッドデータブックには掲載される事は無かった。
                
        (※4)61398部隊
                上海に拠点を置く、シナ人民軍の情報戦超エリート部隊。
                活動目的は多岐にわたり、シナ人民の通信を監視して不穏な動きがあれば事前に潰したり。
                海外企業の通信から機密情報を盗み出す、或いは海外にある海外企業や政府機関から機密情報を盗み出す等、情報窃盗のエキスパートとして海外にも広く名が知られている。
 

 

    -----------------------------------------------
    【1-4- *】 END
    -----------------------------------------------
    ■思っていたのとちょと違う感じ
    登場人物
    -----------------------------------------------
    【ミーシャ】
    【ナターシャ】
    【ターニャ】
    【ナナ】
    【サダッチ】
    【セッちゃん】
    【サッチ】
    【東郷】
    【さえ】
    【みさ】
    【十三】
    【アンナ】
    【レイチェル】
    【フクちゃん】
    【なるみ】
    【オカちゃん】
    【ケンジ】
    【ヒジキ】
    【ヘンリェッタ】
    【アルフォンス】
    【マナブ】
    【まっちゃん】
    【シャルロット】
    【フランシーヌ】
    【良子】
    【ノブちゃん】
    【バネット】
    【ブリジット】
    【レオンハルト
    【アルビータ】
    【ヒデコ】
    【マリ】
    【トミちゃん】
    【ジャンヌ】
    【キヨちゃん】
    【おみくじ】
    【エルメス
    【フランス軍特殊部隊:A】
    【添下学園ボギーフリート3:生徒A
    【添下学園ボギーフリート3:生徒B】
    【添下学園ボギーフリート3:生徒C】
    【添下学園ボギーフリート3:生徒D】
    【添下学園ボギーフリート3:生徒G】
    【添下学園ボギーフリート2:生徒H】
    【添下学園ボギーフリート2:生徒I】
    【辻木運輸:辻木所長】
    【辻木運輸:社員A】
    【辻木運輸:社員B】
    【辻木運輸:社員C】
    【統一朝鮮共和国:大統領】
    【シナ人民共和国:書記長】
    【現地レポーター】
 

 

 

 

 

 

 

 

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