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アトランティスの亡霊

Ghost of Atlantis

【1-8-5】日本軍参戦

日本軍参戦

【1-8-5】

 

太平洋上空 AS16 艦内

AS16は、真台湾の航空管制と通信が繋がっていた。

 

【真台航空管制官
 「こちら真台航空管制団、貴殿の信号をキャッチした。」
 「誘導するので迷子になるなよ。」

 

【サダッチ】
 「こちらAS16了解した。」

 

【まっちゃん】
 「今、誘導波を確認しました。」

 

【サッチ】m(_ _)m
 「感謝します。」

 

【ナナ】
 「あとどれくらいで着きそう ?」

 

【まっちゃん】
 「電波の方向と強さからして、あと10分くらい ?」

 

【アン】
 「思っていたよりは近くね」

 

【ナナ】
 「だが、追っ手はすぐ背後よ。」
 「気を緩めると沈むわよっ!!」

 

【まっちゃん】(,,゚Д゚)
 「センサーが新たな増援を感知っ!」
 「数は8、現在接近中の16機を含めると24機ね。」

 

【ナナ】φ(..)
 「今まで落とした分を考慮すると、相手はほぼ全機を繰り出してきた事になるのかな ?」

 

【なるみ】(-_-;)
 「思っていた以上にしつこいわね。」
 「絶対に女の子に嫌われるタイプが指揮しているに違いないわ」

 

【レイチェル】
 「フツーは艦隊防空用に何機か残すでしょ ?」

 

【ナナ】
「相手は米軍じゃないのよ。 常識は通じないわよ。」


だが、接近中の16機の航空機はミサイルの射程距離に入っても撃ってこなかった。

 

【サッチ】(゚д゚)!
 「あれ ?」
 「どうしたのかしら ?」
 「撃たないわね・・・。」

 

【なるみ】
 「まぁ飛んできたモノは全部回避したり撃破していますからね。」
 「なので、今度はギリギリまで接近して、避けられない距離で撃つつもりなのでは ?」

【サッチ】(・o・)
 「もしかして学習した ?」

 

【サダッチ】┐(´д`)┌
 「それは馬鹿にしすぎよ」

 

【サッチ】
 「ねぇ迎撃はどうしたのよ ?」

 

【なるみ】
 「積乱雲から離脱したからね。」
 「電気がないのよ。」

 

【サッチ】
 「それじゃぁ、手も足も出ないじゃない。」

 

【サッチ】ヽ(`д´;)ノ
 「ダメなら、もう一度ハヤブサで出るわよ。」

【まっちゃん】(・o・)
 「ぁ、それは無理」

 

【サッチ】
 「なんで ?」

 

【まっちゃん】
 「さっき、甲板をパージした時、発進口も海へ捨ててしまったから・・・。」

 

【サッチ】ヽ(`д´;)ノ
「なにやってるのよっ!!」

 

【まっちゃん】
 「だってしようがないじゃないの、緊急事態なんだし。」

 

【サダッチ】
 「出口を捨てる機構だなんて、とんだ欠陥ね。」

 

船内は爆笑につつまれた。

 

【まっちゃん】
 「そもそも、乗員が常駐するなんて考慮していませんでしたからね。」
 「それは仕方はないですよ。」

 

【まっちゃん】
 ん!? 何 ???

 

センサーが捉えた僅かなシグナルをまっちゃんは見逃さなかった。

 

【まっちゃん】
 「シナ軍機、距離10000mにまで接近っ!」

 

【まっちゃん】

 「さらにセンサーに新たな複数の感っ!!」
 「対艦ドローンですっ!!」
 「数、32!」
 「母機は、退避しないでなお接近中ですっ!!」

 

【なるみ】
 「トドメを狙うつもりね」

 

再び船内は緊張につつまれた。

 

【サッチ】
 「いよいよおいでなすったわね。」

 

【ナナ】ヽ(`Д´#)ノ
 「近接防空戦用意っ!!」
 「中距離索敵レーダーの電力をすべて近接火力にまわしてっ」
 「こんな近距離で撃たれたら着弾までの猶予がないから急いでっ!!」

 

【なるみ】
 「了解っ!!」
 CIWSで迎撃開始っ!!」

 

近接対空火器の20mmバルカンが瞬く間に脅威度の高いターゲットを掃討した。

 

【なるみ】
 「5発消滅!」
 「しかし、残り27発直進っ!! 着弾コースですっ!!」

 

【なるみ】ヽ(`д´;)ノ
 「数多すぎっ!!」

 

【アン】(,,゚Д゚)
 「回避無理よっ!!」

 

操艦担当のアンが叫んだ。

 

【ナナ】(,,゚Д゚)
 「全員、衝撃に備えてっ!!」

 

全員が近くにあるものに捕まって衝撃に備えた。
・・・が何も起こらなかった。

 

【ナナ】(・o・) ?
 「あ・・・あれ ?」

 

【旧台湾空軍パイロット A】
 「聞えるか?」
 「こちら、真台中南混成航空旅団」
 「すべての対艦ミサイルはこちらで撃破した」

 

【旧台湾空軍パイロット A】
 「そちらは無事か ?」

 

【なるみ】
 「うそ!?」
 「助かったの ?」

 

【サッチ】
 「ありがとう、私たちは全員無事よ」

 

安堵で床に座り込む子たちもいた。

 

ジョージ】
 「真台中南混成航空旅団って ?」

【サダッチ】
 「元は、台湾本土で展開していた台中基地の第427戦術戦闘航空団と、台南基地の第443戦術戦闘航空団の生き残りで再編された航空団の事でたしかアメリカ軍のF-35の払い下げを運用していたと思うわ。」

 

【サッチ】
 「電力不足でセンサーを後部に集中していたので、台湾空軍の航空機には気づかなかったわ」
 「感謝致します。」

 

【旧台湾空軍パイロット A】
 「??? その声は、女の子 ?」

 

【サッチ】
 「そうよ」

 

【旧台湾空軍パイロット B】
 「ぉいマジかよ、女の子だけで、その巨大な飛行船を飛ばして戦っていたと言うのか ?」

 

【旧台湾空軍パイロット A】
 「ならば、俺達のやる事はただ一つ」
 「野郎ども、判ってるだろうな ?」

 

【旧台湾空軍パイロットたち】
 「ぉう」

 

【旧台湾空軍パイロット B】
 「よってたかって女の子を追い詰める輩は許しはしないっ!!」

 

【旧台湾空軍パイロット A】
 「その通りっ!!」

 

【旧台湾空軍パイロット A】
 「全機、散開っ!!」
 「敵戦闘機隊を迎撃するっ!」
 「一機たりとも逃すなよっ!!」

 

【旧台湾空軍パイロットたち】
 「了解っ!!」

 

旧式とはいえ、練度でまさる真台湾空軍の戦闘機隊は、瞬く間にすべての敵機を撃墜し、AS16は 真台湾空軍の厳重なエスコートを受けて海上移動要塞「真台湾」に着陸した。

 

というよりか、不時着した・・・。

 

 


ジョージ】ヽ(`д´;)ノ
 「どうして、このフネに降着装置がついてないのよっ!」

 

【まっちゃん】
 「そもそもこのフネは着陸することなんて最初から想定していなかったのよ。」

 

ジョージ】
 「ぃや、でもいつかは着陸するでしょ ?  故障もするだろうし、老朽で退役する日も来るだろうし・・・。」

 

【まっちゃん】
 「その時は最初から海に沈める予定だったのよ。」

 

【レイチェル】
 「それはあまりにもぞんざいな扱いだな・・・。」

 

【まっちゃん】
 「仕方ありませんよ。」
 「地上解体した日にゃ、廃棄されるはずだったパーツがどこかで流通するリスクもありますからね。」

 

 

【台湾大統領】
 「おおおーーこれが AS16か」
 「噂でしか聞いたことがなかったけれど、まさか実在してこうやってお目にかかれるとは。」

 

【サッチ】
 「あなたは ?」

 

【台湾大統領】

 「これは失礼しました。」
 「私は、台湾大統領のカク・フェンミンです。」
 「ようこそ、真台湾へ」
 「このたびはいろいろ大変だったようで・・・。」

 

【サッチ】m(_ _)m
 「いえこの度はピンチのところを助けて頂き誠に感謝致します。」
 「ありがとうございました。」

 

【台湾大統領】
 「いえいえ、我々こそいつも日本の方々に多くの事で助けて頂き、我が国民は日本の皆さんに感謝しています。」
 「こうやってあなたたちをお助けできたことを誠に光栄に思っています。」

 

【台湾大統領】
 「後に外務省の担当者をそちらへ回しますので、宿泊施設をご案内させましょう。」

 

【サッチ】m(_ _)m
 「ありがとうございます。」

 

【ナナ】
 「しかし・・・アレどうなるのかしら ?」

 

【台湾大統領】
 「AS16ですか ?」
 「心配はいりませんよ。」
 「明日、硫黄島からの定期便が到着します。」
 「それには日本とアトランティスのエンジニアが乗られていますので被害状況を確認したうえで修理を行うそうです。」

 

【ナナ】
 「修理ってどこで ?」

 

【台湾大統領】
 「この艦(真台灣)の中ですよ。」
 「案内しましょう。」

 

同席していた国防大臣が大慌てとなった。

 

【国防大臣】(,,゚Д゚)
 「閣下、あそこは我軍でもトップクラスの警備区域です。」
 「よろしいのですか ?」

 

【台湾大統領】┐(´д`)┌
 「構わないさ。」
 「今の私達がここにいるのは、彼女たちの同胞が命を掛けて私達を守ってくれたからにほかならない。」
 「これくらいのことは構わないさ。」

 

【国防大臣】(-_-;)
 「そ、そうですね。」

 

資材用エレベーターで案内された先は地上からかなり深いところだった。


【なるみ】
 「結構、深くまで降りるのね。」

 

【台湾大統領】
 「この真台湾は、台湾本土がシナ軍の攻撃を受け、タカオが陥落した8時間後には早くも建造が開始されました。」
 「日本の総力を結集した結果、わずか96時間後には紀伊半島沖へ展開し、必要設備の艤装と並行しながら同時に多くの台湾本土からの避難民を受け入れてくださいました。」

 

【台湾大統領】
 「最終的には約500万人を収容する事ができました。」

 

【ナナ】(*゚∀゚)
 「ここに500万人も住んでいるの ?」

 

【台湾大統領】
 「はい、そうです。」

 

【台湾大統領】
 「さて到着しましたよ。」
 「ここが真台湾の最深部、いわゆる艦底ですね。」
 「水面下350mもあります。」

 

【アン】
 「ここは・・・もしかして港 ?」

 

【国防大臣】
 「はい、そうです。」
 「正確な呼称は、"アトランティス艦隊真台湾ドック" です。」
 「実のところ、アトランティス艦隊とはいうものの、実際はアトランティス王室近衛隊に属しており、このドックの存在についてはアトランティス艦隊内にも知る者はほとんどおりません」

 

【台湾大統領】
 「このドックをあなた達にお見せできるのは、あなた達が王室直轄の帯締学園の学生さんだからです。」

 

【台湾大統領】
 「ホラ、見てください」
 「あそこのフネはつい先日に改装工事を終えたばかりの最新鋭重巡洋艦高雄型の4隻です。」

 

【まっちゃん】
 「たしか、妙高型の発展型でしたよね ?」

 

【国防大臣】
 「さすがよくご存知で。」

 

【まっちゃん】
 「この艦たちは先行試作型ですが、米英にて量産型が11隻建造されており、すでに作戦航海中との噂です」

 

【台湾大統領】
 「このタカオを私達の手で改装してほしいと日本から依頼を受けた時は、私は感動で涙が出ましたよ。」

 

【レイチェル】
 「どうして日本の宇宙艦がココで改装工事を ?」

 

【台湾大統領】
 「私も詳しくは聞いていませんが、日本艦隊は近々大規模な作戦に出られるのでフネを整備しているのだそうです。」
 「しかし整備ドックが不足したので、一部のフネが地球に降りており、ここ真台湾以外の場所でも日本のフネが整備されているとも聞いております。」

 

【国防大臣】
 「毎日飛来する硫黄島からの定期便の殆どが、この高雄への物資輸送に従事する任務を帯びています。」

 

【台湾大統領】
 「この4隻は先日、日本政府からこのまま真台湾を母港にできないかと打診がありました。」
 「タカオを整備できるおかげで市民には仕事と給料を支給できるようになりました。」
 「日本には感謝しております。」

 

【サッチ】
 「いいフネですね。」

 

【台湾大統領】
 「そうですね。 私もそう思います。」
 「私達が心を込めて整備したフネ。」
 「是非、無事に帰還してほしいと、市民一同、心からそう願っております。」

 

とつぜん空襲警報がなりだした。

 

【サダッチ】
 「これは ?」

 

【台湾大統領】
 「シナ軍の嫌がらせです。」
 「こうやって1日1度は、弾頭弾を嫌がらせで撃ち込んでくるのです。」

 

【サッチ】
 「何発かくらったと聞きましたが」

 

【台湾大統領】
 「ぃやはや、よくご存知で」
 「そうです。」
 「最初のうちは被弾していたのですが、今ではこの真台湾の操舵の腕前も当初よりは格段に向上し、さらに正確な飛翔コースの計算も可能になったので、今では当りませんよ。」

 「あちらも5億円くらいする弾頭弾を1発作ってはこちらに撃ち込むのが限度のようです。」

 

【台湾大統領】
 「まぁ日々のルーチンワークのようなものです。」

 

【なるみ】(-_-;)
 「ルーチンワークって・・・。」
 「緊張感がないのね・・・。」

 

【ナナ】
 「シナ軍には偵察ドローンからAS16が真台湾に不時着しているのがバレバレですよね。」
 「大丈夫かなぁ。」

 

【国防大臣】
 「偵察ドローン? ぁ、偵察衛星のことですね。」
 「ご心配なく。」
 「AS16は今頃はシートで覆われていると思いますよ。」

 

【台湾大統領】
 「すぐにココに搬入して修理を急がせます。」

 

【台湾大統領】
 「それから、すごく大事なメッセージをアトランティス王室近衛隊から預かっておりました。」

 

【サッチ】
 「なんでしょう。」

 

【台湾大統領】
 「大事なAS16を沈めること無く持ち帰ってくれた判断力と行動力に敬意と感謝の意を表する・・・との事です。」

 

【台湾大統領】
 「さて、宿泊施設に案内するのにはまだ時間があるので、街にでも繰り出しますか ?」

 

【アン】
 「街があるの ?」

 

【台湾大統領】
 「ええ、美味しい屋台もありますから、台湾を堪能して下さい。」
 「私はまだ公務が残っておりますのでここで失礼いたします。」

 

【レイチェル】ヽ(=´▽`=)ノ
 「はーーい、ありがとうございました。 お疲れ様でした。」

 

 


街に繰り出した一行はまばゆい夜景にそこがメガフロートである事を一瞬忘れさせた。

 

【なるみ】
 「すごいね」
 「本当に台湾にいるみたいだ」

 

ジョージ】
 「この人達も全員避難して来たひとたちなんでしょ ?」

 

【アン】
 「そうだね。」

ジョージ】
 「故郷に帰りたいでしょうね。」

【レイチェル】
 「そりゃ当然よ。」


賑わう屋台の通りの向こうの方から怒鳴り声が聞こえてきた。

 

【台湾市民A】

 「お前たちが腰抜けだからオレ立ちが島を追われる身になったんだろうがっ!!」
 「どのツラ下げてこの街を歩けると思ってるんだ ?」

 

人垣をかき分けて覗いてみると、3人の兵士が10人くらいの市民に取り囲まれ胸ぐらを掴まれていた。

 

【台湾市民A】
 「なんか言ったらどうなんだ ?」

 

兵士たちは無言のままだった。

 

【台湾市民A】
 「口も聞けないのか、腰抜けめっ!!」

市民の一人が放ったパンチが兵士の顔面を捉え地面に倒れ込む。

 

【旧台湾空軍パイロット B】
 「先輩っ!大丈夫ですかっ?」

 

どうやら、やられたのはリーター格のようだった。
もうひとりの仲間が反撃するつもりで拳を構えたが、殴られた先輩格がすかさず静止した。

 

【旧台湾空軍パイロット A】

 「よせっ!!」
 「我々は民間人に怪我をさせてはならんっ!!」

 

【旧台湾空軍パイロット B】
 「し、しかしっ!!」

 

【サッチ】
 「ぁ、あの声・・・」

 

リーター格の声に聞き覚えがあった。

 

【サッチ】
 「あの時のパイロットだ。」

 

【サダッチ】
 「そうですね。」
 「ここの軍人さんは市民には手を出さないポリシーがあるようですわね。」

 

【ナナ】
 「紳士ね。」

 

【ナナ】
 「さて、どうする ?」

 

【サッチ】
 「助けていただいたお礼はしなくちゃ。」

 

【サダッチ】
 「決まりね。」

 

【サッチ】
 「ちょっと、そこのお兄さんたち。」

 

【台湾市民A】
 「なんだぁ ?」
 「女か。」

 

【台湾市民B】
 「何のようだ ?」

 

【台湾市民C】
 「俺達とデートしたいってか ?」

 

【台湾市民B】
 「おぅそれいいね。」

 

【台湾市民D】
 「よく見れば全員美人ぞろいじゃねーか。」

 

【台湾市民B】
 「今夜は楽しくなりそーだな。」

 

【サッチ】
 「ねぇ、相手が軍人さんとは言え、丸腰相手に3対10とはアンフェアではないかしら ?」

 

【台湾市民B】
 「ぁあっ!?」

 

【台湾市民C】
 「なんだとっ!!」

 

【台湾市民B】
 「この腰抜けどものせいで、故郷はシナに占領されたんだぞっ!!」

 

【台湾市民C】
 「命を失ったヤツも大勢いる。」

 

【台湾市民D】
 「殴られて済むだけマシだと思えやっ!」

 

【サダッチ】
 「あなた達の言い分は判りましたわ。」

 

【サッチ】
 「で、まだやるのかしら ?」
 「私たちは、この殿方に少々借りがあるのでこれ以上、この方たちに手をだすようであれば私達も黙ってはいませんわよ。」

 

【旧台湾空軍パイロット A】
 「き、君たちは・・・。」

 

【ナナ】
 「さっきは助けていただいてありがとう。 助かりましたわ。」

 

【台湾市民B】
 「くそっ、女だからとコチラが遠慮するとでも思っているのか ?」

 

【旧台湾空軍パイロット A】
 「君たちは、さっきのAS16の ?」

 

【ナナ】
 「そうよ。」

 

【台湾市民B】

 「こらぁ、オレらを無視して勝手に話を盛り上がるなっ!! クソがぁ!」

 

【サッチ】

 「あら下品ね。」
 「私は下品な男は好みじゃないの。」

 

【台湾市民A】
 「なんだと? 本気でケンカ売ってんのかっ!!」

 

【サダッチ】
 「本当の事を言ったまでよ。」

 

【旧台湾空軍パイロット A】
 「君たち、市民に対して喧嘩はマズイよ。」

 

【レイチェル】
 「いいのよ。 私たちは、真台湾軍の兵士ではないですから。」

 

【アン】
 「あなた達の市民に危害を加えないポリシーには感動したわ。」

 

【サッチ】
 「ならば、ここはそのポリシーに縛られない私の出番よ。」

 

【サダッチ】
 「 "私"って、10人相手に一人で相手するの ?」

 

【サッチ】
 「十分でしょ ?」

 

【ナナ】(-_-;)
 「ぃや、手加減してあげてね。 民間人だし・・・。」

 

【台湾市民B】
 「なんだとこらぁ」
 「女たったひとりでオレたちに勝てると思ってるのか ?」

 

【台湾市民A】
 「随分とナメられたものだな。」

 

【サッチ】
 「ナメてはいないわよ。 だから、あなたたち10人を私一人で相手しようと言ってるのよ」

 

【台湾市民A】
 「くそっマジナメやがってっ!!」

 

最初は女という事で手加減して殴ったつもりがあっかりとかわされてしまった。

 

【台湾市民A】
 「ちっ」

 

見事な空振りにヤジが飛ぶ。

 

【台湾市民B】
 「なにやってんだよ。」

 

【台湾市民C】
 「女相手に手加減しすぎだろ」

 

【台湾市民A】
 今度は少しホンキださせてもらおうか。

 

しかし、次のパンチも軽くかわされ、逆に足を引っ掛けられて無様に転倒してしまった。

 

【台湾市民B】
 「おいおいふざけすぎだろ」

 

【台湾市民A】
 くそ、おかしいな・・・さっきはそこそこマジだったのに・・・。

 

【台湾市民A】
 「女と思って少々ナメてたが、多少はデキるようだな。」

 

【旧台湾空軍パイロット B】(,,゚Д゚)
 「先輩、どうします。ヤバイですよ。」
 「止めに入りましょうか ?」

 

【旧台湾空軍パイロット A】
 「ぃやいい。」

 

【旧台湾空軍パイロット A】
 「アイツらにはいいお灸になるかもしれん。」

 

【旧台湾空軍パイロット B】(-_-;)
 「知りませんよ。まったく・・・。」

 

【サッチ】
 「あら、さっきのはホンキではなかったの ?」
 「そこそこマジでかかって来たところをかわされてすごく焦ったように見えたんだけれど ?」

 

【台湾市民A】
 「くっ」

 

今度は全力で殴りにかかったが・・・気がついたら満天の星が見えていた。

 

【台湾市民A】

 カウンターを食らったのか ?

 

リーダーの敵を討つべく残った者たちがサッチを取り囲んだ。


【台湾市民B】
 「このアマっ!!」

 

【台湾市民C】
 「調子にのりやがって」

 

次の瞬間、街に警報が鳴り響いた。

 

【台湾市民たち】(,,゚Д゚)

 「???」

 

【旧台湾空軍パイロット A】
 「襲撃警報だと ?」

 

【サッチ】(・o・) ?
 「なにそれ ?」
 「空襲とは違うの ?」

 

【旧台湾空軍パイロット A】
 「ああ、違う。」
 「これは地対艦ミサイルや、弾道ミサイルの攻撃とは別の、直接敵が上陸してきた時の警報だ。」
 「訓練では聞いた事の有るサイレンだが、この時間に訓練があるとは聞いてはいない。」

 

【サッチ】
 「って事は ?」

 

【旧台湾空軍パイロット A】
 「これは演習ではない・・・ってことだ。」

 

街の上空に何体かのAMPがジャンプで移動していくのが見えた。

 

【サダッチ】
 「シナ軍のAMPっ!!」

 

真台湾軍には初めてお目にかかる装備だった。

 

【旧台湾空軍パイロット A】
 「あれが、君たちの言う戦闘鬼ってやつなのか ?」

 

【サッチ】
 「そうよ、開発している国々の間では AMP、つまり先進型機動甲冑と呼称されているわ。」

 

ジョージ】
 「あの方角は・・・」

 

【レイチェル】
 「AS16が不時着したエリアに向かってるわね。」

 

【アン】
 「しつこいわね。 ここまで追ってきたってわけ ?」

 

【旧台湾空軍パイロット A】
 「我が陸軍が出動しているはずだから、容易には近づけはしないさ。」

 

【サダッチ】
 「だといいんだけど・・・。」

 

【旧台湾空軍パイロット A】
 「ぉい、はやくソイツを連れて近くのシェルターへ退避しろっ!!」

 

パイロットが、市民に指示を出す。
なんだかんだと粋がっても所詮は民間人。
目の前に戦闘が迫るとビビらないワケがない。
そこへ突如として1体のブーメランが道路に不時着してきた。

 

【サダッチ】
 「空戦パック装備か・・・。」

 

【まっちゃん】
 「どうやら、近くに潜んでいた潜水艦から打ち上げられてやって来たようね。」

 

【サダッチ】
 「何機かはAS16に向かって、コイツは街を襲撃か・・・。」
 「戦力を分断して AS16の警備を薄くさせる気ね。」

 

街を襲撃したブーメランは、マシンガンを乱射し街を破壊し始めた。

 

【サッチ】

 「あぶないっ!!」

 

銃撃が逃げ遅れた市民に向けられた
間一髪で、シールドで銃撃を防いだ。


市民に厳しく警告するナナ。
【ナナ】
 「だから早く逃げてと言ったでしょ。」

 

【ナナ】
 「シールドは何分持ちそう ?」

 

【サッチ】
 「補給していないから、そう長くは持たないわよ。」

 

【ナナ】
 「そうか・・・。」

 

【サッチ】
 エグザクタっ!!
 ここまで何分で来られる ?

 

【エグザクタ】
 緊急起動しーけーんすデはやぶさヲ立チ上ゲラレレバ、5分デ。

 

ナノリンクの有効範囲がギリギリなのか交信にノイズが交じる。

 

【エグザクタ】
 シカシ・・・。

 

【サッチ】
 しかし ?

 

【エグザクタ】
 ばってりー残量ガホトンド残ッテイマセン。

 

【サッチ】
 どうして ? まだ余裕があった筈でしょ ?

 

【エグザクタ】
 不時着シタ時ニAS16ノぱーつガはやぶさノめいんばってりー基盤ニだめーじを与エ
現在ハ予備ばってりーシカ使用デキマセン。
 活動可能ナ時間ハ30分デス。

 

【サッチ】
 それだけアレば十分よっ!!
 「来いっ!! エクザクタっ!!」

 

【エグザクタ】
 「仰セノママニ」

 

サッチ不在のハヤブサは、AIであるエクザクタによって活動を開始し、緊急起動シーケンスをたちあげた。
これは支援AIとハヤブサの駆動OSは別の CPU で動いているから出来る芸当であり、
基本的には他のハヤブサも同じ事が可能である。
AIの学習は並列化によって他のハヤブサのAIには伝播するが、独自に活動出来るか否かの設定に関しては、ハヤブサ個々のパイロットに委ねられている。
機械操作の苦手なサッチはほとんどの権限をエクザクタに丸投げしており、そのおかげでエクザクタは無人の状態でも比較的フリーで活動する事が出来る特異な機体に調教されていた。

 

【サッチ】
 「エクザクタは5分で来るわっ」

 

【サッチ】
 「みんなは、AS16へ向かってちょうだいっ!!」

 

【サダッチ】
 「敵の目的はAS16のメインフレームの強奪と思われます。」
 「あれを奪われると他に稼働しているAS16シリーズにも危険が及びます。」

 

【サッチ】
 「私は到着したエクザクタでアレをなんとかしますので、あなた達はAS16に戻ってハヤブサで襲撃部隊を撃退して下さい。」

 

【ナナ】
 「エクザクタの到着までサッチ一人で大丈夫なの ?」

 

【サッチ】(*゚∀゚)
 「私は生徒会長っ!!」
 「なんとかしてみせるっ!!」

 

【ナナ】
 「わかったわ」

 

【サッチ】
 「サダッチっ、彼女らの指揮をお願いするわ。」

 

【サダッチ】
 「了解、貴女も無茶をしないのよ。」

 

ナノマシンのアシストにより身体能力を強化した彼女たちは、高くジャンプするとたちまち夜の空へ消えていった。

 

彼女たちの並外れた身体能力に市民が驚く。


【台湾市民A】
 「お、お前たちは何者なんだ!?」

 

【サッチ】
 「ん ?
 「私達 ?」

 

【サッチ】
 「アトランティス帝国王立帯締学園第6過程の有賀幸子よっ」
 「こう見えても私達も軍人よ」

 

かぶっていた帽子を脱ぎ捨てると、隠していた猫耳が顕になった。

 

【台湾市民A】
 「き、君たちは悪魔と呼ばれる、あのアトランティス人なのか !?」

 

【サッチ】ヽ(`д´;)ノ
 「これ以上、この街を破壊させる訳にはいきませんっ!!」

 

サッチは猛然とブーメランに立ち向かった。
彼女クラスの正規悪魔となると生身の状態でもオロチと戦える能力は有しており、
それは相手がブーメランとて例外ではなかった。

 

【台湾市民C】
 「噂には聞いていたがアトランティス人は初めて見たぞっ!」

 

【台湾市民D】
 「オレ、聞いたことがあるぞ。」

 

【台湾市民B】
 「何がだ ?」

 

【台湾市民D】
 「アトランティス人と日本人の中には常人離れした戦闘力を持つ悪魔がいると・・・。」

 

【台湾市民C】
 「その噂ならオレも聞いたことがあるが、あれは都市伝説じゃ・・・」

 

【台湾市民D】
 「じゃ、あれは幻とでも言うのか ?」

 

【台湾市民A】
 「そうだな・・・あんなロボットと生身で戦えるのだから、そらヤツらと喧嘩しても勝てない訳だ・・・。」

 

 

【サッチ】(-_-;)
 「ちっ、」

 

【サッチ】(-_-;)
 防御力と打撃力にフルパワーを出せないか・・・。
 ココに来ての戦闘なんか想定していなかったからナノマシンを補給しなかったのは痛いミスだったかも、だが今それを悔やんでも仕方ない・・・。
 なんとかこの場を切り抜けなければ・・・。

 

シールドはまだ維持できたが、反撃に使用するための火力にまでナノマシンを供給できないサッチは1機のブーメラン相手に手を焼いていた。
シールドを解除すれば、火力に回せる。
自分はあの程度の攻撃であればシールドに頼らなくとも余裕でかわせる。
しかしシールドがなければ市民たちに危害が及ぶ・・・。

 

【サッチ】
 早く来て、エクザクタっ!!
 5分がこれほど長く感じるとは・・・。

 

【台湾市民B】
 「あのねぇちゃん、オレたちをかばって自由に動けないんだ・・・。」

 

【台湾市民A】
 「オレたちの事はいいんだっ!!」

 

【サッチ】
 「何を言う、市民を守るのが軍人の役目だろうがっ!!」

 

【台湾市民A】
 「しかし、このままだと・・・」

 

サッチの耳が新しい駆動音を捉えた。

 

【サッチ】
 増援 ?
 1・・・ぃや、2機かっ!!
 これはマズイな、いやマズイよっ!

 

サッチの推測通り、2体のブーメランが姿を現した。

 

【真台湾強襲部隊 A】
 「ここで何を手間取っている」

 

【真台湾強襲部隊 B】
 「ぃや、あの女、生身のくせにコッチの攻撃が通じねーんだ。」

 

【真台湾強襲部隊 A】
 「何馬鹿なことを言ってるんだ。」
 「たかだか虫けら1匹始末できないとは。」

 

【真台湾強襲部隊 B】
 「だから、アイツはフツーではないんだってっ!!」

 

【真台湾強襲部隊 C】
 「見てろ、オレが始末してやる。」
 「民間人に被害が出れば、こちらに(台湾)残党軍が駆けつけてくる。」
 「そうすれば本隊は不時着した飛行船を襲いやすくなる。」

 

増援のブーメランがサッチに銃口を向けた。

 

【サッチ】
 「シールド再展開っ!!」

 

しかしシールドの起動に失敗した。

 

【サッチ】(,,゚Д゚)
 な、このタイミングでナノ・エンプティだと !?

 

生命維持に必要なナノマシンを残し、戦闘用スタックはすべて消費してまっていた。

 

【サッチ】(-_-;)
 くっ、ここまでかっ!!

 

しかし銃口を向けたブーメランは静かに前のめりに倒れていった。

 

【サッチ】ヽ(`д´;)ノ
 「遅いっ!!」

 

【エグザクタ】
 「申シ訳有リマセンデシタ、はっちガ壊レテテ発進ニ手間取リマシタ。」

 

【サッチ】
 「言い訳は後よっ!!」

 

【エグザクタ】
 「了解っ!!」

 

【エグザクタ】
 「ハヤブサ・エクザクタ、ワレ只今見参っ!!」

 

エクザクタもナノマシン残量が乏しかったが、それでも目の前の2機を倒すには十分余裕があった。
シールドを展開しつつ、ブーメランとサッチの間に割り込むと着装ハッチを開いてサッチを収容する体勢を取った。

 

【真台湾強襲部隊 A】
 「あの機体は無人で動いていたのか!?」
 「あの女がパイロットなのか ?」
 「搭乗を阻止しろっ!!」

 

【真台湾強襲部隊 B】
 「ダメです、弾丸がバリアーのようなものを貫通できませんっ!!」

 

【真台湾強襲部隊 A】
 「しかし、見ろ、機体はかなり損傷を受けているぞ」
 「あれが、おそらく報告にあった日本のスパイ飛行船を襲った際に防御に現れたと言う敵のAMPだろう」
 「修理されていないところを見るとヤツはフルに活動は出来ないかもしれんぞ。」

 

シナ軍パイロットの見立ては正しかった。
先の太平洋上空での戦闘で受けた損傷の他に、AS16が不時着した衝撃も受けて激しく損傷しており稼働できるのが不思議な程だった。

 

【サッチ】
 「どれくらい戦えそう ?」

 

【エグザクタ】
 「8分クライハ・・・」

 

【サッチ】
 「さっき30分と言わなかった ?」

 

【エグザクタ】
 「スイマセン、装甲はっちヲブッ飛バスノニ、余計ナぱわーヲ消費シマシタ。」

 

【サッチ】
 「ナマサブスタンスは ?」

 

【エグザクタ】
 「ホトンドノコッテイマセン。」

 

【サッチ】
 「あなたもエンプティなのね。」

 

【エグザクタ】
 「スイマセン、補給スル間ガナクテ」

 

【サッチ】(*´ω`*)
 「貴方が謝らなくてもいいのよ。」
 「私が操縦がヘタなばかりに、いつも無理させてごめんね。」
 「でも、あともうしばらく私に付き合ってくれるかしら ?」

 

【エグザクタ】
 「ワタシハイツモ貴女トトモニアリマス。」

 

【サッチ】
 「対装甲刀は具現化できるかしら」

 

【エグザクタ】
 「なのましんヲスベテ使イキレバ・・・」

 

【サッチ】
 「OK! じゃいくわよっ」

 

【エグザクタ】

 「しーるどガナケレバアノ12.7mmノましんがんハ防ゲマセンッ!!」

 

【サッチ】
 「相手の懐に全力で潜り込んで、ぶった切る!」
 「それで十分よ。」

 

【エグザクタ】
 「ワカリマシタ」

 

エクザクタ機は残りのナノマシンすべてを使い、対装甲刀を具現化した。
ハヤブサの通常装備である対装甲刀は、低消費で具現化できる仕様ではあったが、それでもエクザクタ機はコイツを実体化するのにすべてのナノマシンを投入しなければならない程に残量が無かったのだ。
引き換えにシールドは消失した。

 

エクザクタ機は敵の射撃が民間人に向かないように微妙に弾道を誘導をしつつなおかつ自身も被弾しないような機動でブーメランに肉薄した。

 

【真台湾強襲部隊 A】
 「ばかな! この距離で回避するだと!?」

 

あっと言うまに間合いを詰め、1機目を上下に分断した。

 

【真台湾強襲部隊 A】
 「くそっ火器が刀に負けてる ?」
 「ならば」

 

残った1機は銃口を民間人に向けた。


【サッチ】ヽ(`д´;)ノ
 「なんて卑怯なっ!!」

 

エクザクタは射線上に割り込む形で民間人の前に出た。
ナノマシンのアシストが切れた軽装甲が12.7mmの直撃を受けて粉々に飛び散った。
が、エクザクタ機もまた、ブーメランの胸部装甲を刀でパイロットもろとも貫いていた。

 

【サッチ】
  「や・・・ったの ?」

 

【エグザクタ】
  「敵戦闘鬼ノ活動停止ヲ確認」
 「撃破認定デス。」

 

【サッチ】
  「そう・・・民間人は ?」

 

【エグザクタ】
  「全員無事デス」

 

【サッチ】
  「良かっ・・・」

 

【エグザクタ】
  「さっち、シッカリシテクダサイッ!!」

 

エクザクタはテレメートリーでパイロットの心肺が停止した事を知った。
サッチはこの戦いで生命維持に必要なナノマシンまで消費していたのだ。

 

【エグザクタ】
 「緊急蘇生しーけんすヲ開始」

 「AI駆動用ばってりーノ電力回線ヲ再構築シテAEDばってりーニ直結っ!」

 

エクザクタは持てるすべての知識を動員してサッチの蘇生を開始した。

 

 


異変はサダッチにも伝わっていた。

 

【ナナ】(,,゚Д゚)
 「サダッチっ!! ここは私達が引き受けるから、早くサッチの元へ!」

 

【サダッチ】ヽ(`д´;)ノ
 「わかった、ここはナナたちに任せるわ。」

 

【サダッチ】(,,゚Д゚)
 「サッチっ今行くっ!!」
 「死ぬんじゃないよっ!!」

 

【サダッチ】ヽ(`д´;)ノ
 「絶対に貴女を死なせないっ!」
 「貴様らっ! そこをどけーーっ!!」

 

サッチの危機にナノマシンの残量を気にしている場合ではなく
たちはだかるブーメランを対装甲刀を全力展開して一撃で薙ぎ払った。

 

【ナナ】
  すごい・・・対装甲刀の全力展開ってあんな威力があるんだ・・・。

 

【ナナ】
 「私達も負けていられないわよ。」
 「ここを死守しましょう。」

 

【なるみ、ジョージ、レイチェル、アン、まっちゃん】
 「はいっ!!」

 

 

 

 

【マキリ人少女 B】(-_-;)
 「ぅ・・・」
 頭が痛い・・・ここはどこ ?

 

【マキリ人少女 A】
 「気がついたのね」

 

【マキリ人少女 B】(*゚∀゚)
 「お姉さま」

 

【マキリ人少女 A】
 「よかったわ。」

 

【マキリ人少女 B】(・o・)
 「ここは ?」

 

【マキリ人少女 A】
 「チキュウと言うらしいわ」

 

【マキリ人少女 B】(・o・) ?
 「チキュウ?」

 

【マキリ人少女 A】
 「そうよ、アトランティス帝国の "植民地" よ」

 

【マキリ人少女 A】
 「これを付けて。」

 

【マキリ人少女 B】
 「何 ?」

 

姉が見身につけるタイプのリアルタイム翻訳機を手渡した。
なかなかうまく装着できなかったが結局姉が代わりに付けてあげた。

 

【マキリ人少女 A】
 「聞こえる?」

 

【マキリ人少女 B】
 「うん・・・。」

 

目が覚めた少女が脇を見るとターニャがうつ伏せで眠っていた。
ふと耳が気になって、チョンチョンと突くと、耳がブルルって震えた。

 

【セッちゃん】(^_^)
 ぁ、やっぱこの子はネコなんだ・・・。

 

またチョンチョンと突くと、耳がブルルって震えたところでターニャがびっくりして目を覚ました。

犬耳娘の妹と目が合った瞬間

 

【ターニャ】ヽ(`Д´#)ノ
 「シャーーーっ!!!」

 

ネコは目が合うと戦闘の合図。

 

【ナターシャ】
 「こらっターニャっ!!」

 

【ミーシャ】
 「威嚇しないの!」

 

ナターシャのげんこつがターニャの脳天にヒットした。

【ターニャ】(-_-;)

 「うううう・・・。」

 

【ミーシャ】
 「あんたが看病した子でしょ ?」
 「もっと優しくしてあげなさいっ!」

 

【ターニャ】(-_-;)
 「すまなかった・・・。」

 

 

 


サッチがブーメランと刺し違えてからしばらく後だった。
1体のブーメランが、市民の誘導で路地裏へ入っていった。
パイロットが機体を脱ぎ捨てると、その市民は手早く木箱に機体を隠してカムフラージュを施した。
この海上都市に避難してきた台湾市民に紛れていた潜入工作員だった。

 

【真台湾潜入工作員 A】
 「着替えと身分証はこのバッグに入っています。」

 

【リン・リー】
 「ご苦労さま。」

 

【真台湾潜入工作員 A】
 「それから夕方に "日本軍" の飛行船が緊急着陸してきました。」
 「どうやら、海軍のブーメラン隊がそれを追ってきたようで、目下 "武装テロ集団" (真台湾陸軍)と交戦中です。」

 

【真台湾潜入工作員 B】
 「そこへその艦載機と思われる日本軍のハヤブサが乱入する始末で・・・。」

 

【リン・リー】
 「この騒ぎはそれなの ?」

 

【真台湾潜入工作員 A】
 「申し訳ございません。」
 「まさかここに海軍が現れるとは思っていませんでした。」
 「本部の確認不足です。」

 

【リン・リー】
 「まぁいいです。」
 「おかげで上陸しやすかったわ。」

 

【リン・リー】
 「ところで、そのハヤブサの動向が気になるわね。」

 

【真台湾潜入工作員 A】
 「深手を追っているように見えましたのでおそらく追ってきた海軍と交戦してここまで逃げてきたものと思われます。」
 「ヤツらは奮闘していたようですが我が方のブーメランがトドメを刺したのを見届けてから貴女を迎えに参りました。」

 

パイロットはバッグを開けると、作業着を手に取らずに赤いドレスを手に取ると、工作員が見ているにも関わらず、恥ずかしげもなくささっとその場で着替えを済ませてしまった。
あまりの大胆ぶりに工作員たちは彼女の見事なプロポーションに見とれるよりも、彼女がプロ中のプロのしかも相当なスキルを持った軍人であると察した。

真っ赤なハンドバッグを手にすると、

 

【リン・リー】
 「行ってくるわ。」
 「この荷物は預かっててくれるかしら ?」
 「ドレスと不釣り合いだから、持っていくと怪しまれるわ。」

 

【真台湾潜入工作員 B】
 「そ、そうですね。」

 

【真台湾潜入工作員 A】
 「判りました。」
 「我々の方でホテルに運んでおきます。」

 

【リン・リー】
 「ありがとう。」

 

【真台湾潜入工作員 A】
 「ぁ、それから、お車をこちらに回しますので、目的のレストランまでお送り致します。」

 

【リン・リー】
 「あら、そうなの ?」
 「たすかるわ。」

 

【真台湾潜入工作員 A】
 「ぃえ、どういたしまして。」

 

いいものを見せていただいたお礼だなんて言えなかった。


車が到着した場所は要塞を一望できる一番高いタワーだった。
そのため、この施設に入るには政府関係者か特別に許可を貰った者だけに制限されている筈だが道路を閉鎖している警備員に身分証を見せると、難なく通過する事ができた。

 

【リン・リー】
 反逆分子の要塞の奥深くにまで我々の同志が浸透しているのか・・・。

 

ビル正面で車を降りるとすかさず警備が寄ってきたがさっき預かった身分証を提示すると彼らはすぐに引き下がった。

入り口からエレベーターにまで赤い絨毯が敷かれておりそこを歩く彼女を美しく惹き立てた。

ある階でエレベーターが止まると、そのフロアはそのまますべてが高級レストランだった。

 

すでに彼女の到着を知らされていたのか、すでにウェイターが出迎えていた。

 

【レストラン・スタッフ】
 「こちらです。」

 

見晴らしのよい窓の席へ通されたが、そこには先客がいた。

 

【真台湾潜入諜報員】
 「これはこれはリー少尉、よくぞはるばるお越しくださいました。」

 

【リン・リー】
 「ここでは、その名前で呼ばないでくださるかしら。」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「おっとこれは失礼。」

 

【リン・リー】
 「他に客がいませんね。」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「ぇえ、今夜は借り切りましたので。」

 

【リン・リー】
 「へぇそうなんですの。」

 

窓からは空港の滑走路や駐機場、そして海軍艦艇の港まで見渡せる。

 

【リン・リー】
 「ここからだと丸見えですのね。」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「そうです。」
 「だから政府関係者でしか立ち入れないのですがね。」
 「気に入っていただけましたかな ?」

 

【リン・リー】
 「あのカバーのかかった戦車の群れは ?」

 

まだ一部で散発的な戦闘が続いて火柱が上がるが、それではなくて、空港の一角の資材に紛れた戦車を目ざとく見つけた。

 

【真台湾潜入諜報員】
 「ぁ、あれですか ?」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「あれは日本軍が誇る唯一の機甲師団の部隊ですよ。」
 「ペルシャとロシアの国境にまたがる地域で相当に長い期間をかけて猛烈な訓練をしていたらしいですよ。」
 「その一団が昼過ぎに輸送機で運ばれて来たんですよ。」

 

【真台湾潜入諜報員】

 「近いうちに、輸送艦に乗せられて宇宙に上がるらしい。」
 「ここを母港にしている日本軍の高雄はその護衛に就くことになっている。」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「戦車を宇宙に上げるだなんてどこかの星でも侵略すもりなのかねぇ・・・。」

 

【リン・リー】
 あれが日本軍最強の戦車部隊だと ?
 統一朝鮮軍対馬戦争で博多に上陸した際に遭遇して殲滅したと聞いていたのだが・・・。
 フェイクだったのか ?

 

【真台湾潜入諜報員】
 「しかし、私も宇宙人なんて眉唾モノのSF空想話かなにかだと思っていたのですが、
実際に宇宙艦隊を見るとどうして我々だけがその中に含まれていないのか甚だ疑問なわけですよ。」

 

【リン・リー】
 「それは仕方ないですわね。」
 「我が国はどこからも信用されていませんから。」
 「だから、欲しいものはなんでも金で買い、それでも手に入れられないようであれば力で奪うのよ。」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「あはは、厳しいことをおっしゃる。」

 

【リン・リー】
 「かつて欧米列強がやって来たことよ。 問題ないわ。」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「さて、本題ですが・・・。」
 「明日、ここに統朝軍のブーメランが海から上陸して襲撃する予定となっていま

す。」

【リン・リー】
 「あらあらさっきといい、物騒な街なのね。」
 「で、彼らを支援すればいいのかしら ?」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「ぃえ、彼らを抹殺して下さい。」

 

【リン・リー】
 「ぇ?」

 

【リン・リー】
 「言ってる意味が判らないわ。」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「上陸してくる統朝軍のブーメランを水中で殲滅してほしいのです。」

 

【リン・リー】
 「ぃや、ほら、だって彼らは友軍でしょ ?」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「ええ、しかし我が国にも都合というものがありまして・・・。」
 「どうしても日本軍の戦車部隊を宇宙に上げたいのですよ。」

 

男は周囲を軽く見回してだれもいないことを確認すると、小声で話を続けた。

 

【真台湾潜入諜報員】
 「わが祖国はアンドロメダ陣営の支援を受けることになりました。」
 「我らに課せられた見返りの任務として、まずはアトランティス陣営を弱体化させる事を命ぜられました。」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「日本軍はアトランティスを全面的に支援しているのですが、一方でそのアトランティス"軍"は幸いな事に日本人を信用していないらしくて、日本人に他の星を攻めさせるように命じたのですよ。」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「戦車部隊はそのための出撃の準備です。」

 

【リン・リー】
 「あの戦車部隊が ?」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「そうです。」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「アトランティス艦隊は、日本に帰還率の低い作戦に参加させ、その作戦の失敗の責任を王室側になすりつけることで求心力を低下させ、王室から政権を奪うことを画策しているのです。」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「しかし、なんだかんだ言っても一般将兵たちは王室に高い忠誠を誓っており、艦隊首脳としては、王室が政権の座から降りてもそこそこ影響力をもっていれば艦隊としては高い士気を保持できると考えています。」

 

【リン・リー】
 「どうしてそれをあなた達が知っているわけ ?」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「それは内緒です。」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「地球艦隊もすべてが日本の味方ではないと言うことです。」
 「宇宙でも覇権を握りつづけるには日本は邪魔に思う大国はいるわけです。」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「我々はアトランティス帝国王室に対する求心力が揺らいだタイミングで蜂起して圧倒的武力で地球を掌握し、アトランティスに対して戦端を開く手筈を準備しています。」

 

【リン・リー】
 「そしてその王室が崩壊すればアトランティス艦隊の戦意は失われる・・・と言うことですね。」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「そのとおりです。」

 

【リン・リー】
 「あの戦車部隊は生贄として必要なのね。」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「そうです。」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「しかし、あの戦車部隊の存在は、統朝軍にとって非常に都合が悪いのです。」
 「国民に知れたら国家が転覆しかねない大騒ぎになりますからね。」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「ところがKCIAはどっからかあの戦車部隊の存在を察知し、積み荷として身動きの取れない状態を襲撃して一挙に葬ろうと、貴女と同じ水陸両用仕様のブーメランを差し向けて来るということなのです。」

 

【リン・リー】
 「それなら、私たちはそのまま放置して彼らに好きにヤラせてしまったほうがいいのでは ?」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「それは困るのです。」
 「作戦が中止されたりすると日本艦隊は出動しなくなります。」
 「今回の作戦ではアンドロメダ艦隊が向こうで手ぐすね引いて待っている手はずになっておりまして。」

 

【リン・リー】
 「要するに今あの戦車部隊がヤラれてしまうと、あの日本軍がどっかしらいない銀河で全滅して帰ってこないってシナリオが崩れちゃうわけですね。」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「そのとおりです。」

 

【リン・リー】
 「しかしそれなら統朝政府に知らせて協力を要請すればいいのに。」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「それもそうはいかなくて・・・。」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「この作戦は我が国とアンドロメダとの協定によるもので統朝政府は、日本の宇宙艦隊を撃滅する作戦については一切知らされていないのです。」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「わが祖国はどこまで本気なのかアンドロメダから試されているわけでして。」
 「なのでここで何も知らない統朝軍がしゃしゃり出てきてすべてがパーにされる事を防ぎたいのです。」
 「統一朝鮮は我が国の同盟国ではありますがあの民族は絶対に信用出来ませんので。」

 

【リン・リー】
 「でも、そもそもの話として帰還率が低ければ、アンドロメダに報告するまでもなくそのまま放置すればいいのよ。」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「いやいやいや、日本軍はなんだかんだ言っても日本軍は日本軍です。」
 「ヤツらの戦闘力は尋常ではありません。」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「過去の太平洋戦争でもそうでしたがアイツラはアメリカ軍とは科学力や工業力の差なんかお構いなしに互角に戦いました。」
 「あいつらは技術や数的劣勢を各自の戦闘力で補う侮れない敵です。」

 

【リン・リー】
 「つまり、帰還する可能性があると ?」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「ええ、わずかでもその可能性があるのなら潰しておきたい。」
 「なので、我が政府はアンドロメダに日本軍の作戦についてリークして待ち伏せて叩いて頂くことになったのです。」

 

【リン・リー】
 「なるほどね・・・事情はわかったけれど・・・。」

 

【リン・リー】
 「しかし水中で迎え撃ったとしてココのソナーに引っかからないかしら ?」
 「ドンパチしたらすぐに見つかるわ。」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「それは大丈夫です。」
 「シナ軍はソナーを潰すために、海上に弾道弾を撃ち込みますから。」
 「15分は無効化できるでしょう。」

 

【リン・リー】(,,゚Д゚)
 「たった15分 ?」

 「相手は何機 ?」

 

【真台湾潜入諜報員】(*゚∀゚)
 「20機かそこらかと。」

 

【リン・リー】(,,゚Д゚)
 「20機 ?」

 

【リン・リー】(-_-;)
 「それは、そんな短時間では無理があるわ。」

 

【真台湾潜入諜報員】(*´艸`*)
 「いえいえ他の人には無理でも、貴女なら出来ると期待して、ここにお呼びしたのですよ。」
 「あと、装備として最新の "刀" も手配しておきました。」
 「まだ試作品ですが同型モデルの機体が相手でしたら水中でも真っ二つに出来ることを確認済みです。」

 

【リン・リー】(,,゚Д゚)
 「ぇぇ、!? 本当に切ったの ?」

 

【真台湾潜入諜報員】
 「ええもちろんですとも。」
 「刀でしたら発砲音はしないですから相手に気づかれにくいでしょう。」

 

【リン・リー】(-_-;)
 「いいでしょう。」
 「判りましたわ。」

 

 

 

【サッチ】(-_-;)
 「ここはどこ ?」

サッチが意識を取り戻した。

 

【 サダッチ】

 「高雄の医務室よ。」

 

【サッチ】
 「記憶が飛んでて覚えてないわ。」

 

【ナナ】
 「まったく無茶して。」
 「どうして生命維持用のナノマシンまで使い切るのよ。」

 

【サッチ】
 「あの時はああするしかなくて。」

 

【サッチ】
 「市民は ?」

 

【ナナ】
 「アナタが守った市民は全員無事よ。」

 

【サダッチ】
 「その人たちがあなたをエグザクタから切り離してくれたのよ。」

 

【ナナ】
 「とにかくアナタも無事で良かったわ。」

 

【なるみ】
 「そうよ。」

 

ジョージ】
 「エグザクタから応援の要請が来た時はサダッチったら、そら大暴れしたんだから。」

 

【サダッチ】
 「大暴れって何よ。」
 「そのおかげで早く片付いたじゃなくて ?」

 

ジョージ】
 「そうでしたね。」

【サダッチ】
 「エグザクタが必至であなたの生命維持をしていたおかげで助かったのよ。」

 

【サッチ】
 「ぁ、エグザクタは ?」

 

【サダッチ】
 「・・・」

 

サッチはサダッチの無言にエグザクタの末路を悟った


【サッチ】
 「私、どうして高雄に ?」

 

【サダッチ】
 「ナノマシンが切れたでしょ ?」
 「再充填する施設は真台湾にはないので高雄の医務室に運ばれてきたのよ。」

 

【まっちゃん】
 「運が良かったわよ。」
 「このフネはもう地球を発つところだったのよ。」

 

【サッチ】
 「出撃するんだ。」

 

【サダッチ】
 「ぇ !? ああ、出撃はまだしないんだけれど、日本の陸軍が訓練の最終仕上げに月の戦場シュミレーション施設に移動を開始するわ。」

 

【サダッチ】

 「そこで現地に似せた環境を作って訓練をするのよ。」

 

【まっちゃん】
 「高雄はその護衛の為に出港するのだけれど、このフネ自体も改装した直後なので
不具合を洗い出すためにしばらく宇宙で試験を行うのよ。」

 

【まっちゃん】
 「重力のあるとナシとではメカの挙動がいろいろと変わりますからね。」

 

【トミちゃん】
 「お元気そうですね。」

 

【サッチ】
 「あら、トミちゃん ?」
 「それにおみくじも ?」

 

【おみくじ】
 「ココでお会いするとは思いませんでした。」
 「無線で学生たちがドンパチやらかしているって流れた時はまさかとは思いましたが
ウチの生徒会だったとはね。」

 

【サッチ】
 「でも何故二人はココに ?」

 

【トミちゃん】
 「私たちも最初はココに来る予定ではなかったのよ。」

 

【トミちゃん】
 「ところがホラ、エルサレム共和国の軍が侵攻して来た時に、遭遇戦をやらかして戦車部隊を全部やっつけちゃってさ、挙句に打ち上げたタンカーが共和国軍に攻撃され、その結果、皮肉にもエルサレムへ墜落してエルサレム共和国そのものが消滅する事態になっちゃって。」

 

【おみくじ】
 「それからはもう我々は英雄扱いさ。」

 

【サッチ】
 「あの国は偶像は禁止だったのでは ?」

 

【おみくじ】
 「そうでしたね。」

 

【おみくじ】
 「国賓並みの扱い・・・とでも訂正しようかな ?」

 

【サッチ】
 「で、それがココに来る理由になるの ?」

 

【おみくじ】
 「いや、まだ続きがあって、日本軍のアトラミス救援作戦に是非参加させてくれと
ニールーイェ部隊が作戦に志願したのよ。」

 

ジョージ】
 「ぇっ!? うそ!?」
 「ニールーイェって、あのニールーイェ ?」

 

【おみくじ】
 「そう、ペルシャ革命防衛隊の精鋭中の精鋭の特殊作戦部隊の中の特に勇猛果敢な03旅団が是非友好国の為に力になりたいと志願してきたのよ。」

 

【おみくじ】
 「で、まぁいろいろと関係各国の政府関係者と調整した結果、参加が認められたんだ。」

 

【トミちゃん】
 「んで、ちょうど真台湾に日本軍が移動を開始すると言うし、どのみち私たちも作戦に参加するので彼らをここまで案内したのですよ。」

 

【おみくじ】
 「他にもスゴイよ。」
 「日本軍の演習を警備していたペルシャ空軍やロシア空軍の主力部隊も明日にはココにやって来るんだぜ。」
 「彼らも引き続き日本軍の防空を担いたいと志願してアトラミス救援作戦に志願したんだ。」

 

【レイチェル】
 「ぃや、空軍の主力はマズイでしょう。」
 「ロシアはともかくとしてペルシャは防空に穴が開くでしょ。」

 

【トミちゃん】
 「ぃや、もうそのエルサレムの脅威は取り払われたから。」

 

【レイチェル】
 「あ、ああ、そうでしたね。」

 

【ナナ】(,,゚Д゚)
 「・・・っえ!?」

 

【トミちゃん】(・o・)
 「っえ!? って何 ?」

 

【ナナ】
 「ぃえ、さらりと聞き流したんだけれど、貴女たちも参加するの ?」

 

【トミちゃん】
 「ええそうよ。」
 「学園長と東郷教官に呼ばれて学園長室に出向いたら招集礼状を頂いたわ。」

 

【ナナ】(,,゚Д゚)
 「なんで、そんな大事な事を言わないのよっ!!」

 

【トミちゃん】
 「だってまだ極秘の作戦だから内密にするようにって念を押されたんだもの・・・。」

 

【ナナ】
 「サッチたちは知っていたの ? 生徒会だし。」

 

【サッチ】(-_-;)
 「ぇ・・・ええ、まぁ。」


【レイチェル】
 「私達の学園から出るのはあなた達だけなの ?」

 

【トミちゃん】
 「いえ、まだ他にもいるようですけれど、まだ最終的な人選は迷っているようでしたわ。」

 

【トミちゃん】
 「私達の場合はペルシャへ行かなければならない任務があったので他の生徒よりも
早く事情を聞かされていただけなの。」
 「そのうち学園の他の生徒たちにも何人か礼状がいくと思うわ。」


【なるみ】
 「でも、今出撃したら添下との対抗試合はどうするの ?」

 

【トミちゃん】
 「いえいえ、だから、私たちは今すぐと言うわけではないのですよ。」

 

【おみくじ】
 「日本軍たちは、戦闘訓練の総仕上げとして月のアトランティス要塞内にある環境訓練センターにて数ヶ月はみっちりと現地の環境に順応できる体勢を整えてから出撃するのでその為に一足お先に地球を離れるんだ。」

 

【トミちゃん】
 「私たちはまだ学生なので後からの出発になるわ。」

 

【アン】
 「しかし、何故学生にも出撃礼状が発せられたのかしら ?」

 

【サッチ】
 「もうじきこの星系でも大規模戦闘が想定されててアメリカやNATO艦隊も猛特訓しているらしいわ。」

 

【サダッチ】
 「しかし人手が圧倒的に不足しているそうで、そこで士官候補である私達訓練生が
何人か選抜されて現地実習と言う名目で駆り出さているらしいのよ。」

 

【ナナ】(・o・)
 「いよいよこの星も終わりか。」

 

【サッチ】ヽ(`д´;)ノ
 「縁起でもないこといわないでよっ!」

 

【ナナ】
 「だって、相手は何万、何十万って大艦隊なんでしょ ?」
 「私達地球艦隊とあなた達のアトランティス艦隊を合わせても1万隻にもならないわ。」

 

【サッチ】ヽ(=´▽`=)ノ
 「そこは気合で乗り切らなきゃ。」

 

【なるみ】(-_-;)
 「いやいや気合でどうにか出来る戦力差ではないし。」

 

【サダッチ】
 「さて、この話は上層部の連中が悩む話であって、私たちが悩んだところで仕方ないわ。」

 

【サダッチ】
 「どう ? 体調は ?」

 

【サッチ】
 「うん、もう回復した。」

 

【なるみ】
 「さすがナノキャリアは体力の回復が早くて便利よね。」

 

【アン】
 「せっかくの屋台行けなかったね。」

 

【サッチ】
 「ごめん・・・私のせいで。」

 

【サダッチ】
 「サッチの責任じゃないよ。」

 

【サダッチ】
 「なにもかもあのブーメランとか言う戦闘鬼の連中のせいよ。」
 「再びやってきたら、ギッタンギッタンのコテンパにやっつけてやるんだから。」

 

【サッチ】
 「そうね。」

 

【サッチ】
 「って言うか、あなたたちがやって来たのなら、ハヤブサで援護してくれても良かったのに。」

 

【おみくじ】
 「ん?」
 「ここにはないよ。」

 

【サッチ】
 「ぇ、なんで。」

 

【トミちゃん】
 「私達もアッチで結構大暴れしたのでハヤブサウラジオストク経由で先に学園に運ばれて行ったわ。」
 「今頃解体検査でもやってんじないかしら ?」

 

【サッチ】
 「そ、そうなんだ。」
 「あれも大変そうだったもんね。」

 

【サダッチ】
 「さて、行くわよ。」

 

【サッチ】
 「行くわよって、どこへ ?」

 

【サダッチ】
 「食堂よ。」

 

【サッチ】
 「食堂 ?」

 

【サダッチ】
 「ええ、そうよ。」
 「高雄の給養員(※1)が私達の分のカレーを温存して下さってるらしいわ。」

 

【サッチ】
 「もしや、噂の海軍カレー ???」

 

【サダッチ】
 「そうよ。」

 

【サダッチ】
 「あなた達運が良かったわね。」
 「今の時間は士官食堂が空いているらしいので食べにおいでと誘われているのよ。」

 

【一同】
 「やったぁ!!」
 「行く行くっ!!」

 

 


【サッチ】
 「こ・・・これが海軍カレーかぁ・・・。」

 

【ナナ】
 「ぁあコレは美味しいっ!!」

 

【サダッチ】
 「基本的に宇宙艦隊のフネって海軍の伝統を引き継いでいるので、カレーの味もフネによって違うらしいよ。」

 

【サダッチ】
 「もっともこの高雄の給養員は元は潜水艦乗組員だったらしいので、その艦の味がベースになっているらしいけどね。」

 

【サッチ】
 「この味、ウチの寮でも出せないかしら ?」

 

【サダッチ】
 「せっちゃんがいれば一口食べただけで再現できるかもしれないけれど・・・。」

 

 

 


【セッちゃん】
 「さて、貴女たちがこの星系に来た理由は ?」

 

【マキリ人少女 A】(,,゚Д゚)
 「今すぐに、女王様に会わせて下さいっ!!」

 

【セッちゃん】(-_-;)
 「ぃや、会わせてと言われましても、この星には女王様っていらっしゃらないし、

 

【ノブちゃん】
 「そもそもあなた達は何者なの ?」
 「記章からはアトラミス王国の王族の方のようですけど・・・。」

 

【マキリ人少女 A】(-_-;)
 「・・・。」

 

【ノブちゃん】
 「答えられないのね。」

 

【ミーシャ】
 「ま、いいわ。」
 「今の時間から学園長に会ってもらうにもアレだし。」

 

【ナターシャ】
 「明日は土曜日だし・・・。」

 

【ミーシャ】
 「この方たちはどうする ?」

 

【ノブちゃん】
 「仕方ありませんね。」
 「月曜日に学園までお越しいただいて、そちらでお話をして頂くということでいいのでは ?」

 

【セッちゃん】
 「そうですね。」

 

【ノブちゃん】
 「彼女たちにはゲストルームにお泊りいただいて、警備を厳重に。」

 

【マキリ人少女 A】(゚д゚)!
 「私達を監禁されるおつもりなのですか ?」

 

【ノブちゃん】(*´ω`*)
 「いぇいぇとんでもない。」
 「アトラミス王国と言えば、我がアトランティスの友好国ですからね。」
 「ここはアトランティス帝国の自治が及ばない地区にある一般の宿舎ですから警備が薄いのですよ。」

 

【ノブちゃん】
 「ターニャ、衛星画像の解析は終わった ?」

 

【ターニャ】
 「うん。」

 

【ノブちゃん】
 「ありがとう。」

 

【ノブちゃん】
 「じゃ、せっちゃんが夕食を用意したくれたので食べに行くわよ。」

 

【ミーシャ】
 「さ、お二人もおいで。」

 

【ナターシャ】
 「地球の食事がお口に合えばいいんだけれど、とにかくせっちゃんの食事は美味しいんだから。」

 

 

 

まだ夜が明けてもいない真台湾・・・。

 

【サッチ】(-_-;)
 「もう何時だと思っているのよ。何の騒ぎなの ?」

 

【サダッチ】
 「みてみて、艦隊が入港しているの ?」

 

【サッチ】(*゚∀゚)
 「マジで ?」
 「見せて見せてっ!!」


慌てて飛び起きてホテルの窓から外を見渡すと、港がライトで照らされ、軍楽隊による "軍艦マーチ" が演奏される中、接岸されている大型輸送艦に荷物が積み込まれていた。
沖合には空母の姿も見える。

 

【まっちゃん】
 「あ、スゴイっ!! デファイアント級の空母だよっ!!」
 「しかも2隻もいる。」

 

【サダッチ】
 「3番艦のキャロットと4番艦のカリフラワーですね。」

 

【サダッチ】
 「ぁ、見て、甲板にスホーイが。」

 

【アン】
 「ホントですね。」

 

【サダッチ】
 「ここに来る途中で、ペルシャとロシアの航空部隊と合流していたのね。」

 

【サッチ】
 「でも、輸送艦より空母の方が小さくね ?」

 

【サダッチ】
 「空母の半分くらいは水の中だからそう見えるのよ。」

 

【まっちゃん】
 「300年くらい前に就役した最新のオリオン級は、あのデファイアント級の改良型だそうでもっと大きいそうよ。」

 

【ナナ】
 「でも、あのフネたち、6世代型の最終シリーズと言う割には、アトランティス艦隊のネーミングルールから逸脱していますね・・・何故かしら。」

 

【まっちゃん】
 「それはデファイアント級とオリオン級は近衛艦隊専用艦だからよ。」
 「だから、装甲に貼られたネームプレートの横には艦隊章ではなくて王室の紋章がプリントされているのよ。」

 

しかし突然、マーチの演奏が途切れ空襲警報が鳴り響いた。
消していたはずのテレビの電源が勝手に入り、弾頭ミサイルの飛来を告げる緊急ニュースが流れ最寄りのシェルターに非難するように勧告が出された。

日本の緊急地震速報やJアラートをモデルに構築された警報システムだった。

 

もう何度もアラートの類を聞いてきたのでさすがに慣れて冷静に判断できるまでに成長していた。
この実戦で得られる経験と言うものはナノリンクによる共有が困難な部分であり、だからこそ学園は現場での訓練を重視しているのだった。

 

【サッチ】
 「私達も逃げる ?」

 

【ナナ】
 「まさか。」

 

【サダッチ】
 「私達も軍人よ。」

 

しばらくして、新台湾の航路を塞ぐように大きな水柱が上がった。

 

【サッチ】(・o・)
 「ハズレたわね。」

 

【サダッチ】(-_-;)
 「当たったら大惨事よ。」

 

【サッチ】
 「あの艦隊を狙って ?」

 

【ナナ】
 「何かの牽制かしら。」

 

さすがに耳の良い猫族とは言え、海中で起こっている戦闘まで察知できなかった。

 

アトランティス艦隊真台湾ドック

【高雄艦長】
 「艦長から機関室。」

 

【高雄艦長】
 「換装したSPはどうだ ?」 (※2)

 

【高雄クルー C】
 「こちら機関室、出力は安定しています。」

 

【高雄艦長】
 「判った、動力へのパワー供給開始。」

 

【高雄クルー A】
 「SP出力60%。」

 

【高雄クルー B】
 「了解、SP60%運転開始。」

 

【高雄クルー A】
 「NGGパワーシステムオンライン。」 (※3)
 「始動電源投入。」

 

【高雄クルー B】
 「NGGパワーシステムオンライン。」
 「始動電源投入。」

 

【高雄クルー A】
 「NGG、1番、3番始動。」

 

【高雄クルー B】
 「NGG、1番、3番始動。」

 

【高雄クルー A】
 「NGG、1番、3番の始動を確認。」

 

【高雄艦長】
 「判った。」

 

【高雄クルー A】
 「NGG、1番、3番主電源投入 運転出力へ移行」

 

【高雄クルー B】
 「NGG、1番、3番主電源投入 運転出力へ移行」


【高雄クルー A】
 「艦体拘束シャフト降下開始。」

 

【高雄クルー D】
 「艦体拘束シャフト降下開始。」

 

真台湾の内部に隠された宇宙艦隊基地の発進口は、海上要塞の真下に設けられており、
フネを海中に沈めることで発進させる仕組みになっていた。
アニメ番組でよくみるドッグ注水という手法は人が居住するメガフロートの安定を損ねるので重量バランスの面から採用されなかったのだ。

密閉空間のドッグ下部の扉が開口し、黒い海水面が姿を表す。
そこに4隻の巡洋艦が一斉にに降下を開始する。

 

【サダッチ】(・o・)
 「あっ高雄が動き始めた。」

 

ネコの感覚で要塞下のドッグの動きについては感じ取ることができていた。

 

【サッチ】
 「いよいよ出発するのね。」

 

【ナナ】
 「予定より早くない ?」

 

【サダッチ】
 「どうやら日本艦隊は、さっきの弾道弾による攻撃を艦隊への攻撃ととらえて出発を早めたようね。」

 

岸壁では輸送艦が物資や人員の搭載を急いでいるようだった。

 

ジョージ】
 「高雄ってたしか今日硫黄島からの定期便が到着する予定だったのでは ?」

 

【レイチェル】
 「どうするの置いてきぼりになるわね。」

 

【アン】
 「この状況じゃ仕方ないでしょ。」

 

【まっちゃん】
 「私達にとってはAS16の補修チームが到着してくれればそれでいいんですけどね。」

 

【レイチェル】
 「それもそうですね。」

 

艦が完全に水没すると、浮力を得て中立を維持しなければならない。
アトランティス系の艦は宇宙空間での長期活動を考慮し、常時密閉区画は居住ブロックのみで他のブロックは密閉されておらず動的に密閉度を制御していた。

通常宇宙空間での戦闘においては、被弾による火災延焼を防止することを目的として呼吸が可能な区域(※4)は制限されていたが、戦闘時以外の時でも酸化による劣化を防止するために酸素を充填する区域が限られており、これにより数千年にもわたる艦体寿命を発揮する。

 

そしてその船体の構造上、密閉空間が限られているために浮力がほとんどなく、海には浮かばないのだ。

このため、宇宙艦が水中を航行する場合は、沈まないように爆発防御装甲と称する雷撃(核攻撃)に耐候して爆発力を軽減するための物理装甲の隙間に圧縮空気を充填して潜水艦のように浮力を得る。

 

 

【高雄クルー A】
 「NGG、1番、3番 運転出力到達。」

 

【高雄艦長】
 「判った。」

 

【高雄艦長】
 「浸水箇所は ?」

 

【高雄クルー A】
 「ありません。」

 

艦内の環境監視モニターのステータスがグリーンで表示され "異常なし" を示していた。

 

【高雄艦長】
 「よし。」

 

【高雄クルー A】
 「爆発防御装甲メタン・ブロー(※5)、トリムを中立。」

 

【高雄クルー B】
 「爆発防御装甲メタン・ブロー、トリムを中立。」

 

浮力を得たことは船体が軽く振動したことで判る。

【高雄クルー A】
 「艦体拘束シャフト、連結ボルト解除。」

 

【高雄クルー D】
 「艦体拘束シャフト、連結ボルト解除。」

 

艦体拘束シャフトとフネを固定していたボルトが解除され、初めて高雄は水中に浮かんだ。

 

各部所からの報告で浸水など異常が無いことが確認されるといよいよ発進となる。

 

【高雄艦長】
 「NGG1番、3番、出力0.003(マルマルサン)。」

 

【高雄クルー A】
 「NGG1番、3番、出力0.003(マルマルサン)。」

 

【高雄艦長】
 「微速前進5ノット。」

 

【高雄クルー A】
 「微速前進5ノット。」

 

高雄はゆっくりと前進を始めた。

操艦号令がアトランティス艦隊や帯締学園とは異なるのは、高雄クルーは純粋に日本軍乗組員で構成され、かつこの時点では日本軍として運用されているからである。
しかし有事の際はアトランティス人将校がオブザーバーとして乗艦し、アトランティス艦隊として運用されるので、操艦号令はアトランティス艦隊に準ずることになる。

 

【高雄クルー E】
 「艦長、センサーに感っ!!」

 

【高雄艦長】
 「敵か ?」

 

【高雄クルー E】
 「判りません。」
 「反応が鈍くて識別できません。」

 

【高雄クルー F】
 「さっきの攻撃でセンサー効力が発揮できていません。」

 

宇宙艦のセンサーは水中での探査を苦手としている上に弾道弾の攻撃により水中が撹拌されており高雄のセンサーでは前方で何が起こっているのか検討すらできなかった。

 

【高雄艦長】
 「正体がつかめんのか・・・。」

 

【高雄艦長】
 「Mk-77(※6)は ?」

 

【高雄クルー G】
 「オンライン、いつでも使用可能です。」

 

【高雄艦長】
 「よし、RIM-222(※7)の用意を。」

 

【高雄クルー G】
 「対空ミサイルですか ? アレは宇宙空間専用ですが。」

 

【高雄艦長】
 「大丈夫、十分だ。」
 「SSM-10S(※8)やSGM-123A(※9)は、艦隊戦で使用する強固な目標に使用するから
逆に地球圏内では威力が大きすぎる。」

 

【高雄艦長】
 「我々の科学力を凌駕する宇宙人どもの巨大な宇宙戦艦であろうとシールドの効果に制約の出る水中であれば我々のセンサーでも感知する事は可能だ。」

 

【高雄艦長】
 「とすると、相手は宇宙艦とは考えにくいので小型の機動兵器の類だと想定出来る。」
 「だから、この場面ではRIM-222が最適なのさ。」

 

【高雄クルー G】
 「わかりました。」

 

宇宙艦隊が使用するドローンは、真空状態だけでなく、高圧力のガス星雲内やガス惑星。
または極低温のメタンの海、また地球より何倍もある重力など極限状態で使用する事を想定して設計しているため、地球の地上兵力が使用するミサイル類は比べ物にならない精度と耐久力で製造されている。

 

【高雄艦長】
 「警戒しつつそのまま前進。」

 

【高雄クルー A】
 「了解。」

 

諸元を入力次第、すぐにミサイルを撃てる状態を維持しつつ高雄は慎重に前進した。

 

 

リー少尉はレイヤーデプス(※10)に潜み統一朝鮮軍のブーメランを待ち伏せていた。
すると事前の情報通り、20機のブーメランが音響センサーに引っかからないシャドーゾーン(※11)に沿って進んできた。


だがリー少尉は深夜にSST(※12)が低下したことをうまく利用しており、急ごしらえの簡素なソナーシステムではあったが的確に統一朝鮮軍のブーメランを補足していた。


そして弾道弾の着弾を確認すると同時に静かにミッションを開始していた。

 

敵は最初の3機を撃破されたことで瞬く間に混乱して陣形を崩し、襲撃犯の特定を余計に困難なものとしていた。


さらに上陸後の襲撃を想定していた装備のため水中戦など考慮しておらず、かろうじでリー少尉の一撃を回避できた機体も反撃のしようがなく、結局すぐに沈められてしまった。

 

【リン・リー】
 「あと5機っ!!」

 

もはや彼らのミッションは継続は不可能だったがリー少尉は攻撃の手を緩めなかった。
彼らはリー少尉の正体はおろか、まさか友軍のしかも同型機の攻撃を受けているとは思いもよらなかった。

 

ブーメランは元々はオーストラリア海軍とシナ陸/空軍との共同で開発されたものでオーストラリア海軍は日本の捕鯨船団を襲撃する目的で水中戦闘の仕様を盛り込み、シナ陸/空軍は着脱可能な空戦パックを装着することで短時間ながらも空中戦能力の能力を付与し、量産型としては世界初の水陸空両用の第二世代型マルチロールAMPとしてリリースされた。

 

先日の大九野島戦や今回の真台湾襲撃に投入した統一朝鮮軍のブーメランは統一朝鮮とシナ国との軍事同盟により、同型をライセンス生産しており、工作精度から統一朝鮮軍のブーメランの方が若干高性能との評価があるがこの場においてはリー少尉の戦闘スキルの方が遥かに勝っていた。

 

リー自身はそんな彼らの状況など知る訳でもなく、ただ、彼らを生きて帰せば正体を報告される恐れがあると判断し、無慈悲な攻撃を続けていた。

 

【リン・リー】
 さすが、祖国が開発したこの刀は水中でもよく切れるな。
 よし、あと4機。

 

しかし、その襲撃は突如点灯した警告灯によって中断せざるをえなくなった。

 

センサーが大型の物体を探知したのだ。

 

【リン・リー】
 新たな敵 ?
 数は4。

 

【リン・リー】
 しかし・・・でかいな。 潜水艦か ?
 いや、地球にこれほど巨大な潜水艦は存在しない・・・。

 

【リン・リー】
 反逆者にこれほど巨大なフネを作る技術があるとは思えない。
 とすると、これが噂の日本軍の宇宙船なのか ?

 

【リン・リー】
 いちど正体を突き止める必要があるが・・・しかし、あれだけのフネならおそらく攻撃力も相当なものだろう。
 もし見つかった場合は逃げ切れる自信がないな。

 

我に返ると、4機のブーメランは逃走を始めていた。

 

【リン・リー】(-_-;)
 「ちっ、取り逃がしたか。」

 

【リン・リー】
 ま、いい。
 任務は果たした。
 私もアレに見つかる前にこの場を離れたほうがよさそうだ。

 

リー少尉はシナ人にしては珍しい沈着冷静なタイプだった。

 

こうして、人知れず行われた水中戦はリー少尉の圧勝で終了した。

 

 


【高雄艦長】
 「どうだ ?」

 

【高雄クルー E】
 「完全にロストしました。」

 

【高雄艦長】
 「後で浮上したら、音紋を呉のデータセンター(※13)に送信しておけ。」
 「正体が判るかもしれない。」

 

【高雄クルー E】
 「判りました。」

 

その後、高雄は僚艦とともに真台湾を4方から囲む形で警戒態勢をとっていたがあの正体不明の反応はその後は現ることはなかった。

 

ゆがて物資や人員を満載した輸送艦を伴って月へと飛び立っていった。

 

キャロットとカリフラワーは、硫黄島から飛来したメンテ要員を収容した後に、さらに半日遅れで地球を離れた。

 

AS16の補修要員も無事に真台湾に上陸すると、さっそく状態のチェックに取り掛かりさっきまで高雄が係留されていたドッグへ搬入する準備を始めた。

 

 

 

高雄が水中ドックから出発したのと同じ頃、帯締学園の寮では・・・。

 

【ノブちゃん】(,,゚Д゚)
 「起きてっ!!」

 

何者かに揺り起こされてコハルたちは目を覚ました。

【マキリ人少女 A(コハル)】(゚д゚)!
 「何!?」

 

【セッちゃん】
 「シーっ!!」
 「静かに。」

 

口に指をあてる仕草がコハルたちにも理解できた。
この仕草はアンドロメダ陣営にも意味が通じているのね・・・と感心している場合ではなかった。

 

いつの間にか寮生たちが警戒態勢を敷いていた。

 

【ミーシャ】
 ほぼ予想時間通りね。

 

【ノブちゃん】
 勢力は ?

 

【セッちゃん】
 正面入り口にアメリカ陸軍のナイトストーカーズ、西窓付近にシナの雷神隊が展開中。

 

耳を済ませ、呼吸や装備がこすれるわずかな音を聞き分けた。

 

【セッちゃん】
 規模は共に2個小隊規模。
 裏と表を挟み撃ちにされているわね。

 

【ナターシャ】
 想定通りの展開ね。

 

【ノブちゃん】
 ありがとうターニャ、貴女の画像解析がなければ不意を付かれているところだったわ。

 

彼らの動きは、すでにターニャの衛星画像解析によって予測されていたのだ。

 

ナノリンクの会話の中に入れなかったコハルが聞いた。

 

【マキリ人少女 A(コハル)】
 「誰が来たの ?」

 

【セッちゃん】
 「貴女たちの来訪を快く思っていないか、それとも拐いたいかどちらかの目的のヒトたちよ。」

 

【ミーシャ】
 識神を放しますか ?

 

【ノブちゃん】
 いや、気づかれたと判断して一気に突入されるわ。

 

【ナターシャ】(・o・)
 先手で応戦する ?

 

【セッちゃん】(-_-;)
 ダメよ。

 ここから外に向けて撃ったら、隣の無関係の住宅にも被害が及ぶわ。

 

【ナターシャ】ヽ(`д´;)ノ
 じゃあどうするのよ ?

 

【ターニャ】
 東郷は ?

 

【セッちゃん】
 まだ学園にいる筈よ ?

 

【ノブちゃん】
 じゃ学園まで退避するわよ。

 

【マキリ人少女 A(コハル)】
 「逃げないの ?」

 

【セッちゃん】
 「この寮は治外法権の外に建っているけれど、実は地下で学園と繋がっているのよ。
まずはそこまで逃げるわよ。」

 

【ミーシャ】
 「あれ、通学路を通るのではなくて ???」

 

【ナターシャ】
 「地下通路って話、初めて聞いたよ。」

 

【セッちゃん】
 「今、初めて喋ったからね。」
 「この寮のことはなんでも知っているわ。」

 

【ミーシャ】
 「食事もお掃除もなんでもこなす寮母さんね。」

 

【ノブちゃん】
 「さあ、逃げるわよ。」

 

厨房の床下収納は冷蔵庫となっており、その温度設定ボタンをある一定回数を押す事で
さらに奥へ進む扉が現れた。

 

【ナターシャ】
 「今まで、これずーーと冷蔵庫だと思ってた。」

 

【セッちゃん】
 「何言ってるのよ、冷蔵庫よ。」

 

【セッちゃん】
 「さ、早く行ってっ!!」

 

せっちゃんがしんがりを務める。

 

【ナターシャ】
 「ねぇ扉閉め無くていいの ?」
 「追ってくるわよ。」

【セッちゃん】

 「いいのよ。」
 「閉めたところですぐにこの入り口に気がつくわよ。」

 

【ミーシャ】
 「でもパスワードなければ開けれないんじゃ ?」

 

【セッちゃん】(-_-;)
 「爆破されてもしたら、近所にご迷惑でしょ。」
 「それに戻ってきても住むところが無くなってるわよ。」

 

【ミーシャ】(-_-;)
 「ぁそれは困るね。」

 

【ナターシャ】
 「で、どうするの ?」

 

【セッちゃん】
 「とれあえず、先へすすんで。」

 

【ミーシャ】
 「うん。」

 

しばらく進むと頑丈な扉が行く手を遮った。

 

【ナターシャ】
 「・・・これパスワードの入力端末がないわね ?」
 「どうやって開けるの ?」

 

すると、突然ホログラムによって一人の小太りな女性が投影された。

 

【ミーシャたち】(゚д゚)!
 「ぁ、学園長だ・・・。」

 

 



(※1).給養員
 日本軍では自衛隊時代からの慣習で調理スタッフの事を給養員と呼んでいる。
 艦船は24時間勤務の為に給養員のシフトも24時間体制が敷かれている。
 勤務中はずーーーと何かを作っているのでかなりキツイ仕事らしい。

 

(※2).SP
 SPシリーズ加圧水型熱転換炉を指す。
 アトランティス艦隊は、標準装備としてADE-PHB73T型核融合炉シリーズを使用していた。
 アトランティス帝国の母星がアンドロメダ陣営に接収されたことで製造メーカーからの新規製造はおろかメンテも閉ざされることになる。
 そんな状況において、2000年と言われる耐用年数がとっくに経過した状態で、なんとか使用可能なパーツを繰り返してリサイクルしていたがさすがに作戦に支障がでるケースが出始めたため、地球人の技術で核融合炉の製造を着手する事になった。
 しかし科学力の劣る地球人の技術での開発は難航を極めたため、そのつなぎの動力源としてアメリカ海軍が使用していた艦船用原子炉を宇宙艦用に改造したのがSPシリーズ加圧水型熱転換炉である。

 

(※3).NGG
 ネガティブグラヴィティジェネレーター
 反重力ドライブの事。
 地球上では、地球重力とは真逆の反力場を発生させて重力を打ち消して宙に浮かび、宇宙では、恒星や惑星に対して強い引力場で引き寄せることによって航行する。

 

(※4).生命維持ブロック
 一般的な宇宙船のイメージは船内は全区画が密閉されて気密が保たれているが、実際に呼吸が可能なブロックは限られている。
 特にアトランティス人や地球人が呼吸媒体としている酸素は毒性が非常に高く、しかも酸化しやすい性質のため宇宙艦を長期運用するには害でしか無く、酸素を充填している区画は非常に限られている。
 さらに戦闘時においては被弾による火災を防ぐために医療等一部の区画を除いては真空状態となる。
 ただ、メタンを呼吸媒体としている種族は広い区画が設けられることが多い。

 

(※5).爆発防御装甲メタン・ブロー
 メタン・ブローとは、地球の潜水艦で言うところのバラスト・ブローに相当する。
 宇宙艦には潜水艦のような空気や水を出し入れするメインタンクは存在しない。
 しかしミッションによっては惑星の海に潜るケースもあり、その際にメインタンクの代わりになるのが爆発防御装甲である。
 宇宙艦同士はビームを主体とする熱光学エネルギー弾による砲撃戦によって行われるが魚雷を使用した雷撃戦も行なわれている。
 魚雷と言っても地球で言う水中をスクリューで進むモノではなく、核弾頭を装着した一撃必殺の対艦ドローンを指す。
 この魚雷が艦内の生命維持ブロックにて爆発するとその区画の大気は、急激な熱膨張により艦は内側から破壊されてしまう。
 それを防止するために戦闘時の艦内は真空状態にされるワケだが、それでも致命的なダメージは免れられないため、外側に爆発防御装甲を纏っている。
 この装甲は普段は中空状態となっており、被弾すると中に充満した熱風がワザと設けられた弱い箇所を突き破って外へ排出することでダメージを和らげる。
 宇宙艦が海に潜る際は、この装甲に設けられた中空の領域に海水を入れたりメタンを入れることで艦の浮力をコントロールする。
 ちなみに宇宙艦は質量に対して気密区画が少ないので地球重力上、水には浮かばず沈んでしまう。

 

(※6).Mk-77
 アメリカのロッキーマウンテン社が製造しているイージス艦用の VLS発射キャニスターを宇宙用に改造したもの。

(※7).RIM-222
 アメリカのライセオン社が製造した近接対空ドローン。
 Mk-77 キャニスターから発射される。

(※8).SSM-10S
 日本の四菱重工が開発した10式艦対艦ミサイルを対宇宙艦用に改良したドローン
 Mk-77 キャニスターから発射される。

(※9).SGM-123
 アメリカのゴーイング社が製造した対宇宙艦攻撃用ドローン
 Mk-77 キャニスターから発射される。


(※10).レイヤーデプス
 海中の温度境界層の厚さを意味し、だいたい水深200mまでの深さで発生する。
 季節による温度変化や日々の気温差により発生する深さが異なりアクティブ・ソナーの探知能力に大きな影響を与える。
 たいていの潜水艦はこのレイヤーデプスの下に隠れて敵艦を攻撃するチャンスを狙う。

 ちなみに宇宙空間でもレイヤーデプスは存在し、ダークマターの分布や濃度によっては重力探針波が届かないケースが有る。


(※11).シャドーゾーン
 水中では温度の変化や水圧によって音の伝わる速度が変化して音波が直進しないことがある。
 なので海水の分布によってはアクティブソナーの死角となる領域が発生し、そこに隠れた潜水艦の発見は非常に困難となる。
 ちなみに宇宙空間でもシャドーゾーンは存在し、ダークマターの分布や濃度によっては重力探針波の死角となる場所が存在する。


(※12).SST
 海水表面温度を意味する。
 海水温が高いと対流が発生するため、ソナーの能力が低下する。
 リー少尉は温度が低下した事でソナーの精度が高まった瞬間に敵の位置を探ることに成功した。

 

※13.日本海軍呉データセンター
 日本海軍の潜水艦基地が置かれている呉には海中で発生する音の解析を行う専門部所がある。
 この解析結果はすべての日本海軍に共有され、一部はアメリカ軍にも提供されている。

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  【1-8- *】 END
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 ■日本軍参戦
   登場人物

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エミリア
【アリョーナ】
【アジェリーナ】
【オレーシャ】
【ヨシフ】

【ナナ】
【サッチ】
【サダッチ】
【アン】
【レイチェル】
ジョージ】
【バネット】
【なるみ】
【東郷】
【ヒデコ】
【フクちゃん】
【まっちゃん】
【ノブちゃん】

【さえ】
【みさ】
【セッちゃん】
【ミーシャ】
【ナターシャ】
【ターニャ】
【シャルロット】
【フランシーヌ】

【トミちゃん】
【おみくじ】

【C3 パイロットA】
【C3 パイロットB】
【C3 パイロットC】

【エグザクタ】

【シナ機動部隊作戦司令】
【シナ機動部隊作戦参謀 A】
【シナ機動部隊下士官 A】
【シナ機動部隊下士官 B】
【シナ機動部隊下士官 C】

【シナ海軍パイロット A】
【シナ海軍パイロット B】
【シナ海軍パイロット C】

【ブーメラン本隊 隊長】
【ブーメラン本隊 隊員A】
【ブーメラン本隊 隊員B】
【ブーメラン本隊 隊員C】
【ブーメラン本隊 隊員D】
【ブーメラン本隊 隊員E】

【マキリ人少女 A(コハル)】
【マキリ人少女 B(コユキ)】

【台湾大統領】
【真台航空管制官
【国防大臣】
【旧台湾空軍パイロット A】
【旧台湾空軍パイロット B】
【台湾市民A】
【台湾市民B】
【台湾市民C】
【台湾市民D】

【真台湾強襲部隊 A】
【真台湾強襲部隊 B】
【真台湾強襲部隊 C】
【真台湾潜入工作員 A】
【真台湾潜入工作員 B】
【真台湾潜入諜報員】
【リン・リー】

【レストラン・スタッフ】

【高雄艦長】
【高雄クルー A】
【高雄クルー B】
【高雄クルー C】
【高雄クルー D】
【高雄クルー E】
【高雄クルー F】
【高雄クルー G】

 

 

 

 

 

 

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